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2018-10-03

「日中藝術展 ─ 一衣帯水 ─」、中国上海の旅 後藤 仁(后藤 仁)その3

(その1から続きます。その3からは、カテゴリが「写生旅行(海外)」に変わります。)

 2018年8月24日~28日にかけて、中国(中華人民共和国)上海の雲間美術館にて、「日中藝術展 ─ 一衣帯水 ─」が開催されました。私はその展覧会に合わせて、24日から31日まで上海を訪れ、周辺を散策しました。

 8月27日(月)は朝、雲間美術館に立ち寄った後、作家(伊東正次さん、早川 剛さん)と美術館スタッフとコーディネーターの李さんと、「東方明珠塔」に向かいました。上海・外灘(ワイタン)の対岸に立つ、あの巨大な電波塔です。通常は何十分も並ばないと入れない程、客が多いのですが、雲間美術館館長のご紹介で私達はすぐに入場できました。これがいわゆる、中国の特権階級社会というものですかね・・・?。
 東方明珠塔の中も人だらけですが、展望台からは上海の高層ビル群が見渡せました。上海歴史陳列館という上海の昔の町並みを再現したコーナーは面白かったのですが、その他は賑やかな子供の遊び場という感なので、早めにここを出ました。
 外灘(ワイタン)を見たいという伊東正次さんのご意見で、川岸に出ました。対岸から外灘の古い建造物を、SM号スケッチブックに軽く描きました。今回の旅では帽子を忘れたので、日差し除けのためにタオルを頭に巻き付けました。これは、いかにも怪しい不審者ですな~、海外で度々職務質問を受けるのもやむを得ませんね・・・。
 今回の旅は展覧会のための訪中なので時間があまり取れないと分かっていましたが、スケッチブックを持参していました。8月26日の上海領事館ワークショップの前に、一人で外灘を訪れ、SM号スケッチブックに軽く一枚スケッチしましたが、結局、今日と合わせて、まだ2枚しか描けていません。搬出後、一人になった後に描けるといいのですが・・・。
 その後、皆で昼食を食べ、夕方、対岸の外灘に地下鉄で渡りました。李さんが外灘の夜景がきれいだと言うので、見に来たのです。確かにゴージャスな夜景です。ただ、ここも人がとても多いです。李さんは帰りが逆なので先に帰りました。
 「外灘観光隧道」(片道50元)とはどんなものか、一人旅ではまず行かないので、これを機会に伊東さん、早川さんと中年男3人で行ってみました。やけに値段が高いなと思っていたのですが、川底のトンネルを無人電動トロッコで渡るのです。トンネル内はイルミネーションが点滅して、結構、凝っています。子供なら喜ぶだろうな~。この日は伊東さん、早川さんと一杯やって、特に伊東さんと熱過ぎる日本画談義をしました(私達は完全なる日本画・芸術バカなのですな)。


上海旅行26日 朝。今回の宿、「南泉大酒店」。部屋と朝食は言う事なし、スタッフのサービス意識と笑顔を向上してよ!!

上海旅行27日。早川 剛さん撮影、外灘をスケッチする私。確かに怪しい~ (*´з`) 

上海旅行27日。外灘(ワイタン)の夜景。「さあ、ここで問題です・・・右と左、どっちのおっさんが私でしょう?」

 28日(火)は午後から搬出なのですが、午前中に雲間美術館に行って、李さんのご案内で「上海博物館」を訪れました。ここには数年前の中国取材旅行でも訪れていますが、入場無料なのに、とても優れた美術品が膨大に鑑賞できる、素晴らしい美術博物館です。スケッチする時間がないので早足で回り、写真撮影可なので大量に撮影しました。宋元明時代の中国絵画や、中国少数民族の衣装等の展示は白眉です。ただ、美人画の名品陳列は少なかったですね。
 午後は名残惜しいですが作品搬出をし、雲間美術館に私の日本画作品 『葡萄』 (F6号)一点を寄贈しました。これは雲間美術館の正式な収蔵作品になります。

雲間美術館雲間美術館館長 徐迪旻 氏への日本画作品『葡萄』(F6号) 寄贈

 29日(水)からは一人なので、いつもの旅のように自由に散策します。朝、宿の南泉大酒店から地下鉄・蒲電路駅に向かう途中で、面白そうな市場を見つけました。花鳥市場と食品市場が併設されており、大きめのスーパーもあります。ガイドブック「地球の歩き方」にも載っていない、超ローカルな市場です。ここで大概のものは手に入りそうです。
 豫園辺りは数年前にぶらついたので、今回はまず、上海の名刹、「静安寺」を訪ねました。巨大な仏教寺院です。境内には一匹の猫がいて、いい風情です。その後、絵本作家の和歌山静子さんのおすすめで訪れておきたかった、ポプラ社・蒲蒲蘭絵本館を探しましたが、近所の警備員に没有(めいよう/無いよ)と言われました?。たまたま、ポプラ社・上海オフィスの住所のコピーを持参していたので、そこへ行ってみると、巨大なビルの中に本当にオフィスがありました。海外旅行ではよくある話なのですが、今回も「無かったあるある」ですね(ガイドブック等には書いてあるのに、現地には何故か存在しない等)。上海オフィスの日本人担当者によると、地価が高くて上海の絵本館は今年から閉鎖したという事でした。残念~。
 上海のメインストリート・南京東路に移動して、小籠包の名店・佳家湯包(かかとうほう)で、小籠包(全種盛り 32元)と凝固血スープを食べました。なかなか美味しいですな。
 南京東路の近くの福州路辺りは書店・画材店が多く、幾つかの書店や小さな美術館を見て回りました。上海書城という巨大な書店ビルがあり、児童書売場には中国や欧米の絵本に混ざって、日本の絵本の翻訳本もたくさん置いてありました。5年余り前に北京の巨大国営書店・新華書店を見た時には、何故か日本の絵本は全く見当たらなかったので、北京と上海の差もあるのかも知れませんが、わずか数年で中国の書籍流通業態の大きな発展が見られました。画材店で、岩絵の具(中国では種類は少ないです)、中国筆、中国紙、印泥(いんでい/朱肉の事)等を購入して、宿に帰りました。帰る途中、朝に見つけた市場で、土産の緑茶等も買いました。

上海旅行29日。上海花鳥市場。

上海旅行29日。「静安寺」 今の上海を象徴する如く、寺院の背景には近代的な高層ビル群が。

上海旅行29日。静安寺の猫。ネコとハスの扉の組み合わせが素敵ね~。

上海旅行29日。佳家湯包(かかとうほう)の小籠包と、凝固血スープ(正式名は忘れましたが、多分、豚の血を固めた具のスープ)。

 30日(木)。明日は早朝から帰国航空便に乗るので、今日が散策最終日です。本当は杭州・西湖に行きたかったのですが、時間が無いので、日帰りが可能な水郷の街・「西塘(せいとう)」に行く事にしました。私はもちろん、それが目的ではないのですが、トム・クルーズ主演の映画「M:i:Ⅲ(ミッション:インポッシブル3)」で撮影された町として有名だという事です。前日に、上海旅游集散中心総駅で、西塘までの往復バス代(50元)と西塘入域料(100元)が込みで150元のツアーチケットを購入してありました(基本的に海外の長距離バスは前日購入のものも多いので、特に込み合う路線では確認が必要です)。
 朝9時15分、上海発の長距離バスで西塘に向かいます。隣の席には偶然、日本人の大学生が一人乗っていたので(バス会社が気を利かせてくれたのでしょう)、私はずっと、これまでのアジアの旅の話をしていました。世界的な視野を学生時代から養おうとする、意気盛んな若者に出会えるのは嬉しいですね。
 1時間30分弱で西塘に着きました。若者はそのまま烏鎮(うちん)まで行くそうです。ガイドブックに書いてある停留所とは異なる路上でバスから降ろされたので、帰りのバスの発車場が分かりにくいです。この辺りは、アジア圏はどこもいい加減ですね。
 西塘は入域料こそ取るものの、ネパールのバクタプル・パタンのように街の保全に使うための料金だと思っていましたが、ここ西塘は完全にテーマパークのように整備され尽くし、無理に残され・作られた、形骸化した死せる街のような体で、少し残念でした。中国はどこもかしこも観光のために再開発され尽くしていきます。普通に人が住み・往来によって作り上げられてきた、自然な街や土地の歴史的美観というものを、あまり顧みていないのでしょうね・・・。疑問は多いのですが、物質的豊かさを求める人の性、それも仕方ない事なのでしょうか・・・。
 それでも西塘は、そんなものだと思えば、それなりに面白い風情が保存された街です。気を取り直して散策します。街を2時間位ぶらついても、16:30 発のバスの帰り時間までには2時間は時間が取れそうなので、そこで町並みを写生したいと思っていました。
 街を歩いて行くと、絵を描いている若者が数人いるので、聞いてみると美術高校生だと言います。「好(はお/良い)!」等と声をかけて、一緒に皆さんと記念撮影しました。誠に怪しい日本人ですな~。多分、学校の課題なのでしょうが、絵を熱心に描く若者が嬉しかったのです。
 しばらく行くと、人も減りだし、閑散として来ました。1時間余りで、メイン通りを抜けたようです。少し道を戻って、昼なので、食堂(小さなフードコートのような)で食事をしました。最終日なので私のテンションも高めです。漢民族の料理だけではなく、西域風の料理を売っている店などもあり、それなりに面白いです。親子・家族で観光に来るには楽しい場所でしょうね。10㎝位ある黒光りしたサソリの串刺しを売っていたので、北京等の屋台で前から気になっていたので、ここで注文しました。少し素揚げし直して、唐辛子をまぶして完成です。幾つかの店舗の料理を購入し、席に着いて食しました。サソリはすごく硬めの沢蟹といった感じで、癖や臭みはないです。中国風おこわ等、どれもなかなか美味しくて、最後にデザートの愛玉子(オーギョーチー)をいただき終了です。
 こうして、変なうかれた日本人が一人食事をしているのは、目立つのでしょうか・・・。食事を終えて店を出て、いつもの癖で、各ポケット等を確認すると(海外はスリが多いからです)、胸ポケットに入れていたバスチケットがありません。「ここに来て、やられたか!!」 胸ポケットから落とす事は考えにくいので、スラれたのでしょう。さすがにアジア旅にそれなりに慣れた私と言えど、入場料を払った敷地内で、胸ポケットからスラれるとは、思ってもみませんでした。ましてや、25元分の帰りバス代だけ残った紙きれを・・・。きっと、もっと良いものだと思ってスッたのでしょうが、どう転売するものやら、理解に苦しみます。フードコートは結構、人が多かったし、場に不似合いな男が3~4人で横並びにこちらに向かって歩いて来たので、今考えると、彼ら辺りは怪しいですね。いずれにしても、胸ポケットからスルのですから、相当な手練れです。これだから中国辺りのアジア旅は要注意なのです。ただ、私もこの類には慣れており、本当に大切な財布等は絶対盗まれないように、ここでは言えませんが、かなり念入りな気配りがしてあります。(中国でも、上海市内に関しては、日本に近い位、結構、治安は良い方で、夜も女性が独り歩きできる位です。ただ、一歩、上海から出ると治安はどんどん悪くなっていきます。)すぐに警備員・係員にチケットが盗まれた事実を伝え、警備に気を入れるように言いました。ただ、今回は少額なので、時間が取られるし、警察には訴えない事にしました。
 旅のトラブルには慣れているとは言え、これでテンションがガタ落ちです。写生する気力も失せ、帰りの長距離バスがあるかどうかが気になり、すぐに帰る事にしました。こうして今回の旅では、SM号2枚しかスケッチできなかったのです。通常の長距離バスの発着場で、上海行きを求めると、10分後に13:30 発があると言います。バス代は27元でした。大都市行きはどこも厳重な警備で、パスポートを見せ、セキュリティチェックを受け、バスに乗り込みました。1時間30分程で、上海火車駅近くにバスは着きました。明日の朝はかなり早いので、今日はむしろ早めに宿に帰った方が良かったのかも知れませんね。

上海旅行30日。「西塘(せいとう)」にて、美術高校の若者達と。

上海旅行30日。「西塘(せいとう)」の食堂。サソリのインパクトもすごいが、どれもなかなか美味しいよ~。

 31日(金)、早いものでもう帰国日です。飛行機は朝8:25 発なので、急がないといけません。早朝、4:30 過ぎに宿をチエックアウトし、一駅分多く歩いて地下鉄・世紀大道駅まで行きました。始発が遅くて、6:11 にようやく来たので、それに乗って、上海浦東空港に向かいます。7時過ぎに空港に滑り込んで、空港内を走って、急いでチエックインしました。まるで、銀河鉄道999の旅さながらです。いくら私が旅慣れているとは言え、行きも帰りも、これでは時間的にギリギリなので、来年はもう少し早めにチケットを手配し、少し余裕を持った旅にしたいものですね。
 今回の旅も短期間ながらに、色々とミニトラブルがありましたが、旅とはそんなものですね・・・。

 8:25 上海浦東空港 発 → 12:20 羽田 着、ANA NH0972。日本の旅客機は、機内の映画・音楽リストがいいですね・・・、音楽をノリノリで聴いている内に日本に到着しました。羽田空港の荷物待ち(通常、私は荷物を預けないのですが、今回は作品があったので預けたのです)で、ビーグル犬のようなカワイイ麻薬犬が、私の両足を後ろからチョンチョンと突いていったので、面白くてふり返ると、係員が怪しい奴と見たようで、再びビーグル犬を連れて前から戻って来ました。おかげで再び両足をチョンチョンされました ♡ 。
 今回の展覧会旅は、それなりに疲れましたが、精神的な収穫も多く、実に面白く興味深い、海外でのグループ展の経験となりました。来年も、このグループ展が開催される予定です。先の事は何も分からない、明日をも知れぬ絵描き道なれど、来年も参加できるといいですね・・・・。

 日本画家・絵本画家  後藤 仁

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プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。
○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。
○東京藝術大学・デザイン科非常勤講師。東京造形大学・絵本講師。金唐革紙保存会 主宰。日本美術家連盟(常任理事:中島千波先生 他)会員。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員・理事。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。千葉県松戸市在住。

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絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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