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2021-03-07

「絵師 日々の言霊」 後藤 仁 ⑤

 私は日本画・絵本原画制作の合間合間に、日々思った事・見付けた事などを、Facebook・Twitterでつぶやきます。これは、その続編になります。
 一絵師のたわいもない独白は、いい加減で無責任な言葉にしか過ぎません。しかしその行間に、芸術家の真実が垣間見えるかも知れません。荒削りで不器用な絵師の言葉の中から、”真実の言霊”を見出していただけましたら光栄です。
 今回は、中国向け「新作絵本〈第2弾〉」題字制作「新作絵本〈第3弾〉」文章・ラフスケッチ制作の経過と、その他、すでにブログに掲載済みの長編以外の短編文章をまとめました。

 絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

                    ★

2021年1月17日

 日本を代表する俳優・西郷輝彦 様。私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)をご購読・ご紹介いただき、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。今後とも、後藤 仁 作品共々、よろしくお願い申し上げます。 

https://www.facebook.com/photo?fbid=4562438043829035&set=a.142376822501868



”犬になった王子” 君島久子 文 後藤仁 絵
絵師(日本画家・絵本画家)後藤仁さんの絵に惹かれて
久しぶりに絵本を買った。
穀物のない国の勇敢で心優しい王子が苦難の旅を乗り越え、
麦のタネを手に入れる壮大な冒険物語。

西郷 輝彦さんの投稿 2020年10月31日土曜日



絵本「犬になった王子 チベットの民話」絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)

●岩波書店 公式サイト ─ 絵本『犬になった王子 チベットの民話』
https://www.iwanami.co.jp/book/b254895.html



1月22日

 中国向け新作絵本制作”第2弾”ですが、一週間程かけて、「題名」のレタリングを考案し、現在、和紙に転写~骨描き~胡粉塗り、まで進めています。私が描いた”絵”に似つかわしい、なかなか、おしゃれなレタリングができました~!。😄
 また、先週の、出版社編集者との中国向け新作絵本”第3弾”の打ち合わせに基づき、「文章」を手直ししています。今まで関わった絵本編集者は比較的保守的で生真面目な人が多く、今回も絵本の中の”史実”部分には、あえて、あまり手を加えずにいました。その方が子供向けに無難で、企画が通りやすいと考えたのです・・・。
 しかし今回は、もっと史実部分にもオリジナル性が欲しいという編集者のご意見があり、最初の案よりグッと創作を加え、独創性を増してみました。本当に私がやりたかったのは、この様な独創的な創作ストーリー絵本なので、願ったり叶ったりなのです。更に面白くて、オリジナリティあふれる絵本作品になりそうですよ~~!!。🥳

           *

 余談ですが・・・、私の高校時代は、大阪市立工芸高等学校 美術科に進学し、1年生の時(留年したので2年間在籍)には、日本画・油絵・彫刻・版画・デッサン・水彩 等と共に、デザイン・製図やレタリング等も学習しました。そんな理由もあり、絵本のレタリング デザインも容易なのですね~。
 高校での私の成績は、「美術」のどのジャンルも、群を抜いてオール一番でした。1年生の時には絵だけを描きたくて、勉強を全くしなかったので、元々興味の薄かった数学・英語で赤点となり、留年させられました。そこで再度の1年生時には、猛勉強をして、美術のみならず、学業も全科目オール一番になりました。体育は元々得意で、クラスで一番だったので、これで、完全に総科目オール一番となり、平均点は96~98点位になりました。これは嘘でも自慢でもなく、ただの”事実”でしかありません・・・。しかし、それにより同級生からは、相当、妬み嫌がられたものです。
 私は若い頃から、ほどほどという事を知らない、変わり者だったのです。しかし反面、「後藤は、工芸高校、始まって以来の天才だ」とか「実は宇宙人なのだろう」とか変な噂をされ、「確実に、東京藝術大学に受かり、将来は著名売れっ子画家になるだろう」と先生や生徒から思われていたようです・・・。
 実際の私は、「ただ絵がやたらと好きな変人」に過ぎなくて、元来、人付き合いや集団行動が苦手で、協調性に欠ける人間でもあり、また、奸計をめぐらす事も嫌いで、商売にも無頓着だったので、案外、今では大した事もない、一介の無名な貧乏絵描きにしかなっていません~~。(ついでに付け足せば、本来、出世や肩書・名誉 等にも、全く関心はありません。今まで、ただひたすら、絵が納得いくまで描ける環境を求めてきただけです。)
 しかし、それこそが私の求める、”真の芸術家の生き方”、なのです。


1月23日

 「リブライズ すべての本棚を図書館に」とは何でしょうか? インターネットでつながった図書館ネットワークでしょうかね・・・。
 私の作画絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも 2013年 3月号)も掲載されています。

https://librize.com/items/229704


1月25日

 先日、NHKスペシャルで、高野山金剛峯寺の障壁画を、日本画家・千住 博先生が描いているのを観ました。私は直接お会いした事はありませんが、東京藝術大学 日本画専攻の大先輩として、様々な逸話を先輩達からも聞いてきました・・・。
 かつて、明治・大正・昭和時代までは、神社仏閣等の「障壁画・襖絵・天井画」日本画家の専売特許でした。しかし近年は、日本経済も日本画家自体も勢いの衰えをみせ、代わりに、安価で仕事を請け負う職人的職業画家・工房や、有名イラストレーター、人気マンガ家が、寺社の障壁画を描くケースが増えていました・・・。
 しかしやはり、本格的な日本画家が描く荘厳は、その深み・渋みや独創性において、一味も二味も違うものです。千住先生の障壁画も、実に見事なものでした。
 ただ私は、最終的には、やはり、”筆による手描き”に勝る「絵画作品」は無いと信じています。確かに、人が頭と手で描くよりも、自然現象技法(垂れ流し・もみ紙技法 等)の方が、人知を超えた面白さ・偶発性を生み出すもので、なかなか人の意志だけでは、それにかなわないものです。その点、千住先生は誠に巧みです。
 しかし、究極的には、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロや長谷川等伯、伊藤若冲、北斎 等のように、手描きによって”芸術の奥義”を表現し得たものは、芸術作品内においては、自然現象を凌駕するのです。
 M某先生のような他人の作品の模倣・盗用は論外ですが、他にも、T某先生のように映像投射機を本画制作に全面的に使用したり、パソコン・エアブラシ等の電気が無いと全く動かせない機器の大幅な使用も、日本画において、私はあまり良いとは思えません。
 やはり、近年の作家では、後藤純男先生や東山魁夷先生、平山郁夫先生 等のように、一筆一筆に心を込めながら、丹念に描いていくという、昔ながらの作画様式が、未来においても永久に輝きを失わない、古くて新しい、最高で唯一の表現手段なのではないかと、私は信じています。
 そんな泥臭く、不効率な描き方で、私は今後も、地道に、日本画を描き続けていこうと思うのです。


1月25日

 中国向け新作絵本制作 ”第2弾” 。本日、「題字」の彩色の下塗りとして、黄口本朱を塗りました。明日は、岩絵の具による上塗りの予定です。
 私独自のオリジナル書体によって、優雅で軽妙な物語の雰囲気を表現しています。隅々まで私の美意識に貫かれた、素敵な「絵本」になりそうですよ~♡ 。😘


1月26日

 中国向け新作絵本制作 ”第2弾” 。本日、「題字」に岩絵の具で上塗りをしました。微細な修正を加えながらの、息のつまる作業です。
 この「絵本」の最後の一仕事ですので、とにかく、丁寧・慎重に仕上げています。明日は、部分的に金泥(純金粉)を入れようと考えています。( ..)φ


1月27日

 中国向け新作絵本制作 ”第2弾”。本日、「題字」に金泥(純金粉)を入れ、微修正をして、完成としました。流麗で美しい、オリジナル書体による「題字」が描けました~。 (´▽`)丿
 これで、2019年10月から「原案・ラフスケッチ」制作を開始し、同年12月から日本画による「本画」制作を始めた、『中国向け絵本・第2弾』原画が、幾多の苦節と喜悦の末、全行程・1年4カ月かけて、ようやく完全完成しました。😂🤣😘
 もう少し時間がかかると思いますが、題名 等の詳細は、後日、出版の時期に、ご案内いたします。
 中国向け絵本”第1弾”、『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社)の大胆かつ奇想天外な構成とは、また一味異なる、繊細で美麗な絵本になるでしょう。また今回は、見事なハッピーエンドですので、安心して読める、純粋に楽しい絵本ですよ~♡ 。乞うご期待!!

絵本『青蛙緑馬』表紙絵本『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社)


1月30日

独立行政法人 国際協力機構(JICA) JICA筑波・図書情報室
●おすすめ資料「世界を知るための絵本や図書のリスト」


 ここには、私の作画絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)も挙げられています。他国を知る事は、自国を知る事にもつながり、国際間の相互理解は、世界平和や文化的豊かさをもたらします。

https://www.jica.go.jp/tsukuba/library/index.html

https://www.jica.go.jp/tsukuba/library/ku57pq000005itnk-att/document_05.pdf


2月1日

「新たな唐子人形完成、8日のお披露目に向けて住民ら操作練習 大垣」
 (中日新聞Web 2021年2月1日)

 私の伯父で、からくり人形師後藤大秀さんが復元を手掛けていた「唐子人形」が完成したという新聞報道です。お披露目が楽しみです。

https://www.chunichi.co.jp/article/194751


2月7日

LOCALTIME.JP 「後藤仁さんの年齢・誕生日・星座などのプロフィール」

https://www.localtime.jp/cast/28704/ 
 LOCALTIME.JP というサイトには、私・後藤 仁のページもありますね。自分が何歳の時に、どんな出来事があったかを知りたい時には、便利です。


2月13日

 韓国を代表する大規模書籍チェーン店の「教保文庫(Kyobo Book Centre/㈜교보문고)」や、韓国の大型通販サイトの「アラジン(Aladin/㈜알라딘커뮤니케이션)」でも、私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)を取り扱っています。
 色々な国の方々に、拙作絵本をご購読いただけますと嬉しいです。

犬になった王子 チベットの民話 - 교보문고
http://www.kyobobook.co.kr/product/detailViewEng.laf?mallGb=JAP&ejkGb=JNT&barcode=9784001112429

알라딘_ 犬になった王子――チベットの民話 (大型本)
https://www.aladin.co.kr/shop/wproduct.aspx?itemid=33329443


3月1日

 中国向け、オリジナル新作絵本制作・第3弾、報告。20日程かけて、「ラフスケッチ・コマ割り」〈第2案〉を完成させ、本日、コピーを絵本編集者に送りました。「文章」にも手直しを加え、さらにオリジナル性と面白さが、増したのではないかと思います。
 誠に質が高く、精魂のこもった、本当の芸術絵本を、ぜひ、今の子ども達に見てもらいたい・・・。コロナ禍の厳しきご時世ですが、中国・日本から世界中の子ども達の為にも、この絵本制作が進む事を願っています~。🤗🤲


3月1日

 『絵本寄贈プロジェクト』は、実は、「中居正広のニュースな会(テレビ朝日)」が最初ではなく、私が作画絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)や、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)等を、2013年から今までに1500冊以上、東北被災地等の学校・児童施設・図書館等へ寄贈し始めたのが元祖なのです。

http://gotojin.web.fc2.com/book01.html


3月3日

 他人のビジネスのじゃまをしてはいけないのだろうが、その分野への研究不足・実力不足のまま、短絡的に流行に乗ろうとする傾向や、内容の薄い収益目当てだけの活動を見ると、そんな大人達のあさましさに嫌気がさす・・・。
 何でも時間をかければ良い、高い画材を使えば良いとは限らないが、作家(画家・絵本作家 等)の中でも、とにかく効率や費用対効果ばかりを優先し、デジタルや安い画材で、短時間で作品を仕上げる傾向が強まっている。そんな訳で”絵本”の世界でも、近年は、マンガを応用したような簡単な作風やCG系の絵本ばかりが世に氾濫している(本当に質の高いマンガを描くのは、とても大変なのだろうが・・・)。
 表面的な流行に乗り、元々、絵本には造詣の薄い芸能人・有名人等が、絵本を描こうとする動きも多く見かける。高い知名度・資金力を武器に、マニュアル通りの売れ筋絵本を作り、大々的に宣伝する様は、実に商魂たくましく、あさましい。
 確かに、画家も仕事であるからには、収益が出ないと食べていけなくて、私のように長年の貧乏生活を余儀なくされたり、最後には餓死したりしてしまう。ただ、私も最低限度の制作できる環境は何とか確保したいと願うが、それ以上の贅沢など皆目必要ない。
 「絵本」は、子どもが人生で最初に触れる、重要な芸術作品だと思う。「日本画」は、人が大人になり人生を終えるまでを彩る芸術作品だ。その大切な、かけがえのない時間を、いい加減なものばかりで浪費させてはいけない。
 私は、ただひたすら真剣に、日本画や絵本画の創作に打ち込みたい。善良なる子ども達~大人達の為に、一生をかけて、誠心誠意、できうる限り最高の作品を紡ぎ出し、少しでも世に出していく事。・・・それが、私にできる唯一の、画家の”真心”なのだ。


3月5日

 このコロナ禍において、私も講師を務めている、「読売・日本テレビ文化センター(よみうりカルチャー)」の全社収益が半減し、長らく赤字経営が続き、今後の存続を試行錯誤しているという。すでに埼玉県の大宮・浦和等の幾つかの支店は閉鎖されたらしい・・・。私の受け持つ各社4教室の受講者も、総数は半減していて、そこでの収入も半減した。((+_+))
 カルチャースクールは、一般の人々が気楽に、第一線で活躍する一流の講師陣に指導してもらえるという事で、一時代には大きな飛躍をとげたが、5年程前にピークを迎えた後は、団塊世代以降の人口減少や趣向の変化で、徐々に受講者が減りつつあった。そこへ、今回のコロナ騒動が起こり、大打撃をくらったのだ。業界第1位のNHK文化センター(NHKカルチャー)は全国に分散して教室が存在するが、業界第2位の読売・日本テレビ文化センターは首都圏に教室が集中しており、より痛手が大きいようだ。

 このような大型カルチャースクールは、一般の人からすると、普通にはなかなか会えないであろう、その業界のプロから直接専門的な内容を学べるという利点がある。逆に作家からすると、画家などのような専門分野の収益が元々不安定な業種の場合は、作家の生活の最低限の基盤ともなり、さらには、美術の専門家以外の一般人との貴重な交流の場にもなる。そんな互助関係により、一般大衆と美術業界などの”文化”をつなげる、重要な役割を長年担ってきた。
 ところが、「美術・文化」は不要不急だという従来からの考え方で、このコロナ禍においても、欧米等に比べたら日本の文化助成ははるかに脆弱で、その対策は医療・経済の後々に回されてきた。
 このコロナ時代がある程度収束した数年後には、日本の文化・美術業界は壊滅状態になってはしないかと、大きな懸念を抱いている。バブル経済崩壊後、日本画・油絵等の高価な美術品が売れなくなって久しいが、出版不況で絵本等の出版物もほんの一部を除いて売れ行きが鈍り、比較的安定していた美術大学・各種美術学校やカルチャスクールまでもが危機を迎えている。美術をとりまくあらゆる環境が破壊されてきている・・・。これは恐ろしい現状だ。

 従来から純粋美術作家とは、芸能界・スポーツ界・音楽界などと同じく、食べていくのが最も厳しい業界の一つであったが、コロナ後、日本の画家は本当に生きていけるのだろうか・・・?。自助だけでは、どうしても切り抜けられない業界もある。どうか政治・経済界の、文化へのご関心・ご支援を切にお願いしたい。また、経済的ゆとりのある人々は、さらに”絵画”へのご興味を持っていただき、具体的に絵を購入・所有してみるとか、絵画教室をのぞいてみて欲しい。きっと素晴らしい世界・視野が広がるであろう~。
 日本から美しく深遠な美術の世界が消えていくのなら、本当に嘆かわしい限りだ。まだ私のような、50歳代を迎えた中年以降の作家はいい。今まで何とか好きな絵を続けて来られて、それなりに幸せであったから・・・、いつ死すとも可なり・・・。

 今まで、カルチャースクールの美術ジャンル受講者は、私の年齢以上のご年配の方々が大半を占めていたが、近年、私の受け持つ絵画教室には比較的若い人が来られるケースがある。最近では、今年、美大に合格したという高校3年生の方も来られた。若い人々が日本の伝統文化でもある「日本画」にご興味を持ってもらえるのは、誠に嬉しく、将来への大きな希望・期待になる。私もできる限りの絵の技術・情報を、もったいぶる事なしに全て伝えたい。
 しかし、今の日本の現状を見ると、私達の時代でさえ、50歳まで画家として生き抜くのは至難の業であったのに、今後を考えると、簡単にはその道をお薦めできないという、深い悩みが起こる・・・。
 次の世代、日本の美術文化が、マンガ・アニメ・ゲームのみならず、伝統美術・純粋美術も含めた広く深い文化が存続していける事を心から願っている。


〈私が講師を担当する絵画教室〉
 いつでもご入会は可能ですよ。ご興味のある方は、ぜひ、お気軽にのぞいてみて下さい~!! 🤗

●読売・日本テレビ文化センター(よみうりカルチャー)柏
「日本画 美人画から静物まで講座」

https://www.ync.ne.jp/kashiwa/kouza/202101-03043014.htm

●NHK文化センター(NHKカルチャー)柏教室
「基礎から始める日本画講座」
「鉛筆デッサン~初歩から上級まで~講座」

http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_491581.html
http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_518580.html

●コープみらいカルチャー(春日部教室)
「基本からの日本画講座」

https://mirai.coopnet.or.jp/event/culture/saitama/


3月7日

 先日、3月4日から、中国向けオリジナル新作絵本・第3弾の、さらに続編の、”文章”の考察に取り掛かりました。描きたいイメージが、後から後から、とめどなく、あふれてきます~。( ..)φ
 日本画壇では、物語絵・歴史絵・美人画等のジャンルが、昭和初期以降に徐々に廃れました・・・。風景画・写真的人物画・現代アート的作風が全盛の現代日本画壇の中で、私が表現したくても発表の場がなかった”物語絵”の世界ですが、「絵本」は、現在でも唯一、実質的な仕事として、物語絵を表現する事が可能な世界なのです。
 私の作画にはとても時間がかかりますし、出版不況の現代日本では、すぐに絵本化はできないかも知れませんが、あふれ出る創作心を、誰も、自分でも、止める事はできません~。必要があれば、いつでも、すぐに作画可能なように、イメージを次々と文章化しておきたいと、今、懸命に取り組んでいます。

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テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

2021-02-25

「芸術的天才論」 絵師(日本画家・絵本画家)後藤 仁

 テレビ等のメディアとは恐ろしい影響力を持つものである。先日も、あるテレビ番組内で、おおよそ芸術的天才ではない若者が、芸術的天才に仕立て上げられていた。私には、どうとらえても”天才”には思えなかったが、最後の彼の言葉だけは的を射ている。「世間に認められて満足している。しかし、これで自分は終わったと思う・・・。〈要約〉」
 若い芸術家が活躍をするのは結構な事である。今の時代、画家が生きていくのは本当に厳しい時代なので、なおさらである。ただ、実力の無い者をあまりに持ち上げ過ぎると、しばらくはその効果で食べていけたとしても、後に実力不足が露呈した時には、本人が一番、苦しむ事となる。現代の日本画家でも、ただ容姿が美し過ぎるとかで、テレビ・メディアが取り上げ、やたらと一時期もてはやされた画家がいたが、その作風は古典技法をなぞらえただけで、気持ち悪いものばかりを描くという特徴以外の個性は無く、彼女の実力には、私はかなり懐疑的である。
 本当の天才とは、案外、平凡な外見をしており(ほとんどの場合、衣装・容姿等の見た目ではアピールをしていない)、特に若い頃はさほど目立たないものである。インスタレーションや即興的・パフォーマンス的作画はもうすでに数十年前から、現代アーティスト系の人が数多やり尽くしており、全く目新しいものでもない~。現在では、新たな芸術的表現手段が行き詰まり、奇をてらった行為や犯罪的行為や、しまいにはテロ行為こそが最大の芸術だ・・・などと言われる始末なので、この方向性では、芸術の未来はないだろう・・・。
 私のようなちっぽけな画家は、一見普通にも見える、伝統を継承した正統的な作画技巧の中に、新たな芸術的個性や魅力を発現したい。

 私の経験上、確かに東京藝術大学には天才的な人がいる事はいると思う。東京藝術大学の入学競争率は、私のいた当時(1990年頃)、「日本画」で約20倍(520名余り受験して、26名が受かる)、「油画(西洋画)」で約30倍、「デザイン」だと50倍位であり、他の科はそれ以下である。しかし、美術系の人なら誰でもが記念的に藝大を受ける場合も多く、実質的な競争率はこの半分以下であろう。そこに入るには、デッサン・水彩画・油彩画・平面構成 等を一定以上の高度な技術レベルで描けば良い訳で、そんなに難しい事ではなく、さほど天才である必要はない。
 それでも「絵画科 日本画専攻」(当時は1学年26名)には、年によってもかなり異なるが、1学年に4~6名程の秀才的な人がおり、その中でも天才と言えそうな人は1学年に0~2名位は確かにいる。他の科には詳しくはないが、多分、天才的な芸術家はほぼ、「油画専攻」と「日本画専攻」に集中しており、まれに「彫刻科」にもいると思う。「デザイン科」は多方面への器用な適合力が問われるので、一芸に秀でた天才的芸術家は存在しにくい。「建築科」「芸術学科」は学力の高さが問われ、画力はあまり高くなくても受かるので、芸術的天才はほとんどいないだろう。
 また、他の、多摩美術大学・武蔵野美術大学・東京造形大学・女子美術大学・京都市立芸術大学・愛知県立芸術大学 等の主要美大には、各学部の各学年に秀才はわずかにいても、天才は数年に1人位しか現れないだろう。案外、中途半端に美大等の専門機関に行っている人でない作家の中に、天才が埋もれている可能性もある・・・。
 今回テレビに出ていた人は、確か、「東京藝術大学 建築科 入学」とか言っていたので、IQの高い建築系の数学的秀才・天才はわずかにいたとしても、絵画系・芸術的天才という事は、ほぼ考えられないだろう。

 「アート(芸術)」「アルチザン(職人)」は行ったり来たりするもので、お互いは相関関係にあり、本来、完全には切り離せないものである。西洋的現代アート思考では、二元論的に、より「アート」を独立させようと考えたが、東洋的思想では(西洋の伝統的芸術認識でも)、「芸術家」と「職人(技術者)」は表裏一体のものであるととらえる傾向が強い。つまり、東洋・日本の芸術家の基本姿勢としては、技術・技巧の追求は生涯に渡り途絶えてはいけないのだ。どんな天才的な素養があっても、若過ぎる頃にちやほやされ過ぎると、当然ながら、その作家は向上心を失い、凡庸な作家に終わるものである。たとえ天才肌でも、長年に渡る、人並外れた努力による”画”の研鑽がなければ、その真価を発揮できないものなのだ。
 日本画家・伊東深水は、若い頃に”本の挿絵”が評判となり、売れっ子になりかけたが、師の鏑木清方が、「もう数年は挿絵から遠ざかり、地道に絵の研鑽を積むように」と諭したと言う。現代アーティスト・村上 隆さんなども、私の周囲の藝大生の中で、天才性を感じた数少ない作家の一人だが、学生時代から名をはせるに至るまでの、努力と芸術研究への執念には、並大抵ではないものがあった。
 私が在籍した、東京藝術大学の最初のクラスには(私は2年生の終盤から、藝大生の芸術的意識レベルの低さにうんざりして、丸2年間も学校に行かずに自己研究を続け、2年留年となったので、結果、2クラスに所属している)、私以外では、2~3名の秀才的画家と1名の天才性を感じた人がいたが、いずれの人も今は残念ながら、”絵”ではほぼ頭角を現していない。藝大復帰後に編入した後のクラスには、秀才的な人こそ数名いたが、天才的な人は一人もいなかった。
 作家人生には画力・感性・努力・天才性の有無の他に、多大な運と時勢等が作用し、親の経済力・社会的立場や住んでいる地域(親の代からの東京近郊在住者は何かと有利である)等にも大きく左右され、最終的には協調性やビジネスセンスの高い人が収入につなげられるので、天才・秀才というだけでは渡り切れない、誠に殺生な世界なのである。地方の庶民出身で、商売にも疎い、変わり者の私などは、最も不利な条件と言える。私も人に言えた義理ではないが、天才的な人は往々にして、社会性・協調性に欠ける場合も多く、藝大・美大生の周りを見回しても、案外、適当に要領のいい平凡な画家が現在まで生き残っているケースが大多数だ。それでも、東京藝大出身者ですら、1クラスに平均5~7名位しか、50歳代の今まで、まともに絵を続けられていないという、厳しい現状なのだ。
 いずれにしても、どんな天才でも凡才でも、その後の長きに渡る芸術的研鑽は不可欠なのである。一生、「満足した」などという事はあり得ない。どんなに世間に評価されようと・されまいと、肩書・称号を与えられようと・与えられまいと、売れようと・売れまいと、有名になろうと・なるまいと、・・・そんな世俗には全く関係なく、一生、地道に、画道に精進する事しか、画家には残された道はないのである。

水彩画ポスター「緑を守る一人一人の心と手」 中学3年生 1983年水彩画ポスター「緑を守る一人一人の心と手」 中学3年生 1983年 ─ 「第1回 全国都市緑化フェア 図画・ポスターコンクール」 大阪府知事賞(最高賞)

水彩画「21世紀は太陽利用時代(未来の都会)」 中学3年生 1984年水彩画「21世紀は太陽利用時代(未来の都会)」 中学3年生 1984年 ─ 「太陽の日記念 絵画コンクール」 (審査員長・岡本太郎) 佳作

アクリル画「大自然・・・私の夢」 高校1年生 1984年アクリル画「大自然・・・私の夢」 高校1年生 1984年 ─ 「旺文社主催 第28回 全国学芸科学コンクール」 銀賞(旺文社賞)

日本画「枯木孔雀図(マクジャク)」 高校2年生 1986年日本画「枯木孔雀図(マクジャク)」 高校2年生 1986年

石膏デッサン「ブルータス」 美術予備校 1989年石膏デッサン「ブルータス」 美術予備校 1989年 ─ 「立川美術学院、日本画・油絵 合同コンクール」で一等賞になった作品。背景の一部には、村上 隆さんの手が入っている。


東京藝術大学合格者発表1990、3「立川美術学院・東京藝術大学 合格者発表」1990年3月  当日、その場に居合わせた、村上 隆さんが撮影した写真。

東京藝術大学入学式1990、4、10 21歳「東京藝術大学 入学式」1990年4月10日 後藤 仁、21歳  この頃は、まだ自分の天才性と輝ける将来を、微塵も疑っていなかった~~ ( ;∀;) 

 私も小学生から中校生の頃にかけて、「天才絵画少年、現る!」と学校や地元新聞 等で大いに噂され、大阪市立工芸高等学校 美術科では、「創立50年始まって以来の天才画家 登場か!」と期待された。当時は今ほどメディアが盛んでなかったが、あれが今ならば、さぞかしテレビやSNSで取り上げられ・持ち上げられていたかも知れないね・・・。
 その後、高校卒業後に上京して入学した東京の美術予備校・立川美術学院では、日本画科講師の村上 隆さんらが率いる優秀な予備校生達に出会った。私は、関西風描写方法を東京風に修正するのにも時間を要し、その中の3~4名にはどうしてもかなわない日々があり、生まれて最初の芸術的挫折を味わった(その時の3~4名は後に、皆、東京藝大に受かっている)。私は当時、美術予備校の受験的教育に疑念を抱き、作画にも面白さを感じられなくなり、学校には半分も行かずに、新聞配達等をしているという落第生だった。それでも二浪の中盤以降、実力を発揮し、特に「鉛筆デッサン」では私に勝る人は一人もいなくなった。私の目には弱めであるが赤緑色弱の気があり、そのせいか、少しの苦手意識があった「水彩画(着彩)」も、やっと先の3~4名の秀才に並び、ようやく東京藝術大学に合格できたのだ・・・。
〈この辺りの学生時代からの経緯を本格的に話しだすと、長くなるので、また、いずれの機会に・・・。 本当は”芸術”とは、他者との競争や順位ではなく、自己の個性的・美の追求に他ならないのであるが・・・。〉

 藝大入学など簡単なものだと強がれど、実際には、そんなに簡単な事ではなかったのだね~。しかし、大学卒業後、絵だけで生きていく事は、その何十倍も、何百倍も、厳しい試練なのだと、その後、知る事となる・・・・。
 大学卒業後25年余り、私は、おおよそ天才とは程遠い、無名の貧乏画家として未だ世間に埋もれているが、それでいいのである。「芸術の神様は孤独な崇拝者を好む」と言う。本当の実力より、はるかに低い評価に長年甘んじ続ける方が、生活は実に苦しくはあるが、一人ひそかに努力・研鑽を続け、誠の芸術家になれるというものだ、・・・と自己を慰めつつ。本当の画家・芸術家など、大抵、そんな風に、世の中に地味に隠れて存在しているものである・・・。  

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

2021-02-09

「男女平等の事案をめぐる、一画家の思い」後藤 仁

 今、世間では、コロナ禍による強力なフラストレーションを多くの人々が感じている中、オリンピック精神の男女平等や、世界中の人種不平等問題などが叫ばれています。私は画家(芸術家)ですので、基本的には絵画・芸術・文化関係以外の専門外の事柄は、あれこれ言わないように気を付けていますし、あまり確たる思想も有していません。
 しかし、語弊を生じやすく軽々には触れられない、このデリケートな事案ですが、多くの問題が噴出する現在、一弱小文化人としての立場からでも、何かしらの意志を発言しなくてはいけない時代なのかも知れません。・・・・・

               *

 私は、 2004年6月にインド関係者から「インド映画を見る会」に招待されて、衆議院内講堂へとおもむいた時に、同じく招待されていた、元内閣総理大臣・森 喜朗氏にお会いしました。私は若い一画家でしかありませんので、その時には、ご挨拶もせず、ただ遠くから眺めていただけです。その場には、元内閣総理大臣の羽田 孜氏と鳩山由紀夫氏も同席されていましたが、それらの政治家やインド人実業家達のご対応を見ていると、森 喜朗氏は、羽田 孜氏や鳩山由紀夫氏とは、一段も二段も異なる立場の御仁なのだと感じ取れました。会場に一足遅れて森氏が登場すると、周囲の空気に緊張感が走り、皆がその存在に敬意を払っていました。
 これと似た奇妙な経験は、2017年8月の「東京あこうのつどい」(都市センターホテル、千代田区)に東京都知事・小池百合子氏が来られた時くらいでしょうか。その時分は、「次の総理大臣は小池さんか・・・」などと取りざたされていた頃で、まさに今、勢いに乗る小池氏が登場すると、周囲には一種どよめきのような、奇妙な歓声に包まれました。私が小池氏にご挨拶をすると、小池氏は文化にはあまり関心が薄いと見えて、反応は鈍いものでしたが、会社の社長さんがご挨拶に来ると、とても喜んでいました。企業・団体の応援は、献金や票の獲得上、さぞ有利なのでしょうかね・・・。私は絵画・絵本文化を少しでも知ってほしいという思いで、拙作絵本『わかがえりのみず』(鈴木出版こどものくに ひまわり版)を小池氏に見ていただきました。『わかがえりのみず』は、欲張って泉の水を飲み過ぎた おばあさんが、赤ちゃんになってしまうという、あの有名な昔話です。その内容は今の時代、考えようによっては女性蔑視とも取られかねないストーリーなので、小池氏にお見せしたのは、少々誤解を招かれたのではないかと思い返しています。そこに深い意図は無く、その時にはその絵本しか持っていなかっただけなのです・・・。『わかがえりのみず』などは、笑話に近い素朴な”昔話”とはいえ、今の時代にはすんなりとマッチしにくい習慣・価値観も多々あり、民話絵本の表現とは実に難しいものなのです~。
 話がそれましたが、その他にも、私は今までに、河野太郎氏の父で元衆議院議長・自民党総裁の河野洋平氏や、元参議院議長・法務大臣の江田五月氏や、元法務大臣の岩城光英氏や、中国大使・インド大使などの各国大使、国内外の区長・市長・町長さんなど、何人もの政治界その他、経済界・文化界の大物にもお会いしてきましたが、「インド映画を見る会」の時の奇妙な雰囲気を思い出すと、やはり、森 喜朗氏の政治的・経済的影響力は、幾多の政治家の中でも比類なく強大で凄まじいものなのだろうと察しました。
 そんな具合なので、実際に身近にいる関係者は、当然ながら、一言も意見や反論を言えないのが、常態なのでしょう。しかし、それでは、世の中は一向に良くなりませんよね~。

インド映画を見る会「インド映画を見る会」 元内閣総理大臣 森 喜朗氏、羽田 孜氏、鳩山由紀夫氏、作家 石川 好氏らが出席 (2004年6月4日/衆議院内講堂)

森喜朗氏「インド映画を見る会」 森 喜朗氏、ご挨拶

東京あこうのつどい「第4回 東京あこうのつどい」 東京都知事・小池百合子氏 (2017年8月4日/都市センターホテル、千代田区) 私の作画絵本『わかがえりのみず』(鈴木出版こどものくに ひまわり版)と


 幼少期の私の家では、比較的おとなしい父よりも、母の方が断然怖くて強かったので、少なくとも男尊女卑的な雰囲気は皆無でした。それでも、どこか精神的には、やはり父の存在は一番大きかったように思います。
 高校生になり、大阪市立工芸高等学校 美術科に通うようになると、クラスの四分の三は女性でした。日本画はもちろん、現在の美術・イラスト・デザイン業界は女性の方がはるかに多いのです。
 東京藝術大学 日本画専攻は、当時、一学年26名の在籍者がいましたが、毎年、ほぼ男女半々でした。これにはからくりがあり、日本画専攻の受験者は8割方女性である上に、色彩感覚などは平均的に女性の方が良いとされ、普通に取ると女性ばかりになるので、合否が調整されていたと言われています。後年、これが問題視され、現在は成績通り取っているらしく、クラスはほとんど女性ばかりになっていると聞いています。
 若い頃は一般的に、女性の方がまじめに美術学校に通う上に、色彩感覚が平均的に良くて、水彩画・日本画などは早く上達すると言われています。男性は色彩感覚に劣る人が多いが、デッサン力は女性より勝るケースが多く、また、マニアックで凝り性の傾向があり、全体としては平均的には女性の方が優勢だが、ほんの少数の男性は極めて天才的に高い能力を示すとも言われています。
 これらの認識も、もしかしたら、長年の性差別意識によって、植え付けられた見解なのかもしれませんが、私の経験上、あながち遠過ぎる見方ではないのではないかと思うのです。つまりは、男女は人権的には当然、”平等”でなければならないのですが、その能力には、多少の得意不得意分野があるのです。それは、狩猟採集時代から、男は外に狩りに行き異民族とは戦い、女性は家で子供を育て家事をするという、動物的本能に基づいています。それで身体的には、男性は筋肉質で力が強く闘争本能も強くなり、女性は細やかで丁寧な作業ができるようになったのです。
 しかし、時は現在、文明社会に囲まれた中では、それらの区別もほとんど不必要になりました。そこで、男女が平等に社会進出して活躍できる、ジェンダーレスな社会を目指そうというのは当然の事です。しかし、そんな中でも、男女それぞれの得意なジャンルを最大限、活かそうとする工夫がなければ、物事上手くはいきません。何もかも”平等”と言って、何もかも同じ事を女性にもやらせると、逆に女性が苦しむ事にもなりかねません。私の子供・青年時代には、何か物を運ぶ時に先生などから、「おい、男子、女の子の荷物を持ってやれ!!」と命令されたものです。大人になった今でも、過酷な肉体労働は女性に代わって、たいてい男性がやる羽目になります。私は今の歳までに、多分、平均的な女性の数倍~十数倍の合計重量の物体を持ってきたと思います。そんな訳で、男や女の別ではなく、何事も、できる能力・体力の者がやるしかないのです。
 ついでに話せば、私は長年、「アジアの美人画」を中心テーマに女性像を多く描いてきましたが、現在の認識では「美人画」というカテゴリーさえ、女性蔑視だという判断がなされそうです。私は「美人画」を表面的な容姿のみならず、「心・精神性が美しい人を描く絵画」ととらえて描いています。男女平等をいくら進めようとも、多くの女性は多分、化粧文化をやめないと思います。やはり人は、男女の区別なく、本当に美しい女性を見ると、心が動くものなのでしょう・・・。

 十数年前から関わっている「絵本作家」の世界も、現在は女性が圧倒的に多い業界です。多分、総数の8割以上は女性だと思います。私が約7年前から一昨年末まで在籍した、絵本作家・画家・イラストレーターの団体・日本児童出版美術家連盟(童美連)も大半が女性です。生来、平均的・相対的には女性の方が発言力が強いので、数人のご年配のベテラン作家以外は、男性は常に押され気味で、男性作家の肩身が狭いようにも見受けられました。私は結構、何でも忌憚なく発言した方ですがね・・・。
 私は童美連での後半の3年間は理事を務めましたが、そこでの理事会は、森氏発言ではないですが、確かに、とても長いのです。理事の8割くらいは女性です。女性は、平均的にまじめで、数字や細かい部分に気が回るので、どうしても、とても長時間の会議になるのです。それは多分、正確・公正を期そうとする精神で、本来、悪い事ではありません。ただ理事の私達は、毎回の長い会議は大変でしたがね・・・。
 男性理事だけでしたら、大雑把過ぎて、細かい点を見落としがちですが、逆に大きな視点で長期的な発想をできるという点では、男性の方が優位だと思います。一番の問題点は、確かに男性の方が忖度が働きやすくて、年長者・権威者に迎合しやすいという難点でしょう。
 このように、「世の中、何でも”平等”に」とは言えど、男と女の身体的・性格的役割区別、得意不得意は、個人によってかなりの個人差があるにせよ、決して「何もかも男女同じにしないといけない」という訳にはいかない部分もある事を、忘れてはなりません。

 現在の童美連、ひいては、絵本作家界の場合、女性会員・理事が多過ぎて、逆にそれによる問題点も生じているように感じます。ただ、日本の政治・経済界から文化界の強い権威・権限のあるポストは、間違いなく、まだまだ女性が少な過ぎます。しかし、童美連のように女性が多過ぎても、元々、気弱で優しい男性の多い絵本作家界ですし、男性作家の方が明らかに可哀想に見える機会にも度々出くわす始末になるのです。
 何事も”平等”を基本とするならば、やはり、世の中の重要ポストは、5:5~6:4、4:6の男女比になるように、何かしらの調整をしていくしかないのでしょうね。もちろん、実力社会である日本画壇(美術大学を含む)や絵本画壇などの男女比は、総数や実力で偏るのは仕方ない事です。ただ、往々にして、後半生に実力を伸ばしがちな、天才肌ながら不器用で商売下手な男性日本画家・絵本画家などが、今後の世界で生まれにくくなる事は危惧されますが・・・。

               *

 今回は内容が複雑になり過ぎないように、今ホットな話題に乗っかって、主に美術界(日本画家・絵本作家)の”男女平等”についての思考のみ述べましたが、それは、人種・民族・国籍・思想・宗教・職業・年齢・貧富・障害者などの、どの差別にも通じる事です。
 私は変わり者の貧乏画家ゆえ、今までにも幾多の差別・偏見を受けてきました。中学・高校・大学時代の無視・仲間はずれという、いじめ的差別をはじめ、大人になってからでも、”絵”だけで食べていけない時期には(※ここで私の言う”絵”とは、日本画 本画・版画販売、絵本印税、大学・絵画教室講師をさします/売り絵と印税だけで食べていけるのが理想ですが、それは至難の業です)、学習塾講師や日雇い派遣労働などの副業をせざるを得ず、ずっと年下の正社員から何度も「おい、派遣!、ぜんぜん違うだろよ!」などと激しく罵倒された経験もあります(これは、会社名をはっきりと公表してもよい位の、社会的差別問題ですが・・・)。その他にも、私自身、多くの差別・蔑視を受けるという経験をしてきましたが、私の父も、多分、そのような差別的境遇によって、精神的に追い詰められ、自死に至ったのではないかと推測しています。
 あるいは逆に、知らず知らずに、また、どこかに意識があったり意識せずにも、今までに、私自身が差別的発言・行動をしてしまっている事は必ず多々あるでしょうから、自戒の意識は常に必要です。

 世の中、全くと言っていい程、不平等な世界です。各分野で多くの人々が、その是正に何かしらの心を砕くべきです。しかしながら、長年、民族差別を受けてきた民族が、一たび覇権を握ると、弱い立場の民族を虐げるケースなど、”逆差別”という形でやり返すような在り方が、実際に数多く存在しています。そこには永きに渡る歴史状況が横たわり、一画家などではどうしようもない、複雑で難しい問題ばかりです。男女差別の場合も、各ジャンル・集団内で、この”逆差別”に至らないように、十分に留意せねばなりませんね・・・。
 私は来し方行く末、「美術作品」という形でしか自己表現をしたくないのですが、人間の中に常在する様々な問題を、いつも頭の片隅で意識しながら、表現していかねばならないとは思っています。

  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

2021-01-29

特別番組 【からくり人形師 後藤大秀 100年先へ残す「最後の仕事」 】放送!!

特別番組 【からくり人形師 後藤大秀 100年先へ残す「最後の仕事」 】

 私の伯父で、からくり人形師の後藤大秀さんの追悼特別番組が、大垣ケーブルテレビで放送されます!!
 現代日本を代表する、からくり人形師 ・ 後藤大秀さんの最後の姿となります。ご視聴できる地域の方は、ぜひ、ご覧いただきますよう、お願い申し上げます。
  絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

 放送日 : 2021年2月1日(月) 午後7時10分から、
        大垣ケーブルテレビ「チャンネルOCT」


 大垣ケーブルテレビ 公式サイト https://www.ogaki-tv.co.jp/choct/sp/




               *

 昨年から3か年をかけて、「大垣祭り〔ユネスコ無形文化遺産・国重要無形民俗文化財〕・中町 布袋軕(ほていやま)」(岐阜県大垣市)の完全復元事業が行われています。その最後を飾る、天井画(天井絵)制作を、私が受け持つ事になりました。本年辺りから、本格的な下図制作に入る予定です。
 大垣祭りは、2015年に国指定重要無形民俗文化財に、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録された、日本を代表する盛大なお祭りです。伯父・後藤大秀さんの からくり人形は、この大垣祭りの軕(やま)に乗せられて、毎年5月にご披露されます。
 布袋軕再建は、文化庁からの文化財保存事業費/国宝重要文化財等保存・活用事業費補助金の交付を受けての、大垣市の文化振興・文化財保護整備事業として、大垣祭保存会の主導による大垣市・大垣市教育委員会を挙げての大型復元事業です。また、この布袋軕再建は、伯父・後藤大秀と甥・後藤 仁の二世代の作家による、壮大なコラボレーション作品とも言える、歴史的 大創作事業になるのです。
 私は、この制作を通し、私自身の芸術への意気込みや、伯父への思慕のみならず、大垣市民から岐阜県民・日本国民の祭り好きの皆様のご期待に応えるべく、また、阪神大震災・東日本大震災への鎮魂や、また今回のコロナ禍を受けて、病気・疫病平癒への深い祈りを込めた、誠にかけがえのない大切な創作になると思っています。全身全霊、精魂を傾けて創作に望みたいと、気合を入れています。

               ☆


【からくり人形師・後藤大秀 略歴】

 後藤大秀(ごとう だいしゅう、1929年~2020年、本名は後藤秀美 )は、岐阜県・愛知県を中心に活躍した著名な「からくり人形師」であり、後藤 仁の伯父(父の兄)でもある。

〔概要〕
 現在、日本で本格的な「からくり人形師」として活動しているのは数名しかおらず、後藤大秀は日本を代表するからくり人形師の一人である。全国的にも有名な大垣祭、大津祭といった祭りの、「山車からくり(だしからくり)」の完全復元や修復を多く手がけた。(この場合の復元とは、昔の人形を基に全く同じ姿形の人形を新しく制作する事。修復とは、昔の人形の破損した箇所だけを作り直す事。)
 なかでも、大垣祭の相生軕「神主友成」復元制作では、昔の人形は過去に紛失していた為、古い写真一枚と古老の証言のみを基に制作をしたので、この場合はほぼ完全創作と言える。

 「からくり人形」は頭・首・手・足・胴・胴串等から出来ており、頭・首・手・足には木曽檜、胴には桜、軸は樫、ピンは竹、滑車類はツゲといった木材を、バネには鯨のヒゲを使用する。昔と変わらぬ道具や材料を使用して、人形一体を制作するのに一年はかかる。
 後藤大秀の作品は、「能面打ち」修行でつちかった髪や目の繊細な線描きと、深い色合いの彩色や、「宮大工」時代につちかった高度な木工技術による、複雑なからくり仕掛けが特長である。


〔略歴〕
1929年 愛知県一宮市に生まれる。〔本名、秀美(ひでみ)。父は指物大工である。甥は日本画家の後藤 仁。〕その後、岐阜県大垣市に移る。
1948年 工匠の小寺浅之助に堂宮建築(宮大工)を学び(「金蝶園総本家 本店(大垣市景観遺産指定)」等の建築に参加)、のち数寄屋建築(茶室)を手がける。
1950年 大垣祭の大黒軕(三輌軕)「保管箱(厨子)」制作。
1980年 能面打ち師の東 安春(堀 安右衞門の弟子)に師事し、能面打ち修行をする。(つまり後藤大秀は、能面打ちでは、堀 安右衞門の孫弟子にあたる。)
1984年より、「からくり人形」復元制作を始める。名古屋市 戸田まつりの四之割「宙吊り小唐子」「肩車大唐子」「采振り童子(ざいふりどうじ/采振り人形)」復元制作。
1988年 「大垣市市展賞」受賞。
1991年より、名古屋市筒井町 天王祭の神皇車(じんこうしゃ)「神功皇后(じんぐうこうごう)」「武内宿禰(たけのうちのすくね)」「面かぶり巫女」「采振り童子」復元制作。
1992年 大垣市東地区センター能面の会 講師。
1994年より、大垣祭の相生軕「神主友成」「住吉明神」「尉」「姥」復元制作。
1994年 豊田佐吉記念「トヨタ産業技術記念館」(名古屋市)に唐子人形を制作納入。
1996年 大垣祭の相生軕「神主友成」「住吉明神」完成。
1998年 「大垣市教育功労賞」受賞。
1999年 大垣祭の相生軕「尉」「姥」完成。大垣祭の愛宕軕「武内宿禰」「神官人形(狂言師人形)」復元制作。大垣市美術家協会 理事。「第14回国民文化祭」(岐阜県高山市)で、からくり人形の制作実演。
2000年 大垣市市展 審査員。
2001年 大津祭の龍門滝軕「鯉」復元制作。大垣祭の浦嶋軕・布袋軕「采振り童子」復元制作。
2003年より、名古屋市 広井神明社祭の二福神車(にふくじんしゃ)「恵比寿人形」「大黒人形」「采振り童子」復元制作。
2005年 岐阜県神戸町町展 審査員。
2007年 「大垣祭り出軕運営委員会 功労賞」受賞。「後藤大秀 からくり人形・能面展」(名古屋市博物館)開催。
2009年 「全国山・鉾・屋台保存連合会 人形関係修理技術者」認定(当時は全国で3名のみ、現在は4名のみ認定)。大垣祭の布袋軕「倒立唐子人形」「布袋人形」復元制作。
2013年 「全国新作能面公募展」秀作受賞。
2014年 常滑市大野橋詰町 尾張大野祭の紅葉車(こうようしゃ)「逆立ち唐子」「采振り童子」復元制作。
2015年 大垣祭が「国重要無形民俗文化財」指定。「全国新作能面公募展」能楽の里賞受賞。
2016年 大垣祭、亀崎潮干祭が「ユネスコ無形文化遺産」登録決定。
2017年 「岐阜県伝統文化継承功績者顕彰状」授与。「全国新作能面公募展」審査員特別賞受賞。津島市 津島秋祭・七切祭(ななきりさい)の麩屋町車「湯取神子」「笛吹人形」「鼓打人形」、池町車「逆立ち唐子(唐子遊)」復元制作。
2018年 「大垣市功労章」授与。「後藤 仁 日本画・絵本原画/後藤大秀 からくり人形 展」(赤穂市立美術工芸館 田淵記念館)開催。
2020年9月 91歳にて逝去。


〔その他〕
後藤大秀が修復した「からくり人形」が使用されている山車。
   大垣祭の菅原軕、榊軕、愛宕軕、神楽軕(三輌軕)
   大津祭の郭巨軕
   名古屋市 戸田まつりの一之割、三之割、五之割
   羽島市 竹鼻まつりの福江町・上町の山車
   大垣市 綾野祭の猩々軕
   半田市 亀崎潮干祭の東組宮本車
   津島市 津島秋祭の麩屋町車、池町車     他
「名古屋まつり」には、筒井町 天王祭の神皇車と広井神明社祭の二福神車が登場する。
「はんだ山車まつり」(愛知県半田市)には、半田市 亀崎潮干祭の東組宮本車が登場する。
後藤大秀の「からくり人形作品」は、名古屋市博物館、神皇車保存会、トヨタ産業技術記念館(名古屋市)等に収蔵されている。

テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

2021-01-11

「絵師 日々の言霊」 後藤 仁 ④

 私は日本画・絵本原画制作の合間合間に、日々思った事・見付けた事などを、Facebook・Twitterでつぶやきます。これは、その続編になります。
 一絵師のたわいもない独白は、いい加減で無責任な言葉にしか過ぎません。しかしその行間に、芸術家の真実が垣間見えるかも知れません。荒削りで不器用な絵師の言葉の中から、”真実の言霊”を見出していただけましたら光栄です。
 今回は、中国向けの「新作絵本〈第2弾〉」制作(題名等の詳細は、後日、発売前に公開)の作画最終段階から原画納品までの軌跡を主に綴ります。
 絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

                ★

2020年12月15日

 中国向けの新作絵本制作は、この数日をかけて、最後の一枚「後ろ扉」の作画を進めています。一通りの色を置き、現在、およそ5割の進捗状況です。
 この場面は、物語のささやかなエピローグなのですが、民族衣装の描写は、やはり、かなり細かいですので、描くのは大変です。
 原画制作は、最後まで、一切、気を抜けませんね~。😤


12月18日

 中国向けの新作絵本制作は、本日までに、「後ろ扉」の作画を進めて、現在、およそ7割弱の進捗状況です。
 この場面には、中国少数民族の民族衣装を着た、貴人2名を描いているので、やはり、衣装の細部描写には大変な労力を要します。
 近年は、一日、5時間以上描くと、集中力がもたなくなります。この頃は年齢のせいか、一日の仕事終わりには、言いようのない、重たい疲労感に襲われます~。 (@_@)~~
 それでも、作品が完成していくのは、誠に楽しいものなのです。
 来週中には何とか、この「絵本」の全場面を完成させたいと考えています(「題名」のみは、後日、題名が決まってから描く予定です)。
 今は絵本原画制作のみに集中していて、日本画の一枚物を描くゆとりがありませんが、次の絵本原画制作に入る前に、昨年末から、描きかけのまま置いてある、日本画の「小品」も描き進めなければいけないのです。やるべき事は実に多いです~~。😤


12月23日

 中国向けの新作絵本制作は、本日までに、「後ろ扉」の作画を進めて、現在、およそ8割強の進捗状況です。
 今日は、衣装に金泥・銀泥を入れ、衣装と背景の彩色を全体的に整えました。あとは、2人の貴人の顔の描写を仕上げ、最終的に墨線で全体を描き起こし、色の微調整をすれば、完成となります。大きな失敗でもなければ、今週中には出来そうです~。 ( ..)φ
 最後の最後まで、息のつまる慎重な作画が続き、疲労は重なり、神経ははち切れそうですが、何とか、思うような完成度の作品が仕上がりそうです。
 今年は、誠に大変な一年でしたが、この絵本原画を完成できると、やっと、心置きなく年を越せそうです・・・。年内いっぱい、最後まで気を引き締めて、作画に邁進します。


12月24日

 中国向けの新作絵本制作は、本日、「後ろ扉」を一気に仕上げまでもっていきました。気持ちが乗っている今、完全集中による完全完成を目指しました。あとは明日、最終的な見直しをして、落款を入れて、絵本全場面の完成となります。
 この後日、全場面を再度じっくり見直して、絵本全体のバランス・流れを再確認し、問題がなければ、この絵本原画制作は終了します(あと、「題名」を描かねばなりませんが)。こうして、ようやく、1年1か月に渡る、苦闘を終えようとしています・・・。
 芸術家として、絵師として、命を削りながら、やっと紡ぎ出された、この魂の作品を、ぜひ、多くの子ども達・大人達に届けたい~。そして、美や生命について、深く考えを巡らせていただけるよう、・・・それだけが私の願いであり、やるべき宿命なのです。


12月25日

 中国向けの新作絵本制作は、本日、「後ろ扉」の背景彩色に手を加え、落款を入れ、絵本原画全場面の完全完成としました。・・・新型コロナウイルスという大変な自然の猛威にさらされた今年1年でしたが、私自身は素晴らしい制作の機会をいただき、かなりの時間を創作に打ち込めた事に、心より感謝申し上げます~。🤗

 1年1か月の長きに渡る日本画による本画制作は、困難の連続で、誠に神経をすり減らしましたが、何とか思うレベルまでの完成度にこぎつけられました。今回、今まで描いた絵本原画の中では、最も作画に時間を要しました。特に、人物・動物・建築物の登場数の多さと、中国伝統民族衣装の細部までの描写に、最も神経を使い、疲弊しました。しかしながら、多分、私の絵本史上、最高に美しい”美人像”が描けたのではないかと、おおよそ満足しています。
 この後、少し時間を置いてから、じっくりと絵本原画の全体の流れを再確認し、違和感・問題がなければ、制作完了となります。ただ、「題名」が決まったら、手描きで描く予定ですが、これは、1週間もあればできるでしょう。

 我が子の如きこれらの絵達が、良き「絵本」に生まれ変わり、中国や日本や世界中の、多くの子ども達・青年達・大人達に楽しまれる事を願っています。そして、このコロナ禍で翻弄される現世において、絵本作品を通して、多くの老若男女・善男善女に、輝ける命の美しさ・大切さを感じ取っていただけましたら、嬉しい限りです。🥰


12月29日

 今年は新型コロナウイルスの猛威が起こり、世界中の誰もが、とても大変な一年となりました。私も、講師を務める絵画教室が2~3か月間も閉鎖され、本年1月頃には刊行予定だった中国向け新作絵本『青蛙緑馬』(浙江少年児童出版社、伝世活字国際文化メディア・小活字)の発売が1年も延期されたままで、ただでさえ貧乏画家なのに、一時期は、さらに厳しい経済状況となり困惑しました・・・。
 今年は当初から、展覧会・イベント・取材旅行の予定をほとんど入れていなかったので問題は少なかったのですが、それにしても、私にとって十数年ぶりの、展覧会・イベント等の対外活動の少ない一年になりました。
 ただ、この5年余りは、美術大学講師や美術団体理事・委員長 等での雑務や会合・懇親会が多過ぎて、なかなか制作に集中できないというジレンマに始終悩まされてきましたので、今年は絵画教室以外はほぼ制作のみに集中できたという意味では、私にとっては、絵師として幸せな一年であったとも言えます・・・。

 昨日、中国向けの”絵本”原画の自己記録用の撮影をして、その後と今日、アトリエ周辺の簡単な大掃除をして、一応、仕事納めとしました。ただ年末年始も、時間さえあればボチボチと、次回「絵本」作品の”ラフスケッチ”の仕上げを進めておかねばなりません。次回作はオリジナル大作絵本の計画で、今までの私の絵本作品以上の最高傑作絵本にするべく、最大限の気合を入れて取り組んでいます。😤
 その他、次回絵本作品の本画制作が始まるまでに、「日本画」の単品・数枚を描き進めておかなければなりません。また、大垣祭り「天井画」の原案考察も進めねばなりません。やる事は山のようにあります。来年も更に制作に邁進できますよう、厳しい世相ではありますが、そう切に願っております。

 今日の夜10時から、テレビ朝日で「天空のヒマラヤ部族 決死の密着取材150日間 ~天空に佇む12の村~」が放送されるそうで、面白そうですね~。ヒマラヤのチベット族・チベット文化圏には、私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)そのままの世界が現在も生きています。ぜひ、絵本と合わせてお楽しみ下さい~。
 今年一年、大変お世話になりまして、誠にありがとうございました。来年が、平和で豊かな一年になります事を祈念して、今年のフェイスブックを終えようと思います。皆様、くれぐれも御身大切に、良いお年をお迎え下さい。

絵本『青蛙緑馬』表紙絵本『青蛙緑馬』 (浙江少年児童出版社、伝世活字国際文化メディア・小活字)

絵本「犬になった王子 チベットの民話」絵本『犬になった王子 チベットの民話』 (岩波書店)


2021年1月4日

 明けましておめでとうございます。皆様、旧年中は大変お世話になり、誠にありがとうございました。
 厳しいご時世ですが、本年が良い年になります事を願っています。本年も、よろしくお願いいたします。🤗


1月6日

映画マガジン FILMAGA 
 なぜ『ゲド戦記』が再上映作品に選ばれた?“親殺し”に込められた意味や、もう一度観るなら注目しておきたい点を深掘り考察【ネタバレ解説】

 「一生に一度は、映画館でジブリを。」のキャッチフレーズで2020年6月26日(金)より、全国372館の劇場で『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』の再上映が実施されました。・・(中略)・・映画『ゲド戦記』には原作と原案という、似たようなクレジットが二つ存在していることがあります。原作は前述の通り同名の小説なのですが、宮崎駿が1983年に出版した「シュナの旅」という絵物語を原案としている映画でもあるのです。・・・「シュナの旅」は、もちろん宮崎駿のオリジナル作品なのですが、宮崎駿監督自身はチベットの民話である「犬になった王子」という作品をベースにしていると書いています。・・・(後略)

https://filmaga.filmarks.com/articles/59964/

 ジブリアニメ「ゲド戦記」の原案になった絵物語「シュナの旅」(宮崎 駿/徳間文庫、「風の谷のナウシカ」等の宮崎 駿 アニメ作品の原点とも言われています)の原話は、私が絵本化したチベット民話『犬になった王子』(君島久子 文/岩波書店)なのです。まだ読まれていない方は、ぜひ、この機会に、私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(君島久子 文、後藤 仁 画/岩波書店)を映画・絵物語と合わせて、ご覧ください。とても興味深く、面白いと思います。

○岩波書店 公式サイト 『犬になった王子 チベットの民話』
https://www.iwanami.co.jp/book/b254895.html


1月6日

 中国向け新作絵本の”第二弾”は旧年中に全場面を完成し、自己記録用の撮影も済ませました。今回は、完成する度にパネルからはがしながら作画を進めたので、絵本全体の流れをつかむのが難しかったのですが、おおよそ違和感もないので、これで良しとしました~。🤗

 新年早々に、続く中国向け新作絵本”第三弾”の「ラフスケッチ」の仕上げに取り掛かっています。いつもより詳細なコマ割り・ラフスケッチになったので、思ったより時間がかかっています。編集部に原画を引き渡す予定の、来週初めには完成させたいのです。
 この絵本は、私の作/絵によるオリジナル物語となります。絵本第二弾の延長線上にある内容となりますが、更に凝ったストーリー展開、誠に壮大な歴史物語絵巻になる計画です。描くのには更なる困難が予想され、2年近くを想定していますが、とても楽しみで、今から腕が鳴っています~。💪


1月10日

 中国向け新作絵本”第3弾”は、本日、「ラフスケッチ(コマ割り風)」を完成させました。およそ、2カ月半かけて、かなり詳細なラフが描けました。とても素晴らしい作画イメージが浮かんできています・・。誠に美しく壮大かつ深遠な作品になりそうな予感ですね~。 ヽ(^。^)y


1月12日

 本日、中国向けの「絵本」(第2弾)の原画18点を、出版社・編集者に引き渡しました。大切な我が子を実家から見送るようで、いつもながら、この時は一抹の寂しさが残ります・・・・。
 コロナ禍という、なかなか厳しい時節でもあり、中国向け絵本・第1弾『青蛙緑馬(チベット民話)』の発売も、もう少し時間がかかるようです・・・。産みの苦しみとも言いますが、この厳しき時期を過ぎると、きっと良い季節も訪れるだろう事を祈りながら、作品創作の手綱だけは緩める事なく、常に画道に精進していこうと思うのです。
 きっと素晴らしい「絵本」になって、帰って来いよ~。 ( ;∀;)ノ
 いつまで自身の命が続くのかは分かりませんが、美しい世界を信じて、どこまでも美しい世界を創造していこうかな~~。


テーマ : 絵本・制作・イラスト
ジャンル : 学問・文化・芸術

2020-12-12

「絵師 日々の言霊」 後藤 仁 ③

 私は日本画・絵本原画制作の合間合間に、日々思った事・見付けた事などを、Facebook・Twitterでつぶやきます。これは、その続編になります。
 一絵師のたわいもない独白は、いい加減で無責任な言葉にしか過ぎません。しかしその行間に、芸術家の真実が垣間見えるかも知れません。荒削りで不器用な絵師の言葉の中から、”真実の言霊”を見出していただけましたら光栄です。
 今回は特に、現在、取り組んでいる中国向けの「新作絵本」制作の、完成へ向けての軌跡が多く綴られています。

 絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁

                ★

2020年11月6日

 中国向けの新作絵本『青蛙緑馬』の出版準備は既に整い、あとは、新型コロナウイルスの状況をみて、年末・年始辺りの出版時期を待つのみです。
 続く、新作絵本・第二弾の原画制作は、あと4枚を残すのみ。内3枚は7~8割の完成状況です。
 さらに続く、中国向け新作絵本・第三弾!。今回は、オリジナルストーリー(創作絵本)に挑戦!! 現在、ラフスケッチ作画を進めている所ですが、とても面白くて壮大で、血沸き肉躍る、誠に素敵な「絵本」になりそうな気配~!!!。これは、私の今までの最高傑作絵本になるかも知れませんよ~!!!! ヽ(^o^)丿~~☆ ワ~~ィ
 

11月7日

AbeBooks
”Prince became a dog - Tibetan folklore”

https://www.abebooks.com/Prince-became-dog-Tibetan-folklore/30048571558/bd
https://www.abebooks.co.uk/Prince-became-dog-Tibetan-folklore/30048571558/bd
https://www.abebooks.de/9784001112429/Inu-natta-oji-Chibetto-minwa-4001112426/plp

 AbeBooksという海外のサイトでも、私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話 ”Prince became a dog - Tibetan folklore”』(岩波書店)を扱っているみたいです。
 ネット時代は、まさに国際化の時代ですね~。 ('ω')ノ

絵本「犬になった王子 チベットの民話」絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)


11月9日

 中国向けの新作絵本制作は、「表紙」「第14場面」「第15場面」の最終の詰めの段階です。
 この辺りに来ると極めて神経を使い、疲労困憊なのですが、段々と完成が見えてくるので、実に嬉しい局面でもあります。
 「第14・15場面」合わせて、1~4cm程の微細な人物・動物が、およそ200人・匹位いて、その一人一人の顔・体・衣装 等を極細の墨線で描き起こしていきますので、気がおかしくなりそうになります~。しかし、そこがまた、絵を描く醍醐味でもあるのです。
 全集中を越えた、この”究極集中”ができないと、最高の絵は描けないのです。


11月13日

 「美術品の修復でまたも失敗が・・・」という記事が出ていますが、これらは失敗という以前の問題です・・・。
 「餅は餅屋」とも言いますが、本来、美術の専門家で無い人に、美術品修復や新調を依頼する事自体が不可能なのです。
 近年、「芸術・美術」を「アート」と言い換えて、誰でも気軽にできる事のように、どこか安易にとらえている風潮があるように感じますが、芸術・美術の世界は本来、極めて深遠で、困難で、専門性が必要なのです。
 近年の日本の日光東照宮の修復等でも、あまり、修復家・修復職人が育っていないように私には感じました・・・。愛知県~岐阜県辺りの、からくり人形の修復・復元は、この数十年、一手に伯父の後藤大秀さんが担ってきました。しかし、伯父が亡くなられた今、名だけではなく、本当に高い実力のある、からくり人形職人は、残念ながら、いなくなりました。
 私が専門とする「日本画」「絵本原画」の世界もしかりです。ただ売れたという事実や、一時の流行や、作家のキャラクター・パフォーマンスだけに左右されるのではなく、一般大衆や画商・出版社編集部等も高い審美眼を養い、本当に画力と気概のある作家に作品をご依頼されないと、残念ながら、日本の芸術・美術のレベルも下がる一方になってしまいます。

美術手帖 ─ スペインでまた美術品の「修復」失敗事件が発生。なぜ多発?
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/23063


11月13日

 中国向けの新作絵本制作は、この一週間程で、「第14場面」の最終的な詰めを進め、95%余りの完成度まで追い込みました。息が止まる程の緊張した細密描写が続き、息も絶え絶えですが、何とかあと、ほんの一息で「第14場面」は完成です。
 作画の緻密さ・困難さに、なかなか筆が進まず、「第14・15場面」だけで2カ月余りかかっていますので、この「第14場面」は今週中に完成させたかったのですが、間に合いません。しかし、「第15場面」も8割近く完成し、同じく8割弱完成している「表紙」も合わせて、絵本原画の完成まであと少しです。「後ろ扉」が残っていますが、ここはエピローグですので、作画は、そこまで困難ではないと思います。
 今回の絵本作品は、人と動物と建造物の数と緻密さにおいて、今までの私の作画絵本の中でも最大値ですので、描画は困難を極めています~。しかし、その甲斐もあって、また、すごいものを創ってしまっているのかも知れませんよ・・・。 (@_@)~~


11月17日

 中国向けの新作絵本制作は、本日、ようやく、「第14場面」が完成しました。最終的には、全場面の調子を見て、最後に少し加筆するかも知れませんが、とりあえず完成です。
 この場面は登場人物・動物・建物の数が一番多くて、作画には2カ月以上かかり、労力的には、一番大変でした。画の魔神に魅入られたのか、どこまでも細部にこだわり過ぎて、気が付くと、いつまでも永遠に、描き続けそうになります・・・。他の場面との調子を合わせるためにも、この辺で終了としました。
 「絵画」は細部に真実が宿るとも言います。これだけ執拗に描き込めば、小さな画面ながら、迫真的真実性が出てくるというものです。


11月18日

 中国向けの新作絵本制作は、本日、「第15場面」を墨で描き起こしました。これは本当に疲れ果てる作業なのですが、墨での線描は「日本画」の見せ場・真骨頂でもあり、とても大切な工程なのです。この場面は、あと残り2割程度で完成ですが、ここからの仕上げが最も重要なので、気は抜けません。
 今日から、「後ろ扉」の下図(大下図)にも取り掛かりました。この場面で、この「絵本」の全ての場面になります。つまり、あと「表紙」「第15場面」「後ろ扉」の3枚を完成させると完了です~☆。
 続く新作絵本の「ラフスケッチ(小下図)」は、面白い案がどんどん沸々と湧いてきて、今、6~7割方進んでいます。文章の手直し(推敲)と並行して、良い感じで進めています。
 作品のイメージを膨らませていく、この工程は、誠にワクワク・ドキドキで、楽しいね~~。(^_-)-☆


11月25日

 本日、中国向けの新作絵本制作は、最終場面「第15場面」が完成!! 秋の実りの中、多くの善男善女が幸せをかみしめています~💛 。
 今日は気合がマックスに上がり、”全集中”をはるかに超えた、”究極的完全集中”の呼吸にて、描く事ができました。極細の墨線が、意のまま・おもむくままに動きます~。これは間違いなく、”画神”が宿っていたのでしょう。 <(@_@)丿
 しかし後は、エピローグ「後ろ扉」(現在、下図の段階)と、最も重要とも言える「表紙」(現在、8割程の進捗状況)が残っています。最後まで気を抜く事のないよう、全身全霊で創作に当たります。


11月26日

 中国向けの新作絵本制作は、「表紙」の主人公の貴婦人の衣装文様を、再度、岩絵の具で描き起こしました。この細密描写は、酷く疲れます~。肩が凝る~~。 (@_@)丿
 この感じだと、「表紙」はまだ7割位の進捗具合かも知れません。完成までには、まだ2週間はかかりそうですね・・・。
 表紙の衣装は、文様が特に複雑なので、描くのは殊更大変です。岩絵の具は粒子が粗くて、筆運びが難しく、描くのにはコツがいります。さらに、冬場はすぐに膠が固まるので、絵皿を少し温めながら、描き進めなくてはなりません・・・。そんな作業の連続は、とても疲弊します。
 墨線描写には最も集中力が必要ですが、細密彩色は最も根気が必要になるのです。まさに、我慢のしどころです。🥴


11月30日

 中国向けの新作絵本制作は、この数日をかけて、「表紙」の究極的美人を描き込んでいます。かなりの密度で描き詰め、現在、8割強の完成度ですかね・・・。しかし、この最終段階の描写は、何故だか、異様な程に疲れますね~~。(@_@)y
 後は、金泥(純金の粉)をさし、墨線で顔を中心に全体を描き起こし、色彩を調整して、完成に向かいます。
 いよいよ画面には、絶世の美人像が現われてきました。これは、もう既に、私の画力のみには非ず。・・・人知を超えた、神霊(画神)のなす技とも申しましょうか~。そんな高貴なる美麗なる姿が、浮かび上がっています・・・。


12月1日

 タレントボックス「西郷輝彦」Twitter画像というサイトにも、俳優・西郷輝彦さんの、拙作絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)へのご投稿が、掲載されていました。
 拙作絵本をご覧いただき、心より感謝申し上げます。

https://talent-box.jp/person/t?id=7182


12月2日

 昨日は、日本画画材のセールと絵本作家・浜田桂子さんの個展があったので、都心に出ました。先月、1月以降で初めて都心の上野に出て、東京藝術大学デザイン科の講義をしましたが、都心に出るのは、それ以来です。
 私は絵画を多くの皆様に教える立場上、新型コロナウイルスの感染には十分に注意しています。それゆえ今年は、日々の制作が多忙な事もあるのですが、他人の展覧会訪問は全て遠慮させていただいてきたのです。しかし、最近、テレビでも話題となっている絵本作家・浜田桂子さんには、童美連その他で何かとお世話になっているので、特別に個展へ訪れました。国内外の子どもさんを描いた、浜田さんらしい、優しくて感じのよい作品が見れました。

 個展の前に、上野界隈の老舗日本画画材店3店(得応軒、金開堂、喜屋)に立ち寄り、それぞれ必要な画材を補充しました。日本画の画材は高価なので、少し買うとすぐに数万円を超えてしまい、いつも思った様に画材をそろえられないのは歯がゆい所です。これも貧乏画家の宿命ゆえ、仕方ありません・・・。私の師であり、近現代日本画全盛期に生きた日本画の大家である後藤純男先生は、確か、一度で400万円程をまとめて購入する(どれ位の頻度かは聞いていませんが)と、生前おっしゃられていましたが、そんな豪傑の日本画家は現在、数人いるか・いないかでしょうね~。
 学生時代から好んで使用してきた「瑞龍」という安くて良い墨を作っている、墨製造の老舗企業の榮壽堂が、10年位前に廃業していたと画材店で聞き、驚きました。まだ売っていたので気付かなかったのですが、それらの墨は画材店に残った分だったのです。
 数年前には三千本膠の製造所が後継者不足等で廃業し、市場から三千本膠が無くなり、とても困りました。その後、新たなメーカーが製造法を復活して、何とか今は、新三千本膠が使用できています。
 和紙製造業も後継者不足は深刻らしく、年々、雲肌麻紙等の和紙が値上がりして、今では学生時代の倍近くになり、ますます画家稼業も厳しくなるばかり・・・。

 極めて質の高い画材を用い、丹念な手わざを駆使して、時間と心を込めて”絵”を描く愚直な作家は、本当に私達の世代で最後になるのかも知れませんね。この後の時代は、美術・デザイン業界のデジタル・IT効率化の流れと、純粋美術業界・画壇の著しい衰退傾向の中、本当に優れた日本画等の純粋美術作家が登場する条件は、全くの皆無に近いです。
 今、私も、創作に精一杯精進して、良い作品を日本画一枚でも・絵本一冊でも残しておかなければ、次の時代の日本が実質的文化不毛時代となるのではないかと、本当に心配し危惧しています。私の命ある限り、制作に全身全霊、打ち込みたいと、なおさら思いは強くなるばかりです。


12月4日

 中国向けの新作絵本制作は、「表紙」のヒロインの美女に、金泥を入れました。金泥の上には彩色するのが難しいので、通常、ほぼ完成に近づいてから使用します。すなわち、いよいよ完成が近づいたという事なのです。およそ9割の完成、あとは墨で最後の描き起こしと、彩色の微調整です。
 今回の作品は、様々な厳しい作画条件を、あえて自分自身に課しました。作画上における自己を、いじめて、いじめて、いじめ抜いて、更なる芸術の高みを目指すのです。人物・動物・建築物の数の多さ、極めて細密な描写、金泥の多用、等々・・・、困難な条件ばかりです。金泥(1号金)は0.4gで4000円以上します。普通に考えると、絵本の原画に用いるのは、狂気の沙汰です。でも私は、ただひたすらに最高の品質を求めたいのです。
 しかしながら、作画は想像以上に苦難の連続となり、さすがに疲労困憊です~。今年中には何とか、この「表紙」と「後ろ扉」を完成させたい思いで、懸命に踏ん張っています。
 それでもなお、絵を描くのが心底好きな変態の私は、こうして絵を描ける事が最高に幸せなのです~~。 ヽ(@o@)丿 ヒェ~~ィ!!


12月6日

 昨日、NHKスペシャル「神保町ブックハウスカフェ」が出ていましたが、このコロナ禍において、児童書店も、とても厳しい状況なのだと知りました。
 そうでなくても、この十数年程は、日本における出版不況と少子化の上、デジタル社会化・ネット書店の台頭もあり、全国の児童書店は厳しい経営環境だとは聞いていました。これまでにも、各地で老舗・有名児童書店が続々と閉店しています。ブックハウスカフェも、数年前に経営難になり、経営陣を刷新して、カフェを併設しての再出発となったばかりです。先日、店長の茅野さんが、松本人志さんがMCの民放テレビ番組にご出演されているのを、たまたま見かけたりしたので、順調にやっているのだと思っていました。

 昨年は、私が展覧会実行委員会委員長となり、童美連(日本児童出版美術家連盟)主催の「大型展覧会」をブックハウスカフェで開催し、ブックハウスカフェの社長の今本さんや店長の茅野さんには、とてもお世話になりました。
 私はその後、色々あって、童美連を離れる事になりましたが、この後も童美連や絵本作家個人個人が、ブックハウスカフェ等の児童書店に積極的に協力していこうと、作家の皆さんで話していたところです。昨年の童美連展開催時には、ブックハウスカフェでは、夜間のバーやイベント開催等を増やして、何とか経営は安定し、軌道に乗りかけていると伺っていましたが、その矢先の、この新型コロナウイルスの洗礼ですから、誠に大変です・・・。

 岩波書店の絵本は書店の買い取り制なので、置いている書店は大型チェーン店等に限られ、私の作画絵本『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)も、残念ながら、神保町ブックハウスカフェには置いていませんが、絵本はネット書店だけで購入されるのではなく、ぜひ、お近くの児童書店にお子さんと一緒におもむいて、絵本を手にとって、本当に良い絵本を選ばれる事を、いちばんお薦めします 💛。
 最近は、テレビの偏った情報等に左右され、ほんの一部の作家の軽々なマンガ的絵本や、芸能人が作った流行的・企画もの的絵本ばかりが話題になります。真実の芸術のプロ、・・・一生を創作にかける本当の画家が精神を込めて描いた、本当に良い絵本を、軽薄な情報だけに頼らず、ぜひ一人一人の目と心で確かめて、お子様・お孫様に与えてあげて下さい。その絵本は、きっと、その子の一生の宝物となり、感性をより良く刺激し、成長の過程で、大いに意味のあるものとなる事でしょう。

〔画像は、『童美連創立55周年記念 こどもの本の画家たち展』(展覧会実行委員会委員長:後藤 仁) ブックハウスカフェの今本さん・茅野さん、童美連の皆様と/2019年10月25日~11月6日 神保町ブックハウスカフェ、千代田区〕
ブックハウスカフェ『童美連創立55周年記念 こどもの本の画家たち展』 (神保町ブックハウスカフェ)


12月8日

 中国向けの新作絵本制作は、本日、「裏表紙」のヒロイン像をほぼ完成させました。
 いつもの私の絵本作画の場合、「表紙」は見開き一枚で、絵画的に描くのですが、今回の絵本では趣向を変えて、「表表紙」と「裏表紙」を分けて、民族衣装の異なる同一人物を描いています。これにより、絵本ならではの装丁におけるデザイン性の面白さを、最大限に活かそうと考えました。さらに、両民族を取り持つヒロインの貴婦人の、両義性を表現しようと試みました。
 あと3日で、「表表紙」のヒロインを、じっくりと、しっかりと、納得いくまで描き上げられたらと考えています。


12月9日

 中国向けの新作絵本制作は、本日、「表表紙」のヒロイン像の墨線を全体的に描き起こしました。日によってはわずかに手がぶれる時もあるのですが、今日は集中力が最大限に増し、1mmの十分の一以下の極細の線が、ほぼ思うように引けました。これぞ正に、究極の神業的全集中というものでしょうね!! 
 私の絵本史上、最高ともいえる、究極の美人像が表出されています~~。 <(♡_♡)丿
 残る最後の一枚「後ろ扉」の下図を完成させ、転写~骨描き~胡粉塗り、と進めました。今日は、予定していた2日分の仕事ができて、最高レベルに気合が乗りました~。🥰


12月10日

 中国向けの新作絵本制作は、本日、「表表紙」の美人像の金泥に上塗りして輝きを増させ、目元等の墨線を微調整し、衣装の彩色を微調整しました。これで95%余りの完成となり、あとは墨線での最終的な微調整と、「裏表紙」の装飾部分の色調整をするのみです。
 気合が入り過ぎ、テンションが上がり過ぎて、オーバーヒート状態に至り、もう少しで、頭がいかれそうになりました~。本当に、頭の毛細血管が少し切れているかも知れませんね~。 (@_@)丿
 ただ、その甲斐があってか、この世の者とも思えぬ、高貴で極めて美しい女性像が描けました。数十年も絵を描いてきても、なかなか納得いく出来は稀有なのですが、今の私の実力からすると、おおよそ満足のいく出来になったでしょうか・・・。
 しかし、まだまだ、更なる芸術の高みを目指して、命を削りながら、満身創痍にて、創作に打ち込まねばなりません。


12月11日 午後4時頃

 中国向けの新作絵本制作は、本日、「表紙」が完成しました!!。7月末から「表紙」を描き始め、4ヶ月余りをかけて、ようやくの完成です。随所に複雑・緻密な超絶技巧・技法を駆使し、凝りに凝った作画となりました。その為に、作画は困難を極め、予定以上に時間を要しましたが、想定していた通りに、いや、それ以上に、失敗もほとんど無く、拙劣な私にしては、上手く描けたのではないかと思います・・・。何よりも、美しい物を美しく描けたのは、本当に嬉しい事なのです。
 少なくとも私は、近年の日本の「絵本」で、このような懇切丁寧な描画作品を見た事がありません。しかし、未来を担う子ども達への、大人からの”贈り物”とは、本来、大人でも十二分に堪能できる程の、高度・高尚な作品でないといけないのです。

 とても疲れました・・・・、今日はこの後、少し休憩してから、残る一枚「後ろ扉」の彩色を進めたいと思います。

 あぁ、この絵が無事に印刷されて、「絵本」になるのが楽しみだ~。 (^。^)y

テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

2020-11-15

東京藝術大学デザイン科「後藤 仁 金唐革紙・絵本 特別講義」開催

 2020年11月11日(水)には、「東京藝術大学デザイン科〈アート&デザイン/担当教官:押元一敏 准教授〉 金唐革紙・絵本 特別講義」(講師 : 後藤 仁)を開催しました。

 今年は、新型コロナウイルスの影響で大学構内の大浦食堂が休みではないかと思い、谷中霊園で昼食のおにぎりとパンを食べてから、東京藝術大学に向かいました。私も多くの人前で絵画講師・講義等をする立場上、ウイルス感染にはできるだけ注意しており、都心に出るのは、実に今年の1月以来です。大学までの道すがら、大学時代に一度行ったことがある、愛玉子(オーギョーチイ/中国や台湾で食べられている、ゼリー系のデザート)の有名な店の前を通り、旧吉田屋酒店を少し見物してから向かいました。

谷中霊園谷中霊園(谷中天王寺・五重塔跡)で昼食のおにぎりとパンを食べました。秋の紅葉がキレイ~。 ( ^^) _o 

愛玉子の店愛玉子(オーギョーチイ/中国や台湾で食べられている、ゼリー系のデザート)の有名な店。

旧吉田屋酒店「旧吉田屋酒店」 酒を買うのではありませんよ~。現在は歴史展示館として一般公開されています。

 東京藝術大学デザイン科での「後藤 仁 特別講義」は、2017年から毎年開催していますが、例年は、1限目に大学の教室で「金唐革紙の歴史とデザインの変遷」の話をして、2限目に実際に私が製作した金唐革紙(手製高級壁紙/国選定保存技術)が貼られている、「旧岩崎邸庭園(国指定重要文化財/台東区池之端)」に訪れるという内容です。
 しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で、授業自体がオンライン・リモート授業になりましたので、1限目は通常と同じ「金唐革紙 講義」ですが、2限目には私の本業である日本画による「絵本」制作の話をしました。

 私の作画絵本『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店こどものとも)『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)の制作・取材旅行秘話を中心に、滅多に他人に見せない貴重な旅のスケッチブックや写真、絵本のダミー(ラフスケッチ)・色校正・完成絵本を何種類かお見せしながら、絵本の制作過程を丁寧に解説しました。

東京藝術大学 校門東京藝術大学 美術学部 校門

東京藝術大学 デザイン棟東京藝術大学 美術学部 デザイン棟

東京藝術大学 美術学部デザイン科 金唐革紙・絵本講義「東京藝術大学デザイン科〈アート&デザイン〉 金唐革紙・絵本 特別講義」(講師: 後藤 仁)を開催。今年はオンライン・リモート授業です。

東京藝術大学デザイン科 金唐革紙・絵本講義「東京藝術大学デザイン科〈アート&デザイン〉 金唐革紙・絵本 特別講義」(講師: 後藤 仁)を開催。今年はオンライン・リモート授業です。

東京藝術大学デザイン科 金唐革紙・絵本講義「東京藝術大学デザイン科〈アート&デザイン〉 金唐革紙・絵本 特別講義」(講師: 後藤 仁)を開催。今年はオンライン・リモート授業です。

 受講学生は東京藝術大学デザイン科 大学院生が25名位いるそうですが、リモートなので学生達の表情・反応も分からず、どこまで創作の熱意が伝わったかは不明です。しかし、これからの日本の美術・デザイン界を担う若者達が、この私の拙い講義を、どこかに・何かに活かしていただけるのなら嬉しい事です。今回はリモート授業という形でしたが、なかなか珍しくて、それなりに面白い経験となりました。

 絵師(日本画家・絵本画家、東京藝術大学デザイン科 非常勤講師) 後藤 仁

テーマ : 展示会、イベントの情報
ジャンル : 学問・文化・芸術

後藤 仁 プロフィール

後藤 仁(GOTO JIN/后藤 仁)

Author:後藤 仁(GOTO JIN/后藤 仁)
~後藤 仁 公式ブログ1~
日本画家・絵本画家 後藤 仁(GOTO JIN/后藤 仁)の日本画制作、絵本原画制作、写生旅行、展覧会などのご案内を日誌につづります。

 〔後藤 仁 略歴〕
1968年兵庫県赤穂市生まれ。15歳、大阪市立工芸高校 美術科で日本画を始める。東京藝術大学 絵画科日本画専攻 卒業、後藤純男先生(日本芸術院賞・恩賜賞受賞者)に師事。在学中より約12年間、旧岩崎邸、入船山記念館、孫文記念館(移情閣)等の金唐革紙(手製高級壁紙)の全復元を行う。卒業以降は日本画家として活動し、中国・インドをはじめ世界各地に取材した「アジアの美人画」をテーマとする作品を描き、国内外で展覧会を開催する。近年は絵本の原画制作に力を入れる。
○絵本作品に『ながいかみのむすめチャンファメイ』(福音館書店)、『犬になった王子 チベットの民話』(岩波書店)、『わかがえりのみず』(鈴木出版)、『金色の鹿』(子供教育出版)、挿絵作品に『おしゃかさま物語』(佼成出版社)。『犬になった王子 チベットの民話』は、Internationale Jugendbibliothek München ミュンヘン国際児童図書館(ドイツ)の「The White Ravens 2014/ザ・ホワイト・レイブンス 国際推薦児童図書目録2014」に選定される。NHK日曜美術館の取材協力他、テレビ・新聞・インターネットサイト等への出演・掲載も多い。
○東京藝術大学デザイン科 非常勤講師、元 東京造形大学 絵本講師。国選定保存技術 金唐革紙 製作技術保持者。日本美術家連盟 会員(ご推薦者:中島千波先生)、絵本学会 会員、日本中国文化交流協会 会員、この本だいすきの会 会員。千葉県松戸市在住。

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ブクログ「後藤 仁の本棚」ブクログ

絵本ナビ「犬になった王子  チベットの民話」絵本ナビ「犬になった王子 チベットの民話」
絵:後藤 仁 /文:君島 久子 /出版社:岩波書店絵本ナビ


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