2020-11-15
東京藝術大学デザイン科「後藤 仁 金唐革紙・絵本 特別講義」開催
今年は、新型コロナウイルスの影響で大学構内の大浦食堂が休みではないかと思い、谷中霊園で昼食のおにぎりとパンを食べてから、東京藝術大学に向かいました。私も多くの人前で絵画講師・講義等をする立場上、ウイルス感染にはできるだけ注意しており、都心に出るのは、実に今年の1月以来です。大学までの道すがら、大学時代に一度行ったことがある、愛玉子(オーギョーチイ/中国や台湾で食べられている、ゼリー系のデザート)の有名な店の前を通り、旧吉田屋酒店を少し見物してから向かいました。



東京藝術大学デザイン科での「後藤 仁 特別講義」は、2017年から毎年開催していますが、例年は、1限目に大学の教室で「金唐革紙の歴史とデザインの変遷」の話をして、2限目に実際に私が製作した金唐革紙(手製高級壁紙/国選定保存技術)が貼られている、「旧岩崎邸庭園(国指定重要文化財/台東区池之端)」に訪れるという内容です。
しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で、授業自体がオンライン・リモート授業になりましたので、1限目は通常と同じ「金唐革紙 講義」ですが、2限目には私の本業である日本画による「絵本」制作の話をしました。
私の作画絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)の制作・取材旅行秘話を中心に、滅多に他人に見せない貴重な旅のスケッチブックや写真、絵本のダミー(ラフスケッチ)・色校正・完成絵本を何種類かお見せしながら、絵本の制作過程を丁寧に解説しました。





受講学生は東京藝術大学デザイン科 大学院生が25名位いるそうですが、リモートなので学生達の表情・反応も分からず、どこまで創作の熱意が伝わったかは不明です。しかし、これからの日本の美術・デザイン界を担う若者達が、この私の拙い講義を、どこかに・何かに活かしていただけるのなら嬉しい事です。今回はリモート授業という形でしたが、なかなか珍しくて、それなりに面白い経験となりました。
絵師(日本画家・絵本画家、東京藝術大学デザイン科 非常勤講師) 後藤 仁
テーマ : 展示会、イベントの情報
ジャンル : 学問・文化・芸術