2015-02-16

ミャンマー(ビルマ)写生旅行 その9 〔最終回〕

 (「ミャンマー(ビルマ)写生旅行」その8からの続き)
 2014年10月25日、ミャンマー写生旅行の24日目、旧首都ヤンゴン(ラングーン)に戻って来ました。旅行初期に回れなかった箇所を訪ねます。
 チャンミー・ゲストハウス(吉祥美旅館)は朝食付きですので、食堂で朝食を取ります。パンを中心とした洋食で、毎日少しずつメニューが変わります。(ミャンマーの安宿相場は、他の東南アジア圏より高めですが、たいてい朝食付きで設備は整っています。)
 朝食後、2㎞余り歩いて、ボータタウン・パヤー(入場料 3USドル)を目指します。この日はとても暑い日で、日差しが肌を照り付けます。ボータタウン・パヤーはヤンゴン川沿いに建つ由緒ある寺院で、ブッダの遺髪や聖歯が安置されており、多くの参拝者が行列をなして賑わっていました。境内の建物の一つに親子猫がいて面白いので、軽くスケッチしました。これでSM号のスケッチブック一冊を描き終えました。
 その後、ヤンゴン川を見物し、そこにいたサイカー(自転車タクシー)でスーレー・パヤーまで移動。スーレー・パヤー周辺にサイカーは入れないらしく、かなり手前で下ろされて、1500K(チャット、1K≒0.1円)でした。そこから中国人街・インド人街を散策し、点在する中国寺院やモスク(イスラム教寺院)やヒンズー教寺院なども見学しました。
 遅めの昼食は、インド人街のビルマ料理レストラン「ダヌピュー」で取りました。ビルマカレーがとても美味しくて、肉系ではチキン・ポーク・マトンがあり、値段は2500~3000K位でボリューム満点です。
 この頃になると旅の疲れが出てダルい感覚があったので、昼食後は宿に戻って一休みして、夕食はパン位で軽く済ませました。

ミャンマー旅行48ボータタウン・パヤー 「親子猫」

 旅行25日目は、ヤンゴンっ子の憩いの場所、ヤンゴン動物園(入場料3000K)を訪れました。宿から歩いて2㎞弱あります。途中、ヤンゴン中央駅の古い駅舎を橋の上から見物しました。ミャンマーの鉄道は1~2路線しかなくて運行本数は少なく、列車も旧型でスピードも遅いので(長距離バスの倍以上の時間がかかる)、旅行にはおすすめできません。ミャンマーの旅は、飛行機か長距離バスか船を活用する事になります。
 ヤンゴン動物園には外国人観光客はほぼいなくて、地元の家族連ればかりです。ガイドブック「地球の歩き方」には、「動物は少なく珍しい動物はいない」と書かれていますが、存外面白くて、私は5時間ほどここで楽しみました。アジアゾウやロバを軽くスケッチして、F4号のスケッチブックも描き終えました。
 ホワイトタイガーなどの変わった動物もいますし、ゾウ・カバ・コビトカバなどに直接エサをあげたりもできます。午後からはゾウなどによる動物ショーも開催され、盛り上がっていました。この日は丁度日曜日だったのでかなり多くの親子で賑わっており、日本の動物園でこれほど人々に愛されている動物園は少ないだろうなと思いました。旅の最後、心がホッとやわらぎました。
 歩いて宿に帰り、夕食は再び「ダヌピュー」で今度はフィッシュカレー(約3000K)を食べました。魚が大きくて腹一杯です。( ^^) _U~~
 

ミャンマー旅行49ヤンゴン動物園 「ゾウのエサやり」

ミャンマー旅行50ヤンゴン動物園 「エサをほしがるカバ」

ミャンマー旅行51「ダヌピュー」 フィッシュカレー

 10月27日、旅行26日目。本日、ミャンマー最終日です。宿での朝食後、シャワーをひと浴びして、荷物をまとめてチェックアウトしました。部屋の管理・掃除をしてくれているおじさんも、スタッフの若者達も応対が良く好感触の宿でしたので、チップを5000Kばかり置いて来ました。
 北へ2㎞ほど歩いて、カンドーヂ湖(ロイヤル湖)に着きました。湖周囲は公園の様になっていますので、係の人に聞いたら2000Kで入れると言うので、ここでゆっくりしていく事にしました。昼食はパンとジュースです。1ヶ月に及ぶ旅を振り返りながら、公園をブラブラしました。遠くにはシュエダゴォン・パヤーも望めます。
 湖の周囲の遊歩道を歩いていると、突然雨が降って来てスコールになりました。大きな東屋があったので、そこで雨宿りしました。ミャンマー人や欧米観光客など10数人が寝そべって雨が止むのを待っていました。
 1時間ほどして雨が上がったので、湖を後にして北上しました。重いリュックサックを背負いながら2㎞ほど歩くと、チャウッターヂー・パヤー(入場料無料)に着きました。ここには、全長70m、高さ17mの巨大な寝仏がおはします。かなり新しいコンクリート製ですが迫力満点です。
 道を引き返し、近くのNGA HTAT GYI PAGODA(入場料無料)に立ち寄りました。寺院の入口付近の民家に子供達が大勢集まって勉強をしています。多分、塾の様な所でしょう。外から写真を撮ろうとすると、子供達が全員勉強を放り出して玄関に駆け寄って来ました。先生は何の文句も言うそぶりはありません。私が手を振ると、子供達はワイワイ言いながら楽しそうに手を振り返してくれました。

 ミャンマーは日本に比べて、経済的には決して豊かとは言えない国ですし、治安も日本より良いとは言えません。なのに、この都会ヤンゴンでさえ、子供達はこれほど無邪気でおおらかです。人間の本当の”豊かさ”とは何か、本当の”貧しさ”とは何か・・・アジアの旅をするごとに、いつも考えさせられるのです。所によっては、労働で疲れ切った子供を見る場面もあり、そんな時にはどうにか変革していかなければならないだろうと思います。しかし、たいていの地域の多くの子供達は元気よく外で遊びまわり、素敵な笑顔でキラキラと目を輝かせています。今の日本、そんな子供達は減っているのではないでしょうか。旅の道中、こんなにも元気なアジアの子供達を見ていると、人類の明るい未来を信じたくなります・・・・。

ミャンマー旅行52 NGA HTAT GYI PAGODA 入口付近 「元気なミャンマーの子供達」

 寺院を後にして道を進みます。辺りは暗くなって来ました。後ろ髪を引かれつつも、もうそろそろ空港に向かわなければいけません。夕食のパンを買い込むと、途中、タクシーをつかまえます。値段交渉して、空港まで6000Kにまけてもらいました。道路は比較的すいていて、ヤンゴン国際空港まで30分ほどで着きました。
 海外の航空会社のチェックインカウンターは人が適当に集まる感じですが、ANAの時だけ誘導ロープが引かれて係の人が声がけをして整然と事が進んで行きます。この辺りの日本企業のサービス意識の高さはさすがだなと感心しつつ、おおらかなアジアに比べて日本はやはり大変だなとも思いつつ。チェックインを済ませて、ロビーでパンをかじりながら空港での時間を過ごします。「もう少し、旅を続けたいな~」と名残惜しみながら、「これ位の方が次の旅へと意欲が続くであろう」と自分に言い聞かせながら・・・。
 

 2014年10月27日 22時10分、ミャンマー ヤンゴン発 → 28日 6時45分、東京 成田着。 ANA NH914便。

               *

 
 およそ1ヶ月(27日間)に及ぶ「ミャンマー(ビルマ)写生旅行」が終わりました。今回の旅は、特別に傑出したインパクトや激しい感動がある旅ではありませんでしたが、全体的にとても充実した良き旅になりました。
 旅の成果は、スケッチブック2冊(F4号、SM号)で、44枚のスケッチ
(今までの旅行記に記した以外にも、宿のスタッフで感じの良い人がいたら時折スケッチさせてもらっています。この様に旅行関係者を描かせてもらうのも、私が他人を描くテクニックの一つです。)
 写真 約1500枚。(約2500枚撮影して途中でいらないものを消去して、約1500枚を残しています。)

 旅行費用(航空券代金、滞在費など合計)約25万円、 旅の思い出 プライスレス (^_-)-☆
(今回、通俗的にも金銭の話が頻発しましたが、この旅行記では読者の方々の「旅行ガイド」としても参考になる様に配慮し、かなり詳細な場所・価格表記に努めた結果ですので、ご了承下さい。)

 取材旅行はスケッチや写真などの形に残るものだけではなく、現地で体感した”実感”(目で見て、音を聴き、匂いを嗅ぎ、手で触れて、肌で感じて、食べ物を食べる・・・etc.)が最も大切だと考えています。それは実際現地で取材しないと決して分からないものであり、作品にも表現できないものなのです。 


 ★私はプロの絵描きですので、ネット上では滅多に作品(特にスケッチ)を公開しないのですが、拙ブログの読者のために特別に2枚だけお見せします。★

ミャンマー旅行 スケッチ1ミャンマー写生旅行スケッチ 「バガン シュエズィーゴォン・パヤー」(約7時間制作) ©後藤 仁

ミャンマー旅行 スケッチ2ミャンマー写生旅行スケッチ 「カロー パラン族の祖母と孫」(約10分制作) ©後藤 仁

               *

 私は時として無謀とも言える取材旅行を敢行して来ましたので、特に海外取材旅行では毎回何かしらの珍奇なトラブルに巻き込まれます。時には財布をすられたり、時には血を流すケガを負ったり、お腹をひどくこわしたり・・・。ところが、今回のミャンマー旅行では実に珍しく、小さな問題こそあれ大きなトラブルはありませんでした。何かが起こるものだと身構えていた私としては少々拍子抜けしましたが、本来それでこそ良い取材旅行と言えるのでしょうね。
 ミャンマーは、アジア圏では比較的治安の良い国と言われています。私の実感で「旅の快適度・難易度(治安、利便性、雰囲気の良さなどから総合的に判断)」を独断と偏見で比較したら、ラオス(ルアンパバーン)に次ぐくらいの快適度の高さで、タイ王国北部(チェンマイ・チェンラーイ)と同じくらいでしょう。特に、インレー湖・カローはルアンパバーンと同じ高レベルです。ただ、マンダレーは少々治安が不安ですし、ヤンゴン・バガン辺りもタイ王国のバンコクくらいの煩雑さを感じます。


 私が今までに旅をした国々の「旅の快適度・難易度」をざっと表にしてみると、以下の様になりました。(上方ほど快適度が高い、下方ほど難易度が高い。)

◎ラオス(ルアンパバーン)、ベトナム(サパ・バックハー)、ミャンマー(インレー湖・カロー)日本(地方)
日本(都心部)
○タイ王国(チェンマイ・チェンラーイほか)、イタリア・バチカン市国、ミャンマー(総合印象)
○中国(北京・上海・貴州省・四川省ほか)、タイ王国(バンコク)、ミャンマー(ヤンゴン・バガン)
○ベトナム(ハノイほか)、カンボジア(シェムリアップ)、ミャンマー(マンダレー)
  (この間には開きがあり、これ以下は旅の難易度が増します。)  
●中国(チベット)、ネパール(カトマンズほか)、インドネシア(ジャワ島・バリ島)
  (この間には開きがあり、これ以下はさらに旅の難易度が増します。)  
●インド(全域)
●インド(バナーラス)

 といった順ですが、これはその場の「良し悪し、素晴らしさ」という判断ではなく、あくまで治安を中心とした「快適度・難易度」です。また、私の訪問年代にもよりますし、たまたま運が悪かったという場合も考えられるでしょうから、私個人の主観としてご参照下さい。
 インド、ネパール、インドネシアなどは、とても優れた遺跡や文化が残っている素晴らしい国です。ただ、これらの国は一人旅をするのは結構難しい地域で、身に危険を感じる場面が何度か起こる可能性があり、特に女性の一人旅はよほど旅慣れた人でないとおすすめできません。また、ツアー旅行の場合でも、注意が必要になって来るでしょう。
 外務省ホームページの危険情報によると、インド辺りは黄色(十分注意)から部分的に薄いオレンジ色(渡航の是非検討)位の危険の程度です。中東やアフリカの紛争地帯では、濃いオレンジ色(渡航延期勧告)から大部分は赤色(退避勧告)ですので、いかにそれらの地域に旅をするのが危険なのかが推察されます。

               *

 ちなみに、私が今までの海外旅行で、「最も感動したランキング ベスト10」を挙げるとざっと以下の様になります。(それぞれが個々に素晴らしくて、感動要素も異なるので、一概に比較するのは難しいのですが、私の主観による感動度のみでランキングしてみます。)

第1位 ☆インド アジャンター石窟「蓮華手菩薩像」
第2位 ☆ネパール カトマンズ「インドラジャトラ祭・クマリとの遭遇」
第3位 ☆中国 チベット「ポタラ宮」
第4位 ☆インド バナーラス「ガンガーでの沐浴」
第5位 ☆インドネシア ジャワ島「ボロブドゥール遺跡」
第6位 ☆中国 貴州省「トン族村」
第7位 ☆イタリア・バチカン市国「システィーナ礼拝堂 ミケランジェロのピエタ像」
第8位 ☆カンボジア「アンコール遺跡群」
第9位 ☆ベトナム サパ・バックハー「モン族村」
第10位☆インドネシア バリ島「バリ舞踊」
     

 アジャンター石窟やガンガーの沐浴、ポタラ宮では、感動のあまり感涙を起こすくらいですし、インドラジャトラ祭ではほぼ放心状態でした。つまりは、より近づく事が困難であるから、より感動が増加するとも言えますので、「旅の快適度・難易度」がそのまま「旅の良し悪し」ではないという事なのです。
 不安定な国際状況の中、今後の海外取材旅行も多くの困難を伴うかも知れませんが、こらからも機会があるごとに私は写生旅行に出かける事でしょう。そこに感動があり、絵画創作へのインスピレーションの源泉がある限り、私は一生旅を続ける事になりそうです。

 日本画家・絵本画家 後藤 仁  GOTO JIN
 
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No title

先生のミャンマー取材の貫徹に祝杯を・・(^^)/

私事になりますが、カバは懐かしいです。某動物園でカバの大口(まさに先生の画像アングル!)に泣いた幼少の頃を大人になるまで親父からからかわれていました。で近年、どこの動物園だったか突き止めるツアーを企て王子動物園だとわかりました。が、彼のカバ(チャコだったでしょうか?)はもういませんでした・・悲(*_*;過ぎた時間は戻らない同時にかけがえのない記憶・・でもあるのでしょうか

有難うございます。

さとおーる様。最終回までお読みいただき誠に有難うございます。幼き頃の思い出は大切にしたいものです。また旅行記を記す機会があると思いますので、楽しみにしていて下さい。('◇')ゞ
プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。
○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。
○東京藝術大学・デザイン科非常勤講師。東京造形大学・絵本講師。金唐革紙保存会 主宰。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員・理事。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。千葉県松戸市在住。

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