2021-01-11
「絵師 日々の言霊」 後藤 仁 ④
一絵師のたわいもない独白は、いい加減で無責任な言葉にしか過ぎません。しかしその行間に、芸術家の真実が垣間見えるかも知れません。荒削りで不器用な絵師の言葉の中から、”真実の言霊”を見出していただけましたら光栄です。
今回は、中国向けの「新作絵本〈第2弾〉」制作(題名等の詳細は、後日、発売前に公開)の作画最終段階から原画納品までの軌跡を主に綴ります。
絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁
★
2020年12月15日
中国向けの新作絵本制作は、この数日をかけて、最後の一枚「後ろ扉」の作画を進めています。一通りの色を置き、現在、およそ5割の進捗状況です。
この場面は、物語のささやかなエピローグなのですが、民族衣装の描写は、やはり、かなり細かいですので、描くのは大変です。
原画制作は、最後まで、一切、気を抜けませんね~。😤
12月18日
中国向けの新作絵本制作は、本日までに、「後ろ扉」の作画を進めて、現在、およそ7割弱の進捗状況です。
この場面には、中国少数民族の民族衣装を着た、貴人2名を描いているので、やはり、衣装の細部描写には大変な労力を要します。
近年は、一日、5時間以上描くと、集中力がもたなくなります。この頃は年齢のせいか、一日の仕事終わりには、言いようのない、重たい疲労感に襲われます~。 (@_@)~~
それでも、作品が完成していくのは、誠に楽しいものなのです。
来週中には何とか、この「絵本」の全場面を完成させたいと考えています(「題名」のみは、後日、題名が決まってから描く予定です)。
今は絵本原画制作のみに集中していて、日本画の一枚物を描くゆとりがありませんが、次の絵本原画制作に入る前に、昨年末から、描きかけのまま置いてある、日本画の「小品」も描き進めなければいけないのです。やるべき事は実に多いです~~。😤
12月23日
中国向けの新作絵本制作は、本日までに、「後ろ扉」の作画を進めて、現在、およそ8割強の進捗状況です。
今日は、衣装に金泥・銀泥を入れ、衣装と背景の彩色を全体的に整えました。あとは、2人の貴人の顔の描写を仕上げ、最終的に墨線で全体を描き起こし、色の微調整をすれば、完成となります。大きな失敗でもなければ、今週中には出来そうです~。 ( ..)φ
最後の最後まで、息のつまる慎重な作画が続き、疲労は重なり、神経ははち切れそうですが、何とか、思うような完成度の作品が仕上がりそうです。
今年は、誠に大変な一年でしたが、この絵本原画を完成できると、やっと、心置きなく年を越せそうです・・・。年内いっぱい、最後まで気を引き締めて、作画に邁進します。
12月24日
中国向けの新作絵本制作は、本日、「後ろ扉」を一気に仕上げまでもっていきました。気持ちが乗っている今、完全集中による完全完成を目指しました。あとは明日、最終的な見直しをして、落款を入れて、絵本全場面の完成となります。
この後日、全場面を再度じっくり見直して、絵本全体のバランス・流れを再確認し、問題がなければ、この絵本原画制作は終了します(あと、「題名」を描かねばなりませんが)。こうして、ようやく、1年1か月に渡る、苦闘を終えようとしています・・・。
芸術家として、絵師として、命を削りながら、やっと紡ぎ出された、この魂の作品を、ぜひ、多くの子ども達・大人達に届けたい~。そして、美や生命について、深く考えを巡らせていただけるよう、・・・それだけが私の願いであり、やるべき宿命なのです。
12月25日
中国向けの新作絵本制作は、本日、「後ろ扉」の背景彩色に手を加え、落款を入れ、絵本原画全場面の完全完成としました。・・・新型コロナウイルスという大変な自然の猛威にさらされた今年1年でしたが、私自身は素晴らしい制作の機会をいただき、かなりの時間を創作に打ち込めた事に、心より感謝申し上げます~。🤗
1年1か月の長きに渡る日本画による本画制作は、困難の連続で、誠に神経をすり減らしましたが、何とか思うレベルまでの完成度にこぎつけられました。今回、今まで描いた絵本原画の中では、最も作画に時間を要しました。特に、人物・動物・建築物の登場数の多さと、中国伝統民族衣装の細部までの描写に、最も神経を使い、疲弊しました。しかしながら、多分、私の絵本史上、最高に美しい”美人像”が描けたのではないかと、おおよそ満足しています。
この後、少し時間を置いてから、じっくりと絵本原画の全体の流れを再確認し、違和感・問題がなければ、制作完了となります。ただ、「題名」が決まったら、手描きで描く予定ですが、これは、1週間もあればできるでしょう。
我が子の如きこれらの絵達が、良き「絵本」に生まれ変わり、中国や日本や世界中の、多くの子ども達・青年達・大人達に楽しまれる事を願っています。そして、このコロナ禍で翻弄される現世において、絵本作品を通して、多くの老若男女・善男善女に、輝ける命の美しさ・大切さを感じ取っていただけましたら、嬉しい限りです。🥰
12月29日
今年は新型コロナウイルスの猛威が起こり、世界中の誰もが、とても大変な一年となりました。私も、講師を務める絵画教室が2~3か月間も閉鎖され、本年1月頃には刊行予定だった中国向け新作絵本『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社、伝世活字国際文化メディア・小活字)の発売が1年も延期されたままで、ただでさえ貧乏画家なのに、一時期は、さらに厳しい経済状況となり困惑しました・・・。
今年は当初から、展覧会・イベント・取材旅行の予定をほとんど入れていなかったので問題は少なかったのですが、それにしても、私にとって十数年ぶりの、展覧会・イベント等の対外活動の少ない一年になりました。
ただ、この5年余りは、美術大学講師や美術団体理事・委員長 等での雑務や会合・懇親会が多過ぎて、なかなか制作に集中できないというジレンマに始終悩まされてきましたので、今年は絵画教室以外はほぼ制作のみに集中できたという意味では、私にとっては、絵師として幸せな一年であったとも言えます・・・。
昨日、中国向けの”絵本”原画の自己記録用の撮影をして、その後と今日、アトリエ周辺の簡単な大掃除をして、一応、仕事納めとしました。ただ年末年始も、時間さえあればボチボチと、次回「絵本」作品の”ラフスケッチ”の仕上げを進めておかねばなりません。次回作はオリジナル大作絵本の計画で、今までの私の絵本作品以上の最高傑作絵本にするべく、最大限の気合を入れて取り組んでいます。😤
その他、次回絵本作品の本画制作が始まるまでに、「日本画」の単品・数枚を描き進めておかなければなりません。また、大垣祭り「天井画」の原案考察も進めねばなりません。やる事は山のようにあります。来年も更に制作に邁進できますよう、厳しい世相ではありますが、そう切に願っております。
今日の夜10時から、テレビ朝日で「天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間 ~天空に佇む12の村~」が放送されるそうで、面白そうですね~。ヒマラヤのチベット族・チベット文化圏には、私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)そのままの世界が現在も生きています。ぜひ、絵本と合わせてお楽しみ下さい~。
今年一年、大変お世話になりまして、誠にありがとうございました。来年が、平和で豊かな一年になります事を祈念して、今年のフェイスブックを終えようと思います。皆様、くれぐれも御身大切に、良いお年をお迎え下さい。


2021年1月4日
明けましておめでとうございます。皆様、旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
厳しいご時世ですが、本年が良い年になります事を願っています。本年も、よろしくお願いいたします。🤗
1月6日
映画マガジン FILMAGA
なぜ『ゲド戦記』が再上映作品に選ばれた?“親殺し”に込められた意味や、もう一度観るなら注目しておきたい点を深掘り考察【ネタバレ解説】
「一生に一度は、映画館でジブリを。」のキャッチフレーズで2020年6月26日(金)より、全国372館の劇場で『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』の再上映が実施されました。・・(中略)・・映画『ゲド戦記』には原作と原案という、似たようなクレジットが二つ存在していることがあります。原作は前述の通り同名の小説なのですが、宮崎駿が1983年に出版した「シュナの旅」という絵物語を原案としている映画でもあるのです。・・・「シュナの旅」は、もちろん宮崎駿のオリジナル作品なのですが、宮崎駿監督自身はチベットの民話である「犬になった王子」という作品をベースにしていると書いています。・・・(後略)
https://filmaga.filmarks.com/articles/59964/
ジブリアニメ「ゲド戦記」の原案になった絵物語「シュナの旅」(宮崎 駿/徳間文庫、「風の谷のナウシカ」等の宮崎 駿 アニメ作品の原点とも言われています)の原話は、私が絵本化したチベット民話『犬になった王子』(君島久子 文/岩波書店)なのです。まだ読まれていない方は、ぜひ、この機会に、私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(君島久子 文、後藤 仁 画/岩波書店)を映画・絵物語と合わせて、ご覧ください。とても興味深く、面白いと思います。
○岩波書店 公式サイト 『犬になった王子 チベットの民話』
https://www.iwanami.co.jp/book/b254895.html
1月6日
中国向け新作絵本の”第二弾”は旧年中に全場面を完成し、自己記録用の撮影も済ませました。今回は、完成する度にパネルからはがしながら作画を進めたので、絵本全体の流れをつかむのが難しかったのですが、おおよそ違和感もないので、これで良しとしました~。🤗
新年早々に、続く中国向け新作絵本”第三弾”の「ラフスケッチ」の仕上げに取り掛かっています。いつもより詳細なコマ割り・ラフスケッチになったので、思ったより時間がかかっています。編集部に原画を引き渡す予定の、来週初めには完成させたいのです。
この絵本は、私の作/絵によるオリジナル物語となります。絵本第二弾の延長線上にある内容となりますが、更に凝ったストーリー展開、誠に壮大な歴史物語絵巻になる計画です。描くのには更なる困難が予想され、2年近くを想定していますが、とても楽しみで、今から腕が鳴っています~。💪
1月10日
中国向け新作絵本”第3弾”は、本日、「ラフスケッチ(コマ割り風)」を完成させました。およそ、2カ月半かけて、かなり詳細なラフが描けました。とても素晴らしい作画イメージが浮かんできています・・。誠に美しく壮大かつ深遠な作品になりそうな予感ですね~。 ヽ(^。^)y
1月12日
本日、中国向けの「絵本」(第2弾)の原画18点を、出版社・編集者に引き渡しました。大切な我が子を実家から見送るようで、いつもながら、この時は一抹の寂しさが残ります・・・・。
コロナ禍という、なかなか厳しい時節でもあり、中国向け絵本・第1弾『青蛙緑馬(チベット民話)』の発売も、もう少し時間がかかるようです・・・。産みの苦しみとも言いますが、この厳しき時期を過ぎると、きっと良い季節も訪れるだろう事を祈りながら、作品創作の手綱だけは緩める事なく、常に画道に精進していこうと思うのです。
きっと素晴らしい「絵本」になって、帰って来いよ~。 ( ;∀;)ノ
いつまで自身の命が続くのかは分かりませんが、美しい世界を信じて、どこまでも美しい世界を創造していこうかな~~。
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