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2019-11-27

後藤 仁「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海)写生・絵本研究旅行」 その7〈最終回〉

 2019年9月10日(火)~21日(土) 「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」(12日間) その7 〈最終回〉です。

 11日目、9月20日(金)。朝6時前に起床。甘粛省・敦煌の豪華ホテル「敦煌維景酒店」には朝食が付いていないので、この日も多分、部屋でお菓子とフルーツを食べたと思います。7時頃からは恒例の早朝のお一人散歩です。ようやく薄明るくなってきましたので、敦煌の街を流れる川・党河に出て、橋の上からSM号スケッチブックに30分近くスケッチ。対岸の東屋はコンクリート製ですが、風情があるので描いてみました。敦煌 莫高窟で1枚も描けなかったので、どこか敦煌市内を描きたかったのです(これがこの旅での最後の一枚となりました)。鉛筆で描き、色鉛筆で色を付けます。人がちらほら行き交います。結構、寒いです~。
 描き終えてブルっと震えると、先日見付けた、党河沿いにある「敦煌画派 美術研究院」に行ってみました(鳴山路の「敦煌書画院」とは別の施設)。2日前は朝早過ぎて閉まっていたのです。ビルを上がると入り口は開いていました。入ってみると敦煌壁画の模写 等がたくさん展示してあります。なかなかしっかり描いています。一室が工房らしく画材が置いてあるので入ってみました。部屋内を見ていると作家のお一人が来ました。最初は空き巣じゃないかといった感じで怪訝な表情でしたが、私が日本の画家だと名乗ると、一応、安心したらしく、それなりに対応してくれました。ビルの窓から党河を眺めると、いい景色でした。とうとうと流れる党河の向こうに禿山の山脈が横たわり、少し地味目なその風景は、古の敦煌を彷彿とさせました。その後、対岸の東屋まで歩き、そこで体操をしました。およそ1時間余りの朝のお散歩です。

 朝9時20分に「敦煌維景酒店」をチェックアウト。午前中は「敦煌画院」という美術館 附属 絵画模写研究所に行く事になりました。先程の「敦煌画派」や「敦煌書画院」と何らかの関係があるのかと思いましたが、全く別の組織でした。とても広くて立派な建物です。ここでは古代の壁画同様、土壁を塗り上げて、その上に模写をするといい、かなりレベルの高い敦煌壁画の模写・展示が行われています。画廊(ギャラリー)も併設されており、この日は現代若手女流画家の抽象的な絵が展示されていました。模写作品・画材を拝見し、解説ビデオを鑑賞し、院長のお話を聞きました。
 ここで昼食もいただける事になりました。豆腐・野菜を主体とした、油少なめのさっぱりした精進料理が出され、これまで脂っこくて濃い味ばかりだったので、食べやすくてとても美味しかったです。この研究所には研修者用の宿泊施設も完備されており、食事もできるのです。何とも至れり尽くせりです。日本でもあまり聞いた事が無い、このような民間の文化複合施設が充実した現在の中国は、文化興隆を進める上でうらやましい環境を有しています。中国では数年前からの国家的な文化振興施策以降、美術館建設に多額の補助金が出るようで、公共・私設の美術館建設が盛んに進められているのです。

中国写生旅行2019「敦煌画院」 院長・スタッフと、出版社編集者と、絵本作家の皆さんと

 敦煌の空港でチェックイン。北京と南京行きの中国の出版社の皆様とは、名残惜しいですが、ここでお別れです。この内容の濃い旅を計画・遂行して下さった出版社の方々に、心から感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
 イラストレーター・絵本作家の方は、取材であまりスケッチをしないようで、旅の道中、私一人だけがせっせと描いていました。夏目義一さんはカメラに凝っていて、2台の高級一眼レフカメラをフル活用されていました。齋藤隆夫さんは小さなカメラを使うだけのようでした。大島英太郎さんは写真は全く撮らずに、常に単眼鏡・双眼鏡で野鳥を観察されていました。四者四様のスタイルで、各々良い取材ができたようです。
 私と夏目さんは海外旅に慣れているのですが、齋藤さん、大島さんは慣れていないようで、後半、かなり疲れられたご様子でした。私の場合は、いつもの海外旅では1週間近く経って、ようやくその土地に身体が順応してきて、調子が良くなってきます。今回も後半、やっと調子が出てきて、絶好調になった頃に終了となってしまいました~。大島さんは旅の最初から風邪を引かれ、最後まで咳をしていたので、時々、私の風邪薬やビタミン剤をあげました。他の人達も、終盤、風邪を引いた人が何人かおりました。ハードスケジュールによる疲れもあるのでしょう・・・。「旅は道連れ世は情け・・・」、旅の道中は、慣れた者が慣れない者をサポートする必要性があり、助け合いの精神が肝要なのです。そうでないとスケジュールの全てがガタガタになってしまいます。海外旅のヒントとしては、外国の薬は強過ぎたりして不安があるので、普段使い慣れている日本製の常備薬(風邪薬・胃腸薬・鎮痛薬・絆創膏 他)を、数日分は持参しておいた方が良いです。その他、最小限の裁縫道具を持っておく等の多くの旅のノウハウがあるのですが、詳しく知りたい方は、機会がありましたら個人的にお尋ね下さい。
 
 15:20 敦煌空港(敦煌机场) 発 〈東方航空2216便〉 → 17:30 西安咸陽国際空港(西安咸阳国际机场) 着 
 19:30 西安咸陽国際空港 発 〈東方航空2216便〉 → 21:45 上海虹橋国際空港(上海虹桥国际机场) 着 
  

 上海には2つの空港があり、今回は上海虹橋国際空港から日本・羽田空港に向かうのですが、大島さんは旅の最初に手違いがあったようで、お一人、上海虹橋国際空港からタクシーで上海浦東国際空港(成田空港行き)に行かねばならなくなりました。旅慣れない大島さんが無事に日本に着けるのか、気が気でなかったです・・・。私が代わってあげたいけど~。
 もう既に外は真っ暗です。空港のすぐ近くの「美居酒店」というビジネスホテルに予約してありました。日本と中国の往復航空券代、中国国内の航空券代と、中国の出版社と別れた後の上海での一泊のみ、自分で支払う約束でした。「美居酒店」はシングルルーム一泊(食事なし)で約6300円(日本円換算)、上海にしては比較的安めで、空港に近いので便利なホテルです。内装備品もきれいで充実しています。
 夕食は近くのコンビニで即席ラーメンを買い、ホテルの部屋で一人いただきました。いつもの一人旅の感じで、むしろ落ち着きます。豪華な贅沢旅は、私には似合いませんね・・・。
 
 
 12日目、9月21日(土)。とうとう最終日です、・・・と言っても後は日本に帰るだけですが・・・。朝食は部屋でお菓子の残りを平らげました。
 ホテルから歩いて数分、空港にチェックイン。空港内で土産の小物(52元)を購入。

 8:40 上海虹橋国際空港(上海虹桥国际机场) 発 → 〈東方航空815便〉 → 12:30 日本・羽田空港 着


             *

 私の海外旅は、必要が生じれば現地会社のツアー等に途中合流する事はたまにあっても、通常は基本的に日本からの一人自由旅なのです。今回の中国取材旅行は、完全な集団手配旅行なので、私の旅としてはかなり特殊です。でも近年、4月の中国・煙台「中日国際書画学術研討会」での招待旅行のような、展覧会 等の目的を兼ねた、特別な手配形態の旅行が少し増えています。
 今回の取材旅行の「旅行費用」を、海外旅行の参考までに、ざっと記しておきます。

「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」(12日間) 

  日中往復航空券・中国国内航空券代(ビザ不要) 15万円
  旅行保険料(成田空港にて)  5000円
  上海一泊代金     6300円
  書籍・土産物等 購入費   約900元(約14000円)

                  総計  約17万5000円

 
 今回は中国・南京の出版社のご厚意で、航空券以外の全ての現地滞在・移動費を出していただきました。しかし、これはただの遊びではなく、今後、中国の出版社とより良き仕事を継続していく上での、お互いの信頼関係構築に他ならないのです。
 結果的には、私のいつものアジア貧乏一人旅~1カ月間とほぼ同じ位の金額になりましたが、これだけ充実した内容の豪華旅で、現地滞在・移動費はこれ以上はかかっているものと思われますので、中国側のご厚意による格安旅と言えましょう。

 旅の成果は、スケッチブック2冊で、計17枚(F4号1枚、SM号16枚)のスケッチ。写真撮影 2499枚。
 今回は集団行動でしたので、12日間であまり多く描けなかったのは残念でしたが、敦煌辺りには、またいずれ一人旅で訪れ、描きたいものです。

 私は原画販売・展示だけではなく、出版物(版権・印税制)の仕事も請け負うプロの日本画家なので、スケッチや原画をネット上であまり公開しないのですが、拙ブログ来訪者に感謝して、特別に2枚だけご披露いたします。

中国写生旅行2019「中国・揚州、早朝の東関街・東門城楼」(F4号、約1時間) 後藤 仁

中国写生旅行2019「中国・西寧、チベット族の少女」(SM号、約10分) 後藤 仁


           *

 前回の「台湾写生旅行」でも記した内容に追記します。
 中華人民共和国は、今や世界第2位の経済発展を遂げ、地方地域のインフラ整備も著しく進展しています。中国の治安は都市部ほど良好で、地方に行くほど悪くなると言われていますが、これは通常の国際事情とは真逆なのです。しかし、今回の旅で感じる限りでは、一部の地区・地域を除いて、地方でもかなり治安が安定している様子でした。敦煌でも、夜遅くまで女性や子ども達が楽しそうに遊んでいる様子は、平穏を感じました。
 私の実感で「旅の快適度・難易度(治安、利便性、雰囲気の良さ等から総合的に判断)」を独断と偏見で比較してみました。私が今までに旅をした国々の「旅の快適度・難易度」をざっと表にしてみると、以下のようになります。

◎日本(地方)、台湾(全域の平均)、ラオス(ルアンパバーン)、ベトナム(サパ、バックハー)、ミャンマー(インレー湖、カロー)
○日本(都心部)、中国(北京、上海ほか都市部)
○中国(青海省・西寧甘粛省・敦煌ほか地方地域)、タイ王国(チェンマイ、チェンラーイほか)、イタリア・バチカン市国、ミャンマー(全域の平均)、スリランカ
○タイ王国(バンコク)、ミャンマー(ヤンゴン、バガン)
○ベトナム(ハノイほか)、カンボジア(シェムリアップ)、ミャンマー(マンダレー)
  (この間には開きがあり、これ以下は旅の難易度が増します。)  
●中国(チベット)、ネパール(カトマンズほか)、インドネシア(ジャワ島、バリ島)
  (この間には開きがあり、これ以下はさらに旅の難易度が増します。)  
●インド(全域)
●インド(バナーラス)

 (※上方ほど快適度が高い、下方ほど難易度が高い。)

 
 といった順ですが、これはその国・地域の「良し悪し、素晴らしさ」という判断ではなく、あくまで治安を中心とした「快適度・難易度」です。また、私の訪問年代にもよりますし、たまたまその時の状況が悪かったという場合も考えられるでしょうから、私個人の主観としてご参照下さい。
 インド、ネパール、インドネシアなどは、とても優れた遺跡や文化が残っている素晴らしい国です。ただ、これらの国は一人旅をするのは結構難しい地域で、身に危険を感じる場面が何度か起こる可能性があり、特に女性の一人旅はよほど旅慣れた人でないとお勧めできません。また、ツアー旅行の場合でも、注意が必要になってくるでしょう。
 外務省ホームページの危険情報によると、インド辺りは黄色(十分注意)から部分的に薄いオレンジ色(渡航の是非検討)位の危険の程度です。中東やアフリカの紛争地帯では、濃いオレンジ色(渡航延期勧告)から大部分は赤色(退避勧告)ですので、いかにそれらの地域に旅をするのが危険なのかが推察されます。

           *   

 ちなみに、私が今までの海外旅行で、「最も感動したランキング ベスト23 」を挙げるとざっと以下のようになります。
(それぞれが個々に素晴らしくて、感動要素も異なるので、一概に比較するのは難しいのですが、私の主観による芸術的感動度のみでランキングしています。また、これが完璧なランキングという訳でもなく、その差は僅差であり、特に下位については気分・時節によって順位が変動します。この他にも良かった体験は多々ありますが、今、思いつく場所のみを上げています。)

第1位  インド アジャンター石窟「蓮華手菩薩像」
第2位  ネパール カトマンズ「インドラジャトラ祭 クマリとの遭遇」
第3位  中国 チベット「ポタラ宮」
第4位  インド バナーラス「ガンガーでの沐浴」
第5位  ◎インドネシア ジャワ島「ボロブドゥール遺跡」
第6位  ◎中国 貴州省「トン族村滞在」
第7位  ◎中国 甘粛省「敦煌莫高窟」
第8位  ◎カンボジア「アンコール遺跡群」
第9位  ◎ベトナム サパ、バックハー「モン族村滞在」
第10位 ◎イタリア・バチカン市国「システィーナ礼拝堂 ミケランジェロのピエタ像」
第11位 ◎中国 貴州省「ミャオ族 姉妹飯節」
第12位 ◎インドネシア バリ島「バリ舞踊」
第13位 ○カンボジア「アプサラ・ダンス(カンボジア舞踊)」
第14位 ○ネパール バクタプル、パタン
第15位 ○ミャンマー インレー湖(ファウンドーウー祭)、カロー(トレッキング)
第16位 ○タイ王国 チェンマイ、チェンラーイ(トレッキング)
第17位 ○インド エローラ石窟、カジュラホー
第18位 ○スリランカ シーギリヤ・ロック「シーギリヤ・レディ」
第19位 ○中国 青海省「チベット族の一家との交流」
第20位 ○中国 四川省「四姑娘山」
第21位 ○ラオス ルアンパバーン
第22位 ○中国 西安
第23位 ○台湾 日月潭、霧台、烏来


 アジャンター石窟、ガンガーの沐浴、ポタラ宮では、感動のあまり感涙を起こす位ですし、インドラジャトラ祭ではほぼ放心状態でした。つまりは、近寄る事が困難である程、より感動が増加するとも言えますので、「旅の快適度・難易度」がそのまま「旅の良し悪し」ではないという事なのです。
 また、お金を払えば誰でも行ける簡単な「ツアー旅行」では、私と同程度の感動は多分、得られないのではないかと思います。現地の文化・美術への造詣と知識を十分に得た上で、長期間の自由旅行で精神を解き放ち、不便を乗り越えながらようやくたどり着いた中での感動なのです。

 今回の中国旅は集団移動旅行という性格上、あまり感動を味わっている余裕がありませんでした。今回の旅の主催者の絵本編集者・唐 亜明さんもおっしゃられていましたが、「今回の旅は少し予定を詰め込み過ぎたかな~」という感じです。唐さんには旅の途上、大いにお世話になりましたが、その分、最後はかなりご疲労の様子でした。誠に感謝申し上げます。
 この旅行記にも書いた通り、現在の中国のあまりの観光客の多さに辟易する場面も多々ありました。それでもなお、やはり敦煌 莫高窟の素晴らしさ・偉大さは白眉と言えるのです。旅の途中は、鑑賞形態の不自由さ・人の多さがやけに鼻につき、感動の遡上を遮蔽するかの感がありましたが、こうして帰国後、改めて旅を回想すると、やはり敦煌の美はこの上なく神々しいの一言です。もし20年以上前に敦煌を一人旅で訪れていたら、その感動度は間違いなく、アジャンター石窟と肩を並べた事でしょう・・・。
 また、純粋に感動したという点だけで考えると、今回の青海省「チベット族の一家との交流」はかなり高いものでした。この一幕がなければ、この旅は観光地を回るだけの、凡庸で味気ないものになっていたかも知れません。世界ウルルン滞在記でもあるまいし、たった数時間過ごしただけの家族との別れ際、不思議にも思わず涙しました・・・。突然訪れた見も知らぬ外国人を温かくもてなしてくれた事への感謝の念や、素朴で純粋な少女達の行く末の平安を願う心だけではなく、多分、私が心を込めて描いた絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)の情景とイメージが重なった事もあるのだろうと、今では思います。
 これまでに旅先で、極めて深い感動により明確に落涙したのは、アジャンター石窟「蓮華手菩薩」を拝観した時、チベット「ポタラ宮」の入口に至った時、バナーラス「ガンガーでの沐浴」で亡き父を想った時くらいで、その他、旅行中にお世話になった人との別れ際や、旅の最終日の機内で、かすかに感傷的になる事はありましたが、それ以来の出来事でした。歳のせいか、近ごろ涙もろくなりましたね~。ただ感性・感情が人並外れて豊かでないと絵描きは務まりませんので、良しとしましょう。

 不安定な国際状況の中、今後の海外取材旅行でも多くの困難を伴うかも知れませんが、こらからも機会があるごとに私は写生旅行に出かける事でしょう。そこに感動があり、絵画創作へのインスピレーションの源泉がある限り、私は一生、旅を続ける事になりそうです。
 いつも読者サービス的に、取材旅行を無償でブログ公開していますが、いつか機会がありましたら、文章や写真だけではなく、旅でのスケッチやそれを元にした日本画作品等を掲載した、「旅の絵本」のような旅行記・絵日記と絵本が合わさったような本を描いて、出版できないものかと考えています。今の日本の出版状況を考えると、なかなか難しいのですが、今までの旅の面白い逸話・スケッチ・日本画作品は膨大にあります。もし、ご関心のある出版社の方等おられましたらご連絡下さい。

  絵師(日本画家・絵本画家)  後藤 仁  GOTO JIN

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2019-11-23

後藤 仁「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海)写生・絵本研究旅行」 その6

 2019年9月10日(火)~21日(土) 「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」(12日間) その6です。

 10日目、9月19日(木)。いよいよ本日は、私が日本画家としても人としても最も憧れの地である「敦煌 莫高窟」を訪れます。10歳の頃にテレビドラマ「西遊記」を観て、夏目雅子が演じる三蔵法師の美しさと堺 正章が演じる孫悟空の面白さにはまり、中学生の頃にNHK 「シルクロード」を観て本格的に中国文化に憧れ、大学3年生の「中国(北京・西安)の旅」では敦煌行きの航空券が満席で取れずに敦煌行きを逃し・・・、その後も、行きたい行かねばと焦がれつつ、何の縁か訪れる機会が遅れ続けた敦煌。その敦煌 莫高窟に向かいます。期待と興奮が最高潮に達していました・・・。
 朝5時には目が覚め、今日は出発が早いので朝食は部屋で、あちこちでもらったお菓子類を食べました。部屋には初日からウエルカムフルーツが置いてあったので、それもいただきました。6時50分にホテルのロビーに集合して、車で出発!!
 
 敦煌市内から莫高窟までは車ですぐです。到着すると、朝早いというのに人が結構いました。チケットをいただき、参ります~。チケット代は結構高いようですが、今回の旅では全て中国の出版社が持ってくれて大助かりです。感謝~。
 莫高窟を管理研究する「敦煌研究院」の初代院長のご子息の常 嘉煌さんもここで合流。今回は常さんのはからいで、現在はあまり一般公開をしていないという、特別窟中の超特別窟が見れるというので、期待も一層高まります。現在の敦煌 莫高窟は、自由参観が一切許されておらず、ガイドを付けた完全予約管理参観のみになっています。最初に敦煌の歴史を描いた映像2本を、大きなホールで鑑賞。なかなかよくできた映像です。そうしてようやく石窟に入れます・・・。
 石窟群は綺麗に整備され、観光客が朝からわんさかいます。私達はその人混みから外れ、第45窟〔盛唐〕に入ります。ここには私も幼少期から写真で何度も見て憧れてきた、あの素晴らしい7体の立像群が佇立していました。特に右側の菩薩立像の美しさには目を見張ります。この均整のとれた完璧なる美はいかなるものか・・・。どうしたら、このような完全なる造形を人が成し得るのか・・・。感動に身が震えます。左の南壁に描かれた「法華経変図」の観音菩薩も極めて美しく優れています。
(窟内は写真撮影禁止です。現場ではガイドと私の手持ちの懐中電灯だけの薄暗い中で鑑賞します。鑑賞時間もとても短く、完全には見きれません。私は、2008年にNHKで放送された「敦煌莫高窟 美の全貌」を録画していたので、旅の後、その映像や莫高窟の書籍を見直して、じっくり検証しました。)
 次に、第57窟〔初唐〕を鑑賞。この窟です、私が最も拝観したかった美の権化、南壁「樹下説法図」があるのです。現在は公開される事が少ないというこの窟に入れたのは、この上ない幸福でした。7世紀・唐時代の美意識の崇高さがうかがえます。全ての壁画が極めて高いレベルに達していますが、中でも、中央の菩薩像のこの世のものとは思えない美しさには、心底陶酔します。瓔珞の金の盛り上げの華麗さもさる事ながら、ほの白きかんばせの清らかさ・たおやかさは、心をとらえて離しません。画工の筆さばきの流麗さは、神妙なる領域に達しています。・・・・2004年にインド・アジャンター石窟寺院の「蓮華手菩薩」を拝観した時以来の感動的な菩薩でした。ただ、アジャンターでは当時、自由拝観ができ、ざっくりとした時間制限はありましたが、何とかねばって居座って、菩薩像を軽く鉛筆で模写できました。その時は一人旅でもあり、ゆっくり時間も取れ、たった一人で広い窟内を独占できる時間もあり、涙するほどの感動を味わう事ができたのです。2016年のスリランカ旅行でも、シーギリヤ・ロックやダンブッラ石窟寺院の壁画を自由参観・写生できました。・・・・ところが今回は、集団行動での短時間の拝観なので、どこか事務的でゆとりがありません。ただ、「虻蜂取らず」「足るを知る」とも称しますので、仕方ないです・・・。
 ここまでの2窟は「特別窟」といって、追加料金を払わないと拝観できないのですが、その窟の選択はガイドに任されているといい、今回入窟できた第45窟・第57窟の拝観は通常の観光旅行ではなかなかできないかも知れません。

 この後は通常窟ですが、ここにも名窟がたくさんあります。ただ観光客が多過ぎて、しっかり見れないのが難点です。第323(324・325)窟〔初唐〕、この窟は3窟がつながっています。ここには「張騫(ちょうけん)西域出使図」が描かれています。張騫は、西域の交流ルートを開拓したという前漢時代の外交使節です。
 第16・17窟「三層楼」〔晩唐〕、この窟は第16窟の脇に、20世紀初頭、新たに小さな第17窟が発見された事で有名です。今では「蔵経堂」と呼ばれますが、たくさんの敦煌文書が詰まっていたのです。
 第257窟〔北魏〕には、「九色鹿本生図」があります。この話は釈迦の前世譚(ジャータカ)ですが、私も絵本で描いた「金色の鹿」(バングラデシュ民話/子供教育出版)等のアジア各国の民話にも影響を与えています。
 第249窟〔西魏〕、この窟には立派な大壁画が残されています。阿修羅・風神・雷神・雨師(うし)・霹電(へきでん)・羽人(うじん)・迦楼羅・摩尼(まに)・開明(かいめい)・伎楽天・黄羊(こうよう)・獅子・猿・牛・猪 等が所狭しと乱舞しています。自由で伸びやかな筆致は素晴らしく心地良いのです。色彩も見事で、緑色の緑青(孔雀石)もきれいですが、青色顔料・ラピスラズリの軽快・鮮烈な美しさは絶品です。日本画では古来より、青色の代表として群青(藍銅鉱)が用いられてきました。原料調達の都合もあるのでしょうが、その深く濃厚な青色が日本人の抑制的で渋さを好む精神、祈りの心に合ったのです。それに比して中国・西域の人々には、この軽妙で開放的な、明るい青色のラピスラズリが合ったのでしょう。
 そして、第244窟〔隋〕(隋末~唐初にかけての優れた菩薩像がある)、第237窟〔中唐〕(南壁・観無量寿経変図に反弾琵琶の舞が、東壁・維摩詰経変図にはチベット等の少数民族の王達が描かれている)を見て、最後に莫高窟のシンボル、第96窟「九層楼」〔初唐〕を鑑賞。高さ34.5mの「北大仏(弥勒大仏)」の巨大さに驚きます。

 極めて高いレベルの作品群に圧倒・感動しながらも、多い日は一日6000人も訪れるという観光客の多さに辟易しました。日本人は意外に目立たず、ほとんどが中国人観光客でした。今、中国は空前の観光ブームです。本当なら、じっくりと遺跡周辺をスケッチしたかったのですが、今回は集団旅行なので不可能です。九層楼前で記念撮影をして、遺跡内の土産物屋で敦煌石窟の本(250元/現在、1元=約15円)を購入して、後ろ髪を引かれながらも、莫高窟を後にしました。

中国写生旅行2019「敦煌 莫高窟」 日本甘粛同郷会・常 嘉煌さん、北京の児童書出版社編集長・唐 亜明さん、北京・南京の児童書出版社の方々、絵本作家の皆さんと。

中国写生旅行2019「敦煌 莫高窟」 第96窟「九層楼」前にて。

 この後、車で少し移動して、「敦煌研究院」に立ち寄る事ができました。敦煌研究院と東京藝術大学 日本画専攻(主に平山郁夫先生の研究室)とは長く深い交流の歴史があるので、これは良い機会でした。「敦煌研究院」の貴重な書庫で敦煌関係の書籍を拝見。
 かつて留学生として東京藝術大学に来ていた時に私との交流があった、当時、敦煌研究院の研究生だった高 山(こう ざん)さんの事を、ここの研究者の方に聞いてみると、知っていました。当時、高さんのアパートで手作りの豆腐餃子をご馳走してもらったりと、親しくさせていただいたのです。高さんが中国に戻られてから、NHK 「新シルクロード」に出演しているのを見ました。その後、敦煌研究院を離れ、画家として活動しているという話は聞いていましたが、今でも中国で大変活躍されているそうです。学生時代の良き思い出の高さんが、今も第一線で頑張っておられるとの事で嬉しかったです。

中国写生旅行2019「敦煌研究院」 敦煌研究院 研究者と

 遅めの昼食を、敦煌の食堂で取りました。あまりよくは覚えていませんが、写真を見直すと、ロバ肉入りの汁無し麺をいただいています。
 その後、敦煌の名所、「鳴沙山・月牙泉」を観光。ここはシルクロードのオアシス、夢想の別天地です・・・。ところが今は、観光客の人の山。子供の頃から夢にまで見た辺境の地・鳴沙山には、300頭を超えるかと思われるラクダがつながれ、観光客がひっきりなしに列をなして、ラクダに乗って山を登ります。かつて命がけで隊商がラクダで往来した敦煌も、今では商売人のかっこうの観光収入の源泉です。出版社のご厚意で、私達もラクダで鳴沙山を登りました。ラクダの背中はとても揺れます。ラクダの背中の剛毛で擦れて、ズボンから出た足首が痛い~。タイ王国とラオスでインド象には乗った事がありますが、象と同様、ラクダも決して乗りやすい乗り物ではないようです。面白いには面白かったですが、これではまるでテーマパークですね~。
 次に月牙泉に向かいます。月牙泉を俯瞰した平山郁夫先生の有名な日本画がありますが、その真似ではないのですが、私も一度、月牙泉の俯瞰図を描いてみたいと思っていたのです。・・・ここも人の山です。私は頭の中だけでも、古のオアシスの、人一人いない静謐なる寺院と泉面をイメージしてみました。月牙泉の裏山に登る時間が無いという事で、この地を後にしました。最後に観光用電動自動車の後部に座り、鳴沙山・月牙泉を見送りながら、私は複雑な心境でいました・・・。

 私が何十年も憧れ続けて、ようやく夢が叶ったこの日。たしかに極めて優れた壁画・彫像の数々、間違いなく素晴らし過ぎる美術品に出会いました。しかし、かつてはここにたどり着く事すら困難な祈りの地・美術の地であった敦煌に、今ではいかにも容易に興味本位や物見遊山であまりにも多くの人々が押しかけています。人は皆平等なので、私がとやかく言う権利など一切ないのは分かっています。ただ、果たしてこの中のどれ位の人々が、本当に敬虔な祈りの心や真実の造詣・審美眼を持って、この素晴らしい文物を心から愛でているのかなという疑問にとらわれていました・・・。不思議な心持ちでしたが、少し虚しい想いで、私はこの地を見送りました。きっとまた、一人で来て、せめて在りし日の光景を思い浮かべながら描こう・・・、とは願っていました。

中国写生旅行2019「鳴沙山」 ラクダは続くよ~、どこまでも~~🎵 ラクダの列が延々と続く光景、かつての隊商の旅もこうだったのかな・・・⁉。

中国写生旅行2019「月牙泉」 静かなオアシスをイメージしていたのだが、ここにも人がいっぱい~ (@_@) 。

中国写生旅行2019「月牙泉」 敦煌の日差しはとてもきついので、しっかりとした日除けがかかせないのです。

 この日の夕食は、いつもご馳走されてばかりでは良くないというので、敦煌での最後の夜に、私達日本人作家と唐さんとで中国の出版社の人をもてなそうという事になりました。唐さんがネットで調べたという、敦煌市内の日本風鉄板焼きの店に行きました。食べてみると純中国風の濃いい味付けで、少なくとも日本の鉄板焼きではなかったです。やはり「郷に入れば郷に従え」という言葉通り、地元の味が一番なのですね。

 外は既に真っ暗です。夕食からの帰りは各々バラバラになり、それぞれ気になる店に寄ったりしながらホテルに帰りました。敦煌夜市の大通り(商業一条街)があったので入ってみました。いつしか中国人編集者達とは徐々に離れ、唐さん、絵本作家・齋藤隆夫さんと3人で一緒に歩いていました。唐さんがどこかに寄ると言うので、最後は齋藤さんと2人で夜市を見て歩きました。唐さんは「ホテルに2人だけで帰れますか」と心配されていましたが、私は党河の流れる方角だけ確認したら、「大丈夫です」と答えました。私はこの数日の間に、朝夕、ホテルの周囲を歩いて、頭の中に完全な敦煌市の地図を描いていたのです。こうして私はいつも、海外一人旅をこなしてきたのです。
 商業一条街を過ぎ、暗く静かな通りをしばらく歩くと、莫高書城という小さな書店を見付けました。中国での絵本・児童書市場の現状を視察・研究するというのも、今回の旅の目的でもあるので、この店に入りました。こんな西域の地の小さな本屋でも絵本・児童書が結構置いてあり、中でも「100万回生きたねこ」の翻訳本が置いてあるのが目立ちました。
 ホテルに近づいてきたので、党河の河畔に出てみました。河岸はイルミネーションできらびやかに飾られています。上海でもあるまいし、かつての辺境の地が、今ではこんなに派手に変貌した事に驚きます。川をぼんやりと眺めながら、齋藤さんに静かに話しかけました・・・、「正直言って、今回の敦煌にはがっかりしました・・・。せっかくご招待いただいた中国の出版社の方には到底言えませんが、やはり20年前までに敦煌に行っておけば良かった。もう少し静かな環境で敦煌の美をしっかりと味わいたかったのです。今の中国の虚栄的繁栄はいつまで続くのでしょうかね・・・。」私の心の中では、「日本もまたしかり」とささやいていましたが・・・。齋藤さんはわずかに驚かれたような様子で、「そうでしたか・・・。日本の60年代後半のヒッピーの時代を思い出しますね~。さあ、たぶん続かないでしょう・・・。」とつぶやかれました。

中国写生旅行2019敦煌夜市を何も買わずにぶらつく~。夜市の雰囲気はいいね!

 少年・青年時代からシルクロード・敦煌に憧れ続けた私は、いつしか頭の中に崇高な理想郷を描いていただけなのかも知れません・・・。空想は膨らみ、現実を越えて私の中の真実となり、作品制作の原動力にもなりました。その幻影世界と現実世界とのギャップに、今回、困惑を感じただけなのかも知れませんね。この文を書いている今でも実に妙な心境なのですが、この私の中の桃源郷は、この後も、パラレルワールドとしてきっと存続し続ける事でしょう。


 感動と興奮と・・・失望と諦念と・・・、複雑な心境のリフレインに、どう答えを出したらよいものか戸惑いながら、この日は眠りにつきました。
 旅も残すところ、泣いても笑っても後2日となりました。明日は上海に向かいます。この模様はまた次回といたしましょう・・・。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁
 

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2019-10-22

後藤 仁「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海)写生・絵本研究旅行」 その5

 2019年9月10日(火)~21日(土) 「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」(12日間) その5です。

 9日目、9月18日(水)。中学生の頃にNHK 「シルクロード」を観て中国に憧れてより40年近く、大学3年の時に航空券が取れずに敦煌行きを逃してより約25年・・・、いよいよ私が一番訪れたかった処、甘粛省「敦煌」を巡ります。気が昂り、今日も朝5時前に目が覚めました(だいたい旅先では、いつも朝5時頃には目が覚めるのですが)。朝食前に敦煌の街を散歩。「党河」という大きな川の畔を歩きます。中国では北京に標準時を合わせているので、この地域だと2時間位は日の出が遅くなります。朝5時は真っ暗です。党河の橋を渡り対岸で東屋を見付けたので、そこで体操をしました。日の出時間の光景を見たかったのですが、30分位経っても暗いままなので、ホテルに戻りました。
 このホテル「敦煌維景酒店」では宿泊代に朝食が付いていないので、7時20分にロビーに皆で集合し、近くの食堂で朝食を取りました。この地域は包子(パオズ/肉まん類)等の小麦粉を用いた小吃(シャオチー/軽食)が美味しいです。

 8:00に車に乗りこみ、「西千仏洞」を目指します。道中では荒涼とした敦煌の砂漠地帯を通りますが、別の星に来たような不思議な光景です。巨大な電線鉄塔群が、まるで現代アートのようなシュールな景観をかもし出しています。
 「西千仏洞」に到着。ここはまだ観光客が少ないです。石窟の鑑賞には必ずガイドが付きます。北魏・唐時代の素朴な壁画で、保存状態は良いとは言えませんが、十分に堪能できました。近くの党河に出てみると、とても気持ちよく、絵本編集者の唐 亜明さんが漢詩のような詩歌を川に向かってうなりますと、・・・皆、笑顔になりました。
 ここから少し進むと、小さな土造りの小屋が見えてきました。中に入ると可愛いキツネが飼われていました・・・。ここでは現代版の新しい石窟を造営しているらしく、地下に伸びる迷路のような長い石窟内では、何名かの中国人の画家が、壁画を描いていました。係の人に壁画の説明を受けていると、ここの主催者の常 嘉煌さんが来られました。常さんは敦煌遺跡を研究・保存する「敦煌研究院」の初代院長のご子息という事で、私財を投じて、この大きな石窟を永年造営していると言います。このような立派なご活動をされている、奇特な方もいるものだと感心しました。今後、私も、画家として何かしら力になれる事でもあればと思いました。
 昼食は、ブドウの生垣に囲まれた、雰囲気のいい敦煌料理の食堂でいただきました。ここの名物は、ロバの干し肉です。黒っぽいその身は、素朴な馬肉といった感じです。ナツメの実に餅を詰めて揚げた料理も美味しいです。

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌「西千仏洞」 絵本編集者・絵本文筆家の唐 亜明さんと

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌「西千仏洞」近くの新石窟にて、党河を背景に。 常 嘉煌さん、唐 亜明さん、絵本作家・編集者の皆さんと

 次に「陽関」に向かいます。遺跡はきれいに整備され、建物が復元されています。資料館には、シルクロードを開拓した前漢時代の外交使節・張騫(ちょうけん)の解説や様々な展示物があり、とても勉強になります。ロバの馬車に乗って、陽関の遺跡を見物。馬車に揺られながら、SM号スケッチブックに陽関の崩れかかった「烽火台(ほうかだい)」をクロッキー。昔のシルクロード跡である「陽関大道」を見物。広大無辺の大地を、鷹に追われたのか、一匹の野ウサギが猛烈に走り去りました。
 車で移動して、次に「玉門関」へ。古代中国風の衣装を着た、解説係の女性の話を聞きながら資料館を見学。専用のバスに乗り、遺跡巡り。河倉城や漢時代の万里の長城跡を見物。玉門関の城門跡と河倉城を、SM号スケッチブックに軽くクロッキー。時間が無い・・・。この辺りは、もう少しじっくり描きたかったのですが、今回は集団移動ゆえ、仕方がありません。またいつか、ここに一人旅で来れる事を祈ります・・・。
 専用バスを降り、最後に城門跡を歩く。ここからは遥か西域や北方が望めます。古、この先はもう異国の地です。北方民族が、この万里の長城や川や湿地帯を越えて攻めてくる妄想を、私は頭で描いていました・・・。夕刻になり雰囲気が増します。北京の絵本出版社の女性が、スマホで古琴(こきん/または、琴〈きん〉と言い、中国固有の楽器で、日本の箏〈こと〉とは異なる)の音色を奏でます。旅の少しの気だるさも相まって、じんわりと郷愁が沸き上がります。

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌「陽関」にて

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌「陽関」にて。 ロバの馬車で遺跡に向かう

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌「陽関」にて。 古代、この先はもう異国の地だった・・・

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌「陽関」にて

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌「玉門関」 漢時代の万里の長城跡にて

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌「陽関」「玉門関」からの帰路、車内より撮影。 
 夕刻、ラクダの隊商が・・・!!日本画家・平山郁夫先生さながらの光景ですが、実は、これは作り物のラクダの彫像群なのです。


 車で数時間、敦煌の街に戻ります。道中、夕日が大地に沈み行きます。車を停めて、皆で眺めました。心に印象深く刻まれました・・・。
 夕食は敦煌市内の食堂でいただいたと思いますが、記憶はあいまいです。夕食後に、昨日訪れた乾物屋「水果特産超市」で、唐さん達とお買い物。干しアンズ、菊花茶を追加購入(計88元/現在、1元は約15円)。日本に帰ってから、乾物類をちょびちょびいただきましたが、元々私の好物でもある干しアンズが特に美味しかったです。日本で買うものより質が断然良く、値段は半分~三分の一以下です。敦煌の地は、私の大好きな果物乾物の宝庫でもあるのです。嬉しい~。もし人に前世があるとしたら、多分、私は、チベットから甘粛省・四川省辺りの少数民族だったのではないかとさえ思えます・・・。その風景にも文化にも食べ物にも、異様に郷愁を感じます。ただ高山病になるので、標高はさほど高くない土地だったのではないでしょうかね~~。
 

 明日はいよいよ「敦煌莫高窟」を訪れます。敦煌辺りの内容は、まさに日本画家である私の専門分野でもあり、記述内容も増えてきましたので、続きは次回といたしましょう・・・・。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁



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2019-10-14

後藤 仁「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海)写生・絵本研究旅行」 その4

 2019年9月10日(火)~21日(土) 「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」(12日間) その4です。

 7日目、9月16日(月)。朝食は、ホテルのビュッフェを軽くいただきました。食欲は戻ってきていますが、まだ無理は禁物です。高山病は1日余りで完全に克服できたようです。
 今日は、青海省・西寧の市街に戻ります。車で1時間程移動し、横道にそれ、祁連大草原のチベット族の民家を訪ねました。アポなしの訪問らしく、チベット語が話せる運転手が交渉しています。OKが出たようです。
 チベット族の一家が出迎えてくれました。チベット族やモンゴル族の住む地域は広大な草原地帯なので、昔は旅人が行き倒れになる事も多く、また旅人は遠方の情報をもたらしてくれるという事で、チベット族・モンゴル族には、古来よりとても丁重に来訪者をもてなす風習があると聞いています。この一家も、見も知らぬ日本人・中国人の突然の訪問にも関わらず、誠に丁重にもてなしてくれました。
 チベットでは、カターというシルク様の布を肩にかけて歓迎の意を示します。その後、ヤク牛から絞ったばかりの乳でバター茶(湯に茶と牛乳・バター・塩を入れたチベット族特有のお茶)を入れてくれました。日本人・漢民族は慣れていないだろうという事で、塩は入れていないそうです(私は塩入りでも良いのですが)。前にチベットで飲んだものより、あっさりとしていますが、身体がポカポカ温まります。9月でも、この地域の朝夜は、気温10度以下と、とても寒いのです。(先日買ったパシュミナの肩掛けが役立ちます。)
 父母と祖母と娘2人がいましたが、息子さんはかつて日本に留学した経験があると言い、今は西寧の街に住んでいるそうです。ひとしきり話が終わると、広大な庭を散策し、チベット馬をSM号スケッチブックに軽く2枚スケッチしました。父親も娘さんも、のぞき込むようにして熱心にスケッチを見ています。カメラ・ビデオには慣れた昨今の中国ですが、逆に絵を描く人は珍しいようです。そこで、娘さんを描くことにしました。SM号スケッチブックに長女・次女を、それぞれ10分位かけて描きました。しっかりした眼差しの素朴で可愛らしい娘さん達です。庭にはチベタン・マスティフというチベットの大型犬がいます。家畜を狙う狼除けだと言います。かつて、絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)でチベット犬を描いたので、私はことさらチベット犬に関心が高いのです。
 家に戻ると、昼食が用意されていました。高価な幻の金色(黄色)のキノコを炒めた料理や、羊肉の腸詰め等、いずれも珍しくて美味しいです。お腹の調子が戻っていて本当に良かった ヽ(^o^)丿。久々にお腹一杯食べれました。(食事代は先方は断ったそうですが、気持ちとして少しお渡ししたそうです。)祖母と母親がチベットの民族衣装を着てくれました。感動です~。描く時間がないので、やむなく写真だけにおさめました。絵本編集者・唐 亜明さんが、今年12月頃に中国で発売予定の私の作画による新作絵本(題名は後日発表!!)の原画を、スマホで親子に見せています。特に娘2人は、極めて興味深げにのぞき込んでいます。「この話、知ってる~」と言っていたそうです。絵本が完成したら、スマホではなく、本物の絵本で見せてあげたいなと思いました。
 最後、お別れの時に、親子が駆けよって来てくれました。2人の娘さんの素朴で力強い目を見ると、このような素朴で純粋な子供たちが、今の超絶に発展する中国の中でも歪むことなく、すくすくと育って欲しいと願い、~何故だか突然、涙が目頭に浮かびました・・・。私はこの時、非常に強く感動していました・・・。結局、ここでの経験が、今回の旅の中で、一番思い出深い出来事として、強く心に刻まれています。

 車で3時間程かけて、西寧の街に戻ってきました。先程まで大草原のただ中だったのが嘘のような、高層ビルの立ち並ぶ都会です。今の中国は内陸部の辺境でも、想像以上に発展しているのです。この日の宿は、前に西寧で泊まった時と同じ、「和頤至格酒店」という超高級ホテルです。夕食は近くの百貨店内の食堂でいただきました。今日の出来事・・・、チベット族の一家と西寧の都会の不可思議なアンバランスを考えながらも、心地良い眠りにつきました。

中国写生旅行2019青海省・茶卡塩湖近くのホテル 「高原紅驿站」

中国写生旅行2019青海省・チベット族の家にて、カターで歓迎を受ける。
〈※今までも今後も同じですが、私が写った写真は、私のカメラを他人に渡して撮影していただいています。私が写っていない写真は、全て私自身による撮影です。〉


中国写生旅行2019青海省・チベット族の家にて、ヤク牛乳のバター茶を入れていただく。とても美味しいよ~ ( ^^) _U~~

中国写生旅行2019青海省・チベット族の一家と、記念撮影。

中国写生旅行2019青海省・チベット族の一家と、記念撮影。

 8日目、9月17日(火)。早朝6時前に目を覚ますと、体調はすこぶる良いです。私はいつも海外の旅先では、だいたい1週間近くたった頃に、環境に慣れてきて調子が整うのです。7時になると一番乗りでホテルのビュッフェをいただきます。今日はたくさん食べれて嬉しい~。朝食後、近所の散策。ホテル近くの小川沿いを歩きます。太極拳をしている老人達や横笛を奏でるおじさんに出会います。川にヤツガシラという鳥がいました。最初にヤツガシラを見たのは、2004年、初めての海外一人旅のインド一周旅で、タージマハルの庭の排水溝の穴に無理やり入り込むヤツガシラを目撃した時です。美しくもひょうきんなその姿に、いっぺんに魅了されました。その後、中国の旅等で、まれに出会う事があります。私にとって、このヤツガシラは、とっておきの吉鳥なのです。
 
 この日は、いよいよ私の最も憧れの地の筆頭と言える、敦煌に向かいます。武者震いがします~。1995年、大学3年の時、2度目の海外二人旅で中国を訪れた際、北京で「敦煌行き」の航空券を購入しようとしたが、満席で2週間後の帰国時までに調達できず断念して以来、幾度となく訪問を計画しながら、何故か上手くタイミングが合わず、断念してきました。個人的にも興味は極めて高いのですが、日本画家の私としても、日本画の源流のある「敦煌」には、どうしても一度は訪れないといけない地なのです。
 西寧でチベット・青海省関係の本を買いたかったのですが時間がなかったので、西寧曹家堡空港の書店で「秘境青海」(48元/現在、1元は約15円)を購入。昼食は機内食で済ましたかと思いますが、よく覚えていません(一人旅と違い集団移動なので、記憶があいまいな部分があります)。

 13:20西寧 発 → 〈四川航空8373〉 → 15:00敦煌 着

 甘粛省・敦煌の宿にチェックイン。敦煌は中国有数の観光地なので、辺境の地のイメージとは異なり、想像以上に立派なホテルが多いようです。今回泊まる「敦煌維景酒店」は、その中でも豪華なホテルです。ロビーも必要以上に立派ですが、その部屋は私が今まで泊まったどのホテルより広くて豪華でした。2008年に絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)の取材で訪れた「中国(貴州省・広西チワン族自治区)の旅」で、現地の旅行社に手配してもらった、貴州省・凱裏(がいり)のホテルが今までで一番広かったのですが、ここはそれより3分の4位の広さです。
 部屋が広過ぎて落ち着かないので、すぐにホテルを出て周囲を探検します。しばらく歩くと、「党河」という大きな川がありました。道を戻りホテルを過ぎそのまま逆方向にしばらく行くと、大きな通り・鳴山路に「敦煌書画院」という建物がありました。入ってみると、敦煌壁画の模写を描いて売る工房らしく、広い店内では数名の人が絵を描いています。模写を見て歩き、筆や紙を売っているので拝見。紙は薄い宣紙類しかないので、日本画では使えません。係の人に岩絵の具がないか聞いてみましたが、顔彩のようなチューブ式の絵の具しかありません。筆は前に北京・上海の画材店でも何度も見ていますが、中国の筆は日本画の筆より造りが粗くて、繊細緻密な作画には向いていません。しかし、何かしら使い道があるので、筆を各種6本(計120元)購入。日本の筆と比べると驚くほど安い。そこを出ると、ちょうど隣の乾物屋「水果特産超市」で、唐さんと音楽家の郭 敏(グォ ミン)さんが買い物をしていました。私もナツメ、干しブドウ、クコの実(計42元)を購入。敦煌は果物の乾物の名産地です。
 その後、皆さんでホテル近くの食堂で夕食を取り、夜は20:00から、「敦煌に出会う(又見敦煌)」という最近敦煌で話題という大型劇を観劇するといいます。車で敦煌遺跡近くの劇場に向かうと、観客が一杯です。数百人はいるでしょうか~。観劇料は6000円位するそうですが、その値段にも関わらず、驚くほどの人出です。今の中国は空前の観光ブームなのです。劇場は広大で、中を歩いて移動しながら劇を観ます。最後は広いホールの席に着き観劇。中国語なので内容ははっきりとは分かりませんが、敦煌の歴史・伝承を劇に仕立ててあるようです。古代中国の衣装をまとった100人以上の役者と、大掛かりな機械仕掛けのステージは、どれ位の費用をかけて作ったのか・・・。凝った演出に度肝を抜かれる感じで、存分に堪能できましたが、何か私がイメージしていた辺境敦煌とはかけ離れた現在の状況に、少し戸惑いを感じたのは確かです・・・。

中国写生旅行2019青海省・西寧 「和頤至格酒店」の朝食ビュッフェ、 やっと昨日から食欲が戻って朝から絶好調! ヽ(^o^)丿

中国写生旅行2019甘粛省・敦煌 「敦煌維景酒店」の有り余るほど広い部屋。

 明日からはいよいよ旅のメインイベントの「敦煌遺跡群」を鑑賞します。極めて楽しみなのですが、今日の人混み光景を目の当たりにし、少しの不安もあります・・・。10人は泊まれそうな、一人には広過ぎるホテルの部屋ですが、さすがに心地良く眠れました。
 この続きはまた次回といたしましょう。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁 

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2019-10-06

後藤 仁「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海)写生・絵本研究旅行」 その3

 2019年9月10日(火)~21日(土) 「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」(12日間) その3です。

 5日目、9月14日(土)。朝食は、青海省・西寧の豪華ホテル「和頤至格酒店」の種類豊富なビュッフェをいただきました。その後、街をぶらつき冬虫夏草の店を見物。冬虫夏草を買いたかったのですが、あまりに値が高いので断念。前に絵本作家の長野ヒデ子さんに2本いただき、適当にスープにして食したが、こんなに高級品だとは・・・。
 今日は皆さんで、西寧近郊、湟中の「クンブム(タール寺/塔爾寺)」見学です。クンブムはチベット仏教ゲルグ派六大寺院のひとつの名刹で、壮大で荘厳な寺院です。私にとっては、2012年の取材旅行で訪れて以来の、懐かしの超パワースポットです。ところが、前にきた時より、ずっと派手なチケット売り場になっており、時期にもよるのでしょうが、中国人観光客が20倍以上に増えていました。寺院内は写真撮影不可なので、僧侶や五体投地する人を、SM号スケッチブックに軽くクロッキー。
 次に車で数時間移動し、中国最大の塩湖(琵琶湖の6倍という)「青海湖」に。ここから先は初めての地なので楽しみです。西寧郊外の道路沿いの食堂街で昼食を。青海省の麺類は美味しいです。
 途中、車内からと車外で、SM号スケッチブックに山々を2枚クロッキー。青海湖辺りは標高が3700mを超えてきますので、ごく軽い高山病の症状(軽い頭痛、運動時の軽い動悸、意識が少しボワッとする、つばが泡立つ感じ等)が出てきました。私は富士山頂に登った時にも、チベット旅の時にも高山病の症状が出ましたが、これは体質によるらしく、体力・気力とも関係なく、変えられないもののようです。少しの高山病的不快感を感じつつも、身体は元気で、「青海湖」二郎剣景区の遊覧船を楽しみました。遊覧船を降り連絡バスに乗ると、バスの中の母子や男性をSM号に軽くクロッキー。
 夕方になり(西寧辺りは日が長く、8時過ぎでも明るいです)、青海湖のほとりの「格日」と書かれた、この辺りでは最も立派なホテルにチェックイン。夕食はホテルの食堂へ。高山病にはアルコールとタバコは絶対禁物です。タバコは20歳頃に悪友たち(今は文星芸術大学で日本画講師をしている日本画家・中村寿生など)の勧めで1年間だけ吸っていましたが、完全に止めてからは、その匂いを嗅ぐだけで不快になります。絵本作家の夏目さんは大の酒好きで、最初に強い白酒で乾杯したので、不吉な予感がありました・・・(普段の海外一人旅では、酔っぱらうという行為は事件・事故に直結するとても危険な行為なので、酒は一切飲まないようにしています)。ここで編集者・絵本作家で絵本談議が始まりました。隣席の中国人グループが中国の強いタバコをプカプカふかしています。中国のマナーもここ数年、かなり良くなりましたが、この辺境の地は、良くも悪くも、まだまだ昔の中国のままです。軽い高山病に強いアルコールが入り、頭痛が増し、微熱が出てきました。しまいには、タバコの匂いが漂ってくる度に、1秒以内ですが一瞬気を失います~。せっかく真面目な絵本の話し合いをしていたのですが、もう絵本談議どころではありません。後半は頭がもうろうとし、考える余裕もありません・・・。
 食事が終わると部屋へ直行。絵本作家の大島さんが先日から風邪のようで、コンコンと咳を連発しているので、私もその時フラフラしていましたが、風邪薬をあげました。大島さんは海外旅行は初めてという事で不慣れな様子ですので、旅慣れた私がホローするのは当然なのです。旅の道中は、助け合い精神が肝要です。
 部屋に入ると、頭痛薬を服用してから、シャワーを浴びようとしましたが、かなり気温が低い上にホテルには何故か暖房設備がなく、既に体調がおかしいので、服を脱ぐとガタガタと酷く震えだしました。こんな妙な症状は、北海道の極寒の中で、極めてぬるい露天温泉に入った時以来です。これはやばいと思い、シャワーを浴びずに、手持ちの服を着れるだけ着込み(厚手の服を持っていません)、即座にベッドにもぐりこみました。ベッド内には保温シートのような器具が敷いてあり、それを付けて、それでも寒過ぎてガタガタ震えながらも、疲れからか、案外早く眠りに入りました。1時間程して目が覚めると身体は温まり、体調は既に快方に向かっている様子です。保温シートを睡眠モードに弱くして、またすぐに眠りにつきました。これまでにも海外・国内の旅先で、幾多の困難・苦難・疾病を乗り越えてきた私です。どんな時にどんな対応をしたら良いかは、心得ているのです。

中国写生旅行2019湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 絵本編集者・作家の皆さんと

中国写生旅行2019湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 大金瓦殿

中国写生旅行2019湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 チベット僧と

中国写生旅行2019湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」 如来八塔

中国写生旅行2019湟中 「クンブム(タール寺/塔爾寺)」

中国写生旅行2019西寧郊外の食堂、青海省の麺は美味い!!

中国写生旅行2019青海省 「青海湖」 ミュージシャンのアルバムみたいで、なんかカッコいいね~。

中国写生旅行2019青海省 「青海湖」

中国写生旅行2019青海省 「青海湖」

中国写生旅行2019青海省 「青海湖」

 6日目、9月15日(日)。朝、6時過ぎに目が覚めると、気分が多少良くなり、体調はまあまあです。高地にも1日で身体が順応してきたようです。2012年のチベット旅の時には、標高4000~5000mのラサ周辺で、最初の3日間は高山病に苦しめられましたが、その後は嘘のように体調が順応し、その後の調子は極めて上々でした。海外での過酷な一人旅では、常にトラブルがつきものですが、疾病を生じた時に、いかに早く体調を回復させるかが、死活問題・旅の成否を分ける事となるのです。
 今日も一番乗りで朝食のビュッフェをいただきますが、食欲だけは低いままです。健康的な野菜・果物・牛乳等を軽く食べました。その後、ホテルの外を散策、朝の青海湖は気持ちいい~。
 車で出発、今日は「茶卡塩湖」に向かいます。長距離の移動途中、青海湖畔を散策したり、ヤク牛の群れに遭遇したリ、チベット馬をSM号スケッチブックにクロッキーしたりしながら、車で進みました。ラサへの巡礼旅をするチベット族の家族に会ったりもしました。ここは異郷・・・、広大無辺の大地です。
 昼食を道路沿いの食堂でいただきましたが、まだ、食欲だけは回復しません。軽い高山病の名残もありますが、常に車で移動しているので、運動不足でお腹がすかないという理由もあるようです。食事を早めに済ませると、この辺りは夜かなり寒いので、外の屋台で、大きな肩掛けを買いました。3か所の店で値段を聞き、一番安そうな店で交渉。少しまけてもらい、感じのいい肩掛けを2枚で70元(1元は約15円)で購入。ヤク牛の毛織物だと思っていたのですが、後でよく見ると、パシュミナ100%と書いています。パシュミナは高級品なので、逆に少し怪しくなりましたが、良いデザインの結構高品質な品物には違いありません。
 「茶卡塩湖」に到着。南米のウユニ塩湖のように、一面のまっ白い塩と浅い水で敷き詰められた広大な湖です。中国はここをウユニ塩湖のようなインスタ映えスポットにしたいらしく、かなり観光宣伝をしています。確かに日本では絶対に見られない面白い光景ですが、中国の都会からの観光客が相当多いですね~。靴・靴下を脱ぎ塩湖に入ると気持ちいいですが、塩がザラザラで足裏が少し痛い。湖の中から、周囲の山々をSM号スケッチブックに、鉛筆・色鉛筆で10数分間スケッチ。
 この日は、「茶卡塩湖」近くの「高原紅驿站」という名のホテルにチェックイン。この辺りでは一番立派な宿泊施設のようです。夕食は近くの食堂でいただいたと思いますが、まだ食欲が完全に戻らず、あまり記憶していません。

中国写生旅行2019「青海湖」 早朝の景色は印象的だ。

中国写生旅行2019「青海湖」 絵本・児童書編集者の唐 亜明さんと。この水たまりには蛙がいたよ~ 🐸。

中国写生旅行2019「青海湖」 ラサへの巡礼旅をするチベット族の家族と。

中国写生旅行2019「茶卡塩湖」 運転手にもらった顔全体マスクが大活躍。日除けにも砂除けにも。月光仮面みたい~、怪しすぎる~~ (-"-) 。

 明日は車に長時間乗って、西寧の街に戻ります。素敵なチベット族のご家庭訪問も・・・。この様子はまた次回といたしましょう・・・・。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

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2019-10-01

後藤 仁「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海)写生・絵本研究旅行」 その2

 2019年9月10日(火)~21日(土) 「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」(12日間)の続きです。

 3日目、9月12日(木)。朝食は「鳳凰台飯店」のビュッフェをいただき、チェックアウトし、車で揚州に向かいます。途中、「兜率寺(とそつじ)」という小さな寺に寄りました。ここは南京の児童書・絵本出版社の社長・周 翔さんのお気に入りの寺ということで、ガイドブックには絶対に載っていない穴場の寺で、自然な趣があります。
 揚州に到着。昼食は「冶春茶社(やしゅんちゃしゃ)」という早茶(朝に茶楼で肉まん等を食べること)の有名店で、揚州炒飯(揚州が炒飯の発祥地だとか)と肉まん等をいただきました。どれもしっかりとした濃いい味だが、とても美味しい。
 今日の宿は、「揚州長楽客桟主題文化酒店(長楽客桟・街南書屋)」という、古い建物をそのまま活かして、宿泊用にリノベーションしたホテルにチェックイン。平屋の部屋部屋は昔の面影のままで、とても風情があり素敵です。水回りは綺麗な最新設備です。
 その後、皆さんと揚州の「東関街」をぶらつきました。「汪氏小苑」(清代の塩商人の邸宅)ここで台所をSM号スケッチブックに20分程スケッチ、「東門城楼(宋代の城門)」等を見物。ホテルに戻り、ロビーで待っている間に、絵本編集者・唐 亜明さんを数分でクロッキー。
 夕食の前に、「正誼書院・汶河小学」という儒教教育を行っている小学校の校長先生のご招待で、小学校を見学。古い建物を保存・再建した素晴らしい学習環境を拝見し、こんな学校で学べる子ども達はうらやましい限りです。この小学校で創った絵本等の贈り物をいただきました。
 途中、夜の「東関街」で絵画修復をしている工房を見学してから、夕食のレストランへ。小学校の先生方と出版社・作家の皆さんで、豪勢な食事を堪能しました。ここでもアヒル(合鴨)の頭煮が出ました。揚州の料理は南京と似ていますが、少し辛い料理もありました。いずれも美味です。
 ホテルに戻ると、夜の「長楽客桟」を一人散策しました。庭内だけでも結構広くて見どころが沢山ありますね。揚州には、月夜が似合う・・・。こんな静かで素敵な環境で、今夜はぐっすり眠れました・・・。

中国写生旅行2019南京近郊の「兜率寺(とそつじ)」にて

中国写生旅行2019揚州 「揚州長楽客桟主題文化酒店(長楽客桟・街南書屋)」の趣ある部屋、予算があればゆったり連泊するのもいいね~ (^。^)y

中国写生旅行2019揚州 「正誼書院・汶河小学」 校長先生と、 素敵すぎる小学校だね!

中国写生旅行2019揚州のレストランでもアヒルの頭煮が・・・。南京よりも花山椒が効いていてピリ辛。

中国写生旅行2019揚州のレストランにて、 「正誼書院・汶河小学」 先生方とご一緒に

中国写生旅行2019「揚州長楽客桟主題文化酒店(長楽客桟・街南書屋)」の庭にて、 揚州には月がよく似合う~。


 4日目、9月13日(金)。早朝5時前に鳥の声で目が覚めた私は、スケッチブックを持って部屋を出てみました。さらに、ホテルを出て「東関街」を散策。通りには、観光客はおろか、住民さえほとんどいません。朝日が「東門城楼」方向から差し込んできました。城門に向かうと、丁度、門の中央から朝日が昇るところです。これは絶景。「早起きは三文の徳」ともいいますが、まさにこのことですね。門を抜けて、古運河まで行き、そこで体操をしました。気分がすこぶる良い。「東関街」に戻ると、「東門城楼」をF4号スケッチブックに1時間程かけて、鉛筆・色鉛筆で描く。(今回の旅は集団旅行という制約上、結果的には、F4号はこの一枚しか描けませんでしたので、貴重な1枚になりました。)
 この日の朝食は確か、部屋で軽食(お菓子等)で済ませたかと思います。現在の揚州は、かなり観光化されているとはいえ、古の雰囲気を今に伝える、夜の月景と、早朝の朝日が美しい、趣のある古都でした。
 今日は車で南京に戻り、西寧に飛びます。途中、「痩西湖」という、西湖に似ているが細長いという湖を見物。「南京禄口国際空港」に着くと、空港内のレストランにて皆で水餃子を食べてから、チェックイン。

 14:30南京 発 → 〈東方航空2747〉 (途中、石家荘で乗継55分間) → 19:30西寧 着

 西寧には、2012年4月の「中国、チベット・四川省 写生旅行」 〔絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)の取材〕で一度訪れていましたが、その時は「クンブム(タール寺)」だけ取材し、夕方にはチベット鉄道でラサに向かったので、宿泊できませんでした。今回は西寧に泊まれるので実に楽しみです。
 この日の宿は、「和頤至格酒店」という、これまた立派過ぎるホテルです。いつもの海外旅では、一泊150円~1000円以内(高くても2000円以内)のゲストハウスに泊まり、屋台や庶民的安レストランで食する、貧乏バックパッカー 一人旅をしている私ですが、最近、このような豪勢な招待企画旅行に参加する機会があります。日常から質素倹約を旨とする私は(実はただの極貧画家なのだが)、こんな贅沢をして、天罰が当たらなければいいのだが・・・・。今回の旅をコーディネートして下さった、南京の児童書・絵本出版社に感謝!!。
 夕食は皆さんで、今、中国で大人気という「呷哺呷哺(「しゃぶしゃぶ」と読むらしい)」の店で、しゃぶしゃぶをいただく。とても旨いけど、お腹一杯です~。日本人の作家さん達も、そろそろお腹がもたれ気味らしいけど、私はまだ大丈夫~~。
 今夜も豪勢なダブルベッドでおやすみです・・・。

中国写生旅行2109揚州 早朝「東関街」の日の出、 この辺りからF4号にスケッチ

中国写生旅行2109揚州 「痩西湖」

 この続きは次回といたしましょう。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁
 

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2019-09-24

後藤 仁「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海)写生・絵本研究旅行」 その1

 2019年9月10日(火)~21日(土)の12日間をかけて、「中国(南京・揚州・西寧・敦煌・上海) 写生・絵本研究旅行」に訪れました。
 中国(中華人民共和国)北京の出版社から、今年の12月頃に中国向けに発売される予定の「新作絵本」の本画制作を、今年の初めから続けてきました。この絵本は、チベット族の民話を描いたもので、感動的で血沸き肉躍る冒険大作絵本です。(この絵本の詳細は、後日、発表いたします。)この絵本制作をご依頼されたのは、元福音館書店編集長で、日本を代表する絵本編集者・文筆家、また中国でもカリスマ的な絵本編集者・翻訳家としてよく知られる、唐 亜明(タン ヤミン)さんです。
 その唐さんの呼びかけで、福音館書店を中心に活躍されている著名な実力派絵本作家4名(私は絵本画家としては新人ですが)と、中国 北京・南京の出版社との合同取材旅行が、今回、実現しました。現在の日本の絵本界では、いや絵画界でも、ほぼ聞かなくなった、作家と編集者・画商等との濃密な共同作業です。この旅の取材を元に、次回の絵本作品の構想を練る計画なのです。私は常々、このような、作家と編集者との本当の付き合いを希望していましたので、この旅は誠に楽しみでした。
 
             *

 1日目、9月10日(火)。朝10時40分、成田空港第2ターミナルに集合しました。唐 亜明さんと、今回、通訳を務めていただく音楽家の郭 敏(グォ ミン)さんと、絵本作家の齋藤隆夫さん、夏目義一さん、大島英太郎さんと、私の6名が集まりました。唐さんと郭さんにはお会いしたことがあるのですが、その他の人は初対面です。齋藤さんの日本画で描かれた絵本作品は知っていました。夏目さんは動物絵本、大島さんは恐竜・鳥絵本のスペシャリストです。

 13:00成田発 → 〈東方航空776〉 → 15:30南京着

 南京空港に着くと、南京の児童書・絵本出版社の方が出迎えてくれました。今夜は、「鳳凰台飯店」というとても立派なホテルにチェックインし、「南京大排档レストラン(獅子橋店)」で夕食をいただきました。南京の料理は、甘醬油辛い複雑な味で、どれもかなりの美味です。長江(揚子江)で獲れるという白身魚が柔らかくて美味い!!。
 夕食後、ホテルの近くをぶらつき、「鳳凰国際書城」という大きな書店を見付けたので見物。児童書コーナーは、広い一階層全体を占めており、日本の作家の翻訳絵本もたくさん置かれていて、親が子どもに読み聞かせをしているシーンも見れました。
 この日はお腹一杯で、ホテルの部屋でおやすみです~。

中国写生旅行2019「南京大排档レストラン(獅子橋店)」で夕食、皆さんで記念撮影。

 2日目、9月11日(水)。朝食はホテルの豪勢なビュッフェです。この日は南京の児童書・絵本出版社におじゃまして、何やらお話をするとのことですが、私達は詳細を知りません。出版社の部屋に入ると、50名程の多くの編集者・社員が一堂に会していました。結構、若い人が多いですね。ここで唐さんと南京の出版社の社長・周 翔さんのお話があり、その後、私達作家がめいめい絵本のお話をしました。その後、質疑応答が行われ、活発な質問が飛び交い、中国の若い絵本編集者達の情熱を感じました。今後の中国の絵本界の隆盛に、大いに期待できますね。
 出版社の方々と昼食をとり、午後は「侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館」を見学。あまりに酷い戦争のありさまに、涙が出ます・・・。私はこれまでにも、広島・長崎の原爆資料館や、沖縄のひめゆり平和祈念資料館等の戦争資料館をいくつも拝見して、心底打ちのめされ、涙してきました。戦争は何よりも愚かな人間の行為です。平和を祈る心は、国境も民族も宗教も関係なく、等しく人類共通の願いなのです・・・・。
 その後、「老門東」の明清代の古民家群を拝見。SM号スケッチブックに20分程で一枚スケッチ。夕食はこの辺りのレストランで、南京大学出版社の方のご招待を受けて、美味しくいただきました。特にアヒル(合鴨)の頭丸ごと煮が珍しくて、とても美味しかったです~。
 夕食後、「夫子廟」辺りをぶらつき、印材(20元/現在1元は約15円)を購入。程よい疲れで、この日も「鳳凰台飯店」でおやすみです~。

中国写生旅行2019朝食後、街を一人で散策。昨日の夜に見付けた大きな書店「鳳凰国際書城」を撮影。雨が降ってきたよ~。

中国写生旅行2019南京の児童書・絵本出版社の社屋と「絵本美術館」を訪問。

中国写生旅行2019南京の児童書・絵本出版社にて、唐 亜明さんと。大勢の編集者・社員の前で絵本のお話。いい笑顔だね ヽ(^o^)丿

中国写生旅行2019私の「日本画・絵本作品図録」をご紹介。唐さんと、南京の児童書・絵本出版社社長の周 翔さん。

中国写生旅行2019中国の編集者からは活発な質問が飛ぶ!。

中国写生旅行2019唐さん、絵本作家・画家4名、通訳のお2人。

中国写生旅行2019私がご質問に答える。

中国写生旅行2019昼食は豪華なレストランで、中国の児童書・絵本出版社の社長・編集者の皆様と。

中国写生旅行2019「侵華日軍南京大虐殺遇難同胞紀念館」を見学。平和を祈る心はいずこも同じです。

中国写生旅行2019「老門東」にて記念撮影。

中国写生旅行2019「老門東」明清代の古民家群。

中国写生旅行2019南京大学出版社の方々も合流して、夕食のご馳走をいただく。これは驚き!!、アヒル(合鴨)の頭丸ごと煮、とても美味です。残さず全て、有難くいただきます。

中国写生旅行2019南京大学出版社の皆様とも記念撮影。

 今回の旅は、私には珍しく一人旅ではない集団企画旅なのですが、内容が濃くて盛り沢山です。この続きは次回といたしましょう・・・。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

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後藤 仁 プロフィール

後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)

Author:後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)
~後藤 仁 公式ブログ1~
絵師〈日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙制作〉後藤 仁(JIN GOTO、后藤 仁、고토 진)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

【後藤 仁 略歴】
 師系は、山本丘人(文化勲章受章者)、小茂田青樹(武蔵野美術大学教授)、田中青坪(東京藝術大学名誉教授)、後藤純男(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)。
 アジアや日本各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」を中心画題として、人物画、風景画、花鳥画などを日本画で描く。また、日本画の技術を応用して、手製高級壁紙の金唐革紙(きんからかわし/国選定保存技術)や、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)の天井画、絵本の原画などの制作を行う。
 国立大学法人 東京藝術大学 デザイン科 非常勤(ゲスト)講師(2017~21年度)。学校法人桑沢学園 東京造形大学 絵本講師(2017~18年度)。日本美術家連盟 会員(推薦者:中島千波先生)、日本中国文化交流協会 会員、絵本学会 会員。
    *
 1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校 美術科で日本画を始める。東京藝術大学 絵画科日本画専攻 卒業、後藤純男先生(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。
 卒業以降は日本画家として活動し、日本・中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画/日本の美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は「絵本」の原画制作に力を入れる。
 2023年、大垣祭り(ユネスコ無形文化遺産)天井画『黒龍と四つ姫の図』を制作奉納する。

○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社/中国)。挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。
 『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。また、宮崎 駿 氏の絵物語「シュナの旅」の原話になった事でも知られている。
○NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞・専門誌・インターネットサイト等への出演・掲載も多い。

★現在、日本国内向けと、中国向けの「絵本」を制作中です~❣

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絵本ナビ「犬になった王子  チベットの民話」絵本ナビ「犬になった王子 チベットの民話」
絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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