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2019-02-09

後藤仁 台湾写生旅行 その6

2018年2月22日~3月15日までの22日間の「台湾写生旅行」 その6
(展覧会・イベント等が多くて、なかなか書く時間がないのですが、昨年10月14日にアップした「台湾写生旅行」その5 からの続きです。この後もボチボチとアップしていきますので、お楽しみ下さい。)
 
 3月4日(日) 旅行11日目。台南を7:03の台湾鉄道で出発し、高雄(ガオション)に7:58に到着(68元)。

 高雄はホテル代が高めなので、「あひる家」という日本人が経営する、なるべく安めのゲストハウスに一泊しました。シングルルーム(トイレ・シャワー共同)で一泊1000元(約3700円)です。日本人の経営という事で、ハウス内はとてもきれいに整頓されています。
 高雄にはMRT・LRT(地下鉄・路面電車)があるので移動は便利です。MRT左營駅からバスで移動して、高雄で有名な観光地「左營蓮池潭」に。左の龍の口から入って右の虎の口から出ると縁起が良いという有名な龍虎塔や、中国式寺院を回りました。ここ龍虎塔辺りには、どこにいたのかと思う程、日本人観光客がたくさんいて、くまモンにそっくりなクマのキャラクターを見ては、これはくまモンか・・・違うのか・・・等と同じような事を話していました。
 その次に、バス・MRTで移動して「高雄市立美術館」へ。ここには日本人は一人もいません。この美術館には児童美術館等も併設されており、とても立派な美術館です。昼食は、八方雲集というチェーン店らしき店で購入した汁無し麺と水餃子(60元)を、美術館の公園で食べて済ませました。美術館の近くには高雄市中華藝術学校という大きな美術学校があり、台湾が美術に力を入れている事がうかがえます。次にMRTで移動して「高雄市立図書館」へ。この図書館は台湾内でも最大級の規模という事で、ガラス張りの7階建て位の巨大な建物の全てが図書館なのです。館内も近代的・効率的で、書籍数も膨大で、日本でもこのクラスの図書館は私は見た事がありません。相当多くの老若男女が図書館で本を楽しむ姿は、うらやましい限りで、台湾の読書文化の充実を表しています。総人口2358万人と日本よりずっと人口の少ない台湾ですが、美術・文化教育に特に力を入れている様子が伝わり、それに比して日本の美術・文化施策の脆弱さを感じました。
 夕食は宿から近い「六合国際観光夜市」に。麺・カニ揚げ・鴨串(計210元)を別々の屋台でいただいて、台湾夜市の雰囲気を楽しみました。

台湾写生旅行023高雄「左營蓮池潭」 龍虎塔と、くまモン風のキャラクター像

台湾の旅高雄「高雄市立図書館」 何とも立派過ぎる・・・(@_@) 。

 3月5日(月) 旅行12日目。今日は、この旅でも特に楽しみにしていた、台湾少数民族が住むという霧台(ウータイ)・三地門(サンディーメン)に向かいます。

 朝食はパンで済ませて、高雄から屏東(ピントン)まで鉄道で移動(31元)。9:30頃、ミニバスで霧台(ウータイ)に向かい、11:00過ぎに到着(138元)。霧台は少数民族ルカイ族が住む山奥の村で、日本ではほとんど知られておらず、日本人観光客は稀にしか訪れないと言います。屋根から壁まで石のみで造られた家々が並び、山々の光景が美しくて、別天地のようです。日帰りではもったいなく、いつもながら宿を予約していなかったのですが、何とか一泊できないかと宿を探しました。訪ねた民宿3~4件、今日は一杯だと断られて、山の上の方ならあるかもというジェスチャーを受けて、山を少し登りました。人家も尽きる辺りに民宿らしき所を発見。そこにいた おじさんに聞いてみると、ラッキーな事に宿泊できると言います。そこは「塞巴拉得伝統石板屋」という石板を製造・販売する店だそうですが、民宿も兼ねています。一泊1300元(トイレ・シャワー付、食事は無いかと思っていたのですが、翌朝、おじさんが朝食を作ってくれました)。
 当初は日帰りも覚悟していたので、これで時間に余裕ができ、辺りをじっくりと散策。昼食は2か所の少数民族風食堂で、猟人便当(少数民族風ちまき、50元)、愛玉子(オーギョーチー、台湾でポピュラーなゼリー風デザート、30元)と少数民族風プリン(50元)を食べました。いずれもなかなか美味しいです。ここはコーヒーの栽培でも知られているというので、少数民族風カフェで、コーヒー・愛玉子(計100元)をゆっくり味わいながら、その店から見える雄大な山々と棚田をF4号に1時間余りスケッチしました。ここのコーヒーは素朴な味わいですが、この眺めと共に、実に贅沢な時間です。カフェを出て、石造りの家々が見渡せる場所から、F4号スケッチブックに2時間ばかりスケッチ。
 夕食は少数民族風食堂で汁無し麺(80元)を食べました。もう日も暮れかかりました。帰りが遅いのを心配したのか、宿の おじさんがバイクで迎えに来ました。ついでに村の教会に連れて行ってもらい、見学しました。この村の人々はキリスト教を信仰しており、味のあるルカイ族様式の教会が村々に幾つか建っています。
 ルカイ族の村をしっかりと目に焼き付け堪能したので、おじさんのバイクの後部に乗って宿に向かいました。この日の客は私一人なので、大きなルカイ族風石造り屋敷(コテージ風の一軒宿なのです)を独り占めです。10数人は泊まれそうな大きな空間で、屋根も壁も床も全て薄い石板でできています。トイレ・シャワーはリフォームされて、まあまあきれいです。夜はトイレ・シャワー室に蛾がたくさん入って来ますが、虫が嫌いでないなら、これもまた山奥の趣きと言えるでしょう。テレビもパソコンも電化製品も無い、決して便利とは言えない設備ですが、私にはこれで十分、いや、贅沢過ぎる程の素敵な空間です。宿の庭からは雄大な山々と川が見渡せるのですが、一人淋しく美しい夕焼けの仙境を眺めるのも、旅の醍醐味です・・・。
 部屋にはルカイ族の衣装や工芸品がたくさん展示してあります。ルカイ族の子供服が面白いので、SM号に30分余りスケッチ。夜は稀に野犬の鳴き声が聞こえる位で、誠に静か・・・静か過ぎる程で、日本の都会の喧騒を思い浮かべると天と地の違い。台湾の西海岸は結構、都会だったので、ここに来て、ようやく私らしい旅になって来たなと、豊かな充足感を感じました。霧台で宿泊できて本当に良かったです。

台湾写生旅行猟人便当(少数民族風ちまき、50元)、愛玉子(オーギョーチー、台湾でポピュラーなゼリー風デザート、30元)

台湾の旅石造りの霧台の村、ここからスケッチしました。

台湾の旅霧台の中央広場にて

台湾の旅霧台の中央広場にて

台湾の旅民宿も兼ねる「塞巴拉得伝統石板屋」 ここで一泊。

 明日は、三地門に向かいます。この模様はまた次回といたしましょう・・・・。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁


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後藤 仁 プロフィール

後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)

Author:後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)
~後藤 仁 公式ブログ1~
絵師〈日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙制作〉後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

【後藤 仁 略歴】
 師系は、山本丘人(文化勲章受章者)、小茂田青樹(武蔵野美術大学教授)、田中青坪(東京藝術大学名誉教授)、後藤純男(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)。
 アジアや日本各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」を中心画題として、人物画、風景画、花鳥画などを日本画で描く。また、日本画の技術を応用して、手製高級壁紙の金唐革紙(きんからかわし/国選定保存技術)や、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)の天井画、絵本の原画などの制作を行う。
 国立大学法人 東京藝術大学 デザイン科 非常勤(ゲスト)講師(2017~21年度)。学校法人桑沢学園 東京造形大学 絵本講師(2017~18年度)。日本美術家連盟 会員(推薦者:中島千波先生)、日本中国文化交流協会 会員、絵本学会 会員。
    *
 1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校 美術科で日本画を始める。東京藝術大学 絵画科日本画専攻 卒業、後藤純男先生(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。
 卒業以降は日本画家として活動し、日本・中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は「絵本」の原画制作に力を入れる。
 2023年、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)天井画『黒龍と四つ姫の図』を制作奉納する。

○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社/中国)。挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。
 『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。また、宮崎 駿 氏の絵物語「シュナの旅」の原話になった事でも知られている。
○NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞・専門誌・インターネットサイト等への出演・掲載も多い。

★現在、日本国内向けと、中国向けの「絵本」を制作中です~❣

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