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2021-08-25

「ミャンマー(ビルマ)の現状を憂う」 絵師(日本画家・絵本画家)後藤 仁

 私は画家(日本画家・絵本画家)ですので、たとえ思う所があったとしても、”美術・芸術”に関しない事象については、常日頃、あえて、できるだけ触れないようにしています。専門外の事をとやかく言えるほどの、高い認識を有していないからです。しかし、近年の世界の動向を見ていると、深く心を傷め、悲しさを募らせざるを得ません・・・。
 コロナ禍の惨事もさる事ながら、世界の各地で絶え間なく起こる天災や人災、・・・暴動・暴力・迫害・戦乱の連鎖に、見て見ぬふりなどできません。私は画家として、直接、言葉や行動で訴える事はふさわしくないと考え、常々、作品を通して、物事の真実を緩やかに語ってきました。しかし、画家など、所詮、無力なものです・・・。

 私が「ミャンマー(ビルマ)写生旅行」を行ったのは、2014年10月の1か月間弱です。元々、ミャンマー(ビルマ)の文化・芸術には高い関心を持っていましたが、それまでの軍事政権下では、旅費に高い税金がかけられて政権に流れるという話を聞いて、敬遠してきました(外国人旅行者がミャンマー国内に入国する際、300USドル〔後、200~100USドル〕を強制的にFEC〔兌換チャット〕に両替させられる制度があり、政府が外貨獲得のために1993年に導入した。・・・FECは2013年7月に廃止された。〈ウィキペディアより〉 また、これは、かつての中国や、今でもミャンマーやアジア圏の国の一部に残っていますが、有名寺院や観光地には高い外国人価格が設定されていました)。2011年から、ようやく民主化が進み出したというので、旅を敢行したのです。
 26日間をかけて、ヤンゴン・インレー湖(ファウンドーウー祭)・カロー(トレッキング)・マンダレー・バガン(仏教遺跡めぐり)・ヤンゴンと回り、その素晴らしい文化・芸術に触れ、誠に感動の旅となりました。→〈詳しくは、拙ブログをご覧下さい http://gotojin.blog.fc2.com/blog-entry-69.html中でも、ミャンマーの田舎地方の多くの人々は、まだ旅行客・外国人慣れもしておらず、比較的シャイな人が多く、照れ笑いを浮かべるさまは、古き良き、かつての日本人のようでした。
 特に、観光客がまだまだ少ない、インレー湖カローのホテルスタッフ・村の人々には、人の良い方が多いのです。カロー「ゴールデン・カロー・イン」という安ホテルの、若い女性スタッフは、対応がすこぶる好ましいので、私が朝食の際にチップを渡そうとしたら、遠慮して受け取りませんでした。これは、経済的にまだまだ厳しい東南アジア圏では、実に珍しい事です。カローで1泊2日のトレッキングガイドを頼んだ、男性ガイドさんも、気配りが細やかで、料理の腕も確かで、大満足でした。他のアジア各国の旅も、いずれも素晴らしいものですが、ミャンマーの旅では、折に触れ、人々の優しさを感じる事ができて、深く記憶に刻まれているのです・・・。
 ただ、ヤンゴンマンダレー辺りでは、既にビジネス化の波が押し寄せ、比較的不愛想な人が増えている感じでした。マンダレーは優れた伝統文化の残る美しい古都ですが、街の中央部の旧王宮には軍隊の大部隊が駐留しています。旧王宮の周囲を警護する軍人に私が道をたずねたら、鼻で笑われて、「あっちへ行け」というジェスチャーをされました。その他にも、ブログにも書いたような、少々、危ない目にも遭い、マンダレーの治安の微妙さを肌で感じた私は、「ミャンマーは、まだ完全には民主化されていないな・・・」と、その時、既に、一抹の不安を感じていました。・・・・

 今、あの人の良かったホテルスタッフやトレッキングガイドや市井の人々はどうしているのだろうか? 元気でいるのだろうか? ほぼ一期一会であろう、はるか遠くに住む人々との触れ合いとは言え、深く思い出に刻まれた、善男善女たちの事を思うと、今のミャンマーの現状が悲しくて、悔しくて、仕方ないのです。彼ら彼女らは、無事なのだろうか・・・、笑顔でいるのだろうか・・・・。
 ミャンマーは敬虔な上座仏教国です。遥か2500年前に生きたブッダは、そんなに古い時代にこう言い残されました・・・。
 「実にこの世においては、およそ怨みに報いるに怨みを以てせば、ついに怨みの息むことがない。堪え忍ぶことによって、怨みは息む。これは永遠の真理である。」
 また、こうもおっしゃっています。
 「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。己が身をひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」と・・・・。
 〈「ブッダの 真理のことば 感興のことば」(中村 元 訳/岩波文庫)〉

 (※蛇足になりますが、表面的な解釈による誤解があるといけないので補足説明。ここで私が引用した「ブッダの言葉」には、誰が誰に対して、という具体的な対象者はありません。この世の全ての人々に当てはまる事であり、人間における普遍的な”真理”とは何かを言いたいのであり、戦争や暴力に対する本能的嫌悪感を表現したのです。
 また、ミャンマーの一般民衆の多くは敬虔な仏教徒です。ミャンマーの一般民衆の日常をよく観察すると、日々の全ての行動に、上座仏教の思想が深く浸透している事が感じ取れます。そのミャンマーで、あのような惨事が起こる事が、なおさら悲しいのです・・・。)

 この事象は、ミャンマーのみならず、私が旅をした国・まだ旅をしていない国・・・、世界中のあちこちで噴出している大きな懸念なのです。また、平和利用とは言え、都会の空を戦闘機が飛び交うさまを、手放しで喜んでいる人々が不思議でなりません・・・。
 人間は傲慢です。他の生命体や資源を食い尽くしている、俗世に生きる私が言えた義理ではないのですが、良き文化や人々が、酷く虐げられる姿など、一切見たくはないのです。何故、人は仲良くできないのか、そこまで同種で傷めあうのか・・・、私の深い苦悶・懊悩は、一生、無くなる事はありません。
 ミャンマーや世界中の子ども達・若者達の将来が、安心できる世の中でありますように、”未来の瞳”が希望に満ちあふれますように、日本の政治・経済界の人々も、やれる事は全てやる必要があります。私も微力ながら、画家としてできる事を、この後も模索していきたいです。
 無力です・・・。実に、無力です・・・。しかし、もし、私の”絵”が少しでも人々の慰み・励みになるのなら、私は、与えられた命に感謝しながら、全身全霊、命をかけて創作に当たる事しかできないのでしょう・・・・。人の世はきれい事だけでは語れないのでしょうが、世の中の全ての差別や暴力が無くなる事を、祈って止みません。

 絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁


ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・ヤンゴン「シュエダゴォン・パヤー」 (2014.10.3)
 寺院にお参りする、ミャンマーの小学生達。

ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・カロー、 ホテル「ゴールデン・カロー・イン」 (2014.10.11)
 この旅の中でも、とりわけ、スタッフの印象が良かった宿。

ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・カロー「トレッキングにて」 (2014.10.12)
 1泊2日のトレッキングの途中、山岳少数民族の村々を通ります。村々では、素朴で美しい人々や子ども達に出会えます。

ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・カロー「トレッキングにて」 (2014.10.12)
 山小屋にて1泊。ホテル「ゴールデン・カロー・イン」で紹介してもらった、トレッキングガイドの、Mr. Myo Zaw 。山道の案内の他、料理も作ります。とても美味しいですよ~。  (^・^) _U~~

ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・カロー「トレッキングにて」 (2014.10.13)
 トレッキングの途中の、山の小さな小学校付近で出会った、元気な子ども達。弁当や教科書を見せてもらいました。

ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・カロー「トレッキングにて」 (2014.10.13)
 トレッキングの最後の頃、カローに向かう途中の村で出会った、おしゃれな子ども達。

ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・カロー「小学校」 (2014.10.14)
 カローの村にある小学校。窓からちょっと拝見すると、元気よく勉強していました。日本と違って、まだまだ、おおらかですね~。
 この子ども達の将来が、安心できる世の中でありますように、”未来の瞳”が希望に満ちあふれますように、日本の政治・経済界の人々も、やれる事は全てやる必要があります。私も微力ながら、画家としてできる事を、この後も模索していきたいです。

ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・バガン仏教遺跡めぐり「タビィニュ寺院」 (2014.10.19)
 一緒に写真を撮ろうと寄ってきた、フレンドリーな一家。ところで、私が自ら肩を組んだのではなくて、父親が私の手を引っ張って置いたのです~。('◇')ゞ

ミャンマー(ビルマ)写生旅行
ミャンマー・ヤンゴン「学習塾」 (2014.10.27)
 旅の最終日。ヤンゴンの小さな寺院の脇にある、学習塾らしき施設の子ども達。私を見て、全員が出てきました。皆さん、人懐っこいね~。 (^・^)ノ

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テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

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後藤 仁 プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN/后藤 仁)

Author:後藤 仁(GOTO JIN/后藤 仁)
~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN/后藤 仁)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

 〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校 美術科で日本画を始める。東京藝術大学 絵画科日本画専攻 卒業、後藤純男先生(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。
卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。
○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。
『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。また、宮崎 駿 氏の絵物語「シュナの旅」の原話になった事でも知られている。
○NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞・専門誌・インターネットサイト等への出演・掲載も多い。
○東京藝術大学デザイン科 非常勤講師、元 東京造形大学 絵本講師。国選定保存技術 金唐革紙 製作技術保持者。日本美術家連盟 会員(ご推薦者:中島千波先生)、絵本学会 会員、日本中国文化交流協会 会員、この本だいすきの会 会員。千葉県松戸市在住。
★現在、ユネスコ無形文化遺産・大垣祭り 布袋軕「天井画」の制作中~❣ 中国向けの「絵本」も制作中~❣

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絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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