2013-03-30

絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』出版までの永き道のり その2

   「その1」からの続きになります・・・

 私は、「ぜひ、描きたいです。」と福音館書店の編集者に答え、いよいよ絵本制作が進みだしました。
 「どんな話を描きたいですか?」と編集者が言われますので、永年『アジアの美人画』をテーマに日本画を描いてきた私は、「アジアの民話を描きたいので、探してみます。」と答えました。初絵本として自分が描く話は、自分で見付け出したかったのです。

 昔から民話や物語が好きで多くの作品を読んできたのですが、あらためて「絵本」にむいた民話を選ぶとなると難しいものでした。
 話を選ぶに当たって2点を重要視しました。1つは、日本画家・美人画家の私が描くのにふさわしく、画力を存分に発揮できる話である事。もう1つは、現代の子供達にとって大切なものを伝えてくれる話である事です。
 私は、松戸市立図書館、千葉県立西部図書館、葛飾区立図書館の3館を10何回も往復して、図書館にある全ての「アジアの民話」を読み直しました。そこで気づいたのは、東南アジアの民話集は極めて少ないという事です。今後、この地域の民話集・物語集が数多く研究・出版される事を望んでいます。
   
 アジアの民話でも「中国の民話」が断然多く訳されており充実していますので、必然的に良い話も多く見付かりました。
 2か月位図書館に通い詰めるうちに、多くある話の中で中国民話『長い髪の娘』の物語が目に留まりました。「この美しい長い髪をぜひ描いてみたい、きっと良い絵本になるはずだ。」と直感しました!
 『長い髪の娘』の翻訳本をいくつか探し出し、福音館書店編集者に打診しましたところ、「それは良い話だ。」という事になりました。
 しかし、どなたに再話をお願いしようかとなった時、編集者は、「やはり中国の民話の再話となると、あの方しかいない。」となり、君島久子先生にご依頼する事に決定しました。

 まずは、作画の資料集めです。『長い髪の娘』の舞台である、中国貴州省と広西チワン族自治区に住むトン族の事や、話に登場するブタなどの資料を図書館などで集めました。また、何10回となく図書館に通い詰め、多くの専門書などを収集しました。この資料集めだけでも、2~3か月はかかりました。
 しかし、今までの作品制作の上で"現地取材"にこだわってきた私は、「どうしても現地に行く必要がある。」と採算などは度外視で考えました。トン族の村のある地域を調べてみると中国内でもかなりの奥地で、いつもの自由旅行の一人旅では簡単には旅行できなさそうな事が分かりました。私は中国の現地旅行会社と直接連絡を取り、通常の観光旅行では行けないような奥地の村まで取材するオリジナルコースを個人手配しました。

 2008年4月、いよいよ取材旅行の日が来ました・・・


  この続きは、また次回としましょう。  GOTO JIN

 (次回の絵本制作エピソードのカテゴリは、「ながいかみのむすめチャンファメイ 制作」ではなく、「写生旅行(海外)」になります。) 
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2013-03-29

「金唐革紙(きんからかわし)」製作秘話 その3

   〔序文〕

 これから『金唐革紙』のくわしい製作過程を書き下ろしていきます。『金唐革紙』をご覧になられた事の無い方は、私達が若い頃に力を尽くして文化財の復元にあたった事実を知っていただく良い機会になる事でしょう。
 既に『金唐革紙』をご存知の方は、私達若い力によって『金唐革紙』は製作されたのだという事に思いをはせながら、ご鑑賞下さいますと有難いです。このブログで書き下ろす各施設の製作エピソードや写真は初公開の内容ばかりですので、興味深く見ていただけるものと思います。

 またいささか堅いテーマとなりますが、現在の日本では(外国も同様でしょうが、)まだまだ経営者や発注者などの出資者の権限が強過ぎて、実際に労働した当事者の権利は限られています。ある団体が製作した製品の権利は、最初に出資し製作場所を提供したという事で全て出資者にあるのか、それとも実際汗水流して製品を作り出した製作者にもあるのか。大量生産の工業製品ならともかく、美術品の場合は「著作権(その人が自ら作品を創作した時に同時に発生する権利)」の観念からしても、実際の製作者にもいくらかの権利はあるのではないかと私は考えています。それらの美術界にもある矛盾や不条理について考察していただく場にもなると思います。
 もちろん経営者でも、精力的に会社を運営しながらも、社員への思いやりも大切にしている有徳者も多いでしょう。人の上に立つ人物は常にそうありたいものです。

 「絵」や「美術」に対する思いは誰よりも強い私です。この様にして後世に文化を伝えていく事により、将来の日本文化の発展に少しでも寄与出来るのならば光栄です。 日本画家・金唐革紙保存会  後藤 仁


(※最近、かなり多くの私の支援者やファンの方が、「旧岩崎邸庭園」「入船山記念館」等の販売コーナーの金唐革紙しおりや金唐革紙の本を、私の為になると思われて購入されている様です。お気持ちは有難いのですが、現在私は金唐革紙の研究所を完全に離れており、購入された収益は全て研究所の経営者のものとなっています。もし、私の為のご購入でしたら、金唐革紙グッズではなく、私の『絵本』作品などをお求め下さいましたら有難いですので、よろしくお願い申し上げます。)

        

 『金唐革紙』製作の思い出を、日記風につづっていきます。外部の方は全く知りえない話ばかりですので、実際に旧岩崎邸などの『金唐革紙』を見られた方には興味深い話ばかりでしょう。出来るだけ正確に、真実のみを伝えようと心掛けて書きます。

入船山記念館 金唐革紙製作 1995.11

 「呉市入船山記念館」 金唐革紙製作 - 刷毛による彩色 (1995年11月) 後藤 仁 ©GOTO JIN


 1994年、私が東京藝術大学日本画専攻の3年生、26歳になった頃です。たしか夏休み前頃、クラスのS君とI君が苦学生で大変そうな私を見かねて、「体力はいるけど、良い職人仕事がある。」と誘ってくれました。その仕事は何やら歴史のある『金唐革紙』という壁紙の製作だと言います。彼らは少し前から、その仕事をしていると言うのです。

 実際、その仕事場へ行きました。そこは、ある職人が一人で経営しているという『金唐革紙』の研究所でした。その職人から直接、厳しく教えられると覚悟していたのですが、実際はS君とI君から製作方法を教わりました。経営者はあまり職人や美術家らしくもなく、ビジネスマンぽいな・・・と、すぐに私は感じました。
 夏休みには、本格的な製作が始まりました。それが広島県呉市にある「入船山記念館」の金唐革紙でした。S君はその後ほとんど参加しなくなり、代わりに名のある陶芸家のご子息のE君が加わりました。しかし、E君も仕事の大変さに「手が痛い、痛いで・・・」と言いつつ、じきに来なくなりました。経営者は私達が交代で食事に行っている時や休憩の時のみ「打ち込み」の仕事に加わるだけで、結局、実際の製作はほとんど私とI君の2人でやりました。
 「打ち込み」は、版木にあてた和紙の裏からブタ毛の強靭な刷毛で、一日に5~6時間も強力にたたき続けます(少しの休憩ははさみますが)。一日終わると指の関節が全て痛くなり、何日も痛みが引きません。学校が始まると日本画制作の時に手が思うように動かず大変でした。ずっと「打ち込み」ばかりをやっていると手がもたないので、時々「箔押し(錫箔を和紙に丁寧に貼っていく)」「ワニス塗り(打ち込みの終わった錫箔の上からワニスを塗る)」をはさみながら製作を進めました。この「箔押し」「ワニス塗り」もほとんど2人でやりました。
 最後の方になりI君までも、あまり来なくなりましたので、「手彩色(刷毛で全面を塗る工程と、面相筆という細い筆で細かく塗る工程がある)」は最も多く私が行ったと記憶しています。面相筆の彩色は非常に時間がかかるので、間に合わない分は東京藝術大学日本画専攻の学生10数名に渡して、彩色してもらいました。彫刻技術のいる「版木修復(版木の傷んだ箇所を修復する)」と、ほこりだらけになって大変だった「やすり仕上げ(彩色後に紙やすりをかけて古色を出す)」は、完全に私一人でやりました。

 私達の夏休み・春休みなどにほとんどの製作をこなしていき、この様な苦心の製作のすえ、1996年初め頃、「入船山記念館」の『金唐革紙』を完成・納品しました。

 私達は「入船山記念館」のオープニングセレモニーなどのイベントには、一切呼ばれませんでした。それでも、「広島県重要文化財 旧呉鎮守府司令長官官舎 修理工事報告書」(1996年3月、財団法人文化財建造物保存技術協会 編集)(ただし、修復後に「国重要文化財」に指定される。)という正式報告書には私達の名前も小さくですが掲載され、「頑張った甲斐があった・・・。」と思いました。本来の作家というのは、自分の仕事が世に残せるだけで満足するといった、その様な単純な生き物なのです。
 しかし、私達の名前が、『金唐革紙製作者』としておおやけに記されるのは、この時が最後になるのでした・・・・

 
  この続きは、また次回としましょう。     後藤 仁

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2013-03-28

「金唐革紙(きんからかわし)」製作秘話 その2

 今回は前回の続きで、私の「金唐革紙製作の実績」等を書きます。私のブログですので、プライバシーを考え他の製作者の名前はあえて伏せましたが、当時はその若者達と一緒に(私も若者でした)本当に頑張って製作しました。

「旧岩崎邸」金唐革紙 製作実演2

「旧岩崎邸庭園 金唐革紙展 製作実演会」(2004年11月13日) 後藤 仁 ©GOTO JIN


〔後藤 仁の金唐革紙製作実績一覧〕
  
 (%は、金唐革紙の研究所作業記録に基づいて、製作量・時間から割り出した、作業全体に対する貢献度。)

●1985年 旧日本郵船小樽支店 〔金唐革紙1種、数枚復元製作(1枚の大きさは約90×180cm)〕
 後藤 仁は不参加。(後に、ここに使用された「金唐革紙」の製品製作をする。)

●1994年 旧林家住宅 〔金唐革紙1種、数枚復元製作〕
 後藤 仁は不参加。(後に、ここに使用された「金唐革紙」の製品製作をする。)

●1995年 入船山記念館 〔金唐革紙4種、約150枚復元製作〕
 製作主任の後藤 仁を中心に製作された。その他、主に4名が製作に参加。
 〔後藤 仁の製作実績〕
  企画40%、版木修復100%、箔押し90%、打ち込み90%、やすり仕上げ100%、ワニス塗り90%、手彩色80%

●1999年 移情閣(孫文記念館) 〔金唐革紙1種、約400枚復元製作〕
 製作主任の後藤 仁を中心に製作された。その他、主に6名が製作に参加。
 〔後藤 仁の製作実績〕
  企画40%、版木修復100%、箔押し90%、打ち込み90%、ワニス塗り90%、手彩色70%、シルクスクリーン彩色80%、現地貼り込み80%

●2002年 旧岩崎邸(旧岩崎家住宅) 〔金唐革紙2種、約150枚復元製作〕
 製作主任の後藤 仁を中心に製作された。その他、主に5名が製作に参加。
 〔後藤 仁の製作実績〕
  企画60%、版木修復100%、箔押し100%、打ち込み100%、ワニス塗り100%、手彩色30%、シルクスクリーン彩色100%

 その他、「金唐革紙製品(金唐革紙見本帳、屏風・衝立・額製品等)」の製作、「金唐革紙展」の展示製品製作・会場設営・製作実演は、後藤 仁を中心に行われた。

 現在までに、『金唐革紙』の最も多くの実質的製作にあたったのは後藤 仁(全復元製品の約85%の貢献度)で、他の者の50%以下の貢献度を大きくしのいでいる。したがって、『金唐革紙』の最も高度で完全な製作知識・技術を保有しているのは後藤 仁といえる。



〔金唐革紙の製作工程〕
1.「合紙」 手すき楮紙と三椏紙を合紙して、原紙を作成する。

2.「箔押し」 原紙に、金・銀・錫箔などの金属箔を押す。

3.「打ち込み」 文様が彫刻された版木(桜材)に、水で湿らせた原紙をあて、紙の裏より豚毛の強靭な刷毛で丹念に打ち込み、凹凸文様を出す。

4.「ワニス塗り」 錫箔の場合のみ、天然ワニスを塗って金色を出す。

5.「彩色」 漆・油絵具等で、丁寧に手塗り彩色をする。種類によってはシルクスクリーンで彩色したり、紙やすりでやすりがけをして古色をつける。

 この製作技術は大変難しく長い経験を要する。現在は版木製作以外の全ての工程を同一人物が行うので、一日に刷毛で打ち込む事6時間以上という体力と、箔押し・精緻な彩色という、手先の器用さも必要となる。版木は明治・大正期に製作されたものを用いる場合が多いが、旧来の金唐革紙よりデザインをおこし新しく版木を製作する場合もある。

 現在製作されてきた金唐革紙は全て旧製品のデザインによる「復元製品」で、新しいデザインによるオリジナル作品の製作は需要が無くて今まで行われていない。





 ここまでは、「ウィキペディア」の『金唐革紙』に私の協力者が書き込んでくれたものと、だいたい同じです。次回からは、当事者しか知らないもっとくわしいエピソードなどを書いていこうと思いますので、お楽しみにしていて下さい。    後藤 仁

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2013-03-27

絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』出版までの永き道のり その1

 今回から、絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』の制作過程を、何回かに分けて日記風につづっていきます。

 私の手がけた初絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』の出版までには、とても多くの時間と労力がかかりました。


 私は永年、日本画家として活動して来ました。幼い時から絵が好きで、15歳で日本画を始め、2013年で日本画画業30年になります。大阪市立工芸高校美術科日本画専攻、立川美術学院日本画科(現代アートの村上隆氏らに学ぶ)、東京藝術大学絵画科日本画専攻(後藤純男先生門下)で学びました。
 今の私の主要画題は「アジアの美人画」で、アジア・日本の少数民族や伝統舞踊を踊る女性などを、物語性をたたえた画風で描いて来ました。そんな中、現在の日本画でほとんど描かれなくなった「物語絵」「絵巻物」を描きたいとずっと思って来ました。

 その折、約8年前に私の『個展』に福音館書店編集部の方が突然訪れましたが、その時はただ作品を見られて絵本の話をされて帰りました。私は子供の時、最初に絵に興味を持ったきっかけは「絵本」だった事を思い出し、ずっと「絵本」を描いてみたいと思ってきた自分を再発見しました。元々私の興味は日本画だけではなく、いわさきちひろやアーサー・ラッカムや村上勉氏などの絵本画家の作品もとても好きだったのです。ただ日本画家として専念して活動する中で、「絵本」という選択肢を忘却していたのです。しかしその後、編集者からは何の便りもありませんでした。

 それから時が過ぎ、5年あまり前の『個展』の時、前に来た編集者ともう一人、別の少し若い編集者がいらっしゃいました。その若い編集者が、「絵本を描いてみませんか?」と言われましたので、私は「ぜひ、描きたいです!」と即答しました。
    
 しかし、それからがまた永い道のりでした・・・


まず、本日はここまでとしましょう。このつづきはまた次回、お話ししましょう。 GOTO JIN



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2013-03-25

「金唐革紙(きんからかわし)」製作秘話 その1

 私は本来日本画家ですが、絵の勉強時期には日本画の制作・展示と並行して色々な事にも挑み、その技術も日本画に吸収してきました。
 『金唐革紙(きんからかわし)』と呼ばれる、手製の高級壁紙もその一つです。今回は、その『金唐革紙』について書いてみます。


「旧岩崎邸」金唐革紙 製作実演
 「旧岩崎邸 金唐革紙展 製作実演会」(2003年11月15日) 後藤 仁 ©GOTO JIN

〔金唐革紙の歴史〕
 欧米の皮革工芸品を「金唐革(きんからかわ)」といい、宮殿や市庁舎などの室内を飾る高級壁装材であった。江戸時代前期の17世紀半ばに、オランダ経由でスペイン製の「金唐革」が輸入されたが、鎖国を行っていたために入手が困難であった。また、牛革では大きな製品が出来ない事や、湿度の高い日本での衛生面の問題もあった。そこで、日本の風土になじむ和紙を素材とした代用品の製作が日本で行われ、1684年に伊勢で完成した製品が『金唐革紙』(「擬革紙(ぎかくし)」ともいう。) の元祖である。 

 明治時代には、大蔵省印刷局が中心となって製造・輸出され、ウィーン万国博覧会・パリ万国博覧会など各国の博覧会で好評となり、欧米の建築物(バッキンガム宮殿等)に使用された。国内では、鹿鳴館等の明治の洋風建築に用いられたが、その多くは現在消滅し、現存するのは数ヶ所だけという貴重な文化財になっている。昭和初期には徐々に衰退し、昭和中期以降その製作技術は完全に途絶えていた。


〔金唐革紙の復元製作〕
 1985年、「旧日本郵船小樽支店」(国重要文化財、小樽市)の復元事業で金唐革紙製作方法の研究を依頼された新設の金唐革紙の研究所は、国立東京文化財研究所の助言を受けながら、現代版の『金唐革紙』を復活させる。しかし、当初は研究所経営者が製作も兼ねており本格的な技術者がおらず、製品品質は低く製作量は少なかった。(現在世間では「金唐紙(きんからかみ)」とも呼ばれているが、この名称はこの金唐革紙の研究所製品にのみ用いる、研究所によって新しく考えられた造語である。)

 1995年、「入船山記念館〔旧呉鎮守府司令長官官舎〕」(国重要文化財、呉市)の復元事業より、当時、東京藝術大学日本画専攻在学中の学生であった26歳の私(後藤 仁)を中心に、3~6名位の学生が随時研究所に加わり、私達によって復元当初には無かった多くの改良が重ねられ、製品の質・量ともに飛躍的に向上した。

 以後12年余にわたり私が実質的製作の中心的役割を果たし、1999年に「移情閣〔孫文記念館〕」(国重要文化財、神戸市)、2002年に「旧岩崎邸」(国重要文化財、台東区)等の主要な復元を行う。
 その間、紙の博物館(東京都王子)、呉市立美術館(広島県呉市)、旧岩崎邸庭園、入船山記念館、フェルケール博物館(静岡県)、大英博物館、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館(イギリス)等で『金唐革紙展』を開催して、その普及に努める。これらの功績により、金唐革紙の研究所を代表して経営者のみが2005年、国選定保存技術保持者に認定される。

 その後、元学生達は全員それぞれの制作に戻り、研究所は本格的な製作体制は終了して、現在は講演活動のみ経営者が行っている。
 私は2006年に研究所をはなれ、金唐革紙製作技術を日本画にも取り入れ、本来の日本画家として活動している。また『金唐革紙保存会』を主宰して展覧会等での金唐革紙の紹介や製作技術保存・存続にも尽力し、将来的に必要があれば製作出来る体制を維持している。現在、金唐革紙製作全般にわたる最も高度な製作知識・技術を有しているのは私と元学生の計2名のみで、現役で高水準な製作が可能なのは私と元学生の計4名しかいない。


〔金唐革紙の現存する建築物〕
 明治から昭和初期の金唐革紙(旧製品)が現存する主な建築物。および、新しく復元製作された金唐革紙(復元品)がはられた建築物。

●「入船山記念館(国重要文化財)」広島県呉市 (旧製品・後藤 仁による復元品)
 http://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/bunkazai/bunkazai-data-102010500.html
 http://www.kankou.pref.hiroshima.jp/mobile/mobile_detail.php?id=9380
●「旧岩崎邸庭園(国重要文化財)」東京都台東区 (旧製品・後藤 仁による復元品)
 http://teien.tokyo-park.or.jp/contents/index035.html
●「移情閣〔孫文記念館〕(国重要文化財)」兵庫県神戸市 (旧製品・後藤 仁による復元品)
 http://sonbun.or.jp/jp/
 http://feel-kobe.jp/sightseeing/spot/?sid=68
●「旧日本郵船小樽支店(国重要文化財)」北海道小樽市 (旧製品・復元品)
●「旧林家住宅(国重要文化財)」長野県岡谷市 (旧製品・復元品)
●「国会議事堂  参議院内閣総務官室・秘書官室」東京都 (旧製品のみ)
●「旧第五十九銀行本店本館〔青森銀行記念館〕(国重要文化財)」青森県弘前市 (旧製品のみ)

 その他、「紙の博物館」(東京都王子)には旧製品、復元品(後藤 仁の製作品)が収蔵されている。



 かなり専門的な話になりますので、今回はこの辺りまでとしましょう。当事者しか知らないくわしい製作秘話なども、おいおい書いていきますので、お楽しみにしていて下さい。
 ちなみに、「ウィキペディア」の『金唐革紙』にも同様の記事が出ていますが、あれは主に私の協力者の「金唐革紙保存会」のメンバーが書き込んでくれたものです。ただ時々事実と異なる事も自由に書き込まれますので、ここに最も正確な事実を述べておこうと思います。

 私が金唐革紙の研究所を離れた大きな理由は3つあります。まずは、本業の日本画の制作に専念したかった事。2つめは、実質的にはほとんど私達若い者2~6名位が金唐革紙製作をしていたにもかかわらず、外部には経営者が一人で全てを製作しているという形で喧伝されていたという不条理。3つめは、経理・運営を一人で手掛けていた経営者が、「研究所発足当時から長年不正経理を継続しており、巨額の脱税をしている。」という経営上の法的不備の告白をした事によります。
 世間では、現在も『金唐革紙』の製作者は研究所経営者のただ一人のみとされていますが、一人で出来る規模の仕事ではありません。「旧岩崎邸庭園サービスセンター」や、その監督所の「東京都公園協会」、「孫文記念館」、「入船山記念館」、「紙の博物館」などのいずれも私達数名が実質的な製作をした事を把握していますが、現在の日本では経営者(出資者)と発注者の権限が強く、実際苦労して製作にたずさわった人の権利はまだまだ低いのが現状です。
 それぞれの施設で、製作者の名前を全て正確に記載していただける日が来る事を願っています。その様な公平な日が来る事が、製作者側の唯一の望みです。このブログを見られた皆様にも、ご支援・ご教導の程よろしくお願い申し上げます。  日本画家・絵本画家 後藤 仁
  
(※最近、かなり多くの私の支援者やファンの方が、「旧岩崎邸庭園」「入船山記念館」等の販売コーナーの金唐革紙しおりや金唐革紙の本を、私の為になると思われて購入されている様です。お気持ちは有難いのですが、現在私は金唐革紙の研究所を完全に離れており、購入された収益は全て研究所の経営者のものとなっています。もし、私の為のご購入でしたら、金唐革紙グッズではなく、私の『絵本』作品などをお求め下さいましたら有難いですので、よろしくお願い申し上げます。)

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2013-03-24

後藤 仁絵本原画展 〜絵本出版・日本画画業30年記念〜

 これから各地で「絵本原画展」を開催していきます。まずは、私の地元で開催する展覧会をご案内いたします。

〜 絵本出版・日本画画業30年記念 〜
後藤 仁 絵本原画展 
  GOTO JIN    EXHIBITION

  絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』表紙部分
           ©GOTO JIN 2013

2013年4月21日(日)〜5月1日(水)  AM10:00〜PM7:00      
         期間中無休・入場無料

《後藤仁サイン会:4月21日(日) PM 1:00〜3:00 》 後藤仁の絵本や色紙などをお持ちください。

「いしど画材」 〒277-0005  千葉県柏市柏1−4−5−4F
             (JR・東武野田線 柏駅東口より徒歩1分)

    TEL 04-7167-1410    http://www.ishidogazai.net      
                

 15歳で日本画を始めて30年あまりの歳月が流れました。永年「アジアの美人画」をテーマに、日本やアジアの女性などを描いてきました。
 この度、絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』(福音館書店)の出版と日本画画業30年を記念して、絵本原画20点と、美人画・花などの日本画作品7点にて展覧いたします。
 ぜひ、ご高覧いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 〔主催〕
   いしど画材
   日本画家 後藤 仁 (東京藝術大学日本画専攻卒業。後藤純男門下)
 〔後援〕 
   日本中国文化交流協会
    http://www.nicchubunka1956.jp/
 〔協力〕
   福音館書店   
    http://www.fukuinkan.co.jp/

     

テーマ : 展示会、イベントの情報
ジャンル : 学問・文化・芸術

2013-03-23

これからブログを始めます。日本画家 後藤 仁

 これからブログにて、日本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内をしていきます。
 まずは、2013年2月に発売された「絵本」と11月15日発売の「絵本」のご案内です。ぜひ、書店や図書館で手に取ってみて下さい。よろしくお願い申し上げます。(なお、出版社に直接ご注文されると送料がかかります。全国書店でご注文されると送料がかかりません。)


○2013年2月1日 出版  
 福音館書店 月刊絵本こどものとも 3月号
 
『ながいかみのむすめ チャンファメイ』       
  絵 後藤 仁/再話 君島久子 (国立民族学博物館名誉教授)  
   ℡ 03-3942-2082(福音館書店編集) 03-3262-1642(福音館書店注文)
    〔JAN 4910037790330〕  410円(税込) 
       http://www.fukuinkan.co.jp/
        福音館書店「ながいかみのむすめ チャンファメイ」                    

水の無い貧しい村に住む一人の優しく勇気ある少女が、自分の身を犠牲にしてまで村に水をもたらそうとする、心あたたまる感動物語です。現代の日本の子供達に、ぜひ見てもらいたい絵本です。登場する3匹のコブタもかわいいです。中国の少数民族、トン族の民話。    

 絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』表紙
      © GOTO JIN 2013

○2013年11月15日 出版 
 岩波書店 絵本
  
『犬になった王子 チベットの民話』   
  絵 後藤 仁/文 君島久子  
   ℡ 03-5210-4000(岩波書店案内) 049-287-5721(岩波書店注文)
    〔ISBN 978-4-00-111242-9〕  1800円+税
       http://www.iwanami.co.jp/book/b254895.html
 
穀物のない国の勇敢で心の優しい王子が、美しくて思いやりのある娘ゴマンの愛によって救われ、苦難の旅を乗り越え麦のタネを手に入れるまでを描く、壮大な冒険物語です。犬になった王子の姿は、気高くもかわいらしいです。宮崎駿「シュナの旅」(徳間書店)(のちにスタジオジブリのアニメ映画「ゲド戦記」の元となる。)の原話にもなった名作を初絵本化。チベットの民話。


 〔後藤 仁(GOTO JIN) 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。千葉県松戸市在住。

テーマ : 絵本・制作・イラスト
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。金唐革紙保存会 主宰。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。2017年度より東京造形大学、絵本講師に就任。千葉県松戸市在住。

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絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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