2016-10-23

スリランカ写生旅行 その8

 「スリランカ写生旅行」14日目、2016年6月19日(日)。今日はポーヤ・デー(満月の祝日)、特に6月はポソン月のポーヤ・デーと言って仏教伝来を記念した重要な祝日なのです。朝食はパンとバナナで済ませて、さっさと宿を出ます。7時過ぎに「ポロンナルワ博物館」に着くと、開館まで周囲の公園を歩きます。博物館で遺跡入場券(3550Rs)を買って外へ出ると、おつりが500Rs多いような気がします。戻って係員の男性に告げると、「何を言っているんだ、俺は間違っていないさ・・・。見てろよ。」といった様子で面倒くさそうに電卓を取り出すと計算し始めました。すると、やはり500Rs多かったのです。係員は少々ばつが悪そうに、お金を受け取りました。スリランカの人はどうなのか分かりませんが、多くのアジア圏では、多過ぎるおつりを返金するようなバカ正直者は少ないでしょうから、係員は日本人の正直さを少しは好意的に受け止めてくれたかも知れません。
 この日は人が少ない早朝に、ポロンナルワ遺跡群の一番北端に位置する「ティワンカ・ピリマゲ寺院(北院)」の壁画を見る予定です。途中、「シヴァ・デーワ―ラヤNo.2」(ヒンズー教寺院)や「パバル・ヴィハーラ」という小さなダーガバ(仏塔)に寄りながら、「ティワンカ・ピリマゲ寺院(北院)」に到着。結構大きな寺院建造物の内部に入ると、素晴らしい仏教壁画に覆われていました。壁画は13世紀のもので、インドの仏像表現に多く見られるトリバンガ(三屈法・三曲法)という身体を3つに折り曲げる表現が使用されています。明らかにインドのアジャンター壁画等の影響が見られますが、インド壁画の濃密でシリアスな描き方に対して、かなり素朴な味わいのある雰囲気に変化しています。内部は撮影禁止と書いてあるので、SM号のスケッチブックに天人デワターを写生しました。大きなミツバチが近寄って来たり、トクモンキー(サル)が荷物を盗みに来るのが少し気にはなりましたが、レベルの高い壁画の模写に集中しました。15分程描いていると、監視員の男性が近寄って来て絵をのぞき込み「いいね~」というジェスチャーをして、去って行きました。スケッチ後もしばらく壁画をよく観察し、納得いったところで遺跡を離れました。朝から素晴らしい壁画に出会えて気分が良いです。
 次に、「ハスの池」という蓮の花の形をした僧の沐浴場跡を見物。中国西安・華清池で昔見た楊貴妃の沐浴場に少し似ています。池の脇で地元の絵描きが絵を描いて売っていました。H.A.PRIYANTHAさんという絵描きらしく、私のスケッチブックを見せてやって「私も日本の絵描きです。」と言うと、チョウチョウを描いた小さな絵をプレゼントしてくれました。「本当にいいのですか。」と問うと、「いいのさ。」という仕草です。”絵”には、国境を越えて共感できるという大きな魅力があります。しかし、人のあまり来ない遺跡のはずれで観光客に絵を販売しても、そう簡単には売れないでしょうから、日本も海外でも絵描きは大変ですね・・・。
 遺跡中心部に戻る途中で「デマラ・マハー・サーヤ」という崩れかけた遺跡を拝見し、その上の小山に登って見ると、ポロンナルワの遺跡群がよく見渡せました。次に目指すは「クワドラングル」と並ぶポロンナルワの見どころ「ガル・ヴィハーラ」です。

 時刻も10時過ぎとなりポーヤ・デーという事もあり、「ガル・ヴィハーラ」辺りはかなりの人出です。多くの露店も出て大きな祭りの様相です。外国人ツアー観光客はこの日を避けているのか逆に全くいないのですが、スリランカ人の参拝客・観光客が目白押しです。真っ白のおそろいの服は、参拝用の正装でしょう。重要な遺跡群の入口では警察にチケットを確認されますが、スリランカ人は無料のようです。中国等のアジア各国の多くで廃止される傾向にある外国人価格という習慣が、ここスリランカでは残っていました。
 私も一通り参拝を済ませると、巨岩に登り、「ガル・ヴィハーラ」の巨大な仏像2体をF4号にスケッチしました。涅槃仏は全長14mもあります。その横の7mの立像は、ブッダともアーナンダとも言われているそうです。1時間余り描いていると、人が10数人集まって来て、私の周りを取り巻いてワイワイ言っています。描き終えると、最後まで見ていた熱心な親子に、「どう、あなたも描いてみましょうか。」と声をかけます。現地の人に突然「描かせて下さい。」と言っても大抵は警戒されるか、恥ずかしがって断られるだけです。良いタイミングを見計らって声をかけるというのが、私が旅で身に付けた人を描くテクニックです。
 数人の親は先を争って我が子を描いて欲しいと申し出ました。ここでは3人の可愛らしい女の子をそれぞれSM号に10分ずつ描きました。子供は長時間のポーズに飽きてしまいますから、素早く特徴をとらえます。描き終えると、お礼にあめ玉を一つ二つあげます。インド、インドネシア、カンボジア等のかなり経済的に貧しい地域では、よくチップ(現金)を要求されますが、現在のスリランカは順調に経済発展も進んでいるようで、私が回った範囲では著しく貧困な子供達には出会いませんでしたので、この旅行中にスケッチ代を求められる事はなかったです。10数年前のインド旅行までは、子供達の生活の足しになればと、スケッチしたら少額の現金を渡していたのですが、インドで現地の大人に「子供に現金を渡したら、タバコを買ったりと悪い事に使うので、できたら親や老人に渡して欲しい。」と言われた経験があり、土地土地の事情も考えて行動しないといけないのだと思うようになりました。
 遺跡内では靴を脱いでいるので、巨岩を降りる時に思いっきり岩の出っ張りを踏んでしまい、少しかかとを痛めてしまいました。その後、4~5日間程痛みがありましたので、はだしは注意しないといけませんね。
 次に、「キリ・ヴィハーラ」という大きくて真っ白なダーガバ(仏塔)、巨大な仏像がそびえ立つ「ランカティラカ」を見て、午後2時頃、取材を終えました。
 昼食は昨日と同じ「Dineth レストラン」で、カレーとジュース2本(計350Rs)を食べました。

スリランカ旅行ポロンナルワ 「ティワンカ・ピリマゲ寺院(北院)」

スリランカ旅行ポロンナルワ 「ガル・ヴィハーラ」

 シャワーを浴びて休憩して、夕食はパンと露店で買った大きなドドル(ココナッツミルク、米粉、黒蜜で作った、スリランカのスパイス入り ういろう)を食べました。ドドルはとても甘くてねっとりとしています。
 食料に虫(アリや黒虫)が付かないように、常々部屋の中では、ビニール袋に入れてつるしているのですが、パンを食べた後の袋をよく見てみると、小さな穴が2つあいていました。どうやら黒虫がかじった跡のようです。あの虫は空中につるしている食べ物でも感知するのです。これは防ぎようがないな・・・と思いつつも、ビニール袋を二重にして、なるべく早めに食べ終えるか、リュックサックの中にしまい込む位しか方法はありません。この日の夜も2匹程の中型黒虫と奮戦しました。この宿は安くてオーナーも比較的親切で良いのですが、この黒虫だけは辟易します。お願いですオーナー、大規模な害虫駆除をして下さい。ただ、害虫だと決めつけているのも、人間のエゴなのですが・・・。

 今日は、美しい天人像やスリランカの女の子もスケッチできて美人画家として満足しましたので、明日に備えて早めに眠りにつきました。明日は予期せず「ポロンナルワのペラヘラ祭」に遭遇する事になります。その模様は、また次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-10-10

スリランカ写生旅行 その7

 「スリランカ写生旅行」12日目、2016年6月17日(金)。スリランカの旅も半ばを過ぎました。早朝、パンとマンゴーを食べると、少々のチップを宿に残し、30分ほど歩いてバス停へ向かい6時30分発のバスに乗り込みました。ポロンナルワには8時30分頃到着(バス代 90Rs)。ガイドブック「地球の歩き方」を参考に、ここでの宿は「サムドラ・ゲストハウス」(一泊素泊まり1000Rs、4泊したので計4000Rs。ホットシャワー・トイレ・ファン付エアコンなし)にしました。この宿はレストランも併設しているので、昼食は宿に頼みました。食堂は小さな中庭に面しており、ゆったりと休める雰囲気です。チキンフライライス(400Rs)を食べました。
 今日はポロンナルワのメイン通りをぶらつこうと思います。メイン通りと言っても、小さな商店や露店が100mほど並んでいるだけの小さな町です。少し大きなスーパーがあったので、自分用の土産を探しました。ゾウの模様のサロン(腰巻き)が面白いので500Rsで購入。日本でサロンをはいて出歩くのは少し勇気がいりそうですが、家の中では使えるでしょう。
 ここで両替の為に銀行に入ろうとすると、入口を警護した警察が「目的は何だ」と言いますので、「マネー・イクスチェンジだ」と言うと中に入れました。銀行内ではライフル銃のような大きな鉄砲を持った警察2人が、ずっと私に目を光らせています。私は入口付近のカウンターで両替をしろと言われて手続きをしていたのですが(奥にある通常のカウンターには入れたくないようです)、その間中、2m先の正面に銃を持った警察が立っていて私を警戒していました。もし私が冗談でも変な行動をとったら、この銃で心臓を射貫かれるのかと想像したらゾッとしました。スリランカの治安は比較的良いように感じるのですが、よほど外国人を不安視しているのか、その警戒ぶりは日本人の私からすると異常に思えるほどでした。この先もおいおい後述しますが、何度も警察・警備員の警告を受ける事になるのですが、日本に帰る時まで、その意図は理解できませんでした・・・。
 そんな事がありながらも、のんびりとした町の様子を楽しみながら、宿に戻りました。夕食は宿に「カレー」と「カード(水牛ヨーグルト)」を頼みました(550Rs)。予約した時間より1時間以上遅れて用意ができましたが、なかなか立派で美味しい料理でした。ただ、時間が遅れると後の取材に支障が出る場合があるので、次からは外のレストランで食べる事にしました。明日は朝から本格的にポロンナルワの遺跡を取材せねばならず、今から気合が入っているのです。
 夜になり部屋で休んでいると、あの私の嫌いな黒く光る虫が出ました。「初日から出て来たな~」と嫌な予感がしましたが、この後もこの宿での黒虫との格闘が続く事になるのでした・・・。

スリランカ旅行「サムドラ・ゲストハウス」 カレー、カード(水牛ヨーグルト)(計550Rs) スリランカ・カレーは美味しくて、中庭の緑が心地良いです。

 「スリランカ写生旅行」13日目、2016年6月18日(土)。(ちなみに、6月18日は私の48歳の誕生日ですが、スリランカで誕生日を迎えるとは不思議な感じです。)今日から3日間、ポロンナルワの世界遺産巡りです。宿の一日200Rsのレンタルサイクル(貸自転車)を3日間借りました。
 宿で朝食のパンとバナナを食べていると、日本で見た事もないような巨大で肥えた黒虫(日本にはいない種類)が出現し、追いかけましたが逃げられました。7時前に宿を出発して、公園を散策し野良ウシを見ながら「ポロンナルワ博物館」のチケット売場が開くのを待ちます。もっと早朝から取材したいのですが、チケット売場が7時30分からしか開かないので仕方ありません。チケット(遺跡入場券)は一日3550Rsでしたが、その時のレートで多少変動します(25米ドルは固定価格)。
 まずは「宮殿跡」を拝見。石造りの巨大な宮殿の残骸が立っています。ここを縄張りとする犬がしきりに吠えて来るのは厄介でした。次に最も中心的な遺跡群「クワドラングル」に向かいます。ここには、「ワタダーゲ」「ハタダーゲ」「アタダーゲ」「トゥーパーラーマ」等の11もの重要な建造物が集まっています。中でも「ワタダーゲ」が最も魅力的な形態をしているので、ここに標的を定めるとF4号のスケッチブックに写生しました。この日も極めて暑い日でしたが、曲線の美しさをとらえるのに時間を要しながら2時間30分位描きました。今回の旅では一番時間がかかりました。スケッチをしているとスリランカの人々が集まって来て、絵を見ながらワイワイと言い合っています。私はこんな状態にも慣れており、どんなに人が集まって来ても平気です。次に、「ワタダーゲ」のムーンストーン(寺院入口の半円形の石板、ポロンナルワではゾウ・ウマ・トリの3種類の動物が彫られている)を、SM号に30分位スケッチしました。
 スリランカにおいては、寺院(寺院遺跡)内では帽子をとり靴を脱がないといけません(タイ王国等の東南アジア圏の上座部仏教寺院ではよくある規則です)。ブッダを崇める敬虔な心から発せられた大切な決まり事なのですが、熱中症対策の決め手である帽子が全く役に立たないのは絵描きにはきつい所です。寺院付近では帽子を被れないので、酷暑の中、自転車の移動時以外、ほぼ一日中帽子を脱いだままです。
 「ハタダーゲ(仏歯寺跡)」の内部で写真を撮っていると、派手な衣装をしたチャラチャラした若者がしきりに私に何か言いながら絡んで来ます。ややこしい若者だなと思っていたのですが、後で思い返すとどうやら「ハタダーゲ」は遺跡とはいえスリランカ人が最も崇める仏歯寺の跡地なので、内部は撮影禁止のようなのです。どこにもそんな注意書きは見当たらなかったので気付かなかったのですが、現地人には当然の事なのでしょう。あのチャラい若者も実は敬虔な仏教徒なのでしょうね。
 「クワドラングル」内を計5時間位観察した後、「シヴァ・デーワ―ラヤNo.1(ヒンズー教寺院)」「集会場・閣議場」「沐浴場」を巡ります。「沐浴場」の向こうの小川では、現代のスリランカ人が本当に水浴びしているのが面白いです。今でもアジア圏では、川でお風呂を済ませる人も多いのです。「沐浴場」でコブラの見世物をしている大道芸人がいるので写真を撮ったらチップを要求されましたが、これも彼らの立派な仕事なので快く渡しましょう。その後、「ポロンナルワ博物館」を見学し、博物館裏の「Island Park」の遺跡を回りました。

スリランカ旅行ポロンナルワ クワドラングル「ワタダーゲ」

スリランカ旅行「ワタダーゲ」のムーンストーン

 午後3時頃になり、かなり疲労し、お腹もすいて来ましたので、この辺りで今日の取材は終わりにしました。メイン通りの大衆食堂「Dineth レストラン」でカレー、ジュース、ヨーグルト(330Rs)を食べました。ここのカレーは安いですが、なかなか美味しいです。パン類も売っているので購入し、宿で一休み。夕食はさっきの食堂で買った、エラワル・ロティ(カレー風味の野菜をクレープ状のゴーダンバ・ロティで包んだ軽食)とパンとバナナで済ませました。明日はポーヤ・デーという満月を祝うスリランカの祝日なので人出も多そうです。この日の夜も中型の黒虫数匹と格闘し、暑さにうなされながらも早めに眠りにつきました。

スリランカ旅行「Dineth レストラン」 カレー、ジュース、ヨーグルト(330Rs) 安いですがとても美味しい大衆食堂です。

 この後、2日間はポロンナルワ遺跡探訪の続きですが、その様子は次回といたしましょう・・・。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁
 
 

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-09-22

スリランカ写生旅行 その6

 「スリランカ写生旅行」の10日目、2016年6月15日(水)。朝起きて朝食のパンを軽く食べると、少々のチップを置いて、宿を出ました。この小さなホテル「フラワー・イン」のおかみさんは親切で、部屋も素敵で、良い宿でした。
 遠くに見える朝焼けのシーギリヤ・ロックに別れを告げていると、野犬が足にからみついて来ます。シーギリヤ村へ向かう途中でバスがやって来ました。7時20分頃乗り込み、8時10分頃、ダンブッラに到着しました(バス代 40Rs)。
 ダンブッラのバスターミナルから歩いて行くと、巨大な野菜マーケットがあります。朝の市場は活気付いています。なじみの野菜や珍しい南国の果物等がトラックに積まれて行きます。更に500m程進むと、今日の宿「ヒーリー・ツーリスト・イン」に着きました。1泊2000Rsでしたが、2泊すると3600Rsにまけてくれました。部屋はホットシャワー・トイレ・ファン付で申し分ないです。
 宿で一息つくと、歩いて800m程の所にあるダンブッラ石窟寺院に向かいます。日本ではまだほとんど知られていませんが、ここには素晴らしい壁画があるというので、楽しみにしていました。寺院の入口に超巨大な金色の大仏(ゴールデン・ブッダ)が鎮座しています。最新のガイドブック「地球の歩き方」では遺跡入場料1500Rsと書いてありましたが、現在は無料になっていましたので、そのまま石窟寺院まで階段を登ります。階段の途中に、たくさんのトクモンキー(頭がカッパのようなサル)の親子が群れていました。
 ユネスコの世界文化遺産にも登録されている石窟寺院は、私の想像以上に大規模で素晴らしい壁画群に覆われていました。第1窟から第5窟まであり、時代と規模がそれぞれ異なっているので、窟ごとに少しずつ違った雰囲気を味わえます。内部には多数の仏像が安置され、壁面にはびっしりと仏画が描かれています。ジャータカ物語(釈迦前世譚)やスリランカの歴史譚が主なテーマのようです。私が今まで見たアジアの壁画の中では、2004年のインド取材旅行でアジャンター石窟寺院に訪れましたが、その完璧なる美の極致「蓮華手菩薩像」等の崇高な壁画群に次ぐ規模と品質です。(私は残念ながら、いまだに中国の敦煌莫高窟を見れていません。近い将来必ず訪れようと考えています。)インドの壁画の影響を濃厚に受けているようで、かなりの類似点が認められますが、スリランカの仏像表現はずっと素朴で柔和な表情をしています。
 あまりに素晴らしい壁画群に目を奪われて、息も継がずに何時間も見とれていました。この日はとりあえず、目でよく観察して写真だけ撮って、明日本格的にスケッチする事にしました。
 
 遅めの昼食は、「SUNRAY INN RESTAURANT」のカレービュッフェ(600Rs)とトニックジュース(100Rs)を取りました。スリランカカレーはとても美味しいので、何度もおかわりしました。
 シャワーを浴びて、夕食は軽く、野菜マーケットの近くの出店で買ったグァバとパンをいただきました。食べる前に、グァバとマンゴーをSM号スケッチブックに軽くスケッチ。宿の廊下が賑やかなので部屋を出てみると、宿の子供が親と遊んでいました。シビル・ウェッタシンハさんの絵本を何冊か見せてやると喜んでいます。そこで、その5歳位の男の子、ONEL君をモデルにSM号に一枚描きました。
 夜、腕を見ると両ひじの内側10㎝四方 位に、気持ち悪い発疹ができていました。多分、石窟寺院内のコウモリの糞尿か何かのウイルス辺りが原因ではないかと思うのですが、ごく小さい多数のブツブツができて、そのブツブツのてっぺんが全て黒色になっています。日本でこんな発疹が出た事は一度もないのです。海外旅行では謎の病変が出る事がしばしばあるのですが、この症状は初めてです。多少痛かゆいのですが、それ以外は何ともないので、オロナイン軟膏を付けて様子を見ました。その後もなかなか治らず、日本に帰ってからもしばらく跡が残っていました(全治、約3週間)。

スリランカ旅行ダンブッラ石窟寺院 第2窟「マハー・ラージャ・ヴィハーラ」

スリランカ旅行「SUNRAY INN RESTAURANT」 カレービュッフェ(600Rs)、トニックジュース(100Rs)。 ビュッフェスタイルなのでカレーのおかわり自由です。美味しいので、何度もおかわりしました。

 旅行11日目、2016年6月16日(木)。早朝、パンとマンゴーを食べると、6時前にダンブッラ石窟寺院に向かいました。6時には寺院は開いていました。早朝は観光客もいませんので、壁画を改めて丹念に観察します。まずは、ダンブッラ石窟寺院 第3窟「マハー・アルト・ヴィハーラ」の9mの寝仏を、F4号に1時間30分余り写生しました。次に、第2窟「マハー・ラージャ・ヴィハーラ」で、仏塔・仏像・壁画群をF4号に2時間程描きました。最後に、第1窟「デーワ・ラージャ・ヴィハーラ」で14mの巨大寝仏を、SM号に1時間程描きました。スリランカのブッダの足の裏は真っ赤に塗られていて独特です。
 石窟寺院を出ると、入口のゴールデン・ブッダ(黄金大仏)に併設された大仏博物館(200Rs)を見学。結構な疲労を感じて、午後1時頃には宿に戻り、宿の近くの「SUNRAY HOTEL&EXECUTIVES PUB」で昼食を取りました。チキンフライライス(400Rs)、カード(水牛ヨーグルト)(200Rs)、クリームソーダ(100Rs)にサービス料を足して計770Rsです。カードとハニー(Treacle トリックルというヤシ蜜)がなかったようで、わざわざ外まで調達に行ってくれたようです。この辺り、スリランカ人は商売熱心でもあり、親切でもあります。
 素晴らしい壁画を拝見しスケッチでき大満足の私は、夕食のパンを頬張ると、明日の移動に備えて早めに眠りにつきました。

スリランカ旅行ダンブッラ石窟寺院 第1窟「デーワ・ラージャ・ヴィハーラ」 14mの巨大寝仏

 明日は、ポロンナルワに移動します。当初はダンブッラからアヌラーダプラに向かい、その後、ポロンナルワに行く計画を立てていました。しかし、ダンブッラでガイドブックを丁寧に見直していると、最初にポロンナルワを回ってからアヌラーダプラに行った方が、ポロンナルワでの駅までの遠さやコロンボまでの電車本数・移動時間を考えると断然便利な事が判明したのです。この突然の計画変更は、後日、ポロンナルワでの「ペラヘラ祭」との遭遇という奇跡を演出する事となり、私の旅先での強運を示す事になりました。一人での自由旅行には、このように自由にルート・日程変更ができるという利点もあります。
 この続きはまた次回といたしましょう・・・。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-09-04

スリランカ写生旅行 その5

 「スリランカ写生旅行」の9日目、2016年6月14日(火)。今日はいよいよ憧れのシーギリヤ・ロックに登ります。朝6時前に起きて朝食のパンとバナナを食べると、シーギリヤ・ロックに向かいます。まだ開園までに時間があるので、SM号のスケッチブックに横方向からの東雲(しののめ)のシーギリヤ・ロックを15分ほどかけて描きました。遺跡入場券は30米ドルか4260Rs(レートによって変動します)です。手元に50ドル札しかないのでそれで支払うと2800Rsのおつりが返って来ました。

 遺跡は7時に開きますが、私は今日一番乗りです。広大な敷地を進むと、正面に巨大なシーギリヤ・ロックが迫って来ました。近くで見るとなおさら、その大きさに圧倒されます。周辺の小さな石窟寺院跡も拝見。ここにも壁画が少し残っています。
 ロックの階段を登ります。まず最初に「シーギリヤ・レディ(美女のフレスコ画)」がお出迎えです。鉄のらせん階段を上がると、狭い横穴空間が現われ、18人の美女達が描かれています。5世紀の作品だそうですが、色は実に鮮やかです。まだ他の人が登って来ないので、じっくりと拝見しました。花や供物をささげて、上半身裸で豊満な乳房をあらわにし、装飾品を身に付け、たおやかな流し目で見つめるレディ達は、誠に魅惑的です。やはり実物は、写真・映像等で見て来たものとは比べものになりません。現在は写真撮影不可という事なので、監視員のあんちゃんにスケッチはいいかと尋ねると「よい」と言います。混んでいたら許可されなかったでしょうし、監視員によっても判断は異なりそうで、今回はラッキーでした。花をつまんだ横向きのレディをSM号に20分位かけて模写しました。
 そのうちに観光客がぞろぞろと登って来ました。スリランカ人・欧米人と中国人・韓国人と日本人の団体客が多いようです。これまで日本人にほとんど会う事のなかったスリランカでしたが、有名な観光地になると突然どこからか押し寄せて来ます。「絵を描いてるし~」という女性の声が聞こえました。汚い身なりで描いている怪しげな男が、まさか日本の画家だとは思わないでしょうね・・・。
 描き終えると次の「ミラー・ウオール(鏡の回廊)」に進みます。壁がツルツルで光が反射します。その先が「ライオンの入口(ライオン・テラス)」です。現在は巨大ライオンの足だけが残っています。ここから急な鉄階段を登ると、王宮跡がある頂上です。頂上では風が吹き抜け、木陰は実に心地良いです。
 頂上から山々を見渡す光景を、F4号のスケッチブックに1時間30分位かけて写生しました。素晴らしい眺めです。大昔、父を殺した狂気の王カーシャパは、ここから何を考えて同じ光景を眺めたのでしょうか・・・、今は異国の観光客を迎え入れ、ただ風がサラサラと吹き抜けるだけです・・・・。
 「ライオン・テラス」に降りると、そこでF4号に1時間30分位スケッチしました。修学旅行中らしきスリランカの中高生がたくさんいました。絵を描く外国人が珍しいと見えて、私の周囲を取り囲んでワイワイ言っています。元気で好奇心旺盛な子供達は良いものですね。

 ロックを降りると、その周囲のいくつかのミニ遺跡をほぼ全て鑑賞しました。シーギリヤ・ロック正面からの良い場所を決めると、F4号のスケッチブックに1時間30分余りかけて描きました。今日は特に気合が入っています。しかし、日差しが熱いです。コロンボやキャンディ辺りと違って、この文化三角地帯と呼ばれる中部地域は今の時期、雨も全く降らずに気温も相当高いのです。多分、日中は35度を軽く超えているでしょう。描いている位置は直射日光を浴びているので、かなり過酷な写生環境ですが、このような酷暑の中や逆に雪の降る酷寒の中、大雨の降る中等、悪条件下でスケッチする事はひんぱんにある事です。絵描きも体力勝負ですし、決して楽な世界ではないのですね。
 描き終えてペットボトルの水を飲むと熱湯のように熱くなっていてびっくりしました。・・・ところが次の日、多分この煮えたぎった水が原因で軽い水あたりの症状が現れました。ペットボトルに直接、口を付けて飲んだ後、暑い日差しの中に長時間放置したのでばい菌が増殖したのでしょう。この後は口を離して飲むようにしました。・・・

 さすがに疲労感を覚えてフラフラになりながら、シーギリヤ・ロックを後にしました。午後3時頃、遅めの昼食を「CHOOTI レストラン」という小さな食堂で取り(チキンカレー300Rs、マンゴージュース200Rs)、カード(水牛のヨーグルト)は置いていないと言うので、昨日の「WIJESIRI ファミリーレストラン」で再びカードをたのみました。カードは実に美味しい。この店は雰囲気が良いので、小さな男の子をSM号に軽くスケッチさせてもらい、お礼にチップを少々渡しました。

スリランカ旅行シーギリヤ・ロック 「ミラー・ウオール(鏡の回廊)」

スリランカ旅行シーギリヤ・ロック 頂上にて

スリランカ旅行シーギリヤ・ロック 頂上にて。 風が心地良いね~。

スリランカ旅行シーギリヤ・ロック 「ライオンの入口(ライオン・テラス)」

スリランカ旅行シーギリヤ・ロックにて。 ここからスケッチしましたが、激烈に熱いよ~。

 今日はよくスケッチができて充実した一日でした。念願のシーギリヤ・ロックにも登れて最高です。夕食は軽くクラッカーで済ませて、明日のダンブッラへの移動に備えて早めに休みました。とても暑い夜でしたが、この宿「フラワー・イン」は静かなのでよく眠れます。
 明日から2日間、ダンブッラ石窟寺院の素晴らしい壁画を鑑賞します。私が今まで見た壁画の中でも、インドのアジャンター壁画に次ぐ、大規模で上質な壁画でした。この模様は、また次回にしたいと思います・・・。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁


 

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-08-11

スリランカ写生旅行 その4

 「スリランカ写生旅行」の7日目、2016年6月12日(日)。旅もようやく1週間目です。わずかな旅の疲れはあるものの、段々体も土地に慣れて調子が出て来ました。
 今日の朝食もパンで済ませて、朝7時前にはバスでペーラーデニヤ植物園に向かいました。キャンディの市内バスターミナルからバスで20分位で着きます。この植物園はアジアでも屈指の規模を誇る植物園という事で期待が高まります。

 開園時間の7時30分の前に着いたので、入口付近の店でパンとジュースを買い込み、少し待ってから入園しました。入園料1500Rsです。(スリランカには「外国人価格」という制度があり、スリランカ人はずっと安い場合が多いです。)
 この園はすごいとは聞いていましたが、予想を超える素晴らしさです。まさにここは楽園でした。ヤシのコレクションや竹のコレクションなどを見て、池を巡り、大ジャワ・ビンローの広場へ出ました。前にあった超巨大なジャワ・ビンローの木は倒れてしまい、今は少し小ぶりな2代目が佇立しています・・・、と言ってもかなり巨大です。園の奥に進み、大王ヤシの並木を通ります。頭上を、大きなインドオオコウモリが無数に飛び交っており、いやが上にテンションが上がります。園の最深部には吊り橋もあります。
 心地良い林の中で一息ついて、入口で買っておいたパンとジュースをいただきました。園内のあちこちで、シマリス(インドでもよく見た種類です。私の挿絵本『おしゃかさま物語』〈佼成出版社〉の中にも描いています。)や、カッパのような頭のトクモンキーというサルに出会えます。花園の片隅で、日本にいない珍しい鳥を見付けたので近づいてみると、全く逃げません。よく見ると卵を抱いています。そこで、SM号のスケッチブックに一枚描きました。Red Wattled Lapwingという鳥だそうで、目の周囲のオレンジ色が特徴的です。

 フラワー・ガーデンや温室を見て、昼12時を過ぎてお腹もすいたので、園内の「ロイヤル・ガーデン・カフェテリア」で昼食です。少し高そうですが、気分が良いので奮発します。チキンカレー(725Rs)、ライムソーダ(260Rs)、サービス料を入れて計1083Rs(日本円では800円位)です。通常、公園内の食堂は今一つの場合が多いのですが、ここの食事はとても豪勢で美味しかったです。
 昼前に目星を付けておいた面白い巨木を、F4号に1時間30分ばかりかけて描きます。Java Fig Treeといい、周囲の木の枝と枝がつながり、異様な景観です。その隣に佇む苔むした巨木といい、まるでジブリアニメの「もののけ姫」に出て来そうな雰囲気です。
豆知識:8月5日に日本テレビ・金曜ロードSHOWで再放送された、スタジオジブリのアニメ映画「もののけ姫」にも影響を与えていると言われている宮崎 駿さんの絵物語「シュナの旅」(徳間書店)は、ジブリアニメ「ゲド戦記」(宮崎吾朗監督)の原案になった事でも有名です。その「シュナの旅」の原話が、チベット民話「犬になった王子」です。更にその「犬になった王子」を絵本化したのが、絵本『犬になった王子 チベットの民話』(君島久子 文、後藤 仁 絵/岩波書店)なのです。〕
 スケッチをしていると、グラサンをかけたスリランカのチャラい若者が寄って来て、スマホで自撮りツーショットを撮らしてくれと言います。何に使うのやら・・・、まあ、悪意のない陽気な若者でしょう。

 午後2時30分頃、7時間ばかり植物園を堪能して、キャンディの町へ帰りました。今日はキャンディ芸術協会(カルチュラル・ホール)のキャンディアン・ダンスを鑑賞しようかと考えながら、宿でシャワーを浴びて休憩していますと、外が何やら騒がしくなって来ました。窓外を見ると、ゾウの行進が見えました。「何だこのイベントは・・・」と、カメラだけを持って急いで外に飛び出しました。
 まだ行進は続いていました。丁度、仏歯寺の境内に入って行くところです。ペラヘラ祭のミニ版のような感じで、定期的に開催している行事なのでしょう。3頭のゾウと多数の男性ダンサー・楽隊が踊りながら、町を練り歩いて行くのです。行列に付いて行きながら、写真をバシバシ撮りました。この時期にペラヘラ祭が(かなり小規模ですが)見れるとは思っていなかったのでラッキーです。行列は、仏歯寺からまた外に出て、クイーンズ・ホテル前を通って、キャンディ湖畔の辺りで雨が強く降って来て解散になりました。
 今日はこれで満足したので、キャンディアン・ダンスを見ずに、夕食のパンを軽く食べて、明日のシーギリヤ移動に備える事にしました。シーギリヤ・ロックは、10数年前にテレビや写真集で美女のフレスコ画を拝見して以来、訪れてみたいと願って来た場所で、今回の旅の目玉です。

スリランカ旅行「ロイヤル・ガーデン・カフェテリア」 チキンカレー(725Rs)、ライムソーダ(260Rs)

スリランカ旅行「ペーラーデニヤ植物園」 Java Fig Tree、まさに「もののけ姫」の世界!

 旅行8日目、2016年6月13日(月)。キャンディのメインバスターミナルから朝7時30分発、シーギリヤ行きのバス(120Rs)に乗り込みます。11時頃、シーギリヤに到着。まずは宿を探します。シーギリヤ・ロック近くの「フラワー・イン」というゲストハウスに2泊する事にしました。部屋を見せてもらうと、とても立派なので、一泊1200Rsという値段が信じられず、思わず「1200Rsルーム?」と聞き返したほどです。部屋にはホットシャワーとトイレが付いていて、部屋の入口は心地良い内庭に面していて、そこのイスとテーブルで休憩もできます。宿のおかみさんも良い人です。

 今日はシーギリヤ・ロックの周囲を回ってみます。周囲の堀の畔では、スリランカ・ハイイロオナガザルやサイチョウやウシに出会えました。カワセミの一種の青い鳥が堀を飛び交います。ここは動物の楽園です。
 通常、観光客が立ち寄らない堀の奥に進むと、スリーウィーラー(3輪タクシー)のあんちゃんの休憩所があり、堀を発掘している箇所もありました。シーギリヤ・ロックを遠巻きに一周しようかと考えていたのですが、森が段々深くなり危険そうなので、引き返しました。良いアングルでシーギリヤ・ロックの頂上が見える場所があったので、そこから1時間30分くらいかけてF4号にスケッチしました。この角度からシーギリヤ・ロックを眺めた観光客はほとんどいないと思います。先程のスリーウィーラーや発掘現場の人が6~7人集まって来て、絵を見せてくれと言います。今までのスケッチを見せて説明してあげると、しきりに感心しています。「絵」は言葉の違いを超えて万国共通の言語になります。一気に地元の人と心が近くなり、一般観光客とは異なる対応をしてくれる場合もあるのです。こんな交流がまた旅の醍醐味でもあります。
 遅めの昼食は、「WIJESIRI FAMILY RESTAURANT」のチキンカレー(450Rs)、マンゴージュース(200Rs)、Curd(200Rs)を取りました。Curd(カード)というのは水牛のヨーグルトで、キトゥル・パニというヤシの花蜜をかけて食べるのですが、これが濃厚で実に美味しいのです。前にネパールの旅でバクタプルの名物、ズーズー・ダウという絶品濃厚ヨーグルトを食べた事があるのですが、それに次ぐ美味しさのヨーグルトでした。ああ、またズーズー・ダウが食べたい・・・、バクタプルも大地震の被害は相当大きかったようで心配なのですが・・・・。

スリランカ旅行ゲストハウス「フラワー・イン」の部屋(大きなベッドが2つありますが、シングルルームの設定です。たいてい蚊帳が付属しています。) シングルルーム(ホットシャワー・トイレ付、エアコンなし・ファン付) 一泊室料 1200Rs

スリランカ旅行「WIJESIRI FAMILY RESTAURANT」 チキンカレー(450Rs)、マンゴージュース(200Rs)

 宿のトイレの水の出が悪いので、トイレのタンクの中を見てみると、小さなカエルが2匹住み着いていました。夜になると部屋のあちこちにもカエルが出て来ました。カエル嫌いの方には迷惑な事でしょうが、両生類も爬虫類も昆虫も平気な私は、こんな可愛い出会いも楽しみました。夕食はクラッカーとバナナで軽く済まして、本を読みながら眠りにつきました。

 明日はいよいよシーギリヤ・ロックを探訪します。この模様はまた次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁


犬になった王子――チベットの民話/岩波書店

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テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-07-30

スリランカ写生旅行 その3

 「スリランカ写生旅行」の5日目、2016年6月10日(金)。昨日の のどの痛みもおおよそおさまったので、今日は仏歯寺(Dalada Maligawa)を見学します。この寺院は、スリランカで最も尊ばれている仏教寺院で、ブッダの歯がまつられていると言います。

 朝6時過ぎ、入口で荷物検査を受けて広い境内に入ります。仏歯寺本堂は8時30分に開くので、それまで仏歯寺周辺の菩提樹やパッティニ寺院やナータ寺院を拝見。一度、町に戻って、朝食を「ミッドランズ・デリ」の菓子パン・ジュース(140Rs)で済ませました。
 その後、再び荷物検査を受けて境内を通り、チケット(1000Rs、カメラ料込)を購入して、更なる荷物検査を受けて仏歯寺本堂に入ります。寺院というより宮殿といった趣の建物です。内部は凝った装飾・壁画で飾られていました。考古学博物館も併設されています。仏歯が納められた部屋の扉は9時30分のプージャー(仏への礼拝儀礼、一日に3回ある)でしか開かないと言うので、隣の仏教博物館(入場料500Rs)を見学。
 仏歯寺に戻ろうとしたら、入口の警察らしき人に呼び止められました。いらだった様子でチケットを見せろと言っています。どうやら仏教博物館は境内の外だったようです。チケットを見せると、今度はリュックサックのポケットに突っ込んだサンダルを見付け、「入口に靴を預ける所があっただろう」とかなり怒っています。スリランカ等の上座部仏教の国では履物は不浄の物とされ、入口で脱がなければいけないのですが、スリランカでは持ち込んだり見えているだけでもいけないようです。「Get out!Go straight.(あそこの出口までまっすぐ行って、出て行け!)」と言われました。ここが大切な聖地といえども、さすがに理不尽なものを感じましたが、逆らうと逮捕されかねません。一番近い出口にまっすぐ行くと見せかけ・・・途中の人ごみにまぎれて本堂に戻りました。日本からはるばる、絵描きが取材に来たのです。どうしてもプージャーを見たいのです。
 建物の横の入口から入ると、別の警察がいて、通常観光客が通らない所から入って来る外国人が不審だったようで、またまた呼び止められました。チケットを見せると、再びサンダルを指摘されました。ただ今度は「リュックの中に入れろ」という指示だけで済みました。この後も警察の視線は、常に私に浴びせられていましたが・・・。
 無事に本堂2階のプージャーを拝見出来ました。仏歯は仏龕のような物に入れられて直接は見えませんが、光あふれる小部屋の中央に安置されていました。多くの敬虔なスリランカの老若男女が参拝していました。厳かな雰囲気の中に、仏歯を大切に守って来た人々の強い思いがあふれています。
 満足した私は、仏歯寺周辺の巨大な菩提樹を2時間ほどかけてF4号にスケッチしました。その様子を見ていた家族の中に、目の大きな女の子がいたので、10分ほど軽くスケッチさせてもらいました。スケッチが終わった途端、雨が激しく降り出したので、一旦、宿に避難しました。こんな時に宿が近いと便利です。

スリランカ旅行「仏歯寺(Dalada Maligawa)」 プージャー。写真では露出オーバーで飛んでいますが、肉眼だと光の中に仏歯の入った仏龕が見えます。

スリランカ旅行仏歯寺周辺の菩提樹。木の周りではニワトリがうろうろしていました。

 一休みして、昼食は「クイーンズ・ホテルのカフェ」でパンとバナナラッシー(260Rs)を食べました。ここはキャンディの有名な老舗ホテルで、ヨーロッパ風の味のある建物です。なかなか注文した品が出て来ないので2~3回店員に言って、ようやく店員が来たと思ったら、ミキサーの調子が悪くてラッシーが作れないと言います。「それなら最初に言ってくれ」と少々怒ったふりをして注文をキャンセルしようとすると、上役風の男の店員が来て「仕方ないだろう、もう少し待ってくれ」と不愛想に淡々と語りますが、「ソーリ―」の言葉は一度もありません。更に待っていると、合計30分位してようやく品が出て来ました。老舗は案外こんな所もあるだろうな~と思いましたが、次に来る気はしませんでした。

 午後は、キャンディ・マーケット(市場)をぶらついて、キャンディ駅辺りを見物しました。夕食は、のど痛が再発しないように、買ったパンで軽く済ませました。
 今日は異様に厳重な外国人への警戒や、小トラブルに見舞われたな・・・と思い返しつつ、シビル・ウェッタシンハさんの本を読みながら眠りにつきました。今夜も、30度近い蒸し暑い夜です。


 旅行6日目、6月11日(土)。今日は体調も良いので、買っておいた朝食のパンを食べた後、小雨の降る中を歩いて、キャンディ湖が見渡せるというレイク・ビュー・ポイントに向かいます。
 到着すると、なるほどキャンディ湖とキャンディの町並みが一望出来ます。仏歯寺の黄金の屋根も輝いています。ここからの風景を1時間30分位かけてF4号にスケッチしました。雨もあがって強い日差しが降り注ぎます。この季節、コロンボやキャンディ辺りは、毎日一度は雨が降るのですが、後はカンカン照りです。
 町に戻る途中にローヤル公園(入場料100Rs)という植物園があったので寄ってみました。なかなか面白いので、2時間余り観賞して、熱帯スイレンをSM号に軽くスケッチしました。私は海外旅行にはたいていF4号とSM号の2冊のスケッチブックを持参し、鉛筆と色鉛筆で描きます。公園のいすで休憩していると、監視員らしき2人の男が同じテーブルのいすに腰掛けて来ました。「何をしているのかね。昨日も町で見かけたが・・・。」といったような事を話しかけて来ます。友好的な雰囲気ではなく、明らかに疑いを持った目です。「何故か、キャンディで要注意人物にされているのではなかろうか・・・。」という疑念が浮かびましたが、そんな訳はないだろうと打消し、スケッチを見せて「私は日本の絵描きだ。散歩するよ。」と返事して、2人から離れました。中年男の一人旅ですので、このように外国で怪しまれるケースは今までも度々あり、仕方ありません。

 町で両替をし、郵便局で絵葉書を出して、ぶらついていました。キャンディには、新しくて大きな百貨店がありました。キャンディ・シティ・センターです。最上階で多くの子供達が絵を描いていました。どうやら子供絵画コンクールを開催しているようです。熱心に紙に向かう子供達が素晴らしく、またけっこう良い絵を描いているのです。私は絵を描く子供達をSM号に、何枚もクロッキーして行きました。一人の親が「うちの子も描いて欲しい」と言って来るので、その人が持っていたペラペラの紙に簡単に描いてやって一枚差し上げました。私はプロ画家なので、日本では他人に絵を無償であげる事は極めてまれですが、外国では少々気前よくなるものです。
 元気な子供達の絵を見て機嫌が良くなった私は、百貨店の近くの「デボン・フード・コート」で遅めの昼食のチキンカレーとパパイヤジュース(412Rs)を食べました。ここは客も多くて味も良いです。お調子者のウエイターにはチップを差し上げました。

スリランカ旅行11日の早朝「オールド・エンパイア・ホテル」 バルコニーにて、後藤 仁

スリランカ旅行「キャンディ・シティ・センター」 子供絵画コンクール

スリランカ旅行「デボン・フード・コート」 チキンカレー、パパイヤジュース(412Rs)

 宿で一休みして夕食はパンで済ませました。今夜はキャンディアン・ダンス(スリランカ伝統舞踊)を鑑賞しようと思います。昨日、のどを痛めて行けなかったので、今日に懸けています。ガイドブック(地球の歩き方)によるとキャンディ・レイク・クラブが良いらしいので、そこに向かいました。宿から歩いて30分位かかります。夕方5時から1時間ばかりの公演で1000Rs(写真も撮影可)です。
 キャンディアン・ダンスはとても素晴らしくて、女性ダンスの優美さもさることながら、男性ダンスの激しい動きも魅力的でした。たいていの国では女性ダンスがメインなのですが、スリランカでは男性ダンスの方が主体なのではないかと感じます。上半身裸でキラキラ光る金属の飾りを身に付けて、躍動感たっぷりに踊る男達のさまは、実にエネルギッシュでありセクシーでもあります。

スリランカ旅行「キャンディ・レイク・クラブ」 キャンディアン・ダンス(スリランカ伝統舞踊) これは演目の一つ、ラクッシャ・ナトゥマという仮面舞踊

 明日は、キャンディ近郊の「ピンナワラのゾウの孤児園」に行くか、「ペーラーデニヤ植物園」に行くか、日本にいる時から迷っていました。3週間では全てを網羅する事は不可能です。ガイドブックに載っている足に障害のある子象の写真を見ると実にいじらしく、行ってみたいな~可愛いだろうな~と夢想するのですが、キャンディからはけっこう遠いのです。明後日は移動日も控えています。ペーラーデニヤ植物園は、私が教える絵画教室の受講者の方の父親が教授のような仕事を昔されていたとかで、アジアでも屈指の素晴らしい植物園だと言います。今日見たローヤル公園も面白かったし、色んな動物もいるとの事なので、明日はペーラーデニヤ植物園に行く事にしようか・・・と決めた所で、眠りにつきました。

 この続きはまた次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-07-09

スリランカ写生旅行 その2

 「スリランカ写生旅行」3日目、2016年6月8日(水)。今日は、スリランカを代表する絵本作家のシビル・ウェッタシンハ(Sybil Wettasinghe)さん にお会いする予定です。この計画は、今回の旅の大きな目的の一つで、とても楽しみです。

 ・・・日本で旅行準備をしている時に、こんな事がありました。・・・・ 海外旅行では長くアトリエを空けますので(管理者はいますが)、仕事関係等の各方面にご連絡をします。また、私にとっての”長旅”というものは、一種の再生儀礼のようなもので、「一度死んで、生まれ変わる」というニュアンスを持っているのです。大げさに聞こえるかも知れませんが、場合によっては本当に日本に帰れない事態になるかも知れないという覚悟もあります。
 そんな対応に奔走していた旅行の5日位前に、絵本作家の長野ヒデ子さんにご連絡する機会があり、スリランカに行く事をお伝えすると、「私がファンの絵本作家、シビル・ウェッタシンハさんにお会いして来たら良いですよ・・・。」というアドバイスを受けました。私は「絵本」の世界は3年余りと経験が少ない故、まだまだ知らない絵本作家も多いのです。(歴史上の画家や日本画家や純粋美術の作家はかなりよく知っています。) シビル・ウェッタシンハさんも作品の表紙を少し見た事がある位でした。こんな機会に勉強しなくてはいけません。こうして、ここ数年間に膨大な量の「絵本」関係の知識を増やして来ました、多分、誰よりも旺盛に・・・。
 まずは、近くの大きな図書館(葛飾区立中央図書館)に置いてあるシビル・ウェッタシンハさんの作品を全て読みました。そして日がないので、教文館ナルニア国にシビル・ウェッタシンハさんの代表作『きつねのホイティ』(福音館書店)を注文して送ってもらう事にしました。その時、教文館の個展でもお世話になった店長さんが、『わたしのなかの子ども』(松岡享子 訳/福音館書店)というシビル・ウェッタシンハさんの随筆が素晴らしいとおすすめいただきました。松岡享子先生とも多少のご縁がありましたし、児童書に詳しい店長を信じて、その本も取り寄せる事にしました。
 ところで、シビル・ウェッタシンハさんに会うと言っても、どこにどうしていらっしゃるかも分かりません。こんな時には私の果敢な行動力がものを言いますが、今の時代にはインターネットという魔物(人類にとって一見便利だが、最も危険でもある代物)があります。シビル・ウェッタシンハさんが、スランガニ基金(Surangani Voluntary Services 〈SVS〉)というボランティア団体の顧問のような事をされていると分かると、早速、スランガニ基金に連絡を取り、スリランカで8日にお会いする計画を整えました。(ただし、シビル・ウェッタシンハさんも著名な方ですし、お忙しい事でしょうから、どなたでもお会いできるという訳ではない事をご承知おき下さい。) ・・・・・

 朝食をパンで済ませて、スランガニ基金を訪問する10時までには時間があるので、コロンボのペター地区を散策します。コロンボ・フォート駅を過ぎてバスターミナルまでの間に大きな本屋があります。M.D.GUNASENA BOOKSHOPという書店ですが、日本で言えば紀伊国屋書店等にあたるスリランカで最も大きな書店らしいです。4階建て位でかなり多くの本が置いてあります。1階が児童書の売り場です。日本をはじめとする外国の「絵本」は見られず、薄い表紙のスリランカの「絵本」しか置いてありません。内容はともかく、印刷品質は日本等と比べると決して高いとは言えないレベルです。ただ、東南アジア・中華人民共和国等の大型書店を幾つか見て来ましたが、それらと比べてもここは「絵本・児童書」の数は相当多い方です。それだけ児童教育等にも力を入れようという方向性がうかがえます。(ただし、この後、地方でも書店・図書館を探しましたが、まれに小さな店があるだけで全く充実はしていません。)店員にシビル・ウェッタシンハさんの絵本はあるかと聞くと、大きな棚の全てがシビル・ウェッタシンハさんのコーナーでした。やはり、スリランカでもよく知られた絵本作家なのです。サインを入れていただく為と、旅の途中で読む為に、日本から『わたしのなかの子ども』を持参していたのですが、この書店でもシビル・ウェッタシンハさんの絵本を5冊買い込みました(5冊で1170Rs)。
 ペター地区にジャミ・ウル・アルファー・モスクというイスラム教の巨大なモスクがあるので見学しました。白と赤の石で組み合わされた面白いデザインの建物です。今のところスリランカでは、上座部仏教(南伝仏教)をはじめヒンズー教、イスラム教、キリスト教が混在し、うまく調和を保って存在しています。

スリランカ旅行M.D.GUNASENA BOOKSHOP(コロンボ) シビル・ウェッタシンハさんの絵本コーナー。数10冊~100冊はあります。(書店員の許可を得て撮影)

スリランカ旅行ジャミ・ウル・アルファー・モスク(コロンボ)

 9時になりましたのでスリーウィーラーを捕まえて足代700Rsで手を打って、コロンボ郊外のスランガニ基金まで向かいました。少し道に迷いながら、10時過ぎに到着しました。
 スランガニ基金の代表・創設者は日本の方で、馬場繁子さんです。この方を中心にスリランカのスタッフとともに、内戦中の困難な時代から長い期間、スリランカで有益なボランティア活動をされて来られたという事です。誠に頭が下がります。特に、子供達へ「絵本」を届ける活動に力を入れられている事に共感しました。馬場さんは、穏やかな物腰の裏に、強い意志力の感じる人でした。団体の活動状況のお話や写真や職場を一通り拝見し、ここなら信頼がおけるだろうと判断し、日本で構想していた「スリランカへの絵本寄贈計画」をスランガニ基金にゆだねる事に決めました。
 スランガニ基金では、寄付以外のボランティア活動の資金調達や絵本普及の為に、シビル・ウェッタシンハさんや一部の日本の絵本をスリランカのシンハラ語に訳して出版したりもしているそうですが、スリランカの出版業界はあまり発達しておらず、有力な出版社も少なく、特に出版卸業・流通は未整備のようです。そこで基金が独自に印刷して、直接、M.D.GUNASENA BOOKSHOP等の大型書店に持ち込むのだそうですが、半分ほどのマージンを取られるので、なかなか大変だという話です。

 そこから車で移動し、シビル・ウェッタシンハさんのアトリエに着きました。シビル・ウェッタシンハさんはそのユニークな作風を彷彿とさせる、優しそうでおおらかな雰囲気を持った方でした。ご年齢は88歳位ですが、とてもお元気で好奇心の旺盛な方です。馬場さんの通訳でお話をし、絵本を多数見せていただき、今制作中の福音館書店の絵本の制作状況をアトリエで見学できました。アトリエに人を入れたがらない作家も多いですので、これは実に貴重な体験です。
 その後、昼食をごちそうになりました。手作りのスリランカ料理はとても美味しいのです。シビル・ウェッタシンハさんに饗応いただけるという事もあるでしょうが、今回のスリランカの旅で最も美味しかったです。(ちなみに、スリランカの食事は基本、毎日カレーです。)
 日本から持参したり現地で購入した「絵本」にサインを入れていただいた他、シビル・ウェッタシンハさんから6冊も「絵本」をプレゼントしていただきサインももらいました。これは、絵描きにとって一生の宝物です。旅の途上にて少々重たいですが、我慢ができるというものです。
 私からも、シビル・ウェッタシンハさんとスランガニ基金に、絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)『おしゃかさま物語』(佼成出版社)をプレセントしました。また、日本から絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)等をお贈りする約束をしました。
 こうして充実した時間はあっという間に過ぎ、スリーウィーラーで宿に帰りました。帰りは、シビル・ウェッタシンハさんのアトリエからなので行きより遠かったのですが、メーターで行くと650Rsですみました。馬場さんがおっしゃるには、スリーウィーラーはメーター付きならメーターで行った方が安いとの事です。

 この日の夕食は、「ピラウ」のフィッシュコットゥ(320Rs)とラッシー(180Rs)を取り、(コットゥというのは、小麦粉とココナッツを混ぜて焼いて作ったゴーダンバ・ロティを刻んで、野菜・肉等と一緒に炒めた料理)、シビル・ウェッタシンハさんの『わたしのなかの子ども』を読みながら眠りにつきました。毎日、テレビもない孤独な宿で、夜はこの本を読むのが日課となりました。古き良きスリランカが描かれており、シビル・ウェッタシンハさんの挿絵も面白く、今回の旅のお供にぴったりでした。千夜一夜物語の如く止めどなく流れる物語の、ゆったりとした時間が、実に心地よいのです・・・。

スリランカ旅行スランガニ基金(コロンボ) 活動報告の写真。左下に、児童施設へ寄贈する「絵本セット」が写っています。

スリランカ旅行スランガニ基金の皆様と。 右から2人目が馬場繁子さん、中央が私。

スリランカ旅行シビル・ウェッタシンハさんのアトリエ(コロンボ) シビル・ウェッタシンハさんに、描く様子を見せていただきました。これから日本で出版される予定の、福音館書店の最新作だそうです。

スリランカ旅行スリランカ・カレーをいただきました。本当に美味しかったネ~ ( ^^) _U~~

スリランカ旅行シビル・ウェッタシンハさん、スランガニ基金・馬場繁子さん、と私

 旅行4日目、6月9日(木)。この日はキャンディに移動します。朝食は大体パンで済まします。7:00コロンボ発の国営ノーマルバス、キャンディ行き(150Rs)。11:00にキャンディのメインバスターミナルに到着しました。スリランカのバスは古いものが多く、あまり快適とは言えませんが、スリランカの国内移動には安くて便利です。
 最初、宿とは逆方向に歩いてしまい随分大回りをして宿に着きました。この季節、コロンボやキャンディは、毎日、短時間の雨が降りますが、それ以外は日差しが強くて結構暑いのです。ガイドブック(地球の歩き方)で見当を付けておいた「オールド・エンパイア・ホテル」で、一泊1400Rsのシングルルームに4泊しました。トイレ・シャワーは共用です。コーヒー工場を19世紀にホテルに改装した歴史あるホテルという事で、小さくて古いながらに雰囲気があります。ちなみに、スリランカでは「ホテル」というのは安い大衆食堂をさす場合が多いのでややこしいのです。
 昼食は近くの「ミッドランズ・デリ」で、チキンカレー(200Rs)、パパイヤジュース(200Rs)、サービス料(50Rs)の計450Rsで取りました。
 この頃少しのどが痛くなって来ました。寝る時にはファン(天井に付いた巨大な扇風機。アジアのホテルには大体これが付いていますが、回ると結構うるさいのが難点です。)を消すのですが、それ以外は常時付けているので、空中のほこりや大気汚染も伴って、旅行の初期にのどを痛めるケースが多いです。午後は、市場で買った果物の女王・マンゴスチンを食べる前にSM号にスケッチ。キャンディ湖周囲を軽く散歩して、湖をSM号にスケッチ。夕食は、昼と同じ食堂のケーキセット(300Rs)で軽く済ませました。ここで無理をすると後にこたえます。
 夜、何かカリカリ音がするのでゴミ箱の下を見ると、蛇も虫も人もお化けも少々の危険も孤独も・・・大概の事は平気な私が唯一何故かしら好きになれない、あの黒光りする虫がいました。ごみ箱を遠ざけ、パン等の食料をビニールに入れてつり下げました。アジアの安宿ではアリや黒虫が出るので、食料を机の上等に置かずに、出来るだけ虫が付きにくいようにフックにつり下げておくという処置も必須です。あと、安宿の扉など簡単にぶち破れるので、寝る前に扉の前には椅子等を置いておきます。ただの気休めですが、何者かが突入して来たとしても、音で気が付く可能性が高くなるのです。自前の南京錠も忘れないように・・・。私が経験上編み出した、旅のミニ知識です。
 黒虫はいやだな~と思いつつも、『わたしのなかの子ども』を読みつつ、夢の中に入って行きました。


 明日は、スリランカの古都、キャンディの街を歩きます。この様子はまた次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁


スリランカ旅行「ミッドランズ・デリ」 チキンカレー(200Rs)、パパイヤジュース(200Rs)



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テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。
○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。
○東京藝術大学・デザイン科非常勤講師。東京造形大学・絵本講師。金唐革紙保存会 主宰。日本美術家連盟(常任理事:中島千波先生 他)会員。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員・理事。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。千葉県松戸市在住。

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絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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