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2019-02-19

後藤仁 台湾写生旅行 その10

2018年2月22日~3月15日までの22日間の「台湾写生旅行」 その10

 3月12日(月) 旅行19日目。台湾北部の都会地域に戻ってきて、台湾一周の旅も、いよいよ大詰めになってきました。今日も朝食はコンビニで買っておいたパンで済ませて、朝早くのバスで瑞芳から九份に向かいます。九份(ジォウフェン)はスタジオジブリ・アニメ映画「千と千尋の神隠し」の舞台に似ている事で、最近、特に観光客が増えた場所です。夕方以降は大変な人出だろうと予測して、私は朝一で乗り込みます。朝7時過ぎ頃、九份に着きましたが、観光客はまだ全くいません。食堂・売店もほとんど開店前です。いい感じです。人気のない階段通路を上がると、猫がくつろいでいました。
 九份の頂上辺りまで登ると、「九份國民小学」があり、階段に3D芸術彩絵と称する子供達が描いた大きな絵が描かれていました。その下の、「九份聖明宮」に参って、近くの展望所から見渡すと雄大な海が眺められます。人が少ないうちに九份の通路をあちこち巡ります。奇怪に歪んだ重層的な建物の間には提灯がいくつもぶらさがり、たしかに「千と千尋の神隠し」の世界観に似ています。夜はさぞかし幻想的できれいな事でしょう。ちゃっかりと映画にあやかって、「湯婆婆の店」等と書いた店舗もありました。一番いい感じの階段通路に陣取り、F4号スケッチブックに写生します。建築物は基本的に描くのに時間がかかるので、ここでは最初から時間をかけるつもりで臨みました。
 しばらく描いていると人が少しずつ増えだして、その中の一人の年配男性は私が描くのをじっと見てきました。私はスケッチ中を見られるのには慣れているので、全く気にせずに描き続けます。ただ、あまりに長く見ているので、絵に興味があるのかと思い、描きながら話しかけてみました。目の端で見て(私は特に海外でのスケッチ中には、危険回避の為に、目の端で常に周囲を警戒しています)、ラフな風体から地元台湾人かと思っていたのですが、意外にも日本人でした。私はペラペラ話しながらでも、かなり十分にスケッチを描けるという、長年の鍛錬による特異資質を持っています(さすがに本画は集中しないと描けませんが)。左脳(理性脳)で話して、右脳(感性脳)で描くのです。男性と話してみると、度々台湾一人旅をしているらしく、ここで長時間スケッチする人は珍しいので見ていたと言います。初めは私を日本人と思わなかったが、道具に日本人の名前が書いてあったので日本人だと分かって描き終わるのを待っていた・・・等と話します。前に台湾旅行で知り合った若い台湾女性と、何度か、アジア旅行で合流・同行旅行をしていると言います。女性とは、たまたま台湾の駅で突然話しかけられてきて知り合ったと言い、食事代も出してくれる場合もあると言い、日本語を勉強したいというのが目的だと言います。男性は真面目そうな普通の年配男性で、純粋に女性との旅を楽しんでいるようで、やましい目的ではないようですが、話を聞くほど、そんな事があるのかと訝しく感じました。たとえその女性が本当にいい人で語学学習の為だけに日本人に近づいたのだとしても、私はあまり素性の知れない外国人(日本人でも)と海外旅行途中に親しくなり過ぎる事をお勧めしません。何度か海外で会って友達感覚になった頃、本当の目的(麻薬の運搬役や、お金を貸してくれ詐欺等はよくある手ですね)に移行する恐れも十分に考えられます。それ位、海外旅行では気を付けていないと、とんでもない落とし穴に落ちる危険性がぬぐえないのです。ただその人は、いい歳をした男性なので、人それぞれの自由、後は自己責任でしょうね。男性のスマホに女性の顔画像を残している所を見ると、その女性も特に秘密裏に行動している感じではないようですし・・・。話したい事を一通り話されると男性は去って行きました。
(何故、わざわざこの話を詳しく書くかと言うと、海外では様々な詐欺や事件が横行しており、日本人が考え及ばないような奇抜な手口で、私も何度もお金をすられたり、危ない目に逢いそうになった経験があるので、海外旅行初心者の用心の為にも、詳細に書いています。私の海外取材旅行は、決して楽しいだけのお気楽旅ではありません。時として危険も伴う、真剣な絵画鍛錬・修行の場なのです。)
 3時間近く描いてスケッチは完了しました。今回の旅では一番時間がかかりました。複雑な構造の建物を描くのは難しいですね。昼近くになり、人がとみに増えてきました。日本人の修学旅行生もたくさんいて、たぶん多くは初めての海外旅行で、はしゃぎ回って青春を謳歌しています。私の学生時代はそれに比べて、地味で苦労の多い絵描き的下積み時代でしたね~。人が多くなり過ぎたので、ここらで退散です。帰路途中に昼食を、「頼阿婆芋圓」の芋ぜんざい(50元)、「九份古早丸」の魚丸湯(魚だんごスープ、65元)を食べ、「阿蘭」で草餅(15元)を買って途中でつまむ。

 バスで瑞芳に戻り、12:58瑞芳駅発の列車を待っていましたら、先程の年配男性が偶然にも駅の待合室におりました。もうすぐ件の女性が来ると言います。女性は少しリッチで真面目そうな20歳代終盤から30代前半位の台湾女性で、一応、私も軽く会釈をしましたが、私には目を合わせようともしませんでした。知らない他人に自分から話しかける位の外交的な人なら、普通、私にも笑顔位見せるものです(私も怪しい風体ですが)。他人事とは言え、少し浮ついた60歳代と思しき年配男性の行く末に一抹の不安を感じましたが、いい歳をした大人ですので、他人がとやかく言う義理ではありませんね・・・。お二人は外で昼食を取ると言って去って行きました。
 13:40台北車駅着(莒光號、59元)、再び台北(タイベイ)に戻ってきました。宿は最初と同じ、「ホーミーホステル」(トイレ・シャワー共同、朝食付、シングルルーム一泊880元、鍵のデポジット100元)に宿泊。部屋は2段ベッドで狭いですが、ホテル代の高い台北では、ここが安くて交通アクセスも便利なのです。
 午後は台北の街を散策し、台湾の児童書出版社や児童書専門書店等を見物しました。台湾の児童書・絵本を取り巻く環境も今、活気を帯びています。夕食は、「温州大餛飩」という台湾のワンタンチェーン店で、ワンタンスープ、揚げ豆腐(計85元)を食べました。

台湾写生旅行九份・基山街の猫

台湾写生旅行九份の階段  早朝はこんな感じで人がいませんが、夕方からは人混みで進むのもやっとだと聞きました。

 明日は台北から烏來(ウーライ)に向かいます。そこは台湾少数民族・タイヤル族が住む古くからの温泉郷だと言い、台湾の旅、最後の楽しみにしていた地です。ではまた、次回としましょう・・・。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

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プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。
○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。
○東京藝術大学・デザイン科非常勤講師。東京造形大学・絵本講師。金唐革紙保存会 主宰。日本美術家連盟(常任理事:中島千波先生 他)会員。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員・理事。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。千葉県松戸市在住。

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絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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