2016-03-08

絵本・日本画作品の世界への波及(著作権問題とともに)

 私は3年位前からパソコンを使いだしたばかりで、それ以前の状況をよく把握している訳ではないのですが、日本画家として活動していた頃から様々なネットサイトに、作品・作家紹介が掲載される事は度々あったようです。
 初絵本を出版した約3年前からその頻度が急速に増したようで、絵本の持つ広汎性・普及力には驚かされます。私は、日本画の世界では中堅と言える画歴になりましたが、絵本の世界ではまだまだ駆け出しにしか過ぎず、絵本・挿絵本はようやく3冊出版しただけのヒヨコ状態です。
 それにもかかわらず、テレビ・新聞・雑誌・機関誌 等への出演・掲載も多くなりましたが、それ以上にインターネット上での拙作の掲載数は、私が把握できるだけでも、大規模な法人サイトから、個人サイト、いい加減なサイトまで入れると、数千件は超えてくるでしょう。

 自身の作品がどのように世間にとらえられているかの調査・把握の為でもあるのですが、日本児童出版美術家連盟(童美連)に入会した事で著作権擁護の意識も高まり、その確認という意味もあり、ネット上での自身の作品の掲載を度々検索する事になっています。
 絵本の出版当初は、ネットニュースサイト・絵本関係法人サイト等に多く掲載され、次第に個人のブログ等で取り上げられる機会が増えました。最近では、インスタグラムやピンタレストといった新たな画像掲載サイトに掲載する人も出てきています。作品の名前と画像が知られるにつれ、その認知度に便乗した少々悪質な掲載が増えてきたのも事実です。
 著作権的には、かなりすれすれであったり、完全に違反しているサイトが多いのも現状です。絵本 等をネットや印刷物に掲載する場合、「表紙画像」のみは無許諾でも掲載可能ですが、その場合に必ず「作品名・作者名(文章・画家)・出版社名」を明示するのが基本です。それ以上の掲載には必ず著作権者(作者)の許諾が必要です。また、絵本の紹介以外の目的で絵本画像を流用するのは、禁止されていると思います。
 絵本を元に、または、イメージの源泉にして、演劇や音楽に仕立てて、絵本名と共に紹介する場合でも、著作権者の許諾が必要で、入場料を取る公演の場合、時には著作権者への使用料の支払いも生じる場合もあるでしょう。
 私の作品も、上記のような様々な形態での著作権侵害のある作品使用を確認していますが、できる限り穏便に、事後承認という形で納めてきました。ただ一度だけ、ユーチューブに絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも)の場面全体が朗読付きの動画で明瞭に掲載された案件では、当初は容認しておこうと考えていたのですが、童美連でも問題として取り上げられた経緯もあり、出版社を通して掲載削除に至ったケースがあります。

 国内での事案は、著作権法の適用で対処のしようもあるのですが、最近では海外のサイトでも拙作が度々取り上げられるようになってきました。それだけ作品・作家が世に知られるようになったのかな・・・と喜ぶべき事なのでしょうが、それに伴い著作権侵害も頻度を増しているという、難しい事態に直面しています。ベルヌ条約という国際的な著作権保護の枠組みもあるのですが、条約を批准していない国もあると言いますし、海外の人々との交渉は言葉の壁もありますし、遠い異国の事なので対応の実効性があまり期待できません。
 しかも実際の所、少々中身を掲載されても宣伝になった方が良いのではないかという考えを多くの作家が持っており、私も例外では無く、作品の宣伝・広報と著作権の保護とのはざまで作家は常に問答する事になります。

 日本画・絵本に限らず画家が「絵」だけで食べて行くのは容易な事ではありません。多分、日本画だけで生涯生活できる日本画家は日本中に数十人もいないでしょう。絵本の世界でも若手作家ほど厳しいのが現状で、元々狭き門なのに、その上出版不況のあおりをまともに受けているのです。
 それに反して、子供の養育に力を入れようという傾向の一環として、絵本を取り巻く環境だけは活気をおびています。あちこちで絵本朗読会・絵本イベントが開催され、ほんの一部の有名作家はそこに招待されるのですが、その他は絵本朗読家・絵本活動家・絵本イベンター等と称する人が多く活動しています。中にはフェイスブック等を活用してかなり大々的な活動を行い、ある種の権威付けをしている人も見受けられます。ただ、そこでは現在の絵本作家はほとんど蚊帳の外の状態です。絵本の世界では過去の名作絵本が多数存在するので、現代作家に気を使わなくても幾らでも良い題材が見付かるのです。おまけに本を図書館で借りれば元手もかからなくて済みます。
 しかし、こんな状態が長年続くと現代作家がますます食べて行けなくなり、作家として育たないので、絵本のレベルが段々落ちて行き、将来的には日本の絵本文化水準の低下にもつながっていくと考えられます。これは、日本画・絵本画に限らず文化全般に言える事です。
 どなたか、ネット上で作品画像が使用される度に、著作権者に著作権使用料が入る仕組みでも考えていただけないでしょうか・・・。そうしたら、かなり作家は助かりますし、多少の著作権侵害なら黙認するのですが・・・。しかし、これができたらノーベル賞ものですな。 ( `ー´)ノ

 絵本界だけを考えてみると、絵本を取り巻く環境の中心には、やはり作品を生み出す「絵本作家・絵本画家」がいるべきです。これは作家の傲慢ではありません。常に発信者(作家・画家)から事は始まり、それが仲介者(出版社・書店・図書館・絵本評論家・絵本朗読家 等)をへて、一般の読者(親と子)に届くのです。その本質を見失っては本末転倒です。
 ある絵本朗読家・活動家(大人を対象とする絵本朗読を広める活動を、フェイスブック等を活用して行っている人らしい)が私に言いました。「あなたの絵本を見てほしいと言うなら見てあげてもいいよ。ただ今回は、私のフェイスブックページに勝手に作品を載せられたので見る気が失せましたね・・・。」
 作品は作者そのものです。私達作家は常に自分の作品のみで一生をかけて勝負しています。それ故、私の自己紹介には必ず作品画像一枚を添付する事を常にしています。この様な、作家以上に絵本朗読家が偉いといった高慢な姿勢が蔓延していったら、良い作品は今後一切生み出されなくなるでしょう。作家と絵本朗読家・絵本活動家は常に対等な立場であるべきですが、最初に発信するのは、あくまでも作家である事を、上記のような類の人は忘れないでいただきたいと思います。
 また、著作権侵害問題 等、何かトラブルがあった時には、その作家と普段から仲良くしておくと、下記の台湾の方のケースのように、大目に見てくれる場合もありますよ。逆に、作家の反感をかっている人が、著作権侵害をした時にはどうなるのでしょうね・・・。

絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』表紙・表絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも) 表紙



 私の絵本作品が国内と中国(中華人民共和国)のニュースサイト・ホームページ・ブログ等に取り上げられたケースを、何度かこのブログでも紹介してきたので、今回、その他の海外のサイトに拙作(絵本・日本画)が取り上げられたケースを幾つかご紹介いたします。
 最初に記したように、多くのケースでかなり著作権法を侵していますので、その部分はマネしないようにお願いしたいのですが、このように世界中で拙作が取り上げられるのは、作品に何かしらの魅力や意味合いがある証とも取れますので、嬉しい反響だとも言えるのです。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

                    *

日本画作品 『トン族琵琶歌~チャンファメイ(中国貴州省)』( P25号)の部分が、日本の美意識「卵型の顔」の例として、ポルトガル語のサイトに挙げられています。(同じ内容が、別の2つのサイトに載っています。)

http://www.diariodasaude.com.br/news.php?article=linguagem-amor-apelidos-amorosos&id=8928

http://fgrurbanismo.blogspot.jp/2013/06/voce-conhece-as-palavras-de-amor-mais.html


日本画作品 『クマリ -The Living Goddess-(ネパール)』( F50号)の部分が、クマリ(ネパールの生き神)の画像例として、ポーランド語のサイトに掲載されています。

http://dworzecwschodni.natemat.pl/36947,barbarzynca-w-azji


日本画作品 『クマリ -The Living Goddess-(ネパール)』( F50号)の部分が、クマリ(ネパールの生き神)の画像例として、韓国(ハングル文字)のサイトに掲載されています。

http://blog.socuri.net/540


絵本作品 『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも)の全場面が、英語のサイトで紹介されています。個人のサイトのようですが、拙作以外はほとんど海外の絵本ばかりで、表紙を見る限りでもかなり優れた世界中の絵本を入念にセレクトした本格的なサイトです。よく私の絵本を見付け出したものだなと感心しますが、著作権的にはもちろん反しています。ただ、これだけの思い入れと真面目さを考えると、世界に向けて拙作絵本を紹介していただいているのだと、有難くとらえた方が良いように思えます。

https://bookillustrations.quora.com/Illustrations-for-Changfamei


絵本作品 『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも)の主要場面が、類似絵本と共に、台湾(繁体字中国語)のサイトで紹介されています。実は、このサイトを運営している台湾の絵本活動家と私とは面識があります。台湾に日本 等の良い絵本を紹介したいと積極的に活動されている方で、素晴らしい事だと思います。ただ、台湾はベルヌ条約に加盟していないという事もあり著作権の意識が薄いのが現状です。かなりの著作権侵害が行われていますが、私の作画絵本を丁寧に研究・紹介していただき、私も彼女らの熱意に免じて、当面は黙認しておこうと考えています。台湾の今後の著作権意識向上に期待したい所です。

http://childrenbookmap.blogspot.jp/2015/08/long-hair-girl.html


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後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。
○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。
○東京藝術大学・デザイン科非常勤講師。東京造形大学・絵本講師。金唐革紙保存会 主宰。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員・理事。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。千葉県松戸市在住。

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