2014-06-30
絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)出版の反響
ネット社会のみならず、現実社会でもテレビ・新聞・美術専門誌・絵本専門誌・フリーペーパー等からの取材・掲載が絵本出版以降相次ぎ、数10件を超える対応に追われ、数カ月間は辟易とした位です。
岩波書店の「絵本」は書店の買取り制ですので、店頭に平積みされる事はまずありません。派手な売り込みも無い老舗出版社からの、渋めの私の作画作品ですので、実際はぼちぼち売れ行く程度で、ロングセラーはあってもベストセラーはありえません。それでも、この位の反響があるというのが事実です。
日本画のみで活動していた頃はインターネットをやっていなかったので比較しにくいのですが、多分軽く10倍以上の反響はあるでしょう。日本画家でこれ位の世間の認知を得ようとしたら、よほど著名作家でなければ不可能です(後藤純男先生、平山郁夫先生、中島千波先生、千住 博先生クラス)。特にしぼられた好事家だけでなく、この様に広く一般大衆に見ていただける・知っていただけるという点が、「絵本」の最大の魅力の一つでしょう。
しかし、「絵本画」だけでは、「日本画(純粋絵画)」の持つ深み・高い芸術性にはなかなか到達できません。私の浅学の範囲では、日本の絵本画家で芸術的にも極めて深い域にまで達した作家は、いわさきちひろと赤羽末吉先生他数名しか知りません。これからも私は、この両輪で切磋琢磨していく事になるでしょう。美術作品と絵本(挿絵)作品を手掛けられた先人では、鏑木清方、堀 文子先生、秋野不矩先生、佐藤忠良先生等が優れた先駆者ですが、私もその様な幅のある活動の中から、より自分らしい深みのある世界を創っていきたいと思っております。
現在、私の作画による福音館書店(こどものとも)と童心社の新作絵本制作が進行しています(結局、この企画は、出版社の都合で未完に終わりました。:2021年10月追記)。今後ともご教導の程よろしくお願い申し上げます。
日本画家・絵本画家 後藤 仁


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