2016-07-30

スリランカ写生旅行 その3

 「スリランカ写生旅行」の5日目、2016年6月10日(金)。昨日の のどの痛みもおおよそおさまったので、今日は仏歯寺(Dalada Maligawa)を見学します。この寺院は、スリランカで最も尊ばれている仏教寺院で、ブッダの歯がまつられていると言います。

 朝6時過ぎ、入口で荷物検査を受けて広い境内に入ります。仏歯寺本堂は8時30分に開くので、それまで仏歯寺周辺の菩提樹やパッティニ寺院やナータ寺院を拝見。一度、町に戻って、朝食を「ミッドランズ・デリ」の菓子パン・ジュース(140Rs)で済ませました。
 その後、再び荷物検査を受けて境内を通り、チケット(1000Rs、カメラ料込)を購入して、更なる荷物検査を受けて仏歯寺本堂に入ります。寺院というより宮殿といった趣の建物です。内部は凝った装飾・壁画で飾られていました。考古学博物館も併設されています。仏歯が納められた部屋の扉は9時30分のプージャー(仏への礼拝儀礼、一日に3回ある)でしか開かないと言うので、隣の仏教博物館(入場料500Rs)を見学。
 仏歯寺に戻ろうとしたら、入口の警察らしき人に呼び止められました。いらだった様子でチケットを見せろと言っています。どうやら仏教博物館は境内の外だったようです。チケットを見せると、今度はリュックサックのポケットに突っ込んだサンダルを見付け、「入口に靴を預ける所があっただろう」とかなり怒っています。スリランカ等の上座部仏教の国では履物は不浄の物とされ、入口で脱がなければいけないのですが、スリランカでは持ち込んだり見えているだけでもいけないようです。「Get out!Go straight.(あそこの出口までまっすぐ行って、出て行け!)」と言われました。ここが大切な聖地といえども、さすがに理不尽なものを感じましたが、逆らうと逮捕されかねません。一番近い出口にまっすぐ行くと見せかけ・・・途中の人ごみにまぎれて本堂に戻りました。日本からはるばる、絵描きが取材に来たのです。どうしてもプージャーを見たいのです。
 建物の横の入口から入ると、別の警察がいて、通常観光客が通らない所から入って来る外国人が不審だったようで、またまた呼び止められました。チケットを見せると、再びサンダルを指摘されました。ただ今度は「リュックの中に入れろ」という指示だけで済みました。この後も警察の視線は、常に私に浴びせられていましたが・・・。
 無事に本堂2階のプージャーを拝見出来ました。仏歯は仏龕のような物に入れられて直接は見えませんが、光あふれる小部屋の中央に安置されていました。多くの敬虔なスリランカの老若男女が参拝していました。厳かな雰囲気の中に、仏歯を大切に守って来た人々の強い思いがあふれています。
 満足した私は、仏歯寺周辺の巨大な菩提樹を2時間ほどかけてF4号にスケッチしました。その様子を見ていた家族の中に、目の大きな女の子がいたので、10分ほど軽くスケッチさせてもらいました。スケッチが終わった途端、雨が激しく降り出したので、一旦、宿に避難しました。こんな時に宿が近いと便利です。

スリランカ旅行「仏歯寺(Dalada Maligawa)」 プージャー。写真では露出オーバーで飛んでいますが、肉眼だと光の中に仏歯の入った仏龕が見えます。

スリランカ旅行仏歯寺周辺の菩提樹。木の周りではニワトリがうろうろしていました。

 一休みして、昼食は「クイーンズ・ホテルのカフェ」でパンとバナナラッシー(260Rs)を食べました。ここはキャンディの有名な老舗ホテルで、ヨーロッパ風の味のある建物です。なかなか注文した品が出て来ないので2~3回店員に言って、ようやく店員が来たと思ったら、ミキサーの調子が悪くてラッシーが作れないと言います。「それなら最初に言ってくれ」と少々怒ったふりをして注文をキャンセルしようとすると、上役風の男の店員が来て「仕方ないだろう、もう少し待ってくれ」と不愛想に淡々と語りますが、「ソーリ―」の言葉は一度もありません。更に待っていると、合計30分位してようやく品が出て来ました。老舗は案外こんな所もあるだろうな~と思いましたが、次に来る気はしませんでした。

 午後は、キャンディ・マーケット(市場)をぶらついて、キャンディ駅辺りを見物しました。夕食は、のど痛が再発しないように、買ったパンで軽く済ませました。
 今日は異様に厳重な外国人への警戒や、小トラブルに見舞われたな・・・と思い返しつつ、シビル・ウェッタシンハさんの本を読みながら眠りにつきました。今夜も、30度近い蒸し暑い夜です。


 旅行6日目、6月11日(土)。今日は体調も良いので、買っておいた朝食のパンを食べた後、小雨の降る中を歩いて、キャンディ湖が見渡せるというレイク・ビュー・ポイントに向かいます。
 到着すると、なるほどキャンディ湖とキャンディの町並みが一望出来ます。仏歯寺の黄金の屋根も輝いています。ここからの風景を1時間30分位かけてF4号にスケッチしました。雨もあがって強い日差しが降り注ぎます。この季節、コロンボやキャンディ辺りは、毎日一度は雨が降るのですが、後はカンカン照りです。
 町に戻る途中にローヤル公園(入場料100Rs)という植物園があったので寄ってみました。なかなか面白いので、2時間余り観賞して、熱帯スイレンをSM号に軽くスケッチしました。私は海外旅行にはたいていF4号とSM号の2冊のスケッチブックを持参し、鉛筆と色鉛筆で描きます。公園のいすで休憩していると、監視員らしき2人の男が同じテーブルのいすに腰掛けて来ました。「何をしているのかね。昨日も町で見かけたが・・・。」といったような事を話しかけて来ます。友好的な雰囲気ではなく、明らかに疑いを持った目です。「何故か、キャンディで要注意人物にされているのではなかろうか・・・。」という疑念が浮かびましたが、そんな訳はないだろうと打消し、スケッチを見せて「私は日本の絵描きだ。散歩するよ。」と返事して、2人から離れました。中年男の一人旅ですので、このように外国で怪しまれるケースは今までも度々あり、仕方ありません。

 町で両替をし、郵便局で絵葉書を出して、ぶらついていました。キャンディには、新しくて大きな百貨店がありました。キャンディ・シティ・センターです。最上階で多くの子供達が絵を描いていました。どうやら子供絵画コンクールを開催しているようです。熱心に紙に向かう子供達が素晴らしく、またけっこう良い絵を描いているのです。私は絵を描く子供達をSM号に、何枚もクロッキーして行きました。一人の親が「うちの子も描いて欲しい」と言って来るので、その人が持っていたペラペラの紙に簡単に描いてやって一枚差し上げました。私はプロ画家なので、日本では他人に絵を無償であげる事は極めてまれですが、外国では少々気前よくなるものです。
 元気な子供達の絵を見て機嫌が良くなった私は、百貨店の近くの「デボン・フード・コート」で遅めの昼食のチキンカレーとパパイヤジュース(412Rs)を食べました。ここは客も多くて味も良いです。お調子者のウエイターにはチップを差し上げました。

スリランカ旅行11日の早朝「オールド・エンパイア・ホテル」 バルコニーにて、後藤 仁

スリランカ旅行「キャンディ・シティ・センター」 子供絵画コンクール

スリランカ旅行「デボン・フード・コート」 チキンカレー、パパイヤジュース(412Rs)

 宿で一休みして夕食はパンで済ませました。今夜はキャンディアン・ダンス(スリランカ伝統舞踊)を鑑賞しようと思います。昨日、のどを痛めて行けなかったので、今日に懸けています。ガイドブック(地球の歩き方)によるとキャンディ・レイク・クラブが良いらしいので、そこに向かいました。宿から歩いて30分位かかります。夕方5時から1時間ばかりの公演で1000Rs(写真も撮影可)です。
 キャンディアン・ダンスはとても素晴らしくて、女性ダンスの優美さもさることながら、男性ダンスの激しい動きも魅力的でした。たいていの国では女性ダンスがメインなのですが、スリランカでは男性ダンスの方が主体なのではないかと感じます。上半身裸でキラキラ光る金属の飾りを身に付けて、躍動感たっぷりに踊る男達のさまは、実にエネルギッシュでありセクシーでもあります。

スリランカ旅行「キャンディ・レイク・クラブ」 キャンディアン・ダンス(スリランカ伝統舞踊) これは演目の一つ、ラクッシャ・ナトゥマという仮面舞踊

 明日は、キャンディ近郊の「ピンナワラのゾウの孤児園」に行くか、「ペーラーデニヤ植物園」に行くか、日本にいる時から迷っていました。3週間では全てを網羅する事は不可能です。ガイドブックに載っている足に障害のある子象の写真を見ると実にいじらしく、行ってみたいな~可愛いだろうな~と夢想するのですが、キャンディからはけっこう遠いのです。明後日は移動日も控えています。ペーラーデニヤ植物園は、私が教える絵画教室の受講者の方の父親が教授のような仕事を昔されていたとかで、アジアでも屈指の素晴らしい植物園だと言います。今日見たローヤル公園も面白かったし、色んな動物もいるとの事なので、明日はペーラーデニヤ植物園に行く事にしようか・・・と決めた所で、眠りにつきました。

 この続きはまた次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

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後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。東京造形大学・絵本講師。金唐革紙保存会 主宰。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員・理事。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。千葉県松戸市在住。

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