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2018-04-30

後藤仁 台湾写生旅行 その4

2018年2月22日~3月15日までの22日間の「台湾写生旅行」 その4
 
 2月28日(水/台湾の祝日) 旅行7日目。今日は日月潭から移動します。ところで、旅行初日から痛かった歯の事ですが、2~3日、右下の奥歯が痛み、次に2日程、右上の小臼歯に痛みが移り、それが引いて来ると今度は、左上の奥歯から少し血が出て来ました。歯間ブラシ・デンタルリンスを購入してケアしていると2日程でよくなりました。旅行中は疲れや環境の変化で、日本では起こらない様々な体調の変化をきたしますので、要注意です。この日月潭を過ぎる頃には歯の変調も収まり、唯一、カメラの調子が悪いのだけが問題なのでした・・・。
 朝食前に20分ほどかけて、SM号スケッチブックにパッションフルーツをスケッチしました。今朝も「星月小築 時尚旅店 (STAR&MOON HOUSE)」 のおしゃれなブレックファーストをいただき、日月潭のバスターミナルから9:00発のバス(56元)に乗り30分余りで集集線水里駅に到着しました。水里駅は小さな味のある駅舎なので、列車の待ち時間に、SM号スケッチブックに30分弱でホームの情景を軽く一枚描きました。集集線は景色のよい田舎町を走るローカル鉄道路線で、主な駅舎毎に見所があるようです。一日乗り降り自由券もあるので、時間があればそんなのどかな旅もいいでしょう。今回は先を急ぐので、10:25水里駅発、11:10二水駅乗り換え、11:26発(5分遅れ)台鉄(台湾鐵道)で12:30前、嘉義駅に到着(鉄道111元)。

 嘉義(ジアイー)の近くに「國立故宮博物院南部院区」があるので、今回、嘉義に立ち寄ったのですが、ここは「KANO」という学生野球映画の舞台として知られているといい、日本との交流の歴史を持ち、なかなか見所の多い面白い街でした。
 ガイドブックに安いホテルが書いていないので、駅の旅遊服務中心(インフォメーション)で聞いてみると、実に丁寧に教えてくれました。「嘉冠大飯店」という立派なホテルを紹介されたのですが、1泊1300元(部屋シャワー・トイレ、朝食付き)と比較的安く、部屋も清潔で申し分ないので、ここに2泊します。
 午後は歩いて、「嘉義市立博物館」に行ってみます。地図を見ながら歩いているのですが、道を遠回りしてしまい、場所がよく分からないので、若いカップルに聞いてみました。すると「道を案内する・・・」と言い、先導してくれました。博物館は思ったよりも遠くて、10数分も道案内をしてくれて感激!!台湾の人は親日的で親切な人が多いとは聞いていましたが、ここまで親切な若者は日本ではなかなかお目にかかりません~。
 嘉義市立博物館は入場無料なのですが、多数の化石や、「石猿」という石彫の展示等、興味深いものでした。昼食はここらでパン2個をかじって済ませて、博物館の隣に、「阿里山森林鉄路車庫園区」というSL(蒸気機関車)等の古い列車を展示した施設があるので見物。なかなか面白いので、蒸気機関車をSM号スケッチブックに描きました。細部が複雑なので、30分位描き続けていると、女の子が寄って来て、「何やってんの~(台湾語なのでよく分からないのですが、多分、こんな感じ)」と話しかけて来ました。目がクリクリとして可愛らしい女の子です。普段のアジア旅では風景を描き終えた後に、残っている人を描かせてもらったりするのですが、今回の旅では台中公園で話しかけて来た子ども達がすぐ去っていった経験を踏まえ、台湾の人はせっかちだと判断し、一度風景スケッチを中断して、人を描いてみようと考えました。すぐさま「君も描いてみようか~」と切り返し、SM号スケッチブックに5分程の速描で描きました。特に小さな子どもは集中力がもたないので、短時間で素早く印象をとらえないといけません。そうすると周囲の親子が集まって来て、ワイワイとしだしました。こうなるとこっちのものです。親が「家の子も描いて欲しい~」と乗って来ます。ここで5人の子どもをスケッチできました。民族衣装等も着ておらず、普通の洋服なのですが、その土地の人々の日常を描く事は大切です。一通りバタバタすると、人は少しずつ去って行き、静かになりました。絵の取材には、一瞬しかない描けるタイミングを上手くとらえる直観力が必要なのです。その後、ゆっくり蒸気機関車の続きを描き、計1時間余りで完成。絵の完成を見ていた別の親子連れが拍手してくれました。
 ここに来て、ようやく取材らしい取材ができたので、満足して帰路につきました。私は人物画家(アジアの美人画家)なので、やはり人物が描けないと、うれしくないのです。
 嘉義の繁華街の通りの一角に小さな屋台「阿亮Q排」があり、結構混んでいるので、そこで夕食にしました。鴨肉飯(60元)、下水湯(内臓スープ、30元)と安いのですがとても美味しいのです。

台湾写生旅行「星月小築 時尚旅店 (STAR&MOON HOUSE)」 ブレックファースト。 台湾感はないのですが、素敵な洋風ベランダでの、おしゃれな朝食です~。

台湾写生旅行「集集線 水里駅」 旅行・鉄道好きにはたまらない。ローカル感が実にいい!!

 3月1日(木) 旅行8日目。嘉義の二日目、この日は楽しみにしていた、「國立故宮博物院南部院区」を鑑賞します。台北の故宮博物院は中華文明の宝物を展示してあるのですが、ここ南院にはアジア各国の文物を展示してあるといいます。「嘉冠大飯店」のブレックファーストですが、この日はいつもの出張料理店が休みだったという事で、ハンバーガーとコーヒーでした。
 バスで移動して「國立故宮博物院南部院区」に到着。朝一番乗りです。入場料は150元ですが、広大な敷地に巨大な建造物が立っています。台湾の文化施策の力の入れようは半端ありません。アジアの仏像展示場やアジアの民族衣装展示等、私の興味の高いジャンルの展示物が多く、台北の本館以上に私には楽しめました。3時間程かけて十分に吟味し、退出しました。
 バス待ちの間に昼食のパンを食べ、バスで嘉義の中心部に戻りました。午後は、嘉義市立博物館近くの「檜意森活村」という日本統治時代の家屋を復元した施設に行ってみました。私が子供の頃に、兵庫の田舎でよく見たような、微妙に古い長屋風の日本建築村が再現されていました。日本風の土産店、カフェ、展示館等がたくさん立っています。地元台湾人の観光客が結構多くいましたが、日本人は全くいません。日本の着物(浴衣みたいな)を貸し出して着れる店もあり、多くの台湾のご老人達が着物で着飾って「こんにちは~、ありがとう~」等と片言の日本語を発しながら記念撮影していました。台湾の人々は日本への憧れ・ノスタルジーがあるのか、本当に日本好きの人が多いようです。しかし、この施設もどこか不自然で、日本の建物・着物の風情とは微妙に異なり、どことなく無国籍的で、色町的な雰囲気が出てしまっています・・・。やはり海外の人は、日本の風情を少し勘違いしてとらえているのかな・・・、しかし、私が描くアジアの風情も所詮は同じようなもので、本場の人の本来の感覚とは異なるだろうから、それはそれで面白い文化交流・文化理解なのだと思いました。
 「檜意森活村」は観光地感が強過ぎて描く対象が見つからないので、また「阿里山森林鉄路車庫園区」に寄ってみましたが、昨日は祝日だから親子連れが多かったらしく、この日は人が数人しかおらずに閑散としていました。これはこれで雰囲気がありますが・・・。嘉義市政府文化局の図書館に伺ったのですが改装中で休館でしたので、美術展示館を見て、文化局の人にご挨拶だけして、宿に帰りました。この日は、面白い文物鑑賞はできましたが、描く対象は見つかりませんでした。本当に一瞬のタイミングをとらえて描いておく事は重要な事なのですね・・・。

 この日の夕食も、屋台「阿亮Q排」で鴨肉飯、魚の頭煮、あさりスープ(計115元)を食べました。台湾庶民の食べ物は安くて美味しいね~。

台湾写生旅行屋台「阿亮Q排」 鴨肉飯、魚の頭煮、あさりスープ(計115元) メニューには「魚頭」と書いてありましたが、文字通り「魚の頭(雷魚のような)」です。台湾庶民のローカルフードは、安くて美味しくて、お腹にも優しい!! 台湾料理は、辛過ぎず・油っこ過ぎず、日本人にも食べやすいのです。


 明日は台南に向かいます。この模様はまた次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁


 
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後藤 仁 プロフィール

後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)

Author:後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)
~後藤 仁 公式ブログ1~
絵師〈日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙制作〉後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

【後藤 仁 略歴】
 師系は、山本丘人(文化勲章受章者)、小茂田青樹(武蔵野美術大学教授)、田中青坪(東京藝術大学名誉教授)、後藤純男(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)。
 アジアや日本各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」を中心画題として、人物画、風景画、花鳥画などを日本画で描く。また、日本画の技術を応用して、手製高級壁紙の金唐革紙(きんからかわし/国選定保存技術)や、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)の天井画、絵本の原画などの制作を行う。
 国立大学法人 東京藝術大学 デザイン科 非常勤(ゲスト)講師(2017~21年度)。学校法人桑沢学園 東京造形大学 絵本講師(2017~18年度)。日本美術家連盟 会員(推薦者:中島千波先生)、日本中国文化交流協会 会員、絵本学会 会員。
    *
 1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校 美術科で日本画を始める。東京藝術大学 絵画科日本画専攻 卒業、後藤純男先生(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。
 卒業以降は日本画家として活動し、日本・中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は「絵本」の原画制作に力を入れる。
 2023年、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)天井画『黒龍と四つ姫の図』を制作奉納する。

○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社/中国)。挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。
 『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。また、宮崎 駿 氏の絵物語「シュナの旅」の原話になった事でも知られている。
○NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞・専門誌・インターネットサイト等への出演・掲載も多い。

★現在、日本国内向けと、中国向けの「絵本」を制作中です~❣

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絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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