2016-04-28
熊本地震に思う・・・絵描きとして
私はそんなご縁もあり、九州には20代の頃より幾度となく写生旅行に訪れており、風景良し・食べ物良し・人良しという、日本で最も好きな地域の一つでもあります。かなり前ですが、義弟の結婚式は熊本城の麓のホテルで開催され、私も出席しました。
そのような訳も重なり、いつかは来るとは予感しているとは言え、今回の地震には誠に悲しい思いがつのります。
今までに、阿蘇山をテーマに何度も大作を描いていますが、熊本城もスケッチしたり小品に描いています。今思えば、ネパール大震災で被害を受けた人々と風景もそうでしたが、美しいものを美しい時に描いておく事の重要さが切に感じられます。




今年は「スリランカ写生旅行」を計画しています。2011年4月の「タイ北部・ラオス北部写生旅行」は、折しも2011年3月に起こった未曽有の大地震、東日本・東北大震災の直後でした。祈りの地を巡るその旅は、まさに震災被害者への追悼の旅ともなり、旅の先々では人知れず涙を流す事になりました。
奇しくも、今回のスリランカの旅も、熊本地震の直後です。スリランカは、最も初期にインドから仏教が伝来した土地であり、タイ王国・東南アジア諸国に広まる上座部仏教(南伝仏教)の発祥の地です。今回のスリランカの旅も、熊本地震被害者への追悼の旅ともなりそうです。
地震は天災なので人の力ではどうする事も出来ないものでもあり、それが自然の摂理でもあります。インドの古代ヒンズー教神話では、この世の中は「踊るシバ(シヴァ)神」そのものであり、シバが激しく踊る時に大地が震動すると考えられてきたそうです。シバは破壊の神であるが故に、インドでは最も信仰されていると言います。
日本でも、地震は大ナマズが暴れて起こるなどという発想がありますが、自然の前では人は実に無力なものです。古来から日本人は、自然を征服するのではなく、自然と融合して生きていく道を選んで来ました。それが今日、西洋型合理主義の影響なのか、自然を征服しようとしています。このような生き方が進めば、決して良い結果を生みません。今まさに、人類の進むべき本当の道を、真剣に考える時に来ているのではないでしょうか・・・。
日本画家・絵本画家 後藤 仁