日本児童出版美術家連盟(童美連)の作品集 「Who's Who No.7 日本児童出版美術家連盟作品集 創立50周年記念号」が完成しました。
前号までは一般販売していたのですが、今号からは童美連が一般社団法人になった関係で一般販売はされず、童美連会員と出版関係者などにのみ配布される貴重な作品集になりました。
人気絵本画家から私の様な新人絵本画家まで、童美連所属作家の大多数である200数十名の方が掲載されており、とても見応えがあります。創立50周年記念号という事で、巻末の「理事長からの絵手紙」では、いわむらかずお先生・西巻茅子先生・黒井 健先生・浜田桂子先生らの手描き絵手紙を掲載。「童美連の先輩たち」には、いわさきちひろ・赤羽末吉先生・安野光雅先生・大田大八先生・瀬川康男先生・滝平二郎先生・谷内六郎先生・馬場のぼる先生といった童美連に所属しておられたそうそうたる絵本画家達の絵本が紹介されています。「スペシャル座談会」では、西巻茅子先生・黒井 健先生・池田あきこ先生の座談会記事なども掲載されており、誠に充実しています。一般販売されないのが残念ですが、ここでは私のページのみお見せいたします。
「Who's Who No.7 日本児童出版美術家連盟作品集 創立50周年記念号」 後藤 仁 ページ
後藤 仁 公式ホームページ 『後藤 仁(GOTO JIN)のアトリエ』 絵本作品
http://gotojin.web.fc2.com/book.html
私は絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)の表紙画・部分を掲載しました。他の掲載者は純粋な絵本画家・イラストレーターの方がほとんどなので、相当描き込まれた私の日本画作品は雰囲気が異質ですが、こんな絵本画家もまた必要でしょう。
私が童美連に入会した理由の一つは、日本画の世界で「無所属」である事による不利益を被って来たという事実があります。日本画界の完全縦型派閥社会と絵本業界の横型自由競争社会の大きな違いがあるので、一概に比較できないのですが、日本画界では今でも団体の権限が強力で、無所属での活動には画商の取り扱い面などでの大きな障害があります。ただ、私には自由闊達な「無所属」での活動の方が性に合っていたのです。
しかし、童美連入会の最も大きな理由としては、新しく飛び込んだ絵本の世界をもっと深く知りたいという好奇心と、童美連に所属していた往年の絵本画家・・・いわさきちひろ・赤羽末吉先生・滝平二郎先生・谷内六郎先生などへの憧憬が大きく作用しています。
私が15歳の時に日本画を志した大きな理由は、日本画の画材の面白さ・奥深さに対する探究心と、やはり過去の作家への憧憬があります。ただ、日本画作家への憧れでは昭和初期以前の画家がほとんどで、後藤純男先生・東山魁夷先生・平山郁夫先生・鏑木清方などを除くと、伊藤若冲・長谷川等伯・洒井抱一・円山応挙・雪舟・狩野探幽・喜多川歌麿・鈴木春信など江戸期以前の画家が多く挙がって来ます(厳密には江戸期以前の画家は「日本画」とは言わないのですが)。
日本画を知る中学生以前の私には、アーサー・ラッカムやいわさきちひろなどの絵本画家や、「ぐりとぐら」「おおきなかぶ」「だるまちゃんとてんぐちゃん」「王さまと九人のきょうだい」などの絵本作品への親しみの方が身近にあったのです。
そんな理由で、現在、日本画と絵本画の二つの世界で、それぞれを相互作用で高め合いながら切磋琢磨していこうと模索しております。
日本画家・絵本画家 後藤 仁
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