2021-01-29
特別番組 【からくり人形師 後藤大秀 100年先へ残す「最後の仕事」 】放送!!
私の伯父で、からくり人形師の後藤大秀さんの追悼特別番組が、大垣ケーブルテレビで放送されます!!
現代日本を代表する、からくり人形師 ・ 後藤大秀さんの最後の姿となります。ご視聴できる地域の方は、ぜひ、ご覧いただきますよう、お願い申し上げます。
絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁
放送日 : 2021年2月1日(月) 午後7時10分から、
大垣ケーブルテレビ「チャンネルOCT」
○大垣ケーブルテレビ 公式サイト https://www.ogaki-tv.co.jp/choct/sp/
○大垣ケーブルテレビ 公式ツイッター
【からくり人形師】12ch
— 大垣ケーブルテレビ (@ogaki_tv) February 1, 2021
日本に数えるほどしかいないとされるからくり人形師。100年先に残るようにと技を追い求めてきた職人人生。最後の仕事となった大垣市十六町のからくり制作から、後藤大秀の思いを見つめました。
放送日時:2月1日(月)~5日(金)19時10分~他#からくり人形師 pic.twitter.com/A6Pe8MM4Tl
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昨年から3か年をかけて、「大垣祭り〔ユネスコ無形文化遺産・国重要無形民俗文化財〕・中町 布袋軕(ほていやま)」(岐阜県大垣市)の完全復元事業が行われています。その最後を飾る、天井画(天井絵)制作を、私が受け持つ事になりました。本年辺りから、本格的な下図制作に入る予定です。
大垣祭りは、2015年に国指定重要無形民俗文化財に、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録された、日本を代表する盛大なお祭りです。伯父・後藤大秀さんの からくり人形は、この大垣祭りの軕(やま)に乗せられて、毎年5月にご披露されます。
布袋軕再建は、文化庁からの文化財保存事業費/国宝重要文化財等保存・活用事業費補助金の交付を受けての、大垣市の文化振興・文化財保護整備事業として、大垣祭保存会の主導による大垣市・大垣市教育委員会を挙げての大型復元事業です。また、この布袋軕再建は、伯父・後藤大秀と甥・後藤 仁の二世代の作家による、壮大なコラボレーション作品とも言える、歴史的 大創作事業になるのです。
私は、この制作を通し、私自身の芸術への意気込みや、伯父への思慕のみならず、大垣市民から岐阜県民・日本国民の祭り好きの皆様のご期待に応えるべく、また、阪神大震災・東日本大震災への鎮魂や、また今回のコロナ禍を受けて、病気・疫病平癒への深い祈りを込めた、誠にかけがえのない大切な創作になると思っています。全身全霊、精魂を傾けて創作に望みたいと、気合を入れています。
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【からくり人形師・後藤大秀 略歴】
後藤大秀(ごとう だいしゅう、1929年~2020年、本名は後藤秀美 )は、岐阜県・愛知県を中心に活躍した著名な「からくり人形師」であり、後藤 仁の伯父(父の兄)でもある。
〔概要〕
現在、日本で本格的な「からくり人形師」として活動しているのは数名しかおらず、後藤大秀は日本を代表するからくり人形師の一人である。全国的にも有名な大垣祭、大津祭といった祭りの、「山車からくり(だしからくり)」の完全復元や修復を多く手がけた。(この場合の復元とは、昔の人形を基に全く同じ姿形の人形を新しく制作する事。修復とは、昔の人形の破損した箇所だけを作り直す事。)
なかでも、大垣祭の相生軕「神主友成」復元制作では、昔の人形は過去に紛失していた為、古い写真一枚と古老の証言のみを基に制作をしたので、この場合はほぼ完全創作と言える。
「からくり人形」は頭・首・手・足・胴・胴串等から出来ており、頭・首・手・足には木曽檜、胴には桜、軸は樫、ピンは竹、滑車類はツゲといった木材を、バネには鯨のヒゲを使用する。昔と変わらぬ道具や材料を使用して、人形一体を制作するのに一年はかかる。
後藤大秀の作品は、「能面打ち」修行でつちかった髪や目の繊細な線描きと、深い色合いの彩色や、「宮大工」時代につちかった高度な木工技術による、複雑なからくり仕掛けが特長である。
〔略歴〕
1929年 愛知県一宮市に生まれる。〔本名、秀美(ひでみ)。父は指物大工である。甥は日本画家の後藤 仁。〕その後、岐阜県大垣市に移る。
1948年 工匠の小寺浅之助に堂宮建築(宮大工)を学び(「金蝶園総本家 本店(大垣市景観遺産指定)」等の建築に参加)、のち数寄屋建築(茶室)を手がける。
1950年 大垣祭の大黒軕(三輌軕)「保管箱(厨子)」制作。
1980年 能面打ち師の東 安春(堀 安右衞門の弟子)に師事し、能面打ち修行をする。(つまり後藤大秀は、能面打ちでは、堀 安右衞門の孫弟子にあたる。)
1984年より、「からくり人形」復元制作を始める。名古屋市 戸田まつりの四之割「宙吊り小唐子」「肩車大唐子」「采振り童子(ざいふりどうじ/采振り人形)」復元制作。
1988年 「大垣市市展賞」受賞。
1991年より、名古屋市筒井町 天王祭の神皇車(じんこうしゃ)「神功皇后(じんぐうこうごう)」「武内宿禰(たけのうちのすくね)」「面かぶり巫女」「采振り童子」復元制作。
1992年 大垣市東地区センター能面の会 講師。
1994年より、大垣祭の相生軕「神主友成」「住吉明神」「尉」「姥」復元制作。
1994年 豊田佐吉記念「トヨタ産業技術記念館」(名古屋市)に唐子人形を制作納入。
1996年 大垣祭の相生軕「神主友成」「住吉明神」完成。
1998年 「大垣市教育功労賞」受賞。
1999年 大垣祭の相生軕「尉」「姥」完成。大垣祭の愛宕軕「武内宿禰」「神官人形(狂言師人形)」復元制作。大垣市美術家協会 理事。「第14回国民文化祭」(岐阜県高山市)で、からくり人形の制作実演。
2000年 大垣市市展 審査員。
2001年 大津祭の龍門滝軕「鯉」復元制作。大垣祭の浦嶋軕・布袋軕「采振り童子」復元制作。
2003年より、名古屋市 広井神明社祭の二福神車(にふくじんしゃ)「恵比寿人形」「大黒人形」「采振り童子」復元制作。
2005年 岐阜県神戸町町展 審査員。
2007年 「大垣祭り出軕運営委員会 功労賞」受賞。「後藤大秀 からくり人形・能面展」(名古屋市博物館)開催。
2009年 「全国山・鉾・屋台保存連合会 人形関係修理技術者」認定(当時は全国で3名のみ、現在は4名のみ認定)。大垣祭の布袋軕「倒立唐子人形」「布袋人形」復元制作。
2013年 「全国新作能面公募展」秀作受賞。
2014年 常滑市大野橋詰町 尾張大野祭の紅葉車(こうようしゃ)「逆立ち唐子」「采振り童子」復元制作。
2015年 大垣祭が「国重要無形民俗文化財」指定。「全国新作能面公募展」能楽の里賞受賞。
2016年 大垣祭、亀崎潮干祭が「ユネスコ無形文化遺産」登録決定。
2017年 「岐阜県伝統文化継承功績者顕彰状」授与。「全国新作能面公募展」審査員特別賞受賞。津島市 津島秋祭・七切祭(ななきりさい)の麩屋町車「湯取神子」「笛吹人形」「鼓打人形」、池町車「逆立ち唐子(唐子遊)」復元制作。
2018年 「大垣市功労章」授与。「後藤 仁 日本画・絵本原画/後藤大秀 からくり人形 展」(赤穂市立美術工芸館 田淵記念館)開催。
2020年9月 91歳にて逝去。
〔その他〕
後藤大秀が修復した「からくり人形」が使用されている山車。
大垣祭の菅原軕、榊軕、愛宕軕、神楽軕(三輌軕)
大津祭の郭巨軕
名古屋市 戸田まつりの一之割、三之割、五之割
羽島市 竹鼻まつりの福江町・上町の山車
大垣市 綾野祭の猩々軕
半田市 亀崎潮干祭の東組宮本車
津島市 津島秋祭の麩屋町車、池町車 他
「名古屋まつり」には、筒井町 天王祭の神皇車と広井神明社祭の二福神車が登場する。
「はんだ山車まつり」(愛知県半田市)には、半田市 亀崎潮干祭の東組宮本車が登場する。
後藤大秀の「からくり人形作品」は、名古屋市博物館、神皇車保存会、トヨタ産業技術記念館(名古屋市)等に収蔵されている。