2013-04-08
「金唐革紙(きんからかわし)」製作秘話 その8
いつもの作業部屋では臭いが充満するので、今回はマンション屋上の小屋を借りての作業となりました。古いエアコンは付いていましたが換気の為ドアは開け放してあり、あまり冷えません。私とI君の2人でほとんどの製作をしましたが、シルクを洗う為にどうしても3人いないと効率が悪いのです。無理を承知でN君に頼み仕事の空いた日に来てもらいました。また、I君が夏風邪で一週間ダウンした時は、代わりにYさんに応援を頼みました。ちなみに私は週5日、二か月弱の間、一日も休みませんでした。
「シルクスクリーン彩色」は簡易ガスマスクを付けての作業ですので、とても暑苦しく息苦しいのです。今回はこの暑さが一番の敵でした。一日終わると、軽い熱中症の感じになり頭がボーッとしました。
*

旧岩崎邸 金唐革紙 箔無し(2001年7月) 彩色が終わった所 © GOTO JIN

旧岩崎邸 金唐革紙 箔有り(2001年7月末) 搬入の準備 © GOTO JIN

旧岩崎邸 金唐革紙 搬入(2001年7月30日) 手前の車は、今は廃車となった私の愛車です。 © GOTO JIN

旧岩崎邸 洋館(2001年7月30日) 壁紙が貼られる前の部屋の状態。 © GOTO JIN
この様にしてようやく2001年7月末、『旧岩崎邸』の金唐革紙2種類が完成しました。2001年7月30日、「旧岩崎邸」に私のぼろい中古車を使って直接搬入しました。
この復元事業は、「移情閣」に次ぐ規模で「入船山記念館」とは同じ位ですが、東京にある岩崎家(旧三菱財閥)の有名な別邸を国の依頼で復元するという大きな価値がありました。
この事業で、国(文化庁)から金唐革紙の研究所に支払われた報酬(元は税金です。)は推定ですが、一億円弱位でしょう。ただ、私達は変わらず1000円あまりの時給労働者のままでした。
この後、「金唐革紙展」やテレビの取材などがにわかに増えてくるのですが、それらについては、また次回といたしましょう。 後藤 仁

復元後の「旧岩崎邸」洋館2階・箔無し(2003年1月) 後藤 仁 © GOTO JIN
- 関連記事
-
- 「金唐革紙(きんからかわし)」製作秘話 その9 (2013/04/11)
- 「金唐革紙(きんからかわし)」製作秘話 その8 (2013/04/08)
- 「金唐革紙(きんからかわし)」製作秘話 その7 (2013/04/07)