2016-12-28

近況報告:童美連サロン、鈴木出版絵本制作、童美連忘年会、この本だいすきの会 年の暮れ集会 他

 〔近況報告です〕
 2016年11月29日は、日本児童出版美術家連盟(童美連)の、『2016童美連サロン4「今、大活躍の絵本編集者をお招きして!」』 に参加しました。
 チャイルド本社の浅野久美子さん、くもん出版の堤 嘉代さんをお招きしての講演・質疑応答でした。今、最も現場で動いている、お二方のお話は誠に為になるものでした。浅野さんとは、先日の「太田大八さんをしのぶ会」の後のカラオケ会で、黒井 健さんらと共に歌ったばかりです。
 質疑応答は星野イクミさんの司会進行で行われたので、終始、和やかな雰囲気で、わざわざお越しいただいた編集者に結構気を使われた感じでした。ただ、編集者を戸惑わせる位の作家ならではの鋭い質問はなかったので、余程、私も質問したいと思いましたが、ここは今の童美連 事業部 部長・副部長の高木さんご さん、石川日向さんの方向性にお任せしました。
 時に私は、あまりに相手の深層(本心)をつく意見を述べる場合があるので、今までも多くの画商(絵本業界で例えると、出版社編集者と出版社経営者と営業担当者を合わせたような存在)と上手く行かない場面があったのかなと反省しなければいけない部分もありますね・・・。ただ、それ位の意見を述べ合えても続く関係が、本当は最も良い作品が生まれる環境とも言えるのですが・・・、なかなか今の時代では難しそうですね。

 12月3日は、午前中のNHK文化センター柏教室「デッサン入門講座」の講師(私が教える日本画・水彩画・デッサンの5つの教室の中では一番人数が多いです)を終えた後、松戸の「松戸神社・神楽殿」が修復され杉戸絵・天井絵が一般公開されているというので見て来ました。明治時代の作品ですが、なかなか良い絵です。

 12月8日は、新作絵本制作の打ち合わせに巣鴨まで行って来ました。まずは、巣鴨の「とげぬき地蔵尊・高岩寺」に参って、塩大福を購入。巣鴨の絵本出版社というと、日本の絵本出版社の最大手・福音館書店と思うでしょうが(福音館書店ビルでも、前の絵本制作時に打ち合わせをしましたが)・・・、今回は素通りして、実は老舗児童書出版社の鈴木出版(すずき出版)なのですね。
 打合せ時間の1時間前に着いたので、近くの「六義園」に寄って(最初からその予定だったのですが)、蓬莱島をSM号スケッチブックに20分ばかりスケッチ。その後、鈴木出版で絵本制作の打ち合わせをして帰って来ました。来年9月出版予定の月刊絵本「こどものくに」であるとまで言っておきます。詳しい内容はまだ話せませんが、良い絵本になりそうですので、お楽しみにしていて下さい。

鈴木出版(すずき出版)鈴木出版(すずき出版)

六義園「六義園」 この季節 紅葉がきれいでした~


 12月18日東京造形大学「絵本講師」の履歴書(学歴、職歴、著作物・展覧会の経歴 等)は、非常勤講師といえど10枚も書かないといけないので、内容をまとめて書き終えるのに3日もかかって(もちろん他の仕事をしながらですが)、この日、無事送付しました。一応、内定しているとはいえ決定している訳ではないので、後は選考審査を待つのみです。
 週に1回、3時間だけの「絵本講義」ですが、通勤に往復5時間余りかかるので、制作やその他の雑事も加えて、来年はますます大変になりそうです。

 12月20日は午前中、鈴木出版(すずき出版)の新作絵本用のパネル製作を途中まで行いました。パネルを画材店で購入すると案外高いので、手間はかかるのですが、ほとんどの場合は自分で木材を買って来て作るのです。
 昼過ぎから日本児童出版美術家連盟(童美連)の著作権部部会で、今後の「著作権勉強会」のあり方について話し合いました。次に、童美連理事会に出席し、その後、伊勢丹新宿店の「宇野亞喜良 展」に立ち寄ってから、童美連忘年会に参加しました。定員の60名で大いに歓談しましたが、毎年開催されて来た居酒屋も今年限りで閉店するとの事で、私はまだ3度目の参加ですが、時代の流れを感じます・・・。 
 閉会後、猫のダヤンで有名な池田あきこ さん、絵本作家のひらてるこ さん、東京造形大学の講師でもある小宮山逢邦先生、沢田真理先生らと共にカラオケをしました。池田さんはダヤンのように大騒ぎ~、何て元気な人なんだ。ひら さんの沖縄民謡は超上手でした。私はもっぱら、松山千春やさだまさし、佐野元春 等のニューミュージックという今ではほとんど死語となったジャンルを熱唱します。

 12月26日27日は、「第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会」(市川グランドホテル)に参加しました。昨年は仕事の都合がつかずに2日目だけしか出席できなかったので、今年は予定を組み込み全日程参加しました。
 1日目、26日は、絵本作家・イラストレーターの村上康成さんの講演「絵本をめくる、めくるめく時 ~自然の歌をききながら~」を拝聴。釣り好きの村上さんのお話は、とても面白いエピソードばかりで楽しめました。村上さんの絵本作品の、余白を活かしたシンプルなデザイン表現は、実に洗練されています。村上さんのサイン会では、絵本『ピンクとスノーじいさん』(徳間書店)を購入してサインをいただきました。ここでも、サイン会の補佐役をされていたチャイルド本社 編集部の浅野久美子さんにお会いしました。
 夜5時からは「年の暮れ集会 児童文学作家・画家・編集者を囲む交流会」がありました。私は今年も一会員として参加しましたが、日頃から童美連 等でお世話になっている方や、お久しぶりにお会いする方や、初めてご挨拶する方もおられました。会場は、200名弱の作家や編集者や会員で大いに盛り上がりました。
 最近、私は少々疲れ気味でもあり、家まで自転車で30分余りかかるので、二次会には出ずに、この日は一旦帰りました。

 2日目、27日は、童心社 編集長の大熊 悟さんの講演会「ずっと子どもと もっと子どもと ─ 児童図書と紙芝居について」を聴きました。絵本や紙芝居に対する真摯なお考えが垣間見えて、大いに共感する部分がありました。
 童心社や福音館書店 等の絵本出版社は、「絵本」に対する制作理念がしっかりしているのが良い所です。それでも、これからの時代は厳しい時代になっていく事でしょう。童心社からは前に私にも絵本制作の打診があり、アトリエで打ち合わせまでしたのですが、なかなか内容がつめられずに延び延びになっています。近年の出版不況で絵本業界も保守的にならざるを得ないのか、バブル期以前に出版実績が豊富にあるベテラン作家の方に依頼が集中し、若手が絵本を出版するのは極めて困難になっています。まれに40代以下の若手作家で売れっ子の人もいますが、その多くは大衆迎合しやすい軽くて通俗的で、崩しマンガ的な(本来のマンガのレベルに到達していない)作風の絵描きばかりです。(私はマンガやアニメの本質的な芸術性を高く評価しており、手塚治虫、水木しげる、萩尾望都、松本零士、矢口高雄、宮崎 駿さん等は大好きなのですが、その流行に乗じた低品質のマンガもどき作品が膨大にあるのを懸念しています。)本当に才能のある新人がどんどん作品を出して行ける世の中でないと、日本画も絵本も・・・文化全体が先細りして行くのは目に見えています。しかし、世界中の現状を考慮すると致し方無い事なのかも知れません・・・・。私などは微力ながら、一芸術家として、ただただ頑張るのみです。
 こうして、この2日間は誠に充実した時間となりました。この集会が今年最後の大イベントで、後は少しずつ鈴木出版の新作絵本制作を進めながら、大掃除をして、年を越すだけです。しかし、本格的な絵本作画は来年からになりそうです。

第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会「第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会」 絵本作家・イラストレーター 村上康成さんの講演  最後はウクレレ演奏もご披露~

第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会「児童文学作家・画家・編集者を囲む交流会」 この本だいすきの会・代表 小松崎進 先生のご挨拶

第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会村上康成さんと私

第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会児童文学作家 内田麟太郎 先生と私

第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会絵本作家 小林 豊さんと私

第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会絵本作家 きむらゆういち さんと私

第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会絵本作家 長谷川知子さんと私

第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会「第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会」 最後の大団円


 今年も制作から雑事まで実に忙しい一年になりましたが、東京造形大学の絵本講師や新作絵本制作の本格化 等、来年は今年以上に忙しくなる事は間違いないでしょう。変にマメな私は、空いた時間を見ては、できるだけフェイスブックやブログ等に近況や思った事をまとめてきましたが、来年4月以降は今までほどネットにアップする事も不可能になるでしょうかね・・・。
 今年一年誠に有難うございました。来年が皆様にとって良い年になります事を願って、来年もよろしくお願い申し上げます。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁


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2016-12-25

東京藝大(東京芸大)という恐るべき所

 私はおよそ20年前の1996年に、東京藝術大学 美術学部絵画科 日本画専攻を卒業したのですが、競争率20倍以上(当時の日本画専攻)の日本屈指の難関大学といえど、所詮は学生・・・卒業してから”絵”を続ける方がはるかに困難な路なのです。とはいえ、ごく最近は東京藝大の優位性・存在価値もほんの少しずつながら低下気味のようですが、今もその重厚な存在感は美術・芸術界で抜きん出た地位を占めています。一つの評価指標でしかありませんが、美術系の文化功労者・文化勲章受章者の大半が東京藝術大学卒業生だそうです。
 しかしながら最近、絵本業界で活動していると、若いイラストレーター・絵本作家になるにつれ東京藝大の”すごみ”を知らないようですね。東京藝術大学の”すごみ”というのは、入学する難しさや描写技術の高さや「肩書」だけなのではなく、そこを出身とする芸術家の歴史的な層の厚さと人脈の強大さなのです。日本画家はいうまでもなく、横山大観、菱田春草から始まり、高山辰雄、東山魁夷、平山郁夫、加山又造、中島千波、千住 博 先生まで著名日本画家のほとんどが東京藝術大学卒業生です。絵本作家では、いわむらかずお さんや西巻茅子さん、最近では酒井駒子さん等が有名です(酒井さんは油画専攻ですが、私とほぼ同期です)。
 日本美術史をさかのぼると枚挙にいとまがないので、東京藝大の権威や作品レベルもやや落ちつつあると考えられる昨今ですが、私が在籍していた頃だけ、今すぐ思いつく分だけを見てみましょうか・・・。


 私が大学時代に最も仲良くしていた日本画専攻の同じクラスの3~4人のメンバーの中に、文部省か文化庁の役人(記憶が少々あいまいですが、その当時には省庁を辞められて大学教授をしていたらしく、平山郁夫 先生とも知り合いだったそうです)の娘さんがおりました。彼女は随分と個性的で面白い人でしたが、その後、有田焼の家元・酒井田柿右衛門の息子さんと結婚しました。そんなご縁で、柿右衛門邸を案内していただいた事もあります。お二人の結婚披露パーティーでは、千代田区の一等地にある彼女のマンションで、お二人らとともに垂れ幕等の制作をしました。酒井田 君が案外不器用だった印象もありますが、威張り気のないとても人のいい方です。その酒井田 浩 君も2年前位に15代 酒井田柿右衛門を襲名して、先日はNHK番組に出演しているのを見ましたが、彼も今では日本伝統工芸界の大物の風情です。
 日本画専攻の私の少し後輩には、千家十職(せんけじっそく/茶道に関わり三千家に出入りする十の職家を表す尊称)の一つで京焼の家元・永樂善五郎のお孫さんもいました。彼とは金唐革紙(きんからかわし/手製高級壁紙)の復元製作で一緒に仕事しましたが、「手が痛い痛いで・・・」と嘆きつつ、一か月程で彼は辞めていきました。彫刻科の後輩には、関西で有名な竹工芸作家家系の田邊竹雲斎の息子さんの田辺小竹 君もいました。彼は私と同じ大阪市立工芸高校 美術科の卒業生でもあります。最近は日本の百貨店や海外でも個展を開催して活躍しています。日本画専攻の少し先輩には、上村松園のひ孫さんもいました。このように東京藝術大学には、著名で歴史的な日本画家や職人家系のご子孫が多く在籍しているのも特徴です。

 当時の日本画専攻 博士課程には村上 隆さんが在籍していましたが、私は美術予備校・立川美術学院 日本画科でも彼にデッサン・水彩画(着彩)を学びました。彼は大学卒業後、現代アートの路を歩み、日本を代表する現代アートの奇才になったのはいうまでもありません。私が藝大に入学する少し前には千住 博 先生が在籍していました。先輩に聞くと、医者の息子の千住 先生は、当時スポーツカーで学校に通って来ていたらしく、教授から「苦学生もいるのだから止めてくれないか・・・。」と言われる位の羽振りだったらしいです。
 さらに、日本画専攻の少し先輩にはタミヤ模型の社長の娘さんもいましたし、私と同じクラスには神奈川県で1~2を競う富豪の家柄だとか噂される娘さんもいました。このように学内に、社長・会長や富裕階級のご子息・ご息女が多いのも東京藝術大学の特徴です。
 教授陣も当時は、平山郁夫 学長をはじめ、名誉教授に高山辰雄 先生、教授に加山又造、後藤純男、田淵俊夫、福井爽人 先生 等、当代の超一流日本画家が教えていました。現在の東京藝大 日本画専攻の教授陣は、当時と比べると見劣りする感は否めません。

 その他にも、美術大学で講師をしたリ各分野で大活躍する美術家・日本画家等が、先生・先輩・同輩・後輩に数えきれないほどいるというのが東京藝術大学の本当の恐ろしい所であり、”すごみ”なのです。東京藝術大学 日本画専攻のクラスの半分位は、著名な作家の家柄や裕福な家系の人々で、残りの半分が私のような中流階級から少し貧しい家庭の子供なのです。また、3分の2以上は首都圏出身者で、地方出身者は極めて少ないです。当然ながら前者の方が将来出世する可能性はぐんと増しますので、私のような地方出身の一般人は相当苦労する事になるのですが・・・。
 しかし、それらの全ての方々と今も交流が続いているという訳ではありませんが、若い頃から、いわゆる一流作家の人脈の中で勉学できた事は、今になって考えるととても良い環境であったかと思っております。学生時代には権威・権力に対する矛盾・反発を感じた事も度々ありましたが、年を経て今振り返ると、良い面悪い面があるにせよ、実に素晴らしい経験だったと思うのです。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁


立川美術学院 日本画科「美術予備校・立川美術学院 体育祭」(1989年10月) 村上 隆さん、中村寿生 君と私。現在は現代アートの第一人者として知られている村上 隆さんですが、当時は東京藝術大学 日本画専攻の博士課程に在籍し、立川美術学院 日本画科で講師をしていました。左は美術学院の同級生の中村寿生 君(現在、文星芸術大学 日本画専攻 准教授・講師)。

酒井田柿右衛門 邸「酒井田柿右衛門 邸 ─ 柿右衛門の名の由来になったという柿の木の前にて」(1999年8月) 酒井田 浩 君(14代柿右衛門 長男。現在、15代柿右衛門)と私。



佐賀新聞 (2014年3月29日): 十五代柿右衛門さん襲名 450人が祝福
 http://www.saga-s.co.jp/news/saga/10101/57310

 お偉くなったからか、近年さっぱり連絡をくれなくなったが、私の同級生だった酒井田晶子さんもお元気そうですな。あれ、お子さんもいるのね~

 

 

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2016-12-13

最近、「絵本」を語る日本画家に思う事


絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』表紙・表絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも) 表紙


『最近、「絵本」を語る日本画家に思う事』

 それにしても、ここ2~3年、やけに日本画家「絵本」を描いたり、「絵本原画展」を開く機会が多くなりましたね。それ以前はインターネットをほとんど見ていなかったので気が付かなかっただけかも知れませんが・・・。かく言う私も、2004年と2007年に開催した私の日本画個展に、福音館書店の編集者が来られてから、子供の頃(幼児期~中学校の頃)に憧れた「絵本」の魅力を思い出したわけですが・・・。
 ただ、それまでにも、卓上芸術である「物語絵」「絵巻物」を描きたいという強い思いがありましたので、それが「絵本」の世界観と自然に通じたわけです。現代の日本画は、写実的な風景画や写真的な現代女性の人物画が全盛で、会場芸術の大作主義が主流ですが、私の求める世界とは少し異なるのです。私は元々、物語性のある人物画(美人画)が得意なので、人物を描くケースが多い「絵本画」に合っていたという事実もあります。
 今の時代、「日本画」の売り絵だけで食べて行くのは至難の業です。日本画の世界はプロとセミプロ・アマチュアの区別がはっきりしていないですが、本格的に制作をしているプロの日本画家と言える人は500人足らずだと思います。その内、それなりに世間で名の知られた日本画家は100~150人位で、私もその一人に入るでしょう。更にその中で、一生を絵だけで食べて行ける日本画家は、多分、25~30人位しかいないと思います。それらのほとんどは団体展で高価値を付与されているか、商売の上手い人です。ただし、最上位の10数人は富豪と言われる豪奢な生活をしています。絵だけで食べて行けない、その他の95%位の日本画家は、絵画講師等の何らかの副業をしながら絵を描くか、裕福な家系のご子息・ご息女かです。日本画をプロとして10年以上継続できている人は東京藝術大学の日本画専攻卒業生(毎年26名)でも3分の1位の人(8~10名)だけで、美術大学卒業後5年以内に、絵の路を断念して絵筆を折る作家が大半です。
 当然、そんな苦しい環境下で、皆さん色々試行錯誤する事になります。その悪い方向性として、現代の日本画家はすぐに他人のマネ(模倣)をしたがる嫌いがあります。ある作風・やり方(展開方法)が売れると(評価されると)、同輩・後輩がすぐにそのマネをします。例えば、東京藝術大学の日本画専攻では、私の在学していた頃に流行していた作風(田淵俊夫先生や福井爽人先生辺りの作品を模倣)が、20年後の今でも描かれています。この悪癖が今の日本画界のマンネリ化・類型化と衰退の加速化を助長しているとも言えるのですが・・・。思い過ごしかも知れませんが、私が「絵本」の世界に本格的に歩み出した頃から、私の周囲の日本画家が、今まで興味がないように見えた人までも、突然「絵本」「挿絵」等と叫び出した気がします。
 ただ、「日本画」の世界と同様、絵本・挿絵といった「出版美術」の世界も、長引く出版不況やデジタル化の波もあって、相当厳しい世界である事には変わりありません。中途半端に活動するのなら、何をやっても同じ事でしょう。もし、日本画家で「絵本」を目指される方がいるなら、本気で本腰を入れて事に当たらないと、絵本作家やイラストレーターの方にとても失礼な事になるでしょうね・・・。

 「絵本」の歴史を振り返ると、昔(明治の頃)は絵本作家・絵本画家や挿絵画家という職業意識はなく、日本画家(浮世絵師を含む)や洋画家が依頼されて絵本や挿絵を描いていました。大正・昭和時代以降、印刷美術・出版美術を活動主体とするデザイナー・イラストレーターが登場し、戦後、絵本の隆盛につれ絵本作家・絵本画家という職業が確立されて行きました。近年では、日本画家の秋野不矩先生や堀 文子先生等が絵本の世界でもご活躍し、かつては東山魁夷先生や稗田一穂先生等も絵本を描いていました。ただ、それらの作家は日本画家として確立された先生方なので、絵本は片手間の感をぬぐえません。日本画を用いた絵本作家では、赤羽末吉さんが有名ですが、赤羽さんの場合は逆に日本画はほぼ独学に近いので、さほど本格的な日本画家とは言えません。
 かつてはこの様に、日本画家等の純粋美術作家が「絵本」の作画を依頼されるケースが多かったのですが、現代では「絵本作家・絵本画家」という職業意識も確立していますので、やはり、日本画家があまり安易な見識で「絵本」を描くのは、それを活動主体とする絵本作家・絵本画家・イラストレーターの方々に失礼というものでしょう。
 そんな理由もあって私は、初絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)を出版した3年前位に日本児童出版美術家連盟(童美連)に所属し、日本画界での約33年(プロとして約20年)という長い経歴と自負を抑えて、絵本作家・イラストレーターの皆様に首を垂れ、絵本とその業界を基礎から学びたいと考えたのです。

 現在私は、日本画のオリジナル作品を描きながら、絵本の制作を並行しています。今、福音館書店「こどものとも」の新作絵本の制作が既に3年余り進んでいて、完成までには更に数年かかりそうです。また、来年出版予定の鈴木出版(すずき出版)「こどものくに」の新作絵本制作も進行中です。福音館書店「こどものとも」は1956年(昭和31年)創刊で、創刊号の絵は堀 文子先生によるものです。鈴木出版「こどものくに」は1967年(昭和42年)創刊なのでほぼ私と同じ年です。いずれも日本の月刊絵本を牽引してきた歴史ある有名な絵本シリーズです。
 私は、幼少期にはオリジナル漫画・紙芝居やイラストを描き、中学生の頃はアクリル空想画を描き、高校では大阪市立工芸高校美術科で本格的に日本画・油絵・彫刻・デザイン・製図・版画等を学びました。東京藝術大学日本画専攻で更に日本画を追求し、その頃から約12年間、金唐革紙(きんからかわし/金唐紙 きんからかみ、とも言う)という手製高級壁紙の復元製作を手掛けた経験もあります。私の伯父でもある、からくり人形師の後藤大秀さんの、からくり人形・能面制作から大きな影響も受けています。
 このように様々なジャンルが垣根を超えて交流し、折衷されては、また独立し、切磋琢磨していくのが本来の”ものづくり”の原点なのかも知れません。私も、もちろん路半ば、まだまだ修行の途上でしかありません。

 日本画家・絵本画家 後藤 仁

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2016-12-02

「大垣祭り」など山・鉾・屋台行事、ユネスコ無形文化遺産に登録決定 

『大垣祭り』 ユネスコ無形文化遺産に登録決定!! 

 私の伯父で、からくり人形師の後藤大秀が制作した「からくり人形」が乗せられて披露される、岐阜県大垣市の『大垣祭り』〔大垣祭の軕(ヤマ)行事〕が、昨年、「国重要無形民俗文化財」に指定され、12月1日、「ユネスコ無形文化遺産」に登録決定いたしました。その他にも、伯父は、愛知県半田市の「亀崎潮干祭の山車行事」のからくり人形修復等も手掛けています。
 2009年には、後藤大秀が「全国山・鉾・屋台保存連合会 人形関係修理技術者」に認定され(全国で3名のからくり人形師のみ認定)、その技術の確かさが公の機関によって保証されました。
 伯父の「からくり人形」が活躍する『大垣祭り』 『亀崎潮干祭』の魅力が、日本中・世界中に広がっていくのはうれしい限りです。毎年5月に岐阜県大垣市で『大垣祭り』が開催されますので、ぜひ見に行って下さい。

 日本画家・絵本画家 後藤 仁


後藤大秀 からくり人形・能面展名古屋市博物館「後藤大秀 からくり人形・能面展」にて 後藤大秀と後藤 仁(2007年8月撮影)

大垣祭り 相生山「神主友成」大垣祭り 相生山「神主友成」(後藤大秀 作/1995年撮影)


【今回、ユネスコ無形文化遺産に登録された中で、後藤大秀が復元制作・修復を手掛けた山車】

●からくり人形 復元制作
 大垣祭の相生山 「神主友成」「住吉明神」「尉」「姥」
 大垣祭の愛宕山 「武内宿禰」「神官人形(狂言師人形)」
 大垣祭の浦嶋山・布袋山 「采振り童子」
 大垣祭の布袋山 「倒立唐子人形」
●からくり人形 修復
 大垣祭の菅原山、榊山、愛宕山、神楽山(三輌山)
 半田市 亀崎潮干祭の東組宮本車

 なかでも、大垣祭の相生山「神主友成」復元制作では、昔の人形は過去に紛失していた為、古い写真一枚と古老の証言のみを基に全てを一から制作したので、この場合はほぼ完全創作と言えます。



大垣市 公式ホームページ : ユネスコ無形文化遺産「大垣祭の軕行事」紹介動画を公開中!
ユネスコ無形文化遺産 山・鉾・屋台行事「大垣祭の軕(やま)行事」

http://www.city.ogaki.lg.jp/0000002628.html


大垣観光協会 公式ホームページ : 大垣・西美濃観光ポータル水都旅
大垣まつり

http://www.ogakikanko.jp/event/ogakimaturi/


大垣地域ポータルサイト西美濃
大垣まつり特集2016

http://www.nisimino.com/nisimino/tokusyu/ogakimaturi/#&slider1=12


【ニュース報道】

首相官邸:「山・鉾・屋台行事」ユネスコ無形文化遺産登録に当たっての総理メッセージ
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/discource/20161201message.html

外務省:「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載決定(外務大臣談話)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_002549.html

外務省:「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」への記載についての審議結果
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_003981.html

NHKニュース:山車が登場する33の祭り ユネスコ無形文化遺産に登録決定
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161201/k10010790831000.html

FNNニュース:「山・鉾・屋台行事」33件の無形文化遺産登録を決定 ユネスコ
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00343282.html

朝日新聞ニュース:山・鉾・屋台行事、無形文化遺産に登録決定 ユネスコ
http://www.asahi.com/articles/ASJD10P5GJCZUCLV01B.html

毎日新聞ニュース:無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」登録を決定 ユネスコ
http://mainichi.jp/articles/20161201/k00/00m/040/114000c

産経ニュース:「山・鉾・屋台行事」登録を正式決定 和食、和紙などに続き国内21件に
http://www.sankei.com/life/news/161201/lif1612010007-n1.html

時事ドットコムニュース:無形文化遺産に「山・鉾・屋台」決定=18府県33件の祭り-ユネスコ
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016120100044&g=soc



 

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プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。金唐革紙保存会 主宰。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。2017年度より東京造形大学、絵本講師に就任。千葉県松戸市在住。

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絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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