2016-08-11
スリランカ写生旅行 その4
今日の朝食もパンで済ませて、朝7時前にはバスでペーラーデニヤ植物園に向かいました。キャンディの市内バスターミナルからバスで20分位で着きます。この植物園はアジアでも屈指の規模を誇る植物園という事で期待が高まります。
開園時間の7時30分の前に着いたので、入口付近の店でパンとジュースを買い込み、少し待ってから入園しました。入園料1500Rsです。(スリランカには「外国人価格」という制度があり、スリランカ人はずっと安い場合が多いです。)
この園はすごいとは聞いていましたが、予想を超える素晴らしさです。まさにここは楽園でした。ヤシのコレクションや竹のコレクションなどを見て、池を巡り、大ジャワ・ビンローの広場へ出ました。前にあった超巨大なジャワ・ビンローの木は倒れてしまい、今は少し小ぶりな2代目が佇立しています・・・、と言ってもかなり巨大です。園の奥に進み、大王ヤシの並木を通ります。頭上を、大きなインドオオコウモリが無数に飛び交っており、いやが上にテンションが上がります。園の最深部には吊り橋もあります。
心地良い林の中で一息ついて、入口で買っておいたパンとジュースをいただきました。園内のあちこちで、シマリス(インドでもよく見た種類です。私の挿絵本『おしゃかさま物語』〈佼成出版社〉の中にも描いています。)や、カッパのような頭のトクモンキーというサルに出会えます。花園の片隅で、日本にいない珍しい鳥を見付けたので近づいてみると、全く逃げません。よく見ると卵を抱いています。そこで、SM号のスケッチブックに一枚描きました。Red Wattled Lapwingという鳥だそうで、目の周囲のオレンジ色が特徴的です。
フラワー・ガーデンや温室を見て、昼12時を過ぎてお腹もすいたので、園内の「ロイヤル・ガーデン・カフェテリア」で昼食です。少し高そうですが、気分が良いので奮発します。チキンカレー(725Rs)、ライムソーダ(260Rs)、サービス料を入れて計1083Rs(日本円では800円位)です。通常、公園内の食堂は今一つの場合が多いのですが、ここの食事はとても豪勢で美味しかったです。
昼前に目星を付けておいた面白い巨木を、F4号に1時間30分ばかりかけて描きます。Java Fig Treeといい、周囲の木の枝と枝がつながり、異様な景観です。その隣に佇む苔むした巨木といい、まるでジブリアニメの「もののけ姫」に出て来そうな雰囲気です。
〔豆知識:8月5日に日本テレビ・金曜ロードSHOWで再放送された、スタジオジブリのアニメ映画「もののけ姫」にも影響を与えていると言われている宮崎 駿さんの絵物語「シュナの旅」(徳間書店)は、ジブリアニメ「ゲド戦記」(宮崎吾朗監督)の原案になった事でも有名です。その「シュナの旅」の原話が、チベット民話「犬になった王子」です。更にその「犬になった王子」を絵本化したのが、絵本『犬になった王子 チベットの民話』(君島久子 文、後藤 仁 絵/岩波書店)なのです。〕
スケッチをしていると、グラサンをかけたスリランカのチャラい若者が寄って来て、スマホで自撮りツーショットを撮らしてくれと言います。何に使うのやら・・・、まあ、悪意のない陽気な若者でしょう。
午後2時30分頃、7時間ばかり植物園を堪能して、キャンディの町へ帰りました。今日はキャンディ芸術協会(カルチュラル・ホール)のキャンディアン・ダンスを鑑賞しようかと考えながら、宿でシャワーを浴びて休憩していますと、外が何やら騒がしくなって来ました。窓外を見ると、ゾウの行進が見えました。「何だこのイベントは・・・」と、カメラだけを持って急いで外に飛び出しました。
まだ行進は続いていました。丁度、仏歯寺の境内に入って行くところです。ペラヘラ祭のミニ版のような感じで、定期的に開催している行事なのでしょう。3頭のゾウと多数の男性ダンサー・楽隊が踊りながら、町を練り歩いて行くのです。行列に付いて行きながら、写真をバシバシ撮りました。この時期にペラヘラ祭が(かなり小規模ですが)見れるとは思っていなかったのでラッキーです。行列は、仏歯寺からまた外に出て、クイーンズ・ホテル前を通って、キャンディ湖畔の辺りで雨が強く降って来て解散になりました。
今日はこれで満足したので、キャンディアン・ダンスを見ずに、夕食のパンを軽く食べて、明日のシーギリヤ移動に備える事にしました。シーギリヤ・ロックは、10数年前にテレビや写真集で美女のフレスコ画を拝見して以来、訪れてみたいと願って来た場所で、今回の旅の目玉です。


旅行8日目、2016年6月13日(月)。キャンディのメインバスターミナルから朝7時30分発、シーギリヤ行きのバス(120Rs)に乗り込みます。11時頃、シーギリヤに到着。まずは宿を探します。シーギリヤ・ロック近くの「フラワー・イン」というゲストハウスに2泊する事にしました。部屋を見せてもらうと、とても立派なので、一泊1200Rsという値段が信じられず、思わず「1200Rsルーム?」と聞き返したほどです。部屋にはホットシャワーとトイレが付いていて、部屋の入口は心地良い内庭に面していて、そこのイスとテーブルで休憩もできます。宿のおかみさんも良い人です。
今日はシーギリヤ・ロックの周囲を回ってみます。周囲の堀の畔では、スリランカ・ハイイロオナガザルやサイチョウやウシに出会えました。カワセミの一種の青い鳥が堀を飛び交います。ここは動物の楽園です。
通常、観光客が立ち寄らない堀の奥に進むと、スリーウィーラー(3輪タクシー)のあんちゃんの休憩所があり、堀を発掘している箇所もありました。シーギリヤ・ロックを遠巻きに一周しようかと考えていたのですが、森が段々深くなり危険そうなので、引き返しました。良いアングルでシーギリヤ・ロックの頂上が見える場所があったので、そこから1時間30分くらいかけてF4号にスケッチしました。この角度からシーギリヤ・ロックを眺めた観光客はほとんどいないと思います。先程のスリーウィーラーや発掘現場の人が6~7人集まって来て、絵を見せてくれと言います。今までのスケッチを見せて説明してあげると、しきりに感心しています。「絵」は言葉の違いを超えて万国共通の言語になります。一気に地元の人と心が近くなり、一般観光客とは異なる対応をしてくれる場合もあるのです。こんな交流がまた旅の醍醐味でもあります。
遅めの昼食は、「WIJESIRI FAMILY RESTAURANT」のチキンカレー(450Rs)、マンゴージュース(200Rs)、Curd(200Rs)を取りました。Curd(カード)というのは水牛のヨーグルトで、キトゥル・パニというヤシの花蜜をかけて食べるのですが、これが濃厚で実に美味しいのです。前にネパールの旅でバクタプルの名物、ズーズー・ダウという絶品濃厚ヨーグルトを食べた事があるのですが、それに次ぐ美味しさのヨーグルトでした。ああ、またズーズー・ダウが食べたい・・・、バクタプルも大地震の被害は相当大きかったようで心配なのですが・・・・。


宿のトイレの水の出が悪いので、トイレのタンクの中を見てみると、小さなカエルが2匹住み着いていました。夜になると部屋のあちこちにもカエルが出て来ました。カエル嫌いの方には迷惑な事でしょうが、両生類も爬虫類も昆虫も平気な私は、こんな可愛い出会いも楽しみました。夕食はクラッカーとバナナで軽く済まして、本を読みながら眠りにつきました。
明日はいよいよシーギリヤ・ロックを探訪します。この模様はまた次回といたしましょう。
日本画家・絵本画家 後藤 仁
犬になった王子――チベットの民話/岩波書店

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