2018-05-06
「上野の森 親子ブックフェスタ2018」(童美連ブース)報告
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2月~3月の「台湾取材旅行」では体調もほとんど崩さず順調な旅になりましたが、やはり体力的・精神的に疲れが内在しているようで、その疲れが出たのか、旅行の1か月後に39度近い熱が出る熱風邪をひきました。ここ5年余り免疫力の低下と多忙のせいなのか、年に1度は軽い風邪をひくようになってきました・・・。今回の熱は2日程で下がりましたが、熱風邪の後、少し精神的な落ち込みがあり、”絵画~日本画・絵本”とは何なのかという難問について、改めて、少し悩みました。2004年のインド取材旅行の後には4か月間位の精神的な落ち込みがあったりしたので、旅行中はテンションが上がっていて気が付かないのですが、やはり長期の取材旅行は、かなりの身体的・精神的な疲弊を伴うものなのでしょうね・・・。
ここ5年ばかり”絵本”の世界について深く掘り下げてきました。絵本の業界が見えてくるにつれ、現在そこでは、”絵”そのものの追求より、絵と文のバランスや、いかに効率的に描いて多くを売るか・・・、さらには、イベント等でのパフォーマンスばかりが重要視されている様子が分かってきました。美術大学等での授業や童美連理事としての役割等も忙しくて、この1年位は大学卒業後、最も絵を描く時間が取れない日々が続き、それも大きな悩みの種です。
私としては、絵本の世界での”絵”の重要性は今後も折に触れて主張していきたいのですが、やはり私は本来、タブロー画家・・・日本画家なのです。やはり何と言われても、売れようが売れまいが・・・、一生、自分らしい、より良い”絵”を描く事だけに拘泥したいのです。他人の展覧会の開幕式典におじゃました時に、中国人のベテラン画家が、「今の日本画は洋画と区別がつかない。もっと薄塗りの良さを見出すべきだ・・・」といった趣旨の話をされていましたが、私が描く日本画も、もっと日本的・東洋的な美意識を追求せねばならないのではないかという根本的な問いかけに、今改めて悩む事にもなりました。”絵”は自己探求の世界であり、他者と比較するのは意味のない事ではあるのですが、どうしても歴史上の絵描き達(伊藤若冲、長谷川等伯、鏑木清方、等々)と比べてしまい、自己の絵のレベルの低さにもウンザリする事もしばしばです・・・・。
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そんな精神的な落ち込みとともに、風邪の後遺症的なダルさ・眠さが1週間余り続き、ようやく体力・精神力が復活してきた頃に「上野の森親子ブックフェスタ2018」がありました。まだ完全には至らない体調のままの参加でしたが、当日、多くの子ども達・大人達が押し寄せる光景を見ると、多少の元気が出ました。特に、昨年も来られたお子さんが、今年も来てくれて楽しそうに絵を描いて、来年も来たいと言ってくれた事、・・・いつの間にか、次世代を担う人々に何らかの影響を与えている事に改めて気付くとともに、やはり、絵本界での活動も重要なのかな~と思わせてくれました。
今年も私は、「みんなでお絵描き&ぬりえコーナー」で子ども達に絵を描いてあげました。「絵本・児童書画家があなたの絵(肖像画)を描きますコーナー(有料/一枚1000円)」も打診されるのですが、私には日本画家としての立場があり、その世界では印刷物(絵本)ではなく原画そのものの価値が問われ、号幾らという値段が一般公開されており、それより安く販売する事は業界的には基本的にNGなのです。子どもさん達の肖像画を描いてあげたい・描いてみたい気持ちは十分あるのですが、やむを得ない立場なのです・・・。そんな訳で、今年も、簡単なイラストの無料プレゼントに徹した「みんなでお絵描き&ぬりえコーナー」を担当しました。今年のフェスタもすごい人の多さで、童美連ブースは中でも特に大人気でしたよ~!!








フェスタの後は、中国四川省の中華料理が食べられる上野の名店「晴々飯店」で打ち上げをしました。本場の四川料理に比べると花椒・唐辛子の辛さは控えめですが、味の深みは本場同様で、どの料理もとても美味しいです。ただ、さすがに熱風邪の病み上がりで、後半は眠さが襲って来ました・・・。
今日はまる一日活動して少々疲れはしましたが、実に楽しく有意義な一日でした~。絵や絵本の好きな子ども達、来年もきっと会おうね~ 💛
日本画家・絵本画家 後藤 仁
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