2016-12-28
近況報告:童美連サロン、鈴木出版絵本制作、童美連忘年会、この本だいすきの会 年の暮れ集会 他
2016年11月29日は、日本児童出版美術家連盟(童美連)の、『2016童美連サロン4「今、大活躍の絵本編集者をお招きして!」』 に参加しました。
チャイルド本社の浅野久美子さん、くもん出版の堤 嘉代さんをお招きしての講演・質疑応答でした。今、最も現場で動いている、お二方のお話は誠に為になるものでした。浅野さんとは、先日の「太田大八さんをしのぶ会」の後のカラオケ会で、黒井 健さんらと共に歌ったばかりです。
質疑応答は星野イクミさんの司会進行で行われたので、終始、和やかな雰囲気で、わざわざお越しいただいた編集者に結構気を使われた感じでした。ただ、編集者を戸惑わせる位の作家ならではの鋭い質問はなかったので、余程、私も質問したいと思いましたが、ここは今の童美連 事業部 部長・副部長の高木さんご さん、石川日向さんの方向性にお任せしました。
時に私は、あまりに相手の深層(本心)をつく意見を述べる場合があるので、今までも多くの画商(絵本業界で例えると、出版社編集者と出版社経営者と営業担当者を合わせたような存在)と上手く行かない場面があったのかなと反省しなければいけない部分もありますね・・・。ただ、それ位の意見を述べ合えても続く関係が、本当は最も良い作品が生まれる環境とも言えるのですが・・・、なかなか今の時代では難しそうですね。
12月3日は、午前中のNHK文化センター柏教室「デッサン入門講座」の講師(私が教える日本画・水彩画・デッサンの5つの教室の中では一番人数が多いです)を終えた後、松戸の「松戸神社・神楽殿」が修復され杉戸絵・天井絵が一般公開されているというので見て来ました。明治時代の作品ですが、なかなか良い絵です。
12月8日は、新作絵本制作の打ち合わせに巣鴨まで行って来ました。まずは、巣鴨の「とげぬき地蔵尊・高岩寺」に参って、塩大福を購入。巣鴨の絵本出版社というと、日本の絵本出版社の最大手・福音館書店と思うでしょうが(福音館書店ビルでも、前の絵本制作時に打ち合わせをしましたが)・・・、今回は素通りして、実は老舗児童書出版社の鈴木出版(すずき出版)なのですね。
打合せ時間の1時間前に着いたので、近くの「六義園」に寄って(最初からその予定だったのですが)、蓬莱島をSM号スケッチブックに20分ばかりスケッチ。その後、鈴木出版で絵本制作の打ち合わせをして帰って来ました。来年9月出版予定の月刊絵本「こどものくに」であるとまで言っておきます。詳しい内容はまだ話せませんが、良い絵本になりそうですので、お楽しみにしていて下さい。


12月18日、東京造形大学「絵本講師」の履歴書(学歴、職歴、著作物・展覧会の経歴 等)は、非常勤講師といえど10枚も書かないといけないので、内容をまとめて書き終えるのに3日もかかって(もちろん他の仕事をしながらですが)、この日、無事送付しました。一応、内定しているとはいえ決定している訳ではないので、後は選考審査を待つのみです。
週に1回、3時間だけの「絵本講義」ですが、通勤に往復5時間余りかかるので、制作やその他の雑事も加えて、来年はますます大変になりそうです。
12月20日は午前中、鈴木出版(すずき出版)の新作絵本用のパネル製作を途中まで行いました。パネルを画材店で購入すると案外高いので、手間はかかるのですが、ほとんどの場合は自分で木材を買って来て作るのです。
昼過ぎから日本児童出版美術家連盟(童美連)の著作権部部会で、今後の「著作権勉強会」のあり方について話し合いました。次に、童美連理事会に出席し、その後、伊勢丹新宿店の「宇野亞喜良 展」に立ち寄ってから、童美連忘年会に参加しました。定員の60名で大いに歓談しましたが、毎年開催されて来た居酒屋も今年限りで閉店するとの事で、私はまだ3度目の参加ですが、時代の流れを感じます・・・。
閉会後、猫のダヤンで有名な池田あきこ さん、絵本作家のひらてるこ さん、東京造形大学の講師でもある小宮山逢邦先生、沢田真理先生らと共にカラオケをしました。池田さんはダヤンのように大騒ぎ~、何て元気な人なんだ。ひら さんの沖縄民謡は超上手でした。私はもっぱら、松山千春やさだまさし、佐野元春 等のニューミュージックという今ではほとんど死語となったジャンルを熱唱します。
12月26日と27日は、「第35回 この本だいすきの会 年の暮れ集会」(市川グランドホテル)に参加しました。昨年は仕事の都合がつかずに2日目だけしか出席できなかったので、今年は予定を組み込み全日程参加しました。
1日目、26日は、絵本作家・イラストレーターの村上康成さんの講演「絵本をめくる、めくるめく時 ~自然の歌をききながら~」を拝聴。釣り好きの村上さんのお話は、とても面白いエピソードばかりで楽しめました。村上さんの絵本作品の、余白を活かしたシンプルなデザイン表現は、実に洗練されています。村上さんのサイン会では、絵本『ピンクとスノーじいさん』(徳間書店)を購入してサインをいただきました。ここでも、サイン会の補佐役をされていたチャイルド本社 編集部の浅野久美子さんにお会いしました。
夜5時からは「年の暮れ集会 児童文学作家・画家・編集者を囲む交流会」がありました。私は今年も一会員として参加しましたが、日頃から童美連 等でお世話になっている方や、お久しぶりにお会いする方や、初めてご挨拶する方もおられました。会場は、200名弱の作家や編集者や会員で大いに盛り上がりました。
最近、私は少々疲れ気味でもあり、家まで自転車で30分余りかかるので、二次会には出ずに、この日は一旦帰りました。
2日目、27日は、童心社 編集長の大熊 悟さんの講演会「ずっと子どもと もっと子どもと ─ 児童図書と紙芝居について」を聴きました。絵本や紙芝居に対する真摯なお考えが垣間見えて、大いに共感する部分がありました。
童心社や福音館書店 等の絵本出版社は、「絵本」に対する制作理念がしっかりしているのが良い所です。それでも、これからの時代は厳しい時代になっていく事でしょう。童心社からは前に私にも絵本制作の打診があり、アトリエで打ち合わせまでしたのですが、なかなか内容がつめられずに延び延びになっています。近年の出版不況で絵本業界も保守的にならざるを得ないのか、バブル期以前に出版実績が豊富にあるベテラン作家の方に依頼が集中し、若手が絵本を出版するのは極めて困難になっています。まれに40代以下の若手作家で売れっ子の人もいますが、その多くは大衆迎合しやすい軽くて通俗的で、崩しマンガ的な(本来のマンガのレベルに到達していない)作風の絵描きばかりです。(私はマンガやアニメの本質的な芸術性を高く評価しており、手塚治虫、水木しげる、萩尾望都、松本零士、矢口高雄、宮崎 駿さん等は大好きなのですが、その流行に乗じた低品質のマンガもどき作品が膨大にあるのを懸念しています。)本当に才能のある新人がどんどん作品を出して行ける世の中でないと、日本画も絵本も・・・文化全体が先細りして行くのは目に見えています。しかし、世界中の現状を考慮すると致し方無い事なのかも知れません・・・・。私などは微力ながら、一芸術家として、ただただ頑張るのみです。
こうして、この2日間は誠に充実した時間となりました。この集会が今年最後の大イベントで、後は少しずつ鈴木出版の新作絵本制作を進めながら、大掃除をして、年を越すだけです。しかし、本格的な絵本作画は来年からになりそうです。








今年も制作から雑事まで実に忙しい一年になりましたが、東京造形大学の絵本講師や新作絵本制作の本格化 等、来年は今年以上に忙しくなる事は間違いないでしょう。変にマメな私は、空いた時間を見ては、できるだけフェイスブックやブログ等に近況や思った事をまとめてきましたが、来年4月以降は今までほどネットにアップする事も不可能になるでしょうかね・・・。
今年一年誠に有難うございました。来年が皆様にとって良い年になります事を願って、来年もよろしくお願い申し上げます。
日本画家・絵本画家 後藤 仁