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2014-12-28

2014年 第33回 この本だいすきの会 年の暮れ集会にて

 12月26日(金)と27日(土)は、「2014年 第33回 この本だいすきの会 年の暮れ集会」(市川グランドホテル、千葉県市川市)がありました。
 「この本だいすきの会」は、”いつでも どこでも だれでも 読みがたり”を合言葉に、子どもと子どもの本を愛する仲間が集まり、学び合う会です。代表の小松崎 進先生を中心に、日本全国に多くの支部と数千人の会員がいます。私は昨年から、一作家として加わらせていただいています。

 今年の「年の暮れ集会」1日目は、動物絵本で有名な、あべ弘士先生の「地球はどうぶつでいっぱい」という講演を聴きました。動物園勤務時代の苦労話や動物のお話しをうかがい、動物に対する豊富な知識と経験が、絵本制作にも活かされている事がよく分かりました。
 その後、「児童文学作家・画家・編集者を囲む交流会」では、200名ほどの多くの参加者でにぎわいました。私も知っている著名な作家・画家の方が多く見えられていました。交流会後に「サイン会・本の展示即売」があり、絵本画家としては新米の私も端っこでサイン会に参加しました。あべ弘士先生は大変な人気で、多くの人々が列をなしてサインを求めていました。10人近くの作家がおりますので、私の所にはチラホラとお客様が来られる位ですが、とても有難い事です。私の作画絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)を、それぞれ20冊ほど置いていただきましたが、『ながいかみのむすめチャンファメイ』は売り切れていました。この後には二次会もあり、夜遅くまで歓談は続きました・・・。

 2日目は、朝から「支部活動報告」、その後、童心社取締役会長・元編集者の洒井京子さんによる講演「古田足日さんを語る」を聴きました。洒井京子さんが新米編集者時代に、児童文学者の古田足日先生と絵本画家の田畑精一先生の三位一体で絵本制作に奮闘したエピソードはとても感動的で、この様に熱心な編集者にも信頼され良い仕事ができた作家はさぞやりがいがあったろうと、日本が一番勢いがあった時代を偲びました。今は出版社もシステム化されて、往時の様な作家と編集者の強い関係性は薄れたのかもしれませんが、現在でも作家と編集者が息を合わせて力を振り絞って命をかけてまでも、一つの最善の作品を生み出して行かなければいけないのだと、改めて思いを強くしました。その後には、私を含む3名の作家兼会員による「ミニサイン会」を行いました・・・誠に有難い事で、一人一人の方に丁寧に対応いたします。

 松戸のアトリエから市川までは、毎回、自転車で片道1時間近くかけて往復します。年の暮れ集会2日目の午後には、私が講師を務める「日本画教室」(千葉県柏市)もあり、受講されている方々が楽しみに待たれておりますので、柏までとんぼ返りでした。この2日間は年末最後のお仕事で少々疲労もありましたが、とても充実した良い一年の締めくくりとなりました。
 来年は、もっともっと制作に邁進したいと強く願いながら、良い年を迎えられたらと思います。特に福音館書店こどものとも新作絵本の本画制作に没入できたら嬉しいです。本年は拙ブログをご覧いただき誠に有難うございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁
 


この本だいすきの会 年の暮れ集会2014「この本だいすきの会 年の暮れ集会2014」 小松崎 進先生によるご挨拶

この本だいすきの会 年の暮れ集会2014「この本だいすきの会 年の暮れ集会2014」 あべ弘士先生によるご挨拶


犬になった王子――チベットの民話犬になった王子――チベットの民話
(2013/11/16)
君島 久子

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テーマ : 展示会、イベントの情報
ジャンル : 学問・文化・芸術

2014-12-17

絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』『犬になった王子 チベットの民話』出版から2年たち・・・

絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』表紙・表絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)

 2013年2月に、初絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)を出版して、早や2年近く経ちました。福音館書店の月刊絵本「こどものとも」は、児童書業界・保育幼児教育業界・図書館業界では知らない人はいないという、日本で最も歴史があり規模の大きな絵本雑誌シリーズです。福音館書店の相談役の松居 直氏が、編集部編集長の時に発展させました。
 現在、年中向き、年少版、0.1.2と合わせて4種類に増えましたが、過去に「こどものとも」を手掛けられた作家・画家はそうそうたる顔ぶれです。絵本画家・イラストレーターでは、いわさきちひろ、赤羽末吉先生「スーホの白い馬」、田島征三先生「ふるやのもり」、加古里子先生「だるまちゃんとてんぐちゃん」、安野光雅先生、和田 誠先生他、日本画家では秋野不矩先生(文化勲章受章者)、稗田一穂先生(文化功労者)、堀 文子先生他、彫刻家では佐藤忠良先生「おおきなかぶ」、等々・・・。日本で最も売れている絵本シリーズ「ぐりとぐら」も、この「こどものとも」からスタートしました。
 私が現在所属している日本児童出版美術家連盟(童美連)には300名ほどのメンバーがいますが、今までに「こどものとも」を手掛けられているのは物故会員も含めて、いわさきちひろ、赤羽末吉先生、大田大八先生、瀬川康男先生、西巻茅子先生、浜田桂子先生、西村繁男先生、和歌山静子先生等ほんのわずかの方々だけですが、いずれも大御所の方ばかりです。
 
 また、私が作画を担当した絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)で、文章を書いていただいた君島久子先生(国立民族学博物館名誉教授)と、かつて組まれて絵本・民話集を手掛けられた画家の方は、初山 滋先生「たなばた」、赤羽末吉先生「王さまと九人のきょうだい」「白いりゅう 黒いりゅう」、村山知義先生「しんせつなともだち」、大田大八先生「チベットのものいう鳥」、佐藤忠良先生、瀬川康男先生、小野かおる先生等、日本絵本史に残るそうそうたる方々ばかりです。
 (この度、君島久子先生と赤羽末吉先生の名コンビ絵本『王さまと九人のきょうだい』 が、「1万人の子どもが選ぶ箕面・世界子どもの本アカデミー賞2014」絵本賞を受賞しました。おめでとうございます!! https://www.city.minoh.lg.jp/library/katsudou/academy/academy2014.html )

 昨年はこの様に、日本の絵本出版社の最大手・福音館書店と、日本における絵本シリーズ出版の草分け・岩波書店から続けて絵本を出版でき、その文章を君島久子先生に書き下ろしていただいた事は、誠に光栄な事だと感じています。
 現在、福音館書店「こどものとも」新作絵本制作が進行中で、来年は本格的に本画制作に入れる事と思います(結局、この企画は、出版社の都合で未完に終わりました。:2021年10月追記)。その他、幾つかの絵本出版社から「民話絵本制作の時には、ぜひ・・・。」と言った話をいただいていますが、現在のところ一週間で本画一枚を描くのがやっとですので、出来れば時間差でご依頼いただきたいところですが、そう上手くいかないのが世の中でしょう。仕事が無い時には無く、ある時には徹底的に集中するというのが絵描きの常です。来年以降も、良き日本画制作・絵本制作に恵まれます事を願っております。
  日本画家・絵本画家 後藤 仁



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テーマ : 本の紹介
ジャンル : 学問・文化・芸術

2014-12-11

2014年 第33回 この本だいすきの会 年の暮れ集会

『2014年 第33回 この本だいすきの会 年の暮れ集会』 
 「この本だいすきの会」(代表:小松崎 進 先生)は、子どもの本を愛する仲間が集まった大きな全国組織です。会員で無くても「年の暮れ集会」に参加ができます。

2014年12月26日(金)~27日(土)
市川グランドホテル
 

 千葉県市川市市川1-3-18  TEL 047-324-1121

          *

26日(金)12:30~
 講演「地球はどうぶつでいっぱい」 画家・絵本作家 あべ弘士 さん
  17:00~ 
 児童文学作家・画家・編集者を囲む交流会(著名な先生方も多く出席されます。)
 その後、サイン会・本の展示即売
 【私、後藤 仁の絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)も展示予定で、サイン会にも出席予定です。】

絵本『犬になった王子 チベットの民話』表紙 小絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)


          ○

27日(土)8:50~
 講演「古田足日さんを語る」 童心社取締役会長・元編集者 洒井京子 さん

          *

参加費(講演会、交流会、全日程参加) 12,500円
 (26日講演会のみ参加 2,100円、27日のみ参加 1,100円)

申し込み締め切り 12月15日(月) 

〔お問い合わせ先(TEL、FAX)〕 平日の電話は夜間のみ可
 松井あつ子 047-335-9871
 佐藤直美  047-440-1360

テーマ : 展示会、イベントの情報
ジャンル : 学問・文化・芸術

2014-12-09

ミャンマー(ビルマ)写生旅行 その6

 (その5からの続き)
 2014年10月20日、ミャンマー旅行19日目。バガンの遺跡巡りのつづきです。朝6時から日課となったシュエズィーゴォン・パヤーでの写生を1時間余りしてから、ホテルで朝食をいただきます。イーデン・モーテル3のオーナーらしき男性はそれなりに愛想が良いのですが、スタッフの若者達は素っ気ない感じです。多分、毎日の外国人観光客相手にあきあきしている様子です。レンタルサイクルのあるイーデン・モーテル2のオーナーは笑顔を見せてくれます。
 朝食後、オールドバガンに向かう途中、ガイドブック(地球の歩き方)にも載っていないシュエレイトゥー寺院に寄りました。この寺院は屋上に出れるので、周囲の寺院を見渡せて爽快です。内部にはとても優れたフレスコ画(壁画)が残っています。天井を見上げるとたくさんの円形文様があって面白いのですが、所々にコウモリの巣もありました。たいていの寺院内部にはコウモリやネズミが住んでいて、地面にはそれらの糞や尿がたくさん散らばっており、境内では裸足にならないといけないので、足の裏はいつも糞尿だらけです。宿に帰ってからも服に臭いがしみついており、これには難儀しました。また、寺院内でダニやノミが付いて来るので、ホテルのベッドにリュックサックを置いておいたら、今まで見た事も無い5㎜余りの大きなダニがシーツの上にいました。最初は、真っ黒なまん丸い物体が動いているので何か分からなかったのですが、つぶしてみると柔らかくて血が付いていたので、ダニだと分かりました。 (;´Д`) 東南アジアはマラリア、デング熱の危険性もあり、虫対策は不可欠です。
 次に巨大なティーローミィンロー寺院に寄ります。内部には象を描いたフレスコ画などがありました。道をはさんだ向かいに小さな寺院ウパリ・テェンがあり、17~18世紀のフレスコ画がよく残っています。内部には入れず外からのぞくだけですが、幾何学文様・宝相華文様や僧侶の居並ぶ様子を描いた壁画は秀逸です。
 ウパリ・テェンの先に2925番の番号が付いた小さな寺院がありました。タイ王国やインドなどでは寺院の装飾に象の彫像が多用されているのですが、ミャンマーではほとんど見かけません。珍しい事に、この小寺院の外壁には象の彫像が鎮座しています。さらに、建物の角にはウサギの様な面白い獅子?が立っており、思わず微笑んでしまう事請け合いです。

ミャンマー旅行35シュエレイトゥー寺院

ミャンマー旅行36ティーローミィンロー寺院入口で売られていた「タナカ」。ミャンマー人の子供と女性は、この木をすりつぶして日焼け防止に顔に塗ります。美白効果もあるそうですよ~。

ミャンマー旅行372925番寺院のユニークな彫像

 オールドバガン地域に到着し、高さ55mとバガンで2番目に高いというゴドーパリィン寺院を見物し、次にマハーボディー・パヤーに到着。インドのブッダ・ガヤーのマハーボディー寺院(大菩提寺)を模しており、私はインドのマハーボディー寺院もかつて取材したのですが、それよりかなり小さいながら雰囲気はそっくりです。ここで2時間ばかり外観のスケッチをしました。
 次に漆器博物館(入場無料)に立ち寄りました。学芸員のAung Kyaw Soe Ltc 氏の解説を受け、ミャンマー漆器の制作工程がよく分かりました。ここでは漆芸職人の育成を行っており、その作品が展示販売されていますので、私も土産の漆器を買いました。黒と金色の5㎝程の漆器の小物入れが一つ3000Kですので、凝った手仕事の品と考えれば日本人からするととても安い価格です。
 その後、エーヤワディー川のほとりのブー・パヤーから広大な川の光景を眺めました。何隻もの船が停泊しています。
 自転車で少し走って、シュエサンドー・パヤーに到着。ここは5層のテラスからなる、きれいな四角すい形をした巨大寺院で、この上層からの眺めは格別です。ここからダマヤンヂー寺院・エーヤワディー川方面を1時間余りかけてスケッチしました。となりの小寺院、ローカテェイッパン寺院には撮影不可ですが、優れたフレスコ画が残っています。
 シュエサンドー・パヤーから眺める夕日は最高と言いますが、早朝から活動している私は、この頃にはもうフラフラの状態ですので、夕日の沈む前に宿に引き返しました。夕食は、ア・リトル・ビット・オブ・バガンでインドカレーセット(約6000K)を食べました。とても豪華で美味しい。 ( ^^) _U~~

ミャンマー旅行38シュエサンドー・パヤーより、ダマヤンヂー寺院・エーヤワディー川方面を望む

ミャンマー旅行39「ア・リトル・ビット・オブ・バガン」 インドカレーセット(約6000K)


 旅行20日目。この日も早朝からシュエズィーゴォン・パヤーでお勤めをはたし、朝食後、オールドバガン郊外のダマヤンヂー寺院に向かいました。この寺院の外観は巨大で威圧的ですが、内部にはほとんど何も無く閑散としていて少々不気味です。夜になると幽霊が出るとのうわさがあるそうです。コウモリがたくさん飛んでいました。
 次にスラマニ寺院に移動しました。ここには11世紀のフレスコ画がよく残されており、仏画だけでは無く、昔の民衆の生活風俗が多く描かれており、大変興味深いものです。壁画の一部を模写していると、欧米の観光客に「Student?」と聞かれたので、「Painter.」と答えました。

ミャンマー旅行40スラマニ寺院 フレスコ画

 前日の漆器博物館の学芸員から、ミン・ナン・トゥ村の近くのPhyar Thyine Su 寺院の壁画が素晴らしいと聞いていたので、スラマニ寺院からミン・ナン・トゥ村方面に向かいました。2㎞近く砂の道を走ります。自転車のタイヤが砂に取られて、なかなか進みません。途中で電動自転車に乗った欧米人に出会い、「あっちの寺はNo.1だ。」という様な事を言っているので、道をそれて寄ってみました。どの寺を指しているのかよく分からなかったのですが、Pyaut Thut Gyi という看板がある寺院の屋上からの眺めは良かったですが、特に優れた遺物はありませんでした。

ミャンマー旅行41Pyaut Thut Gyi

 道の途中途中、きれいな蝶々などを観察しながら、ミン・ナン・トゥ村に着きました。この村は織物で有名な村らしく、手作りのロンジー(腰巻)なども売っています。村に着くと早々におばさんが寄って来て、案内を始めました。通常なら勝手にガイドさんは遠慮していただくのですが、(アジア圏の観光地では、頼んでもいないのに勝手にガイドを始めて、最後に高いガイド料を請求される事が時たまあります。)直感で面白そうだなと判断して、ガイドを任せました。20分位かけて、機織り・糸紡ぎの様子を実演してくれたり、家畜の飼料を切る為の珍しい古道具の実演をしてくれたり、民家の中を見れたりと結構為になったので、最後にお約束の「Money.」に応じて2000Kばかりのチップを渡しました。民家に赤ちゃんの揺りかごがぶら下がっていて面白いので、直射日光の酷暑の中、30分余りかけて民家をスケッチしました。ミャンマーの伝統的な民家の柱は木製で、壁は竹を編んで作っています。屋根は葉か木片で葺いています。
 ミン・ナン・トゥ村からPhyar Thyine Su 寺院に向かおうとした時、自転車のタイヤを見ると、空気が少し減っています。不吉なものを感じた私は、すぐさま宿に戻る事にしました。砂道を引き返すと、案の定、タイヤの空気は抜ける一方です。途中で昼食のパンとバナナをかじり、また自転車に乗った頃には、完全に空気が抜けていました。そこから5㎞ばかり砂道と舗装道路を通り、重いパンク車をこぎながら宿に帰りました。ついでに途中のエアーバガンのバガン支店に寄って、念の為に航空券のリコンファームを済ませました。
 レンタルサイクル店で自転車を交換してもらい、再びPhyar Thyine Su 寺院を目指します。えらい大回りです。今度は空港へ続く大通りからミン・ナン・トゥ村へ続く別ルートで向かいました。地図によると、こちらなら舗装道路が村まで続いているはずです。乗り心地の悪い自転車をこぎながら4㎞余り進むと、バガン・ビューイング・タワーが見えて来ました。高さ約60mの展望タワーでバガンが一望できるという事ですが、客は少ないらしいです。タワーには寄らず、近くの小さな寺院に寄ってみました。Winidoという看板がありました。入口が閉まっているので金網越しにのぞいていると、管理人らしき老人が寄って来ました。入口が閉まっている小寺院近くには、どこかに管理人がいて、観光客が来ると開けてくれる事があります。そしてチップを渡すのが慣例です。
 ここはとても小さい寺院ながら、とても優れた仏画が描かれてあり感動しました。この辺りの寺院は観光中心地から離れているので、詳細なガイドブック(地球の歩き方)にも全く記載されていませんが、どうやら優れた壁画が残されている地域の様です。寺院を出た時に老人にチップを渡そうとしたら、「いらない。」と言います。「私達が誇りとして守っている寺院を見てもらえるだけでいい・・・」という感じです。アジア各国ではチップを渡すのが当然になっている私は最初耳を疑い、次に有難さが湧いて来ました。私は老人にスケッチブックを見てもらい、ミャンマーのスケッチ旅行をしている旨を拙い英語で伝えました。老人はとても嬉しそうでした。その寺院を後にして自転車をこぎながら、心地よい郷愁感とともに、この様な時に旅先で往々経験する既視感(デジャビュー)を感じていました。あの老人こそ本物の「寺守」だなと回想しつつ・・・。
 程なくPhyar Thyine Su 寺院が現われました。辺境の小さな寺院ですが、漆器博物館の学芸員 Aung Kyaw Soe Ltc 氏が言う通り、正に最高の完成度のフレスコ画でした。洗練された線と色彩の仏画は目を見張ります。写真撮影は不可ですので、目と心に焼き付けました。
 近くのLay Myet Hnar Complex という寺院にもフレスコ画がありました。寺院の裏手に回ると牧童が羊を放牧しており、夕日の逆光で黄金に輝く古びた寺院群と羊達の光景は幻想的でした。
 そこから5㎞程を自転車で宿に戻り、夕食はまたア・リトル・ビット・オブ・バガンでインドカレーセットを食べました。

 明日はニューバガン方面を取材します。しかし、この後何の悪因か自転車トラブルが続く事になります。その模様はまた次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

後藤 仁 プロフィール

後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)

Author:後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)
~後藤 仁 公式ブログ1~
絵師〈日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙制作〉後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

【後藤 仁 略歴】
 師系は、山本丘人(文化勲章受章者)、小茂田青樹(武蔵野美術大学教授)、田中青坪(東京藝術大学名誉教授)、後藤純男(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)。
 アジアや日本各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」を中心画題として、人物画、風景画、花鳥画などを日本画で描く。また、日本画の技術を応用して、手製高級壁紙の金唐革紙(きんからかわし/国選定保存技術)や、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)の天井画、絵本の原画などの制作を行う。
 国立大学法人 東京藝術大学 デザイン科 非常勤(ゲスト)講師(2017~21年度)。学校法人桑沢学園 東京造形大学 絵本講師(2017~18年度)。日本美術家連盟 会員(推薦者:中島千波先生)、日本中国文化交流協会 会員、絵本学会 会員。
    *
 1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校 美術科で日本画を始める。東京藝術大学 絵画科日本画専攻 卒業、後藤純男先生(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。
 卒業以降は日本画家として活動し、日本・中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は「絵本」の原画制作に力を入れる。
 2023年、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)天井画『黒龍と四つ姫の図』を制作奉納する。

○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社/中国)。挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。
 『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。また、宮崎 駿 氏の絵物語「シュナの旅」の原話になった事でも知られている。
○NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞・専門誌・インターネットサイト等への出演・掲載も多い。

★現在、日本国内向けと、中国向けの「絵本」を制作中です~❣

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絵本ナビ「犬になった王子  チベットの民話」絵本ナビ「犬になった王子 チベットの民話」
絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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