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2016-03-27

後藤純男先生「恩賜賞」ご受賞 おめでとうございます!!

後藤純男先生 「恩賜賞」ご受賞 おめでとうございます 🎊

 私の師である後藤純男先生が、この度、「第72回 日本芸術院賞・恩賜賞」をご受賞されましたので、ご報告申し上げます。この賞は、皇室の下賜金でまかなわれており、受賞者には賜品が贈呈され、 授賞式は天皇・皇后の行幸啓を仰ぎ、6月に挙行されるそうです。
 後藤純男先生は、日本画団体・日本美術院(院展)の同人理事であり、東京藝術大学(日本画専攻)教授と中国の西安美術学院(大学)の名誉教授を歴任され、2006年には「旭日小綬章」を受章された、日本画界の重鎮です。一般の方には、ネスカフェゴールドブレンド「違いが分かる男」のコマーシャルに出演された事でも知られています。

 私は、東京藝術大学時代から先生に日本画を教わり、先生門下のグループ展「翔の会日本画展(銀座松坂屋)」等でも長年お世話になって来ました。

 この度は、ご受賞、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。   日本画家・絵本画家 後藤 仁



後藤純男美術館 公式ホームページ

http://www.gotosumiomuseum.com/info_pdf/geijyutuin.pdf (PDFデータ)

http://www.gotosumiomuseum.com/
 

後藤純男先生と私後藤純男先生 退官記念展(1996年10月7日、東京藝術大学資料館)にて。 後藤純男先生と私、後藤 仁

後藤純男先生と私後藤純男 画伯を囲む会(2004年1月4日、野田 東武ホテル)にて。 後藤純男先生、井崎義治流山市長と私、後藤 仁



 〈北海道新聞 記事〉

画家・後藤純男さん、北海道・上富良野町に作品寄贈の意向 総額20億円規模か

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0247503.html


日本画の後藤純男さんに日本芸術院賞 坂東玉三郎さんら9人

http://dd.hokkaido-np.co.jp/entertainment/culture/culture/1-0249861.html


後藤純男さん日本芸術院賞、恩賜賞 上富良野の宝 沸く地元 「土地に魅力、良いご縁」

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/area/dohoku/1-0249948.html


上富良野で受賞作展示 日本芸術院賞の後藤さん「恩返しかなう」

http://dd.hokkaido-np.co.jp/entertainment/culture/culture/1-0250111.html


 〈NHKオンライン 記事〉

芸術の分野で業績 日本芸術院賞に9人

https://www.nhk.or.jp/kabun-blog/700/240808.html

 〈朝日新聞デジタル 記事〉

日本芸術院賞に坂東玉三郎さん・辻原登さんら9氏

http://www.asahi.com/articles/ASJ3K4T4ZJ3KUCVL014.html



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ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-03-20

「福音館書店こどものとも60周年記念フェスタ」と「こぐま社 展」

 (大阪の小学生の「絵日記」風に) 

 2016年3月19日、今日はふたつの絵本のイベントに行ってきたんやで。とってもおもろかったから、みんなにも話したるわ。
 最初は「福音館書店こどものとも創刊60周年記念フェスタ  あそぼう つくろう 絵本のせかい」やで、よく聞いといてや~。

 都営三田線「西巣鴨」駅をでたら、会場の入口に旗がよおさん立っとるで、すぐわかるわ。会場は「にしすがも創造舎」や。閉校した中学校をそのままイベント会場にしたんやて。めずらしいやん~。

あそぼうつくろう絵本のせかいにしすがも創造舎 入口


 ○詳しくは、こちらの福音館書店公式サイトを見てな→  http://kodomonotomo60.com/


 建物の入り口のおっちゃんにあいさつして、入ったで。入ったすぐに、おしゃれなカフェもあるわ。廊下には「こどものとも」の歴史がはっとってよう分かるわ。
 「ベビールーム」と「キッズルーム」があったんで、おくの「キッズルーム」に入ってみたわ。ようさんお友達がおるわ~。わても遊びたいわ~。でもな、親せきに絵本を描いとるおっちゃんがおってな・・・後藤 仁(ごとう じん)言うんやけどな、えらい絵がうまいんやけど、そのおっちゃんの絵本が置いてある言うねん。それをさがさなあかん。どれや、どれや・・・。
 あったわ。ほんまにあったわ。おっちゃん、ほんまに絵本を描いとんねんや。
 長いなまえやな~。 『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも 684号) やて。表紙の子はほんまにめんこいな~。なんであんな変なおっちゃんが、こんなデリケートな絵を描けんのやろ・・・。こんど絵を教わってみよ。
 「ベビールーム」も、ちょいと見てから外に出たわ。お友達と遊びたいねんけど、時間がないんや。仁おっちゃんのお友達の絵本作家の黒川みつひろ さんの展覧会を見といてくれいうて、おっちゃんに頼まれとんのや。

あそぼうつくろう絵本のせかい「あそぼう つくろう 絵本のせかい」 キッズルーム

あそぼうつくろう絵本のせかいキッズルームの本棚の右下に注目やで!!

あそぼうつくろう絵本のせかいあったわ、『ながいかみのむすめ チャンファメイ』 みんなも読んでな!!

あそぼうつくろう絵本のせかいお友達も楽しそうやな~♡ 「ぐりとぐら」の玉子もあるわ、・・・わても入ったろか!


 ほな電車で移動やで~。
 都営三田線「日比谷」駅から歩いて銀座まで・・・なんて優雅なんや、銀ブラやがな。銀座4丁目の「教文館 子どもの本のみせナルニア国」や。ここでは、仁おっちゃんが、2014年1月29日~3月2日に「絵本『犬になった王子』出版記念 後藤 仁 絵本原画展」 (岩波書店創業100周年記念企画) を開催しとんのや。あん時はすごい人の多さやったな。わても会場に入れんで、外からおっちゃんのギャラリートークを聴いたわ。ほんまはな、おっちゃんの作品を前から知っとったんやで。エヘ
 ナルニア国では、黒川みつひろ さんや、馬場のぼる さんや、水木しげる さんの絵巻絵本が展示してあるわ。「絵巻物は日本画の真骨頂や」・・・難しい言葉しっとるやろ、おっちゃんがよう言うとんのや。そやけど、黒川さんの恐竜の絵はええな・・・、ほんまにわても恐竜すきやさかい。細かいとこまでよく描いてまんな~。
 こんど4月に、日本児童出版美術家連盟(童美連)とか言う、舌かみそうな名前の所で、田畑精一さん、杉浦範茂さん、ちゅう有名な絵本作家の講演会があるんやて・・・、黒井 健さんも来る言うてたな・・・、そや、この店は絵本をいっぱい売っとるさかい、田畑精一さんの「おしいれのぼうけん」(古田足日 文、童心社)と黒井 健さんの「ごんぎつね」(新美南吉 文、偕成社)も買うとこ。前からほしかったんや。ただし、講演会には童美連会員しか、参加できへんねんて。仁おっちゃんに行ってもらうわ。


教文館ナルニア国教文館 子どもの本のみせナルニア国

 教文館9階のウェンライト・ホールでは、「こぐま社 50年のあしあと展」がやっとるわ。「福音館書店こどものとも」は60周年、「こぐま社」は創業50周年、「岩波書店」は創業100周年、・・・・言葉ではかんたんに言うけど、そんだけ続けるいう事はほんまに大変なこっちゃで。絵描きもええ絵本を描かなあかんな・・・、仁おっちゃんにハッパかけとこ。
 仁おっちゃんも卒業した、東京藝術大学の大先輩の西巻茅子さんの「わたしのワンピース」の原画や、わかやま けん さんの「こぐまちゃん」の原画もあるで。黒川みつひろ さんの紹介もされてるわ。
 
 ワーイ、こぐまちゃん のぬいぐるみがきたで〜。カワイイ~♡ こぐまちゃんはほんま子供達の人気ものやな、うらやましいわ・・・。わても記念撮影しとこ。
 てな感じで、楽しい夢の一日がおわったわ。仁おっちゃんに、今日の絵日記を描いて送ったろか。喜ぶやろな~。

教文館こぐま社展カワイイ こぐまちゃんと・・・なんや、この変なおっさん? 仁おっちゃんやがな、おったんかいな。 チャンチャン


 日本画家・絵本画家 後藤 仁 の甥っ子 より

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ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-03-16

日本児童出版美術家連盟(童美連)第4回 定時総会・懇親会

 昨日、3月15日は、日本児童出版美術家連盟(童美連)の毎年恒例の「定時総会・懇親会」が、中野サンプラザで開催されました。

 定時総会の1時間前に中野に到着した私は、昼食を簡単にすませて、中野ブロードウェイ商店街を散策しました。ここにはマニアックな品物がたくさん並んでいて面白いのです。とある喫茶店の内装を見ると、村上 隆さんの等身大のリアルフィギアが展示してあり、とっても奇怪で不気味でした。思わず、「食欲がなくなるわ(関西弁で)」とツッコみそうになりました。村上さんの有名な「顔つき花」の絵も飾ってありました。この人は本当にバイタリティーのある方だったな~と、美術予備校で彼に教わった頃を懐かしく思い出します。
 「まんだらけ」という店に、水木しげる さんの初期のマンガや、宮崎 駿さんのイメージボード集が置いてあり、思わず買いたくなりましたが、予算も無い故、抑えておきました。やはり私も、一種のオタクなのでしょうか・・・。


 午後1時より「総会」が始まりました。各部の難しい話が続きます。フリートーキングでは、新人の私は、なるべく変な発言はしないように抑えておこうと思いながらも、気が付けばまたまた発言していました。これは、「言いたい病」ですな・・・。

 総会の後、6時から「懇親会」が盛大に開会しました。中野サンプラザの広いコスモルームを借りきってのパーティーです。童美連の会員や児童書出版社の編集者や絵本関係者など、総勢200名はいるのでしょうか。初めての懇親会の時は、人が多くて何が何やら分からないまま終わったのですが、3回目ともなる今回は少しゆとりも出て来ました。

 この時には、久しぶりにお会いできる方もたくさんおります。黒井 健さんとは総会で少しご挨拶しただけで、懇親会には見えられていないようでした。いわむらかずお さん とは懇親会でもお話ができて良かったです。いわむら さんは、とても深い洞察力を持たれた方だと感じます。その他にも多くの方々と談笑しました。


 懇親会の後、三々五々と二次会に散っていきました。私は、童美連の先輩の黒川みつひろ さんに、「有田川町の方をよろしく」と仰せつかっていたので、絵本原画展でも大変お世話になった有田川町の職員の方と、出版社編集者の方と、童美連の先輩 田頭よしたか さん、宮本えつよし さん、と共に二次会を楽しみました。童美連の若い方も何人か誘いましたが、他の所へ行ってしまいました (-"-) 。しかし、ベテランの方と話すのは為になりますし、絵本作家の皆さんはお話が面白い方が多いです。
 こうして、今回も夜遅くに家に着くのでした・・・。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

童美連 総会・懇親会久しぶりの「中野サンプラザ」 今日は快晴だ!!

童美連 総会・懇親会懇親会 受付(中野サンプラザ コスモルーム前)

童美連 総会・懇親会懇親会(中野サンプラザ コスモルーム) 岩崎書店 社長のご挨拶

童美連 総会・懇親会懇親会(中野サンプラザ コスモルーム) 絵本作家 篠崎三朗さんの乾杯の音頭
 

 

テーマ : 展示会、イベントの情報
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-03-14

日本画・絵本界の著作権問題について考える

 最近、オリンピックのエンブレム問題や、理研のSTAP細胞問題など、著作権文章・画像コピーについて世間で話題となるケースが増えました。  
 私も、絵本の世界に入って「著作権」について考える機会が多くなりましたが、「日本画」の世界で長年描いてきて、避けて通れない一つの大きな著作権問題があります。日本画家で知らない人はいないくらい有名な話ですが、現在でも日本画界では(特に院展では)タブー視されていて、公で話すのをためらう話です。この事件は、作家が著作権侵害されたのではなく、作家が著作権侵害をおかしてしまった代表例です。

               *

 時は、私がまだ美術高校に通っていた頃です(30年くらい前)。当時、日本画壇は、日展の東山魁夷先生、院展(日本美術院展)の平山郁夫先生などの人気作家を輩出し、一般大衆の一定の支持もありました。しかし、時代の流れの中、じょじょに日本画界の勢いは弱まり、世間では日本画・油彩画などの純粋美術から、現代アートや、マンガ・アニメ・ゲームといったサブカルチャーに文化の中心が移りつつありました。
 そんな中、久しぶりに世間を賑わした日本画の話題が、その著作権問題でした。
 当時、平山郁夫先生の後継者として最も有力視され、実力・人気ともに絶頂にあったS先生が、テレビや新聞で一斉に報道されました。久々に世間の話題に上った日本画の話題は、事もあろうにマイナスの話題・・・「著名日本画家が、外国の写真家の作品をまるまるそのままコピーして、作品に描いていた」・・・という衝撃的なものでした。これが今のネット時代でなくて良かったと思います。もし今なら、どれくらいネット上でバッシングされた事でしょうか。
 これによってS先生は東京藝術大学の教授を辞し、平山郁夫先生が弟子の不始末をテレビや新聞でお詫びするという事態になり、周囲に様々な禍根を残しました。S先生自体は相当の売れっ子だったので、その後もご活躍されていますが、一時の勢いはそがれ、代わりに院展・東京藝術大学では、T・T先生、M先生、F先生、T・Y先生などが、最有力でご活躍されるきっかけになったと思います。

 私が思うには、その個人問題よりも深刻なのは、それ以降、「日本画はそんな世界なのか・・・」という認識が世間に浸透したという事実です。それでなくても、以前から日展・院展などの審査の不透明性(審査結果が前もって決まっているのではないか、など)が噂されてきましたから、この事件がとどめを刺したように思います。
 その後も日本画壇では売れっ子もいますし著名作家もいますが、世間の「日本画」の認知度・人気は低迷し、閉塞的に業界内だけで世界が完結してしまう感がぬぐえません。唯一、現代アート的に活動する千住 博先生が、傑出して目立っていますが・・・。
 時代の流れの必然もありますが、この事件が日本画界の今日の不振を助長した事は確かでしょう。

 その後も、平山郁夫先生ご自身のトンボを描いた絵は、岩橋英遠先生のまねではないか等の憶測が美術界で飛び交いました。私は、その作品より、平山先生の代表テーマのラクダの絵は、岩橋英遠先生のエジプト・ファラオの絵のラクダにそっくりだなと思っていました。しかし、これらの平山先生の絵は独自に十分アレンジされており、オマージュの範囲内だと思います。
 近年でも、院展のU先生が、有名な写真家の竹内敏信氏の作品をまるまるコピーして描いているのを私の友人が発見して、「これってまずいんじゃない・・・。」となった事があります。ただ、この件は公にはなっていません。

               *

 作家が著作権侵害されるケースも多々あり、私も最近、「絵本」を出すようになり、その対応に苦慮する事が多くなりましたが、逆に作家側が著作権侵害をする場合もあり、それをきっかけに業界全体にダメージを与える可能性もあるので、私達作り手も肝に銘じて、愚直に制作に望まなくてはいけないという事です。
 取材には自分の足を使い、制作の基本として自分がスケッチし写真に撮ったものを用い、もし他人の写真などを使う場合、あくまで参考の範囲内にとどめるという心がけが必須です。楽をして制作しようなどと考えていたら、決して良い作品は描けませんし、文化は退廃していくばかりなのです。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-03-11

東北大震災への鎮魂~挿絵本『おしゃかさま物語』(佼成出版社)

挿絵本『おしゃかさま物語』表紙『おしゃかさま物語』 表紙
 

おしゃかさま物語 リーフレット『おしゃかさま物語』 リーフレット

佼成ショップ(KOSEI SHOP) ━ 挿絵本(読みもの)『おしゃかさま物語』  
https://www.koseishop.com/product.jsp?id=25208


                *

 佼成出版社に注文しておいた、私の作画挿絵本『おしゃかさま物語』が100冊届きました。これから親類や知人などにお分けして、一部は寄贈に回していきます。

 奇しくも3月11日に到着しました。5年前、東北大震災のあった、あの日・・・・。

 2013年11月11日~14日に敢行した「東北写生・絵本寄贈旅行」では、まだまだ復興遠き、すさまじい東北の現状を目の当たりにしました。 
http://gotojin.blog.fc2.com/blog-entry-41.html


 挿絵本『おしゃかさま物語』は、ネパール・インド北部・チベット大震災の被災地への祈りも込めた作品ですが、その奥には、東北大震災(東日本大震災)への鎮魂や、20年前に不慮の事故で亡くした私の父への供花の気持ちが込められているのです。
 絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも)は今までに1380冊、絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)は205冊、自身で購入して、東北被災地への寄贈などにあててきました。(展覧会などで販売した分もあります。)
 それでも、「おしゃかさま」が何人おられても足りないくらい、世の中、辛い出来事が山ほどありますが、かなしいかな、精魂を傾けて絵を描く事しか私にはできません・・・。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁


おしゃかさま物語100冊

 画像は、挿絵本『おしゃかさま物語』(佼成出版社) 100冊と、リーフレット。
 本の後ろには、ただ今制作中の「中国少数民族」を描いている日本画が少し見えています。


おしゃかさま物語 サイン中

 ただ今、挿絵本『おしゃかさま物語』(佼成出版社)にサイン中。ひとまず今日中に50冊サインを入れます。筆で署名した上、印泥(いんでい・朱肉のこと)を用いて印章(印鑑のこと)を押印するので大変です。
 部屋がまるで、「千体仏図」(中国や東南アジアの壁画などでよく見られます)のようになっていますね。
 

テーマ : 本の紹介
ジャンル : 学問・文化・芸術

2016-03-08

絵本・日本画作品の世界への波及(著作権問題とともに)

 私は3年位前からパソコンを使いだしたばかりで、それ以前の状況をよく把握している訳ではないのですが、日本画家として活動していた頃から様々なネットサイトに、作品・作家紹介が掲載される事は度々あったようです。
 初絵本を出版した約3年前からその頻度が急速に増したようで、絵本の持つ広汎性・普及力には驚かされます。私は、日本画の世界では中堅と言える画歴になりましたが、絵本の世界ではまだまだ駆け出しにしか過ぎず、絵本・挿絵本はようやく3冊出版しただけのヒヨコ状態です。
 それにもかかわらず、テレビ・新聞・雑誌・機関誌 等への出演・掲載も多くなりましたが、それ以上にインターネット上での拙作の掲載数は、私が把握できるだけでも、大規模な法人サイトから、個人サイト、いい加減なサイトまで入れると、数千件は超えてくるでしょう。

 自身の作品がどのように世間にとらえられているかの調査・把握の為でもあるのですが、日本児童出版美術家連盟(童美連)に入会した事で著作権擁護の意識も高まり、その確認という意味もあり、ネット上での自身の作品の掲載を度々検索する事になっています。
 絵本の出版当初は、ネットニュースサイト・絵本関係法人サイト等に多く掲載され、次第に個人のブログ等で取り上げられる機会が増えました。最近では、インスタグラムやピンタレストといった新たな画像掲載サイトに掲載する人も出てきています。作品の名前と画像が知られるにつれ、その認知度に便乗した少々悪質な掲載が増えてきたのも事実です。
 著作権的には、かなりすれすれであったり、完全に違反しているサイトが多いのも現状です。絵本 等をネットや印刷物に掲載する場合、「表紙画像」のみは無許諾でも掲載可能ですが、その場合に必ず「作品名・作者名(文章・画家)・出版社名」を明示するのが基本です。それ以上の掲載には必ず著作権者(作者)の許諾が必要です。また、絵本の紹介以外の目的で絵本画像を流用するのは、禁止されていると思います。
 絵本を元に、または、イメージの源泉にして、演劇や音楽に仕立てて、絵本名と共に紹介する場合でも、著作権者の許諾が必要で、入場料を取る公演の場合、時には著作権者への使用料の支払いも生じる場合もあるでしょう。
 私の作品も、上記のような様々な形態での著作権侵害のある作品使用を確認していますが、できる限り穏便に、事後承認という形で納めてきました。ただ一度だけ、ユーチューブに絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも)の場面全体が朗読付きの動画で明瞭に掲載された案件では、当初は容認しておこうと考えていたのですが、童美連でも問題として取り上げられた経緯もあり、出版社を通して掲載削除に至ったケースがあります。

 国内での事案は、著作権法の適用で対処のしようもあるのですが、最近では海外のサイトでも拙作が度々取り上げられるようになってきました。それだけ作品・作家が世に知られるようになったのかな・・・と喜ぶべき事なのでしょうが、それに伴い著作権侵害も頻度を増しているという、難しい事態に直面しています。ベルヌ条約という国際的な著作権保護の枠組みもあるのですが、条約を批准していない国もあると言いますし、海外の人々との交渉は言葉の壁もありますし、遠い異国の事なので対応の実効性があまり期待できません。
 しかも実際の所、少々中身を掲載されても宣伝になった方が良いのではないかという考えを多くの作家が持っており、私も例外では無く、作品の宣伝・広報と著作権の保護とのはざまで作家は常に問答する事になります。

 日本画・絵本に限らず画家が「絵」だけで食べて行くのは容易な事ではありません。多分、日本画だけで生涯生活できる日本画家は日本中に数十人もいないでしょう。絵本の世界でも若手作家ほど厳しいのが現状で、元々狭き門なのに、その上出版不況のあおりをまともに受けているのです。
 それに反して、子供の養育に力を入れようという傾向の一環として、絵本を取り巻く環境だけは活気をおびています。あちこちで絵本朗読会・絵本イベントが開催され、ほんの一部の有名作家はそこに招待されるのですが、その他は絵本朗読家・絵本活動家・絵本イベンター等と称する人が多く活動しています。中にはフェイスブック等を活用してかなり大々的な活動を行い、ある種の権威付けをしている人も見受けられます。ただ、そこでは現在の絵本作家はほとんど蚊帳の外の状態です。絵本の世界では過去の名作絵本が多数存在するので、現代作家に気を使わなくても幾らでも良い題材が見付かるのです。おまけに本を図書館で借りれば元手もかからなくて済みます。
 しかし、こんな状態が長年続くと現代作家がますます食べて行けなくなり、作家として育たないので、絵本のレベルが段々落ちて行き、将来的には日本の絵本文化水準の低下にもつながっていくと考えられます。これは、日本画・絵本画に限らず文化全般に言える事です。
 どなたか、ネット上で作品画像が使用される度に、著作権者に著作権使用料が入る仕組みでも考えていただけないでしょうか・・・。そうしたら、かなり作家は助かりますし、多少の著作権侵害なら黙認するのですが・・・。しかし、これができたらノーベル賞ものですな。 ( `ー´)ノ

 絵本界だけを考えてみると、絵本を取り巻く環境の中心には、やはり作品を生み出す「絵本作家・絵本画家」がいるべきです。これは作家の傲慢ではありません。常に発信者(作家・画家)から事は始まり、それが仲介者(出版社・書店・図書館・絵本評論家・絵本朗読家 等)をへて、一般の読者(親と子)に届くのです。その本質を見失っては本末転倒です。
 ある絵本朗読家・活動家(大人を対象とする絵本朗読を広める活動を、フェイスブック等を活用して行っている人らしい)が私に言いました。「あなたの絵本を見てほしいと言うなら見てあげてもいいよ。ただ今回は、私のフェイスブックページに勝手に作品を載せられたので見る気が失せましたね・・・。」
 作品は作者そのものです。私達作家は常に自分の作品のみで一生をかけて勝負しています。それ故、私の自己紹介には必ず作品画像一枚を添付する事を常にしています。この様な、作家以上に絵本朗読家が偉いといった高慢な姿勢が蔓延していったら、良い作品は今後一切生み出されなくなるでしょう。作家と絵本朗読家・絵本活動家は常に対等な立場であるべきですが、最初に発信するのは、あくまでも作家である事を、上記のような類の人は忘れないでいただきたいと思います。
 また、著作権侵害問題 等、何かトラブルがあった時には、その作家と普段から仲良くしておくと、下記の台湾の方のケースのように、大目に見てくれる場合もありますよ。逆に、作家の反感をかっている人が、著作権侵害をした時にはどうなるのでしょうね・・・。

絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』表紙・表絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも) 表紙



 私の絵本作品が国内と中国(中華人民共和国)のニュースサイト・ホームページ・ブログ等に取り上げられたケースを、何度かこのブログでも紹介してきたので、今回、その他の海外のサイトに拙作(絵本・日本画)が取り上げられたケースを幾つかご紹介いたします。
 最初に記したように、多くのケースでかなり著作権法を侵していますので、その部分はマネしないようにお願いしたいのですが、このように世界中で拙作が取り上げられるのは、作品に何かしらの魅力や意味合いがある証とも取れますので、嬉しい反響だとも言えるのです。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

                    *

日本画作品 『トン族琵琶歌~チャンファメイ(中国貴州省)』( P25号)の部分が、日本の美意識「卵型の顔」の例として、ポルトガル語のサイトに挙げられています。(同じ内容が、別の2つのサイトに載っています。)

http://www.diariodasaude.com.br/news.php?article=linguagem-amor-apelidos-amorosos&id=8928

http://fgrurbanismo.blogspot.jp/2013/06/voce-conhece-as-palavras-de-amor-mais.html


日本画作品 『クマリ -The Living Goddess-(ネパール)』( F50号)の部分が、クマリ(ネパールの生き神)の画像例として、ポーランド語のサイトに掲載されています。

http://dworzecwschodni.natemat.pl/36947,barbarzynca-w-azji


日本画作品 『クマリ -The Living Goddess-(ネパール)』( F50号)の部分が、クマリ(ネパールの生き神)の画像例として、韓国(ハングル文字)のサイトに掲載されています。

http://blog.socuri.net/540


絵本作品 『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも)の全場面が、英語のサイトで紹介されています。個人のサイトのようですが、拙作以外はほとんど海外の絵本ばかりで、表紙を見る限りでもかなり優れた世界中の絵本を入念にセレクトした本格的なサイトです。よく私の絵本を見付け出したものだなと感心しますが、著作権的にはもちろん反しています。ただ、これだけの思い入れと真面目さを考えると、世界に向けて拙作絵本を紹介していただいているのだと、有難くとらえた方が良いように思えます。

https://bookillustrations.quora.com/Illustrations-for-Changfamei


絵本作品 『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店こどものとも)の主要場面が、類似絵本と共に、台湾(繁体字中国語)のサイトで紹介されています。実は、このサイトを運営している台湾の絵本活動家と私とは面識があります。台湾に日本 等の良い絵本を紹介したいと積極的に活動されている方で、素晴らしい事だと思います。ただ、台湾はベルヌ条約に加盟していないという事もあり著作権の意識が薄いのが現状です。かなりの著作権侵害が行われていますが、私の作画絵本を丁寧に研究・紹介していただき、私も彼女らの熱意に免じて、当面は黙認しておこうと考えています。台湾の今後の著作権意識向上に期待したい所です。

http://childrenbookmap.blogspot.jp/2015/08/long-hair-girl.html


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後藤 仁 プロフィール

後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)

Author:後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)
~後藤 仁 公式ブログ1~
絵師〈日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙制作〉後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

【後藤 仁 略歴】
 師系は、山本丘人(文化勲章受章者)、小茂田青樹(武蔵野美術大学教授)、田中青坪(東京藝術大学名誉教授)、後藤純男(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)。
 アジアや日本各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」を中心画題として、人物画、風景画、花鳥画などを日本画で描く。また、日本画の技術を応用して、手製高級壁紙の金唐革紙(きんからかわし/国選定保存技術)や、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)の天井画、絵本の原画などの制作を行う。
 国立大学法人 東京藝術大学 デザイン科 非常勤(ゲスト)講師(2017~21年度)。学校法人桑沢学園 東京造形大学 絵本講師(2017~18年度)。日本美術家連盟 会員(推薦者:中島千波先生)、日本中国文化交流協会 会員、絵本学会 会員。
    *
 1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校 美術科で日本画を始める。東京藝術大学 絵画科日本画専攻 卒業、後藤純男先生(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。
 卒業以降は日本画家として活動し、日本・中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は「絵本」の原画制作に力を入れる。
 2023年、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)天井画『黒龍と四つ姫の図』を制作奉納する。

○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社/中国)。挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。
 『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。また、宮崎 駿 氏の絵物語「シュナの旅」の原話になった事でも知られている。
○NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞・専門誌・インターネットサイト等への出演・掲載も多い。

★現在、日本国内向けと、中国向けの「絵本」を制作中です~❣

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絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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