2018-02-11

東北・福島の旅(後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式) 後編

 「東北・福島の旅(後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式)」の続きです。

 2日目(2018年2月7日) : 昨夜、「いわき湯本温泉 古滝屋」館内を少し探索してみると、絵本がたくさん置いてある、子ども部屋もありました。親子で来られる方には夢のスペースでしょう。朝、目覚めると温泉を一風呂浴びて、朝食をとりました。パンと玉子とミカンとコーヒーというシンプルなメニューですが、朝はこれで十分です。朝食の係をしていた女性は中国の方のようなので、少し中国旅行の話をしてみました。古滝屋は、なかなか雰囲気の良い老舗旅館でした。

東北・福島の旅いわき湯本温泉 古滝屋  朝食

 9時頃、宿を立つと、昨夕、登れなかった塩屋埼灯台に向かいました。この灯台には前に一度登った事がありますので、これで2度目の訪問です。灯台の解説コーナーには、東日本・東北大震災で被害を受けた灯台の写真が展示されていました。灯台の上から太平洋を見渡すと絶景です。

東北・福島の旅塩屋埼灯台からの眺め

 その後、「いわき市 暮らしの伝承郷」という福島県の古い民家を移築した施設に寄りました。日本やアジア・世界の民家や民具・伝統衣装はとりわけ私の興味が高い分野です。まさに私が描いた絵本『わかがえりのみず』(鈴木出版こどものくに ひまわり版)の世界そのものです。ゆっくり鑑賞したいのですが時間がありません。急いで見て回り、F4号のスケッチブックに20分程で民家を一枚描きました。何人かの子ども達が解説を受けながら熱心に見学していたので、私の作画絵本を一冊ずつ差し上げました。感性の豊かな人になるといいな~。
 次に、「いわき市立美術館」でピカソやマチスから現代アートまでの絵画作品を急いで鑑賞しました。あまりに汚い旅用の身なりなので、絵本贈呈式用に少しましな格好に着替えて、急いで、大熊町役場いわき出張所に向かいました。途中、「すき家」で牛丼をかき込んで昼食にしました。

東北・福島の旅いわき市 暮らしの伝承郷

 昼の1時前には、大熊町役場いわき出張所に到着しました。役場の周囲にも仮設住宅がたくさんありました。
 今日は、「後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式」が開催されるのです。職員の方に手伝ってもらい絵本を役場に運び込みました。どんな感じの絵本贈呈式になるのかは、ほぼ先方にお任せしてあるのですが、きちんと絵本贈呈式の会場がしつらえてありました。
 午後1時30分から絵本贈呈式が始まりました。地元テレビ局の福島放送や、読売新聞・毎日新聞・福島民友新聞社・福島民報社・いわき民報社といった新聞社の取材も入りました。今回、元法務大臣・元いわき市長の岩城光英さんに多大なるお力添えをいただき、福島県双葉地区8町村との橋渡しをしていただき、ようやくこの贈呈式が実現したのです。岩城さんには誠に感謝申し上げます。また、贈呈式を開催していただいた大熊町を始めとする、福島県双葉地区教育委員会の皆様に、心より御礼申し上げます。

                *

「後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式」
 私から大熊町いわき出張所への「絵本贈呈式」。絵本3種類を、大熊町いわき出張所を通して、福島県双葉地方8町村の幼稚園・小学校・中学校 24校に、計120冊をご寄贈いたしました。

○寄贈絵本リスト
 絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』 (福音館書店こどものとも) 1校1冊 計24冊
 絵本『わかがえりのみず』 (鈴木出版こどものくに ひまわり版) 1校3冊 計72冊
 絵本『金色の鹿』 (子供教育出版 石井式育み文庫) 1校1冊 計24冊
  総計 120冊

○出席者
 岩城光英 様(元法務大臣、元いわき市長)
 武内敏英 様(大熊町教育委員会 教育長)
 小野田敏之 様(葛尾村教育委員会 教育長)
 秋元 正 様(川内村教育委員会 教育長)
 舘下明夫 様(双葉町教育委員会 教育長)
 石井賢一 様(富岡町教育委員会 教育長)
 青木 洋 様(楢葉町教育委員会 教育長)
 浅野 一 様(広野町教育委員会 教育長)〈所用により欠席〉
 畠山熙一郎 様(浪江町教育委員会 教育長)〈所用により欠席〉
 後藤 仁  (日本画家・絵本画家)
 
●日時 : 2018年2月7日(水) 13時30分~
 「絵本贈呈式」式次第
   13:30 開式のことば
       主催者挨拶 双葉地区教育長会長 武内敏英 様
   13:40 岩城光英 様 ご挨拶   
   13:45 絵本贈呈
   13:50 後藤 仁 挨拶
   14:10 閉式のことば
       記念写真撮影、後藤 仁への取材

●場所 : 大熊町役場いわき出張所
 〒970-1144 福島県いわき市好間工業団地1-43
【フリーダイヤル】0120-26-5671(代表) 【電話】0246-36-5671(代表) 【FAX】0246-36-5672  受付時間 8:30~17:15(平日)
http://www.town.okuma.fukushima.jp/guidebook/いわき出張所

●後援 : 福音館書店、鈴木出版、子供教育出版

東北・福島の旅「後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式」 絵本『ながいかみのむすめ チャンファメイ』 (福音館書店こどものとも)、絵本『わかがえりのみず』 (鈴木出版こどものくに ひまわり版)、絵本『金色の鹿』 (子供教育出版 石井式育み文庫)

東北・福島の旅「後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式」 岩城光英 様 ご挨拶、後藤 仁の紹介

東北・福島の旅「後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式」 絵本贈呈

東北・福島の旅「後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式」 双葉地区教育長会長・大熊町教育委員会教育長 武内敏英 様と

東北・福島の旅「後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式」 岩城光英 様、福島県双葉地区 教育委員会教育長の皆様と

東北・福島の旅「後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式」 元法務大臣・元いわき市長 岩城光英 様と
 
 私は、美術大学やカルチャースクールで長年、絵画講師の仕事もしており、展覧会等で講演会を催す場合も度々あり、人前で話すのには結構慣れているつもりなのですが、最近、年のせいか、単語・固有名詞が思い浮かばない場合が少々あるので困ります。まだ絵の話なら、どんどん単語も出てきますが、話慣れない内容だと難しいものです。今回の私のご挨拶では、何となく内容を頭で考えていたくらいで文章を持たずに話したのですが、「福島第一原子力発電所の被災による、帰還困難区域では、未だに家に帰れない多くの方々がおられ、町外への避難生活を余儀なくされております・・・云々」と言いたいところ、自分では緊張していないつもりでも、やはり元法務大臣や教育長の皆様、報道陣に囲まれて少しは緊張していたのか、「原子力発電所」も「帰還困難区域」も単語が吹っ飛んでしまい10秒くらい沈黙が続き、「福島では、未だに中に入れない地域があり・・・・」と極めて簡略化した言葉でごまかすしかなかったのが、少し悔やまれます。今後このような講演・挨拶の機会も増えそうなので、まだまだ色々な場に慣れなければいけないなと思いました。それでも無事、絵本贈呈式が終了して、ホッとしました。
 福島の震災被害はまだまだ継続しています。全くの復興の途上なのです。大熊町では今も全町民11,505人が避難を余儀なくされているという事実を知り、他の町村も同様、未だに苦しい生活を続けられておられる事実を突きつけられると、私が好きな”絵”を描き続けられている事の幸せを改めてかみしめると共に、絵描きとして大した事はできなくとも、少しでも絵本の寄贈等を通して、福島の子ども達に”勇気”や”元気”を与えられはしないだろうかと、微力ながら願うばかりです。そして、絵本を読んで育った子ども達の中から、明日の日本を担う素晴らしい人物が出てくる事を期待しています・・・。私の真心である「絵本寄贈プロジェクト」は、これからも、熊本大地震やネパール大地震被災地や、日本中・世界中の子ども達へ届けられていく事でしょう。
 人間は、「いわき市 暮らしの伝承郷」の昔の暮らしのような、”自然”に寄り添った生き方をしなければ、近い将来、いつの日か、「いわき市石炭・化石館」の恐竜たちのように、本当に滅びてしまう時が来るでしょう・・・・。

 東京へ帰る時間が近づいていましたが、どうしても「国宝 白水阿弥陀堂」を描いておきたくて、最後に立ち寄りました。浄土庭園越しの白水阿弥陀堂をF4号スケッチブックに1時間程かけて写生しました。描きながら今回の旅の道中を、つらつらと思い出していました。・・・良き人達との交流も、楽しい出来事も、美しい光景も、また、辛い震災の記憶も・・・・。

 夕方4時過ぎに、いわき湯本I.C から常磐自動車に乗り、東京方面に向かいました。車窓のだんだん暗くなっていく風景を眺めながら・・・、人々を飲み込んでいく巨大都市・東京という得体の知れない虚像を目指し、私は今後、絵描きとして何を為すべきか、黙考しつつ暗闇に向かって車を走らせました・・・・。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

 
スポンサーサイト

テーマ :
ジャンル : 学問・文化・芸術

2018-02-10

東北・福島の旅(後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式) 前編

 2018年2月6日~7日に、「東北・福島の旅」をしました。今回の旅の期間は短いのですが、『後藤 仁 東北・福島 絵本贈呈式』を兼ねた重要な旅です。

 1日目(6日): 朝、9時過ぎにレンタカーを借りて、松戸を出発しました。常磐自動車道を通って、12時頃、いわき湯本I.C に到着。一旦、予約しておいた宿「いわき湯本温泉 古滝屋」に寄って、荷物の一部を預けました。

東北・福島の旅いわき湯本温泉 元禄彩雅宿 古滝屋

 まずは、いわき湯本温泉からも近い「いわき市石炭・化石館 ほるる」を見学。私は子供の頃、化石や恐竜等の古生物学が大好きだったので、今でも関心が高いのです。館内は広大で、子供の頃に憧れた、フタバスズキリュウ(正式名は、フタバサウルス・スズキイ というそうです)やティラノサウルスやトリケラトプスや、様々な恐竜・翼竜等の化石がありました。大迫力です!! 石炭の模擬坑道も、少しお化け屋敷的で面白かったです。特別展の「古代オリエントの世界」も私の関心の高い分野なので十分に楽しめました。

東北・福島の旅いわき市石炭・化石館 ほるる

 車で移動して、「願成寺・国宝 白水阿弥陀堂」を拝観。ここには前々から訪れたかったのですが、機会がなかったのです。平安期の浄土庭園は静かなたたずまいで、阿弥陀堂は均整の取れた美しいお堂です。堂内に安置された定朝様の阿弥陀三尊像・天王像も優れた造形です。堂内の写真撮影不可はやむを得ないのですが、スケッチも不可なので少し残念でした。

東北・福島の旅願成寺・国宝 白水阿弥陀堂

 時刻は午後2時頃です。お腹が空いたので道中、食堂を探し、「ラ・パレット」というベーカリーカフェ・定食屋に入りました。パン屋と定食屋が合体した変わった造りの食堂です。店員に聞くと、隣の自動車学校に併設された食堂という事で、それでこんな造りなのです。海老フライ定食とパンを2つ注文しましたが、若い人向けに安くて結構ボリュームがあり、パンを一つ残して持ち帰りました。
 そこからしばらく道を走り、海岸へ出ました。広大な太平洋の海景は、すがすがしく美しい光景です。ただ私は、東北の海岸を見ると、4年前に訪れた大震災被害の傷痕が生々しく残る宮城県の海岸を思い出します・・・。〔東北写生・絵本寄贈旅行にて(2013年11月11日~14日) http://gotojin.blog.fc2.com/blog-entry-41.html 〕
 四倉の海岸に降りました。海岸線は、巨大な堤防工事の真っ最中でした。堤防の斜面に林立する、幾多の木の杭は、何か私には墓標のようにも思えて、身震いしました。 「まだまだ、東日本・東北大震災の復興は、終わっていない・・・」

東北・福島の旅四倉の海岸  巨大堤防の工事中。

 「波立寺・波立薬師」を拝観し、波立海岸の大岩をSM号スケッチブックに写生しました。風が冷たく、波は険しく打ち寄せます。私が育った、瀬戸内・赤穂の穏やかな波とは違います。 

東北・福島の旅波立海岸  日常でも波が強いです。

 そこから南下し、新舞子浜を走ります。白砂青松100選にも選ばれた、砂浜と松林が続く景色は実に美しいです。新舞子浜公園近くの海岸に出て、人一人いない夕方の寒々しい海岸を逍遥しました。私は、こんな旅先での静かな夕暮れの、憂愁感が何よりも好きなのです。砂に埋もれかけた構造物に腰を掛け、先程残しておいたパンをかじりました。「この辺りにも津波は押し寄せたのだろうか・・・、子ども達も、老人も、そこにいた人々は、さぞ恐ろしかった事だろう・・・・」 また、あの時のおぞましい光景を思い出し、涙が出そうになりました。

東北・福島の旅新舞子浜公園近くの海岸  風が冷たいです。

 薄磯海岸を通り、塩屋埼に到着。もう時刻は5時過ぎ、塩屋埼灯台は閉まっていました。灯台を遠望し、美空ひばりの石像を見て、この灯台見物の続きは明日にしようと、宿に向かいました。

東北・福島の旅塩屋埼灯台

 すでに周囲は真っ暗で、道路の状況がよく分かりません。今までの旅では、何とか地図・看板を頼りに、道に迷いながら進んだものですが、今の時代、カーナビとは実に便利な代物です。ただ、動物的直感・本能は確実に薄れるのでしょうな~。

 本日の宿、「いわき湯本温泉 古滝屋」に到着。私の部屋は一番安い、一泊6000円(朝食付き)の部屋ですが、それでも広くてとても素敵な部屋でした。宿の食堂が閉まっているので、外に出て食事できる場所を探しました。東北の美味しい魚でも食べたかったのですが、なかなかそんな店がありません。「ハラル食堂」という店が目に留まりました。「ハラル」とは「イスラム法上で食べることが許されている食材や料理」の事だと知っていたので、日本では珍しくもあり、アジアの旅好きの私としては興味もあり、入ってみました。前はミャンマー人のコックさんが働いていたそうですが、今は日本人の料理人が一人で切り盛りしているそうです。「ハラル定食」というセットをいただきましたが、独特の香辛料の風味はアジアの旅を思い起こさせ、本格的な味わいで美味しかったです。

東北・福島の旅「ハラル食堂」ハラル定食  インドでも定番の料理、サモサやキーマカレーが美味しいです。

 宿に戻り、温泉につかって一息つきました。これまでの日本旅では、おおよそ車中泊でしたが、年齢もそれなりに重ねて、「これからは、あまり無理をし過ぎない旅をしなければ、身体がもたないだろうな・・・」と、湯につかりながら、ぼんやり思い返していました・・・・。

 この続き、旅の2日目は次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁

テーマ :
ジャンル : 学問・文化・芸術

2017-08-18

山梨県(南部町・身延町・赤沢宿) 写生旅行

 2017年8月14日~16日まで、「山梨県(南部町・身延町・赤沢宿) 写生旅行」に行ってきました。

 1日目:東京から首都高速道路・東名高速道路・新東名高速道路を通って新清水で降り、途中、「近藤浩一路記念 南部町立美術館」に立ち寄って(この日は休館日でした)、6時間程かけて早川町・赤沢宿に到着。まさに桃源郷のような、古の面影の残る素敵な土地でした。春は桜が美しい事でしょうね。
 赤沢宿周辺では、上沢寺の「お葉つき さかさイチョウ」を見物。道を少し戻った所にある硯匠庵(けんしょうあん)では「雨畑硯(あめはたすずり)」の製作工程を見学できます。ここで私も小さな硯を一面購入。硯匠庵裏手の雨畑湖には吊り橋がかかっていて、渡るとゆれて面白いです。夕方、赤沢宿を散策し、F4号スケッチブックに1時間余りかけて、赤沢宿の光景を一枚描きました。
 この日は、「大阪屋」という築180年の講中宿をリノベーションしたゲストハウスに宿泊。宿泊代(素泊りのみ、キッチンあり、フロ・トイレ共同)も3900円と安くて、昔の宿屋の雰囲気を楽しめる素敵なゲストハウスです。宿の若いスタッフも親切です。私が泊まった部屋には、螺鈿蒔絵の施された戸棚や手描きの鮎の襖絵もありました。

硯匠庵01硯匠庵では「雨畑硯」の製作工程を見学できます

山梨県の旅硯匠庵にて、 後藤 仁

山梨県の旅雨畑湖の吊り橋、 ユラユラゆれて面白いよ!!

山梨県の旅早川町 ・ 赤沢宿「大阪屋」

山梨県の旅早川町 ・ 赤沢宿「大阪屋」 2階

山梨県の旅早川町 ・ 赤沢宿「大阪屋」 2階共有スペース、 奥の部屋が私の泊まった部屋

山梨県の旅早川町 ・ 赤沢宿「大阪屋」 1階ロビー


 2日目:朝7時に身延山久遠寺(みのぶさん くおんじ)に向かいました。日蓮宗の総本山というだけあって誠に立派な寺院です。ただ明治期の火災でほとんどの建築物が焼失したとかで、新しい建物ばかりです。本堂の天井画の巨大な「墨龍(ぼくりゅう)」は日本画家・加山又造先生の作です。私は東京藝術大学で加山先生にも少しだけ日本画を教わりました。
 身延山宝物館を拝見し、奥之院 思親閣に参りました。この日は朝から雨で、富士山等の景色は全く見えませんでしたが、霧にけむった寺の様相も幻想的で素晴らしいものがあります。本堂・祖師堂をF4号に一枚スケッチしました。雨の中で絵を描くのは、なかなか難しいものがあります。
 その後、アルカディア文化館「近藤浩一路記念 南部町立美術館」を訪問。私の東京藝術大学時代の先輩である日本画家・佐藤宏三さんと、私の美術予備校の教え子でもある日展所属日本画家・棚町宜弘君と、日本画家・伊東正次さんの「日本画三人展」が現在開催されており、棚町君に是非にと言われたので、この美術館を訪れるのが、この旅の一番の目的でした。広い館内には、三者三様の日本画大作が並んでいて圧巻です。南部町の画家・近藤浩一路の水墨画も見ごたえがありました。
 作品群を堪能した後、1階の南部町立図書館を見学。児童書のコーナーも充実していて、この町の”文化・美術”への取り組み意識の高さを感じました。私の作画絵本、『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)『わかがえりのみず』(鈴木出版こどものくに)も図書館に置いてありますので、ぜひ、読んで下さいね!!
 その後、「南部の火祭り」という大きな祭りを見物したかったのですが、遅くなると赤沢宿までの急峻な坂道が危ない上に、結構疲れたので、夕方4時頃まで会場の雰囲気を楽しんで、SM号スケッチブックに軽く一枚スケッチした後、宿に帰りました。この日も大阪屋に宿泊。

山梨県の旅身延山久遠寺、 春は枝垂桜がきれいでしょうね

山梨県の旅身延山久遠寺 ・ 奥之院 思親閣、 霧にかすむ光景は幻想的です

山梨県の旅アルカディア文化館 ・ 近藤浩一路記念 南部町立美術館

山梨県の旅近藤浩一路記念 南部町立美術館 館長の遠藤 賢さんと、 私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店) 『わかがえりのみず』(鈴木出版こどものくに)

山梨県の旅近藤浩一路記念 南部町立美術館 美術館学芸員・図書館司書の若林由美子さんと、 私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店) 『わかがえりのみず』(鈴木出版こどものくに)

山梨県の旅南部町立図書館 児童書コーナー

山梨県の旅南部の火祭り 会場

              *

☆後藤 仁 最新刊☆
絵本『わかがえりのみず』 
 (鈴木出版 月刊絵本こどものくに・ひまわり版)

 文 唯野元弘 / 絵 後藤 仁
  380円 (税込み) 
出版社直販・年間購読のみの扱いですので、お電話や鈴木出版ホームページから、直接、鈴木出版にお問い合わせ下さい。
 
電話  
 03-3945-6611(鈴木出版 代表)  
 03-3947-5161(鈴木出版 編集部)

雑誌のオンライン書店 Fujisan ─ 絵本『わかがえりのみず』 
https://www.fujisan.co.jp/product/1281680652/b/1531398/

鈴木出版 公式ホームページ
http://www.suzuki-syuppan.co.jp/p02/p02_06.php

              *

 3日目:この日も朝から激しい雨。雨の中、赤沢宿を散策しました。山に霧がたなびく様は美しいです。最後に一枚、赤沢宿の全景をF4号にスケッチ。雨がひどくて、スケッチブックも身体もびしょぬれです。
 こうして短期間ながら旅を満喫し、昼11時頃には宿を出て、高速道路を乗り継いで、6時間程かけて東京に帰りました。

山梨県の旅早川町 ・ 赤沢宿の全景、 雨の中でスケッチ!


 日本画家・絵本画家 後藤 仁
 

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2017-05-24

ユネスコ無形文化遺産・大垣まつり2017、赤穂・坂越の旅 その2

 2017年5月15日。昨日までの、伯父、後藤大秀さんの からくり人形が大活躍した、ユネスコ無形文化遺産「大垣まつり」の余韻に浸りながら、赤穂市の実家(ここにも私のアトリエ部屋があります)で目覚めました。

赤穂・坂越の旅新大阪駅・新幹線、大垣市から赤穂市への道中にて。

 今日は午後2時から、赤穂市文化会館ハーモニーホールで、赤穂の人に会う約束があります。まだ詳細は書きませんが重要な打ち合わせです。赤穂市の元職員・職員のご案内で、赤穂市の前市長の豆田正明さんや市職員関係者の方々にご挨拶しました。豆田さんは、今は公益財団法人 赤穂市文化とみどり財団の理事長をされています。私の親類(母の義兄)がかつて赤穂市の市議会議員をしていたので、話は通りやすいです。その後、現職の赤穂市市長の明石元秀さんにもご挨拶しました。とてもお忙しそうで15分しか会談の時間がありませんでしたが、市長からは快いお返事をいただき、私の故郷である赤穂市の為に力になる事をお約束しました。私は日本画家時代から個展会場や集会等で、政治家(国政・区市町村政)や各国大使、役所関係者にお会いする機会も度々あり、私の師の後藤純男先生(東京藝術大学名誉教授、日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)のパーティー会場やアトリエには、市長・町長や埼玉県警の警視正の方や会社の社長・会長、百貨店の美術部長等が頻繁に訪れていましたので(私はお会いした事がないですが、デヴィ夫人がアトリエに訪問された時の写真もありました)、私も大概の大物にお会いする事には慣れています。

 その後、赤穂市職員の方のご案内で、私の生まれ故郷の赤穂市坂越(さこし)を回りました。私が通った坂越保育所、坂越幼稚園を訪ねて所長、幼稚園教諭達とお話をしました。私が通った当時、幼稚園では誕生日に「絵本」を一冊プレゼントしてくれるイベントがあり、とても楽しみだった事を覚えています。その絵本室は、私の思い出の中の光景よりずっと本棚が低かったですが、今もありました。次に、大避神社(おおさけじんじゃ)の参道で観光客へのカフェサービス等をしておられる方にご挨拶し、夕方、家に帰りました。

赤穂・坂越の旅赤穂市立坂越保育所 (赤穂市坂越)

赤穂・坂越の旅赤穂市立坂越幼稚園 (赤穂市坂越)

 16日は、一人で坂越の大避神社にお参りし、その裏口を抜けて裏山の茶臼山に登りました。このコースは昔(3歳位の頃)、今は亡き父に手を引かれて登った、私の一番好きな思い出のコースなのです。茶臼山山頂から生島(いきしま)を、F4号スケッチブックに1時間程、スケッチしました。帰省する度にこの山に登るのですが、ここで絵を描いていると、いつも、思い出がこんこんと湧き出て、涙があふれるのです。生島は、私が子供の頃、「ひょうたん島」と呼んでいた、面白い形をした島で、生島樹林は国の天然記念物に指定されています。
 次に、赤穂市立坂越小学校に寄って、校長先生とお話しました。
 午後1時から、また赤穂市職員の方とお会いする予定があり、赤穂市立図書館に寄りました。この図書館は最先端の設備が整っており、とても素敵な図書館です。ここで、私が子供の頃、坂越保育所で保母さんをされていた方にお会いしました。私の事を覚えて下さっており感激です。職員の方が連絡を取ってくれたのです。赤穂の人は義理堅い人が多いのですね。ただこの頃、「大垣まつり」から続く連日のハードスケジュールがたたって、軽い のど風邪の症状が出て来ました(1週間後の今も軽い症状が続いています)。この後、室津(むろつ)を取材する予定でしたが、あまり時間がないので、赤穂城・大石神社と赤穂八幡宮周辺を散策しました。

赤穂・坂越の旅大避神社 参道 (赤穂市坂越)

赤穂・坂越の旅妙見寺観音堂 (赤穂市坂越)

赤穂・坂越の旅妙見寺観音堂と生島 (赤穂市坂越)

赤穂・坂越の旅茶臼山山頂から望む生島 (赤穂市坂越)

赤穂・坂越の旅赤穂市立図書館 (赤穂市)

赤穂・坂越の旅赤穂城、大石神社 (赤穂市)

 17日は、赤穂近くの上郡(かみごおり)の「アキノイサム展」を拝見しました。秋野亥左牟さんは私の好きな絵本作家のお一人で、その母親は日本画家の巨匠(文化勲章受章者)で絵本も描いた秋野不矩(ふく)先生です。この場所は元々、秋野亥左牟さんのアトリエがあった場所で、現在、亥左牟さんはお亡くなりになり、奥様の和子さんとそのお子さんがアキノイサム美術館を守っています。近所に住む絵本朗読をされている方々を交えてお話をしました。
 その後、一人、有年(うね)の赤穂市立有年考古館(第二次世界大戦中の戦意発揚紙芝居が展示してあり興味深く拝見しました)や東有年・沖田遺跡公園を見学し、私の母が育った真殿(まとの)の廃屋寸前の民家に寄って、旧坂越浦会所と坂越まち並み館を訪ねてから、赤穂御崎の海を眺めてSM号スケッチブックに10分程スケッチしました。伊和都比売神社(いわつひめじんじゃ)から赤穂御崎の海にまっすぐ抜ける光景は、私の最も好きな場所の一つです。デジャヴのような、不思議な懐かしさに包まれる、不思議な海の光景なのです。

赤穂・坂越の旅「アキノイサム展」 秋野和子さん、三島澄子さん(ひょうご絵本の伝承師)らと (赤穂郡上郡町)

 この1週間で、大垣と赤穂と合わせて、およそ30人位の方々にお会いしてご挨拶しました。朝5時起きの東京造形大学から続くハードスケジュールに、さすがの体力自慢の私も疲労しました。
 18日は6時間位かけて、在来線と新幹線を乗り継いで、千葉県松戸市のアトリエに帰りました。

 19日は、また東京造形大学の絵本講義。熱心な学生達が待ってくれている事でしょう。その夜は、絵本作家・きむらゆういち さんの立派なアトリエへおじゃまして(私もイラストを一枚描いて、きむらゆういち さんの絵本作家イラストコレクションに加えてもらいました)、その後、長野ヒデ子さん、アーサー・ビナードさんの講演会を聴きました。
 誠に忙しい昨今、中年おやじの体が持つのか分かりませんが、世の為人の為、色々と頑張って行きましょうか。

東京造形大学学校法人桑沢学園・東京造形大学 正門 (東京都八王子市)

東京造形大学学校法人桑沢学園・東京造形大学 校庭 (東京都八王子市) 春は桜がきれいです。


ゆうゆう作家トークショー「ゆうゆう作家トークショー」 長野ヒデ子さん、アーサー・ビナードさん講演会(きむらゆういち事務所 主催)

ゆうゆう作家トークショー「ゆうゆう作家トークショー」 長野ヒデ子さん、アーサー・ビナードさん講演会(きむらゆういち事務所 主催) 絵本作家・きむらゆういち さんにサインをいただいています。

ゆうゆう作家トークショー「ゆうゆう作家トークショー」 長野ヒデ子さん、アーサー・ビナードさん講演会(きむらゆういち事務所 主催) 皆さんで記念撮影。


  日本画家・絵本画家 後藤 仁

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2017-05-23

ユネスコ無形文化遺産・大垣まつり2017、赤穂・坂越の旅 その1

 2017年5月12日~18日「大垣まつり、赤穂・坂越の旅」に出掛けました。
 13日と14日は岐阜県大垣市の「大垣まつり」があり、私の伯父で からくり人形師の後藤大秀さんの制作した からくり人形が披露されます。「大垣まつり」は2015年に「国重要無形民俗文化財」に指定され、2016年には「ユネスコ無形文化遺産」に登録されました。後藤大秀さんも今年、「岐阜県伝統文化継承功績者顕彰状」を授与されています。

大垣まつり2017リーフレット「大垣まつり2017」 リーフレット

 5月12日、私は東京造形大学の絵本講義を終え、家に荷物を取りに帰ると、そのまま在来線と新幹線を乗り継いで、岐阜県大垣市に向かいました。大垣ではいつも、伯父の家に泊まらせていただきます。その時に、からくり人形や能面作品を見せていただき、創作の逸話を聴くのが、大きな楽しみでもあります。

 13日は、「大垣まつり・試楽(しがく)」の日ですが、朝から雨が降っていたので、残念ながら祭りは開催されないとの事で、家で伯父が新聞(中日新聞、岐阜新聞)に掲載された記事や、伯父の能面「小面(こおもて)」が披露された能舞台公演(池田町 能楽の里文化交流会館 特設能舞台/観世流「清経」)のDVDを鑑賞しました。夕方前に雨が止んだので、町に繰り出しました。祭りの準備があちこちの町内で進められており、顔見知りの大垣祭保存会・大垣祭山車運営委員会の会長さんや副会長さんらにご挨拶しました。
 夜7時から八幡神社前を山車が巡行します。それまでSM号のスケッチブックに軽く何枚か山車を写生しました。7時頃に山車が動き始めました。私は横合い最前列から写真を撮りまくりました。動きが早くてスケッチする時間が無いので、写真でおさえます。「大垣まつり」には13両の山車が出ますが、伯父が完全復元制作した からくり人形が乗せられた相生山・愛宕山・浦嶋山・布袋山や、伯父が修理・修復した からくり人形が乗る菅原山・榊山・神楽山(三輌山)に注目して下さい。特に相生山の「神主友成」は伯父の代表作と言えます。その他にも、玉の井山・松竹山は芸山なので豪華な着物で着飾った子供たちが演舞を披露します。美人画家の私としては、ぜひとも描いておきたい題材です。昼の奉芸ができなかった分、夜に少し奉芸が行われたのでラッキーでした。夜9時頃、祭りは終了しました。

大垣まつり2017「大垣まつり」 八幡神社前で各山待機中

大垣まつり2017「大垣まつり」 八幡神社に向かう相生山

大垣まつり2017「大垣まつり」 菅原山/文字書き人形

大垣まつり2017「大垣まつり」 玉の井山/子供たちの演舞

 14日は、「大垣まつり・本楽(ほんがく)」の日です。今日は天気が良いです。朝8時45分の開催時刻の1時間以上前に到着して、八幡神社の参道前の一番見やすい正面位置に陣取ります。2時間立ったままで祭りの写真を撮り続けました。(2日間で1200枚以上撮影しました。)その後一旦、家に帰り昼食をとり、伯父の からくり人形「津島市・七切祭(ななきりさい)麩屋町山車 湯取神子 鼓打人形」を、1時間程でF4号のスケッチブックに描きました。夕方3時頃に再度、祭り取材に出掛けました。新大橋辺りで山車を鑑賞し、軽くSM号に山車をスケッチしたり写真撮影を続け、夜7時前に提灯を付ける準備をしている頃に伯父の家に帰りました。

大垣まつり2017後藤大秀と 「津島市・七切祭(ななきりさい)麩屋町山車 湯取神子/鼓打人形・笛吹人形」

大垣まつり2017「大垣まつり」 菅原山/文字書き人形

大垣まつり2017「大垣まつり」 愛宕山/福豆が飛んでくるのを待っている子供たち

大垣まつり2017「大垣まつり」 相生山/神主友成、住吉明神

大垣まつり2017「大垣まつり」 相生山/神主友成の胴体が2つに割れて、帆掛け船が現われたところ

大垣まつり2017「大垣まつり」 相生山

大垣まつり2017「大垣まつり」 松竹山/子供たちの演舞

大垣まつり2017「大垣まつり」 玉の井山と八幡神社

 「大垣まつり」は伯父の からくり人形が活躍するので、ぜひとも拝見したかったのですが、今までなかなかタイミングが合わずに見れずじまいでしたので、ユネスコ無形文化遺産にも登録されたこの年にようやく拝見できて、誠に感謝感激です。
 本当は夜の巡行まで居たかったのですが、明日は私の故郷の赤穂で、人に会う重要な予定が入っているので、夜、在来線と新幹線を乗り継いで兵庫県赤穂市の実家に向かいました・・・。

 この続きは次回といたします・・・


  日本画家・絵本画家 後藤 仁

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2015-11-27

静岡市、長野県(安曇野・岡谷市)の旅 その3(最終回)

 2015年11月10日(火)~12日(木) 「静岡市、長野県(安曇野・岡谷市)の美術館鑑賞・取材の旅」の3日目(最終日)です。

 12日(木)。心地よいコテージでよく眠り、朝早く目が覚めました。まだ6時前です。朝食のパンを食べて、すぐに外の散策です。何か面白いものはないかと辺りを観察します。私は日頃から、スケッチする良いものはないかと、常々周囲を観察していますので、往々にして怪しい人だと思われます。しかし、芸術の為ですので一向に気になりません・・・それに、もう慣れましたね。
 「絵本美術館 森のおうち」の外観が素敵なのでスケッチしました。およそ1時間半ほど描きました。途中、登校中の小学生が通ったり、警察の巡回車が来たり、ゴミの回収車が来たりしましたが、それ以外は心地よい自然に囲まれた静かな空間です。森のおうちのスタッフが出勤し始めてあわただしくなったので、スケッチを終えました。
 今回の旅は、3日間という短期間に多くの美術館を回る予定なので、なかなか時間が取れなくて、スケッチは計3枚しか出来ませんでした。

森のおうち「絵本美術館 森のおうち」

森のおうち「絵本美術館 森のおうち」 私

 「森のおうち」の館長さん・スタッフにお別れを告げると、出発です。近くの「安曇野絵本館」は当面、休館という事なので、松尾寺薬師堂を訪ねました。かなりの古刹の様で、屋根の上部にお面が乗っているのが珍しかったです。

 その後、「安曇野ちひろ美術館」を鑑賞。東京の「ちひろ美術館」は、20歳の頃に上京した折に何度か訪れていましたが、こちらは初めてなので期待大です。いわさきちひろ は赤羽末吉先生と並んで、私が最も崇敬する日本の絵本画家なのです。
 かなり広い敷地に大きな展示館が建っています。いわさきちひろ の原画がたくさん展示してあり、やはり静岡市美術館に貸し出している作品より、優れた作品が多く見られました。特に、少女の横顔を描いた、「ガーベラを持つ少女」「美登利」等は秀逸です。 私は、人がすいた頃を見計らって、それぞれの絵の前で10分ほども立ち止まり、ちひろの線を、空中で指でなぞって頭に記憶しました。(私はこれをエアスケッチと呼んでいて、日常、電車の中などでも、周囲の人や物をエアスケッチして、デッサン力を鍛えています。本人には気付かれない様に気を付けますが、たまに周囲の人におかしな目で見られます。日本も住みにくくなったね~)
 その他にも、赤羽末吉先生の原画・ラフスケッチ・ダミー本(日本画における下図に当たるもの)などが見られて、とても為になりました。赤羽先生のダミーは思った以上に小さいのですが、完成度はかなり高い事に驚かされます。

 こうして3時間程があっと言う間に過ぎましたので、昼頃、岡谷市を目指す事にしました。安曇野I.Cから長野自動車道に乗り込み、車中でパンをかじりながら、岡谷I.Cに12時40分頃到着しました。

安曇野ちひろ美術館「安曇野ちひろ美術館」

安曇野ちひろ美術館「安曇野ちひろ美術館」 私

 岡谷では「イルフ童画館」を鑑賞しました。ここは、日本の絵本画家の草分け・武井武雄の展示館です。武井武雄の原画や本の挿画等を拝見し、とても面白くてモダンな表現技法に感心しましたが、もう少し多くの原画が見れたら良いのにと思いました。丁度、「バムとケロ シリーズ」で有名な島田ゆか さんの絵本原画展もやっていたので拝見。細部への描き込みはかなりのものです。

 その後、私が筆頭となり復元製作を手掛けた「金唐革紙(きんからかわし:手製高級壁紙)」の、昔のものが貼られている「旧林家住宅(国重要文化財)」を見学。旧林家住宅に向かう途中、朗読家の今井理恵子さんが紹介して下さっていた「凱旋門」という店が目に入りました。詳しい場所は聞いていなかったし日中なので立ち寄る機会はなかろうと思っていたのですが、偶然遭遇して外で掃除をしている人に尋ねたら、凱旋門の中澤由佳さんでした。この方も本の朗読をされていると言います。旧林家住宅に行ってから帰りに寄ると約束しました。
 「旧林家住宅」では、係の人が詳しく解説してくれました。しかし、金唐革紙製作に関しては当然、私の方が知識が上です。展示してあった新調された金唐革紙は、私が製作したものではないかと思います。
 ここでも金唐革紙製作者は、当時の製作所の某経営者の名のみが掲示されています。本当は、私を中心とする3~6名の若者(東京藝術大学日本画専攻 出身者)が大部分の金唐革紙製作を手掛けたのですが、その時の経営者(ほぼ企画と営業・経理のみを担当)の意向で、未だに私達の名前はほとんど伏せられたままです。私は、そんな理不尽な事もあり、また経営者が巨額の脱税をしているという事実も本人の口から直接聞いた事もあり、その他にも不条理な事が度々重なり、学生時代からのご縁で12年ほど製作に関わったその製作所を10年位前に離れました。もうそろそろ日本画制作のみに集中したいと考えていた頃でもありましたので、問題の多いこの製作所を離れる丁度良い潮時だったのです。 (「金唐革紙」の詳しい製作内容は、当ブログの「金唐革紙 製作」をご参照下さい。)

イルフ童画館イルフ童画館

旧林家住宅国の重要文化財 「旧林家住宅」

旧林家住宅 金唐革紙国の重要文化財 「旧林家住宅」 天井や壁面に貼られているのが金唐革紙 
(旧林家住宅のパンフレットには「きんからかわがみ」と記載してありますが、「紙の博物館」の学芸員によると、正しくは「きんからかわし」と呼ぶらしいです。)


 旧林家住宅を1時間余り見学した後、帰りに凱旋門に寄りました。コーヒーをいただきながら、本の朗読の話、絵本の話などをしている内に、帰りの時間が迫って来ました。この様にして、各地で絵本などの朗読を熱心にされている方がいて、絵本の魅力を世間に広げていただけるわけですし、実に素晴らしい事だと感じました。(ただし、作者の著作権にはご配慮下さいね。)
 岡谷には、絵本作家さとうわきこ さんの「小さな絵本美術館」もあるのですが、残念ながら今回は拝見する時間がありません。

 夕方4時頃、岡谷I.Cから入り、一路、東京を目指します。中央自動車道を通り途中、双葉S.Aで夕食を食べて、首都高速道路に乗りました。ここまでは順調だったのですが、新宿辺りでC2(湾岸線へ)という標識が目に入ったので、本能的にそちらに向かいました。今まで通った事のない長いトンネルを走りました。「ここにC2なんかあったかな、何か間違えたかな~?」と思い始めました。首都高速道路は、いつもC2~B(湾岸線)~11(レインボーブリッジ)~C1から東名か中央に乗るのが慣例でした。帰りはその逆ですが、その他の行程を使う事はほぼないのです。ようやく地上に出ると、現在位置が全く分からないのですが、11という標識があるので、また本能的にそちらへ向かいました。雄大なレインボーブリッジを渡る時、いつも「東京に帰って来たな」と実感します。「また、この巨大な競争社会に組み込まれて行くのか・・・」と。
 今日もレインボーブリッジを渡りました。「やはり、この道で良かったのかな・・・」と思っていると何かが変です。再び「東名」の標識が出て来ました。何と逆方向にレインボーブリッジを渡っているのです。ここで訳が分からなくなりました。その後、とりあえずC1に入ったのですが、自分の通っている場所が把握できません。地図・標識を確認する間もなく(私は車にカーナビを付けません)、後続車があおって来ます。C1を一周すると、またレインボーブリッジを渡りました。「2度もレインボーブリッジを通るとは・・・これこそ都会の迷路・東京砂漠だな・・・。」
 再びC1を通り、仕方がないので首都高速道路をあきらめて、銀座辺りで下道に降りて、国道6号線を経て松戸に帰りました。この辺りの下道は、絵の搬入などで多く使うので、おおよそ把握しているのです。こんなハプニングもあり、1時間ばかり余計に時間を取り、家には夜の10時頃到着しました。
 翌日、家のネットで首都高速道路を確認してみると、私が使用しなかった5年位の間に首都高速道路のC2が西側に伸びて、一周していたのです。私がよく使っていた頃は、C2が東側しかなかったので、分からなかったのです。これからはC2の北側ルートを通ると、四つ木I.Cから、東名・中央にすぐ行けそうです。


 今回の旅は日程がつめつめだった事もあり、人と会う約束もあり、3日間の割には疲労しましたが、今まで行きたかった絵本美術館も見れて、とても有意義な旅になりました。
 この再来週、22~23日には和歌山県有田川町の絵本イベント「えほんdeわっしょい10」に参加しないといけません。現在制作中の「挿絵本」の原画提出締め切りが今月末ですが、はたして間に合うのでしょうか。12月にも会合がたくさんある様ですね。今年も忙しい年の瀬となりそうです。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁
 
 

 

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

2015-11-16

静岡市、長野県(安曇野・岡谷市)の旅 その2

 2015年11月10日(火)~12日(木) 「静岡市、長野県(安曇野・岡谷市)の美術館鑑賞・取材の旅」の2日目です。

 10日の夜、ホテルで地図を見ていてフッと思い出したのは、1983年・中学校3年生の時に父と兄と行った「富士山の旅」です。3日間かけて富士山周辺・・・本栖湖・精進湖・白糸の滝等を車で巡りました。この旅は、私にとって初めての関東方面の旅でしたので、観光客のおっちゃんが「何とかだよね~」と関東弁を話すのが不思議で、男性の皆がオカマに見えてしまいました(笑)。
 小中学生の頃は、夏休みの度に父や家族とともに2~3泊の旅行に行くのが決まりでした。私の今の旅好きもこの辺りに由来するのではないかと考えています。
 「そうだな、せっかくこの道を通るのだから、昔行った所をもう一度見ておきたいな・・・。」と思いながら眠りにつきました。

 11日の朝、ホテル「くれたけイン富士山」の朝食はバイキング方式で、特別にこっている訳ではないのですが、宿泊代を考えると豪勢な食事です。
 朝6時半に朝食を済ませて、すぐに出発しました。富士I.Cを過ぎて国道139号線を北上しました。最初、朝の通勤ラッシュに巻き込まれましたが、町を過ぎるとだんだん車が減って行きました。
 「白糸の滝」の看板が見えましたが、先の道程の長さを考えるとやむなく通過しました。午後1時に安曇野の「絵本美術館 森のおうち」で、朗読家の人と待ち合わせをしているのです。

 本栖湖に到着しました。観光客はほとんどいません。本栖湖の周りを一周しながら、昔の旅を思い出していました。

・・・・父と兄と本栖湖の湖畔に車を止めて一泊しました。今では、車で湖面に近づける箇所はほとんどない様ですが、当時はあちこちから湖面近くまで車で入れました。車の中は狭いので、父が車の中で、私達は外に敷いた毛布で寝ました。真夜中に父が「車の中はしんどいで、代わってくれや。」と言うので、兄が交代したと記憶しています。今考えると、親子3人で随分無茶な宿泊ですが、今の私が国内外で無謀な旅を敢行できる原点がここにあります。寝心地は決して良いとは言えず、なかなか寝つけませんでしたが、夜遅くには眠っていました。
 朝早く目が覚めると、ようやく空が明るくなり始める頃、湖面をいっせいに無数の小魚が飛び跳ね出しました。その数は驚くほど多く、本栖湖の湖面をかなりおおっていました。10分ほど経つと辺りは何事もなかった様に静まり返りました。この場所に宿泊したおかげで、面白い現象が見れたのです。・・・・

 昔この辺で泊まったのかな・・・等と思い出しながら、本栖湖を右回りに走りました。丁度、紅葉の季節だったので、湖畔は真っ赤に染まり、実に美しい光景です。もう少しで一周し終える頃、左の山側に「パノラマ台」という小さな看板が見えました。かの旅でこのパノラマ台に登った記憶があります。その時の登り口は山の向こう側だった様に思いますが、ここから登ってみました。パノラマ台まで約3㎞という看板があり、急がないと待ち合わせに間に合いません。ハアハア言いながら、山道を登りました。
 頂上らしき所に着くと、昔の記憶と周囲の雰囲気が違っています。下の看板に書いてあった烏帽子岳という場所かも知れませんが、先に進む時間もありません。左下に精進湖、右下に本栖湖、正面に富士樹海を望む立ち位置は記憶通りです。残念ながら、富士山頂は厚い雲にはばまれて見えませんでしたが、私の心の中には昔見た富士山が大きく大きく広がっていました・・・。思い出を胸に、山を下りました。登って下りて、1時間余りかかりました。いずれ機会があれば、もっとゆっくりと時間をとって、この辺りの写生旅行をしてみたいと思いました。

 国道139号線から国道358号線を経て、中央自動車道・甲府南I.Cから乗り込み、一路、長野自動車道・安曇野I.Cを目指しました。

富士山パノラマ台から望む富士山(雲で山頂が隠れています。)

 午後1時過ぎ、何とか待ち合わせの時間に15分遅れで到着しました。「絵本美術館 森のおうち」に入ると、朗読家・フリーアナウンサーの今井理恵子さんが待っていらっしゃいました。今井さんは長野を中心に本の朗読活動をされており、かねてより私の絵本の朗読もして下さっています。長野方面に来る時にはぜひ立ち寄ってほしいと、前々からおさそいいただいていました。
 ひとまず「森のおうち」のレストランで、館長の洒井倫子さんもまじえて絵本のお話しをしながら昼食をとり、その後、現在開催中の「柿本幸造 生誕百年記念原画展」を鑑賞しました。柿本幸造さんの絵は、ガッシュ(不透明水彩絵具)を中心に色々な画材を併用した混合技法で描かれています。色の発色が素晴らしく、可愛らしい動物等の描写は、とても楽しい気持ちにさせてくれます。
 こうして「森のおうち」であっと言う間に3時間近くが過ぎましたので、今井さんとお別れして、一人安曇野の取材に出かけました。2005年にも「桜銘木巡りの旅」で、岐阜県・山梨県を合わせて安曇野を含む長野県の取材をした事がありますが、それ以来の安曇野探訪です。穂高神社で穂高人形大飾物展を見物し、道祖神を軽くスケッチしました。次に早春賦の碑とワサビ田を見て、ワサビの葉を軽くスケッチしていると、夕方5時前には辺りは薄暗くなって来ました。
 今日の宿は、「森のおうち」のジョバンニのコテージを予約しています。一泊一人で1万800円です。一度宿に戻って、6時から開店する「イタリア料理ナポリピッツァ&パスタ ラノッキオ」に再度出かけました。「森のおうち」のスタッフにおすすめいただいていた料理店です。私はピザ(マルゲリータ)とサラダとエスプレッソを注文しました。ここの若いシェフは、本場イタリアでも修業した事があると言う事で、本格的な石窯で焼くピザは本当においしくて、耳の部分まで香ばしくて最高です。
 私の普段の、車中泊を中心としてカップ麺をすする貧乏旅に比べると、今回の旅はかなり贅沢な旅になっていますが、たまにはこんな旅も良いでしょうかね。日常、厳しい絵の制作で、日夜、汗を流しているのですから・・・。

 今日の様々な出来事を思い返しながら、広くて心地よいコテージで眠りました。本当は数名で来て、ワイワイと楽しむのが良さそうなコテージですが、たった一人孤独をむさぼるのも、また一興です。

森のおうち「森のおうち」レストラン。 おしゃれで美味しいカレーです。

森のおうち「森のおうち」にて。 館長・洒井倫子さん、朗読家・今井理恵子さん、私(何て変な格好だ・・・取材用のいつものスタイルです)、森のおうちスタッフ・原田朋子さん。(左から)

穂高神社安曇野 穂高神社
 
安曇野 早春賦の碑安曇野 早春賦の碑。 レンタカーのヴィッツ。

ラノッキオ「イタリア料理ナポリピッツァ&パスタ ラノッキオ」 ピザ マルゲリータ


 最終日の明日は、「安曇野ちひろ美術館」と岡谷市を訪れる予定です。その模様は、また次回といたしましょう。

  日本画家・絵本画家 後藤 仁
 

テーマ : 旅と絵
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN)

Author:後藤 仁(GOTO JIN)
 ~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

  〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校美術科で日本画を始める。東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業、後藤純男先生(恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。
○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞等への出演・掲載も多い。
○東京藝術大学・デザイン科非常勤講師。東京造形大学・絵本講師。金唐革紙保存会 主宰。日本児童出版美術家連盟(童美連)(太田大八先生、赤羽末吉先生、いわさきちひろ先生らが創設)会員・理事。絵本学会(太田大八先生らが創設、現会長:松本 猛先生)会員。日本中国文化交流協会(井上 靖先生らが創設)会員。この本だいすきの会(代表:小松崎 進先生)会員。千葉県松戸市在住。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
後藤 仁 アルバム
後藤 仁のアルバムを掲載いたします。
フリーエリア
フェイスブック 後藤 仁 Jin Goto


フェイスブックページ「日本画家・絵本画家 後藤 仁」 | 


フェイスブックページ「ながいかみのむすめチャンファメイ」 | 


フェイスブックページ「犬になった王子 チベットの民話」 | 




Find me on Google+(グーグルプラス「後藤 仁」へ)




ブクログ「後藤 仁の本棚」ブクログ

絵本ナビ「犬になった王子  チベットの民話」絵本ナビ「犬になった王子 チベットの民話」
絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR